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第6章 過去の友達
第68話 讃えたまえ
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3人が魔物の軍勢を倒したことを知り、地上に被害が出なかったことを安堵していた。
複雑に絡み合う蟻の巣のような迷宮。まだ下の方には数名の冒険者が残っている。考えてみれば迷宮攻略が終わったことを探索中に知る術はない。
「さーて、この広間を抜ければ出口だぁ」
天井の大穴、強い太陽が差し込み広間はとても明るい。奥には地上に出られる階段がありその周辺には人だかりが出来ていた。楽しそうな笑顔、ワイワイガヤガヤと大きな雑音を響かせていた。
「無事に迷宮の魔物討伐は3人の勇者様によって成されました。今回は多くの魔物が出現したため、魔物の血が体に混入していないかだけ調べますので少々お待ち下さい」
何人もの兵士が広間にいる人々に説明して回っている。
「魔物の血? 体に入ると何かあるの?」
「魔物の血が体に入ると危ないニャー」
「正しくは血ではなく体液なのですが、魔物に噛まれたりして体に入ってしまうと体を蝕むウィルスに変化するんです。厄介なのが伝染するんですよ。だからキチンと治療する必要があります」
魔物の血が引き起こす感染症──なんだか怖いなぁ。
「おぅお前ら、体液ごときでビビってたら冒険者なんて務まらんぞ」
体格の良い男、斧を背負ったいかにもな冒険者が声をかけてきた。
「あなたは……?」
「ああ、俺はアルゴだ。まぁアンアントなんて弱い魔物の血が体に入ったところでどうってことないだろうから心配するな」
「は、はぁ……」
「おっ、お前らはリョウガの奴隷じゃねぇか。あいつはどうしたんだ」
ルルとナナの元主人の知り合いか? リョウガ・チェリピッキ、ルルとナナを魔物の餌にしようとした男。
「ああ、アルゴ様。ご主人様は地下迷宮で死んだそうです」
「悲しいけど仕方がないニャ、新しいご主人さまに拾ってもらったニャ」
「なんと、リョウガが……確かに隷属の首輪が外れているから間違いないのだろうが……彼ほどの者が蟻に遅れをとるなど考えられん」
言われて見ればそうだ。彼の実力がどれほどのものかは知らないが、強ければ強いほどこの地下迷宮で死ぬなんて不自然に思うだろう。
「お前ら……えっと……」
「サクラです」
「彩衣だ」
「サクラと彩衣はリョウガが死んだ所を見たのかい」
「リョウガという名前を初めて聞いたぞ。ルルとナナを見つけた時は他に誰もいなかったぞ」
この場所でルルとナナの前ご主人を地下迷宮で見たことを話すのは得策ではないだろう。今しがた初めて名前を知った位だし。
「はい、僕たちがふたりを見つけた時には誰もいませんでした」
「そうか、残念だったな」
「おーい、アルゴー、そろそろ俺たちの番だぞー」
パーティーメンバーに呼ばれたアルゴは「ジャッ」と片手を上げて走っていってしまった。
「おいサクラ」
「何かあった?
「ルルたちに聞こえないように小声で話すからそのまま聞け。魔物の血が入っていないかの検査大丈夫? 魔物の肉を食べたよな」
「うぉー」っと、慌てて口を抑える。周囲の人たちは不思議そうにこちらに視線を向けた。
沙羅の城で随分と魔物の肉を食べたぞ。いや、むしろ魔物の肉しか食べ物がなかった。あの時はちゃんと焼けば大丈夫だと思っていたが……どんな反応になるかかなり怖いな。
「ちょっと、彩衣、危なそうだから一旦迷宮の奥に戻ろうか。食料も随分残ってるし検査が撤去されるまで待つのはどうかな」
サムズアップする彩衣、ルルとナナに「まだ戻っていない冒険者もいるみたいだから私たちで声をかけに行こうと思うんだ」
「わかりました (ニャ)」
「心配してくれてありがとうよ。バチアニア兵が探しに出ているから安心してくれ、それよりも冒険者は地上に出て勇者を讃えてやってくれ」
兵士に見つかってしまった。広間から抜ける出入り口に兵士が配置され、戻ってくるものを労っている。僕たちから見ると温かく迎えていると言うより邪魔しているようにしか見えなかった。
「ほら、お前たち随分と待ってるだろあっちの列に並んで良いぞ」
「いや、大丈夫ですよ……僕たちは後で……」
「気にするな、主人を亡くした奴隷を拾ってここまで連れ帰ったんだからな、ほらほら」
ここの兵士はなんていい人たちなんだ……普通ならば。こんな時に優しくしてくれなくていいのにー。
逃げることも出来ず兵士に促されるまま検査場に連れて行かれた。地上へと伸びる階段の前に5箇所作られ列が出来ている。そのうちの1箇所は遠慮して並ばない人や困っていそうな人に声をかけて連れてくる場所だそうだ。
「じゃあ、地上に戻ったら俺たちの分まで勇者たちを讃えてやってくれよな」
魔物の血に汚染しているかは『プロメティの箱』で判断される。テーブルに置かれている箱に手を乗せるだけ。
