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第6章 過去の友達
第73話 疑惑
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琢磨との話しを終え、彩衣たちと合流した。なんだかんだ言ってみんなと一緒にいるとのんびりできる。
「この国は凄いな、兵隊だけでなく国民までもが国のことを大好きだぞ」
「ユリア様ーって凄かったニャ」
「女王饅頭、女王うどん、女王人形に……話しによると女王は6歳で王座についたそうです。国民や兵士たちはそんな女王が子供のように可愛いみたいでした」
幼くして王になると周りからの妬みや僻みを一手に受けて命を狙われたりしそうなものであるが……。
「まぁ、運良く他人の悪意を知らずに育ってきた感じだな」
「そっかー、それなら聖女と言われる程の人が味方になってくれれば安心だね。あっ、そういえば琢磨くんが聖女結衣は結衣じゃないようなことを言っていたよ」
「聖女結衣は姉だぞ。双子の私が言うんだから間違いない」
「「双子はお互いが分か (ります/るニャ)」」
だとすれば結衣が口の軽い琢磨くんに知られないように嘘をついた? いや……「結衣に限って……」そんなことするとは思えない。
「人は変わるぞ。姉は繊細だったからな……いかに自分を環境に合わせるかを常に考えていただけあって順応性が高いぞ」
「ご主人様、聖女様の住むウッドバーレンに向かいますか?」
どうしよう。この場所から結衣の住むウッドバーレンに向かうにはストネシアを北に迂回するか西に迂回するか……、うーん…………決めた!
「西のエノニアスを抜けて行こう。ヨナネ神殿で僕の知り合いが神子になったみたいだから」
「そちらのルートですと、夜の国サクヤを抜けて獣人の国マーサンを越えていく感じですね」
「夜の国?」
「はい、昔は街に辿り着くまでにお墓がずらっと並んでいたんです。凶暴な魔獣が現れて多くの人が戦死したって聞きました……更に吸血鬼騒動が起きたり、色々とあったりで夜の国というイメージがついたとか……とは言っても今は普通の国みたいですけどね」
やっぱり異世界だなぁ。いろんな国があるもんだ。勇者としてこの世界を旅したらどんな世界に視えるのだろう……魔王とかもいたりして……。
「この国はいつか滅ぶような気がするぞ」
「え? 急にどうしたの?」
「考えてみろ、勇者は元異世界教徒だ。異世界教が手放す程度の人間なら実力もたかが知れている。バチアニアが本当の実力を隠すために勇者を擁立したのでなければユランダ・メシアにとってこの国はいつでも堕とせるわけだ」
「なるほど……そういう考えもあるな」
「そんなことは姉でも分かるだろう。なんでわざわざこんな同盟を結んだのかが分からん」
まぁ考えたって仕方がない次の目的地はヨハネ神殿……神子になったというラクナシアに会いたい……僕はウッドバーレンを出て直ぐにチキュウに飛ばされた。
無事でいてくれたのは嬉しいけど……どんな顔をしてラクナシアと会えばいいのだろうか。眠れぬ夜を過ごすのであった。
◆ ◆ ◆
バチアニアからエノニアスの首都ヨハマまでは徒歩だとかなりの日数を要する。馬車移動が当たり前だったが、数年の地下暮らしの間に《ひよりむ車》というのが開発されていた。
「ひよりむに荷台を繋いだだけに見えるんだけど」
「お客さーん素人だね、この荷車の部品開発がどれほど苦労していたか……硬さと柔らかさを兼ね備えたこの車輪、強度と長さを両立させた軛……うーん、美しい」
「ご主人さまー、何を言っているのか良くわからないニャ」
「ルル、こういう時は、せっかく説明してくれているのだから黙って聞くんだ。その方が相手も気持ちがいいだろ」
こらこらこら、余計なことを言わないの。あーあ、機嫌悪くなっちゃったじゃないか……。
