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第57話 会議は踊る at 1995/5/11
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「えー! 鎌倉っていったら、やっぱ銭洗弁財天は外せないでしょ!?」
「もう行き飽きちゃった、って意見がだな――」
「か、鎌倉十井というのがあるみたいで、そこ、ど、どうかなって……」
「ほ、ほら、建前上、社会科の授業の延長ってことだからさ。な、なんで泣くの――!?」
「座禅とか写経とかの体験ってどうかな? お茶とか香道なんていうのも素敵だと思わない?」
「あー、うん。いいと思うよ! で、でも、それはデートとかでゴニョゴニョ――」
「古戦場を巡る旅というのはどうでしょう? そこにはいまだ彷徨えるもののふの亡霊たちが」
「怖いよ!? それに、まだ夏の定番、心霊スポット巡礼には早いから――!」
なんとかみんなの空いてる日を探してはみたものの、校外活動のコースを決める話し合いは結局木曜日の放課後になってしまった。新体操部のロコとテニス部のスミちゃんには悪いが部活に出る少し時間を遅らせてもらい、佐倉君と五十嵐君の用事というのも無理を言ってズラしてもらっている。場所は『電算論理研究部』の部室である職員用の当直室。なのだが――。
「「「「じゃあどうするんです(のよ)!」」」」
お、綺麗に揃った。
とか感心してる状況じゃないな、これ。
ちなみにさっきの意見は、ロコ、佐倉君、スミちゃん、五十嵐君の順だ。それぞれ自分たちなりに考えては来てくれたのだけれど、ひとつとして意見が合致しない。趣味も入ってるし。
かつてスケジュール管理や人員割り当てを行うマネージャー業務も兼ねたチーフプログラマーを務めた経験があるのだけれど、遠足の見学コースを決めるとなるとずいぶん勝手が違う。行くべきスポットを決めてから、単純に最適なコースを算出するだけだったら得意なんだけど。
「お、落ち着けって……」
とりあえず、意見のダメ出しをされてご立腹中の四人をなだめながら僕は続けて言った。
「ただ行って、楽しんで帰ってくるだけならいいんだけどさ。さっきも言ったとおり、今回の校外授業は社会科の授業の延長ってことなんだよ。帰ってきたら、みんなで模造紙にレポートを書いて提出しないといけない。だから、楽しかったです! じゃダメなんだってば。ね?」
僕がことさら優しい口調でそう言い聞かせると、それぞれ思うところがあったようで、しばらく黙り込んでしまった。やがて五十嵐君が無表情のまま、びしっ! と手を挙げて発言する。
「では、先にレポートのテーマから決める、というのはどうでしょう?」
「それ、採用。そうすれば、おのずと行かないといけない場所が絞られてくるもんね」
すると、今度はスミちゃんが、ひらひら、と手を振ってみせた。かわいい。
「ということは、鎌倉幕府を建てた源氏についてか、のちの主となった北条氏についてか、室町時代の足利氏についてか、戦国時代の小田原北条氏についてか、レポートの中心となる人物を先に決めておこう、ってことでいいのよね?」
「さすがスミちゃん、そういうこと。冴えてるじゃん」
えへへーそんなー、とか呟きつつテレテレしている純美子を呆れたように一瞥してから、ロコは苦々しい表情を浮かべてみせると佐倉君にこそっと囁いた。
「……何言ってるのか、全っ然意味不明なんだけど?」
「ぼ、僕も……。い、いや、少しくらいはわかるんですけど」
佐倉君の控えめな発言に、ガーン! と衝撃を受けたロコは、あわあわと目に見えて狼狽しはじめた。そっかロコの奴、勉強はあんまりできない方だったんだっけ。すぐ中間テストだぞ。
「ケ、ケンタはどうなのよ? アンタ、仕切ってばっかで意見言ってないじゃんか? ズルい」
「一応、モデルコースは作ってきたってば。みんな、見てくれるかな?」
ロコが僕のことを『ケンタ』と呼んだ途端、お花畑モードから急遽現実復帰してきた純美子が、ちらっ、と視線を向けたが、すぐに僕がちゃぶ台の上に広げたモデルコースに注目する。
「……なるほど。理にかなってますね」
「これ……いいかも。うん、これだね」
ロコだけはまだ半信半疑の様子だったけど、無事賛同を得られたのでこれで提出するぞー!