あんだけ心配していたのは何のその……結局は全員白、問題なく通された。
「通っていいぞ、地上に戻ったら勇者たちを讃えてやってくれよな」
一体何なんだ……『勇者を讃えてやってくれ』ってそこいら中から言われると逆に怪しく感じるぞ。
「久しぶりに太陽の光を浴びた気がするなぁ」
大きく両手を挙げて伸びをすると太陽エネルギーが毛細血管の先々まで行き渡り体に活力を与えてくれる。
「本当に久しぶりだな、私はこっちの世界は地下にいた時間の方が長いぞ。まぁ向こうにいたときもほぼ引きこもりだったわけだがな」
「おー君たち、地下迷宮で集めた核を買い取るぞ」
階段を昇りきって直ぐの所、市街に向かうのを閉鎖するように兵士たちが並んでいた。誘導している兵士が「アンアントの核は1個1万ギラでーす」と声を張り上げている。周りの兵士たちからは「おお景気いいじゃん。こんなモンスターの核に1万も出してくれるんだったらもっとがんばればよかったよ」なんて声も聞こえてくる。
バッグから取り出した袋を兵士に渡すと、袋から核を取り出してはかりらしき物に乗せた。
「この重さだから63個だね、報酬は63万ギラだ。どういう風に振り分けるんだい?」
「じゃあ、ルルに31万ギラ、ナナ《こっちの子》に31万ギラでお願いします。残ったギラは食事に使うから硬貨でもらっていいですか」
「「ちょっとご主人様 (さまニャ)」」
「いいんだよ、アンアンとを倒したのはルルとナナだ。ふたりが貰うべきだよ。あっ、これは命令ね」
命令と言えばルルとナナが言い返せないのは分かっている。後は、この1万ギラでお別れ会をやってルルとナナを開放してあげよう。
「おー、君たち。63個ならギリギリ『勇者たちを称えるパーティー』に出席できるぞ。国費で賄われるからこのチケットを持って夜に必ず宮殿に顔を出すんだ」
勇者たちを称えるパーティー参加チケットと刷られた紙を渡された。また勇者を称えるか……一体何なんだこの国。
「何度も何度もうるさいぞ、勇者をたた (モゴモゴモゴ)」
「ハハハ、分かりました。それではありがとうございますー」
彩衣の口を必死で抑えて引きずるようにその場を後にした。全く彩衣は周りの状況も考えてくれよな。
「おい、顔に出てるぞ。悪かったな空気が読めなくて」
空気は読めなくても心は読めるようだ。
複雑に絡み合う蟻の巣のような迷宮。まだ下の方には数名の冒険者が残っている。考えてみれば迷宮攻略が終わったことを探索中に知る術はない。
「さーて、この広間を抜ければ出口だぁ」
天井の大穴、強い太陽が差し込み広間はとても明るい。奥には地上に出られる階段がありその周辺には人だかりが出来ていた。楽しそうな笑顔、ワイワイガヤガヤと大きな雑音を響かせていた。
「無事に迷宮の魔物討伐は3人の勇者様によって成されました。今回は多くの魔物が出現したため、魔物の血が体に混入していないかだけ調べますので少々お待ち下さい」
何人もの兵士が広間にいる人々に説明して回っている。
「魔物の血? 体に入ると何かあるの?」
「魔物の血が体に入ると危ないニャー」
「正しくは血ではなく体液なのですが、魔物に噛まれたりして体に入ってしまうと体を蝕むウィルスに変化するんです。厄介なのが伝染するんですよ。だからキチンと治療する必要があります」
魔物の血が引き起こす感染症──なんだか怖いなぁ。
「おぅお前ら、体液ごときでビビってたら冒険者なんて務まらんぞ」
体格の良い男、斧を背負ったいかにもな冒険者が声をかけてきた。
「あなたは……?」
「ああ、俺はアルゴだ。まぁアンアントなんて弱い魔物の血が体に入ったところでどうってことないだろうから心配するな」
「は、はぁ……」
「おっ、お前らはリョウガの奴隷じゃねぇか。あいつはどうしたんだ」
ルルとナナの元主人の知り合いか? リョウガ・チェリピッキ、ルルとナナを魔物の餌にしようとした男。
「ああ、アルゴ様。ご主人様は地下迷宮で死んだそうです」
「悲しいけど仕方がないニャ、新しいご主人さまに拾ってもらったニャ」
「なんと、リョウガが……確かに隷属の首輪が外れているから間違いないのだろうが……彼ほどの者が蟻に遅れをとるなど考えられん」
言われて見ればそうだ。彼の実力がどれほどのものかは知らないが、強ければ強いほどこの地下迷宮で死ぬなんて不自然に思うだろう。
「お前ら……えっと……」
「サクラです」
「彩衣だ」
「サクラと彩衣はリョウガが死んだ所を見たのかい」
「リョウガという名前を初めて聞いたぞ。ルルとナナを見つけた時は他に誰もいなかったぞ」
この場所でルルとナナの前ご主人を地下迷宮で見たことを話すのは得策ではないだろう。今しがた初めて名前を知った位だし。
「はい、僕たちがふたりを見つけた時には誰もいませんでした」
「そうか、残念だったな」
「おーい、アルゴー、そろそろ俺たちの番だぞー」
パーティーメンバーに呼ばれたアルゴは「ジャッ」と片手を上げて走っていってしまった。
「おいサクラ」
「何かあった?