「じゃあ、ヨハマまで『素晴らしいひよりむ馬車』を借りたいんだね。国境まで5万ギラね、そこにある店まで自動運転だから途中で降りちゃダメだよ」
普通に歩くより10倍速く到着するそうだ。ひよりむがあれば便利だが、現代技術ではひよりむは決まったルートしか走らせることが出来ないらしい。
「ご主人様、小回りをきかせたい人は馬車を用います。ひよりむよりだいぶスピードは落ちますが、自由に旅したい人はそっちを使ってます」
「馬車があっても馬引きがおらんだろ、私もサクラも無理だと思うぞ」
「確かにそうですね、私もルルも馬を牽いたことはありません」
「そうなんだ! 馬引きがいないと馬は牽けん! そこでひよりむって訳だ。これさえあれば荷車で寝てるだけで到着……レンタルなら餌なんかも気にしなくていいし、部品の劣化なんてのもお店でやってくれる。オススメだ」
よっぽどひよりむ車が好きなようだ。
「凄いですね! それじゃあ国境までお願いします」
「よしきた、ひよりむ車の良さを分かってくれたなら、今回に限って2割引にしてやろう」
2割引の4万ギラを渡してひよりむ車に乗り込もうとした時、店主がわざとらしく口を開いた。
「おーそうだ。一度乗ったら目的地まで降りられんからな。降りたら置いてかれちまうぞ! まぁ簡易トイレは設置しているが食料は自分たちで用意しておけよな。まー数日程度飲まず食わずでも寝てればついちまうけどな」
まぁ、良くあることだ。デメリットを伝えずにメリットだけを言っておく。流石に言わないもの後々問題になるであろうから契約してから伝えるという……。
しかし、ひよりむ車の旅は快適だった。しっかりとした幌が付いているので雨風は凌げるし……簡易トイレといっても区切られているだけの場所、マジックアイテムを使えば吸着させてその辺に投げておけば肥料として活用される。もちろん消臭効果が抜群なので匂う事もない……。
「このひよりむ車って凄いや、揺れも少ないし音もあんまりしないし」
「研究都市スカイブて開発された部品のおかげだそうです。強度に静穏性、適度な弾力をもった素晴らしい素材だって前のご主人様が言っていました」
「それでも前のご主人様は馬車が好きだって言ってたニャ、不便な感じが良いそうニャ」
リョウガ……ルルとナナを魔物の餌にしようとした男かぁ。失敗したわけだが今頃何をしているのだろう。狙われなければいいけど……。
「国境まであとどれくらいかなー」
脳内マップで確認してみると何人かの点が集まっている村が点在している。
ん? なんだあれ。もう少し進んだ場所に見える黄色い点、これだけなら普通の人マークだが紫の枠で囲われている。それどころかその点がある方向は草原が広がっているだけで村どころか人影すらない。
「サクラ、行くなら私も行くぞ」
えっ? なんで分かったんだ。まだ何も言っていないのに……。
不思議そうな顔をしているルルとナナ、ハテナが飛び交っている。
得意げな顔をする彩衣、「私の未来視がサクラが飛び降りる姿を視せたんだ」と指さした。
まさしく僕が飛び降りようと思った場所。話しについていけないルルのナナは「「分からないけどついて (行くニャ/行きます)」」と声を上げた。
「それじゃあ行ってみよう」
僕たちはひよりむ車から飛び降りた。もの凄いスピードで走る荷車から躊躇なく飛び降りる……そして着地。無意味にとった決めポーズ。
随分身体能力が上がった気がしてなんだか嬉しい。
「ご主人様どうしたニャ」
「自分に酔ってるんだな」
「コ、コホン。何もない場所に人がいるんだ、なんか気になってさー行ってみようと思って、さぁ行こう!」
ごまかすようにどんどん歩き始めた。
「えっと……この辺なんだけど」
何もない空間、緑が香る草原、優しい風を運ぶ空間、青く広がる空……何も変わらない。