「もう行き飽きちゃった、って意見がだな――」
「か、鎌倉十井というのがあるみたいで、そこ、ど、どうかなって……」
「ほ、ほら、建前上、社会科の授業の延長ってことだからさ。な、なんで泣くの――!?」
「座禅とか写経とかの体験ってどうかな? お茶とか香道なんていうのも素敵だと思わない?」
「あー、うん。いいと思うよ! で、でも、それはデートとかでゴニョゴニョ――」
「古戦場を巡る旅というのはどうでしょう? そこにはいまだ彷徨えるもののふの亡霊たちが」
「怖いよ!? それに、まだ夏の定番、心霊スポット巡礼には早いから――!」
なんとかみんなの空いてる日を探してはみたものの、校外活動のコースを決める話し合いは結局木曜日の放課後になってしまった。新体操部のロコとテニス部のスミちゃんには悪いが部活に出る少し時間を遅らせてもらい、佐倉君と五十嵐君の用事というのも無理を言ってズラしてもらっている。場所は『電算論理研究部』の部室である職員用の当直室。なのだが――。
「「「「じゃあどうするんです(のよ)!」」」」
お、綺麗に揃った。
とか感心してる状況じゃないな、これ。
ちなみにさっきの意見は、ロコ、佐倉君、スミちゃん、五十嵐君の順だ。それぞれ自分たちなりに考えては来てくれたのだけれど、ひとつとして意見が合致しない。趣味も入ってるし。
かつてスケジュール管理や人員割り当てを行うマネージャー業務も兼ねたチーフプログラマーを務めた経験があるのだけれど、遠足の見学コースを決めるとなるとずいぶん勝手が違う。行くべきスポットを決めてから、単純に最適なコースを算出するだけだったら得意なんだけど。
「お、落ち着けって……」
とりあえず、意見のダメ出しをされてご立腹中の四人をなだめながら僕は続けて言った。
「ただ行って、楽しんで帰ってくるだけならいいんだけどさ。さっきも言ったとおり、今回の校外授業は社会科の授業の延長ってことなんだよ。帰ってきたら、みんなで模造紙にレポートを書いて提出しないといけない。だから、楽しかったです! じゃダメなんだってば。ね?」
僕がことさら優しい口調でそう言い聞かせると、それぞれ思うところがあったようで、しばらく黙り込んでしまった。やがて五十嵐君が無表情のまま、びしっ! と手を挙げて発言する。
「では、先にレポートのテーマから決める、というのはどうでしょう?」
「それ、採用。そうすれば、おのずと行かないといけない場所が絞られてくるもんね」
すると、今度はスミちゃんが、ひらひら、と手を振ってみせた。かわいい。
「ということは、鎌倉幕府を建てた源氏についてか、のちの主となった北条氏についてか、室町時代の足利氏についてか、戦国時代の小田原北条氏についてか、レポートの中心となる人物を先に決めておこう、ってことでいいのよね?」
「さすがスミちゃん、そういうこと。冴えてるじゃん」
えへへーそんなー、とか呟きつつテレテレしている純美子を呆れたように一瞥してから、ロコは苦々しい表情を浮かべてみせると佐倉君にこそっと囁いた。
「……何言ってるのか、全っ然意味不明なんだけど?」
「ぼ、僕も……。い、いや、少しくらいはわかるんですけど」
佐倉君の控えめな発言に、ガーン! と衝撃を受けたロコは、あわあわと目に見えて狼狽しはじめた。そっかロコの奴、勉強はあんまりできない方だったんだっけ。すぐ中間テストだぞ。
「ケ、ケンタはどうなのよ? アンタ、仕切ってばっかで意見言ってないじゃんか? ズルい」
「一応、モデルコースは作ってきたってば。みんな、見てくれるかな?」
ロコが僕のことを『ケンタ』と呼んだ途端、お花畑モードから急遽現実復帰してきた純美子が、ちらっ、と視線を向けたが、すぐに僕がちゃぶ台の上に広げたモデルコースに注目する。
「……なるほど。理にかなってますね」
「これ……いいかも。うん、これだね」
ロコだけはまだ半信半疑の様子だったけど、無事賛同を得られたのでこれで提出するぞー!
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