「ルルたちに聞こえないように小声で話すからそのまま聞け。魔物の血が入っていないかの検査大丈夫? 魔物の肉を食べたよな」
「うぉー」っと、慌てて口を抑える。周囲の人たちは不思議そうにこちらに視線を向けた。
沙羅の城で随分と魔物の肉を食べたぞ。いや、むしろ魔物の肉しか食べ物がなかった。あの時はちゃんと焼けば大丈夫だと思っていたが……どんな反応になるかかなり怖いな。
「ちょっと、彩衣、危なそうだから一旦迷宮の奥に戻ろうか。食料も随分残ってるし検査が撤去されるまで待つのはどうかな」
サムズアップする彩衣、ルルとナナに「まだ戻っていない冒険者もいるみたいだから私たちで声をかけに行こうと思うんだ」
「わかりました (ニャ)」
「心配してくれてありがとうよ。バチアニア兵が探しに出ているから安心してくれ、それよりも冒険者は地上に出て勇者を讃えてやってくれ」
兵士に見つかってしまった。広間から抜ける出入り口に兵士が配置され、戻ってくるものを労っている。僕たちから見ると温かく迎えていると言うより邪魔しているようにしか見えなかった。
「ほら、お前たち随分と待ってるだろあっちの列に並んで良いぞ」
「いや、大丈夫ですよ……僕たちは後で……」
「気にするな、主人を亡くした奴隷を拾ってここまで連れ帰ったんだからな、ほらほら」
ここの兵士はなんていい人たちなんだ……普通ならば。こんな時に優しくしてくれなくていいのにー。
逃げることも出来ず兵士に促されるまま検査場に連れて行かれた。地上へと伸びる階段の前に5箇所作られ列が出来ている。そのうちの1箇所は遠慮して並ばない人や困っていそうな人に声をかけて連れてくる場所だそうだ。
「じゃあ、地上に戻ったら俺たちの分まで勇者たちを讃えてやってくれよな」
魔物の血に汚染しているかは『プロメティの箱』で判断される。テーブルに置かれている箱に手を乗せるだけ。
あんだけ心配していたのは何のその……結局は全員白、問題なく通された。
「通っていいぞ、地上に戻ったら勇者たちを讃えてやってくれよな」
一体何なんだ……『勇者を讃えてやってくれ』ってそこいら中から言われると逆に怪しく感じるぞ。
「久しぶりに太陽の光を浴びた気がするなぁ」
大きく両手を挙げて伸びをすると太陽エネルギーが毛細血管の先々まで行き渡り体に活力を与えてくれる。
「本当に久しぶりだな、私はこっちの世界は地下にいた時間の方が長いぞ。まぁ向こうにいたときもほぼ引きこもりだったわけだがな」
「おー君たち、地下迷宮で集めた核を買い取るぞ」
階段を昇りきって直ぐの所、市街に向かうのを閉鎖するように兵士たちが並んでいた。誘導している兵士が「アンアントの核は1個1万ギラでーす」と声を張り上げている。周りの兵士たちからは「おお景気いいじゃん。こんなモンスターの核に1万も出してくれるんだったらもっとがんばればよかったよ」なんて声も聞こえてくる。
バッグから取り出した袋を兵士に渡すと、袋から核を取り出してはかりらしき物に乗せた。
「この重さだから63個だね、報酬は63万ギラだ。どういう風に振り分けるんだい?」
「じゃあ、ルルに31万ギラ、ナナ《こっちの子》に31万ギラでお願いします。残ったギラは食事に使うから硬貨でもらっていいですか」
「「ちょっとご主人様 (さまニャ)」」
「いいんだよ、アンアンとを倒したのはルルとナナだ。ふたりが貰うべきだよ。あっ、これは命令ね」
命令と言えばルルとナナが言い返せないのは分かっている。後は、この1万ギラでお別れ会をやってルルとナナを開放してあげよう。
「おー、君たち。63個ならギリギリ『勇者たちを称えるパーティー』に出席できるぞ。国費で賄われるからこのチケットを持って夜に必ず宮殿に顔を出すんだ」
勇者たちを称えるパーティー参加チケットと刷られた紙を渡された。また勇者を称えるか……一体何なんだこの国。
「何度も何度もうるさいぞ、勇者をたた (モゴモゴモゴ)」
「ハハハ、分かりました。それではありがとうございますー」
彩衣の口を必死で抑えて引きずるようにその場を後にした。全く彩衣は周りの状況も考えてくれよな。
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