確かにここに人がいる。しかし人普通にぶつかることなく人の印を通り過ぎてしまう。
「なんだお前ら、この場所が分かってった言うのか!」
大人の女性だろうか。そんな声が何もないところから聞こえてきた。
「この国は凄いな、兵隊だけでなく国民までもが国のことを大好きだぞ」
「ユリア様ーって凄かったニャ」
「女王饅頭、女王うどん、女王人形に……話しによると女王は6歳で王座についたそうです。国民や兵士たちはそんな女王が子供のように可愛いみたいでした」
幼くして王になると周りからの妬みや僻みを一手に受けて命を狙われたりしそうなものであるが……。
「まぁ、運良く他人の悪意を知らずに育ってきた感じだな」
「そっかー、それなら聖女と言われる程の人が味方になってくれれば安心だね。あっ、そういえば琢磨くんが聖女結衣は結衣じゃないようなことを言っていたよ」
「聖女結衣は姉だぞ。双子の私が言うんだから間違いない」
「「双子はお互いが分か (ります/るニャ)」」
だとすれば結衣が口の軽い琢磨くんに知られないように嘘をついた? いや……「結衣に限って……」そんなことするとは思えない。
「人は変わるぞ。姉は繊細だったからな……いかに自分を環境に合わせるかを常に考えていただけあって順応性が高いぞ」
「ご主人様、聖女様の住むウッドバーレンに向かいますか?」
どうしよう。この場所から結衣の住むウッドバーレンに向かうにはストネシアを北に迂回するか西に迂回するか……、うーん…………決めた!
「西のエノニアスを抜けて行こう。ヨナネ神殿で僕の知り合いが神子になったみたいだから」
「そちらのルートですと、夜の国サクヤを抜けて獣人の国マーサンを越えていく感じですね」
「夜の国?」
「はい、昔は街に辿り着くまでにお墓がずらっと並んでいたんです。凶暴な魔獣が現れて多くの人が戦死したって聞きました……更に吸血鬼騒動が起きたり、色々とあったりで夜の国というイメージがついたとか……とは言っても今は普通の国みたいですけどね」
やっぱり異世界だなぁ。いろんな国があるもんだ。勇者としてこの世界を旅したらどんな世界に視えるのだろう……魔王とかもいたりして……。
「この国はいつか滅ぶような気がするぞ」
「え? 急にどうしたの?」
「考えてみろ、勇者は元異世界教徒だ。異世界教が手放す程度の人間なら実力もたかが知れている。バチアニアが本当の実力を隠すために勇者を擁立したのでなければユランダ・メシアにとってこの国はいつでも堕とせるわけだ」
「なるほど……そういう考えもあるな」
「そんなことは姉でも分かるだろう。なんでわざわざこんな同盟を結んだのかが分からん」
まぁ考えたって仕方がない次の目的地はヨハネ神殿……神子になったというラクナシアに会いたい……僕はウッドバーレンを出て直ぐにチキュウに飛ばされた。
無事でいてくれたのは嬉しいけど……どんな顔をしてラクナシアと会えばいいのだろうか。眠れぬ夜を過ごすのであった。
◆ ◆ ◆
バチアニアからエノニアスの首都ヨハマまでは徒歩だとかなりの日数を要する。馬車移動が当たり前だったが、数年の地下暮らしの間に《ひよりむ車》というのが開発されていた。
「ひよりむに荷台を繋いだだけに見えるんだけど」
「お客さーん素人だね、この荷車の部品開発がどれほど苦労していたか……硬さと柔らかさを兼ね備えたこの車輪、強度と長さを両立させた軛……うーん、美しい」
「ご主人さまー、何を言っているのか良くわからないニャ」
「ルル、こういう時は、せっかく説明してくれているのだから黙って聞くんだ。その方が相手も気持ちがいいだろ」
こらこらこら、余計なことを言わないの。あーあ、機嫌悪くなっちゃったじゃないか……。
「じゃあ、ヨハマまで『素晴らしいひよりむ馬車』を借りたいんだね。国境まで5万ギラね、そこにある店まで自動運転だから途中で降りちゃダメだよ」
普通に歩くより10倍速く到着するそうだ。ひよりむがあれば便利だが、現代技術ではひよりむは決まったルートしか走らせることが出来ないらしい。
「ご主人様、小回りをきかせたい人は馬車を用います。ひよりむよりだいぶスピードは落ちますが、自由に旅したい人はそっちを使ってます」
「馬車があっても馬引きがおらんだろ、私もサクラも無理だと思うぞ」
「確かにそうですね、私もルルも馬を牽いたことはありません」
「そうなんだ! 馬引きがいないと馬は牽けん! そこでひよりむって訳だ。これさえあれば荷車で寝てるだけで到着……レンタルなら餌なんかも気にしなくていいし、部品の劣化なんてのもお店でやってくれる。オススメだ」
よっぽどひよりむ車が好きなようだ。
「凄いですね! それじゃあ国境までお願いします」
「よしきた、ひよりむ車の良さを分かってくれたなら、今回に限って2割引にしてやろう」
2割引の4万ギラを渡してひよりむ車に乗り込もうとした時、店主がわざとらしく口を開いた。
「おーそうだ。一度乗ったら目的地まで降りられんからな。降りたら置いてかれちまうぞ! まぁ簡易トイレは設置しているが食料は自分たちで用意しておけよな。まー数日程度飲まず食わずでも寝てればついちまうけどな」
まぁ、良くあることだ。デメリットを伝えずにメリットだけを言っておく。流石に言わないもの後々問題になるであろうから契約してから伝えるという……。
しかし、ひよりむ車の旅は快適だった。しっかりとした幌が付いているので雨風は凌げるし……簡易トイレといっても区切られているだけの場所、マジックアイテムを使えば吸着させてその辺に投げておけば肥料として活用される。もちろん消臭効果が抜群なので匂う事もない……。
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「研究都市スカイブて開発された部品のおかげだそうです。強度に静穏性、適度な弾力をもった素晴らしい素材だって前のご主人様が言っていました」
「それでも前のご主人様は馬車が好きだって言ってたニャ、不便な感じが良いそうニャ」
リョウガ……ルルとナナを魔物の餌にしようとした男かぁ。失敗したわけだが今頃何をしているのだろう。狙われなければいいけど……。
「国境まであとどれくらいかなー」
脳内マップで確認してみると何人かの点が集まっている村が点在している。
ん? なんだあれ。もう少し進んだ場所に見える黄色い点、これだけなら普通の人マークだが紫の枠で囲われている。それどころかその点がある方向は草原が広がっているだけで村どころか人影すらない。
「サクラ、行くなら私も行くぞ」
えっ? なんで分かったんだ。まだ何も言っていないのに……。
不思議そうな顔をしているルルとナナ、ハテナが飛び交っている。
得意げな顔をする彩衣、「私の未来視がサクラが飛び降りる姿を視せたんだ」と指さした。
まさしく僕が飛び降りようと思った場所。話しについていけないルルのナナは「「分からないけどついて (行くニャ/行きます)」」と声を上げた。
「それじゃあ行ってみよう」
僕たちはひよりむ車から飛び降りた。もの凄いスピードで走る荷車から躊躇なく飛び降りる……そして着地。無意味にとった決めポーズ。
随分身体能力が上がった気がしてなんだか嬉しい。
「ご主人様どうしたニャ」
「自分に酔ってるんだな」
「コ、コホン。何もない場所に人がいるんだ、なんか気になってさー行ってみようと思って、さぁ行こう!」
ごまかすようにどんどん歩き始めた。
「えっと……この辺なんだけど」
何もない空間、緑が香る草原、優しい風を運ぶ空間、青く広がる空……何も変わらない。
確かにここに人がいる。しかし人普通にぶつかることなく人の印を通り過ぎてしまう。
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