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第82話 その10「新入部員を確保しよう!」 at 1995/6/9
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新入部員の件だけど、五十嵐君、佐倉君、ふたりとも、少し考える時間が欲しいということで、返事は金曜まで待ってくれないかと言われてしまった。
そして、今日がその金曜日だ。
「ど、どう? 返事、来た?」
「いいや。まだどっちからもナシだ」
ひっきりなしに渋田は僕の席に来てはそう尋ねるのだけれど、佐倉君、五十嵐君の席も同じく前の方にあるのだから、いっそ聴いて来て伝えてくれたらいいのに、と思う僕である。
「気が合うし、もっと仲良くなれそうだからぜひ入って欲しい、だけじゃ無理かなぁ……」
「友達グループじゃないんだから。ちっとも興味がもてません、なら無理だろ?」
「だよねえ……。っと、そういえば――」
渋田は急にクソが付くほど真面目な表情に変えると声をひそめて尋ねてくる。
「例のアレ、進捗はどう?」
「ん? ……ああ、アレのことか」
僕も調子を合わせて声をひそめ、まわりを用心深くうかがうように応じた。
「この間の連休を使って『98』で動くようにソースをいじったよ。部室で使うことを考えたら、あとあと不便だからね。あと、無駄なソースもいくつか排除しておいた。残り一割かな?」
「……ふっふっふ。もうすぐ、ですな」
「ふっふっふ。もう間もなく、ですぞ」
二人で芝居がかった黒い企みを含んだ笑いを漏らしていると、隣から冷ややかな視線が届く。
「うぁ、怪しい……。な、何を企んでいるのかなー?」
「いえいえ、なんでも」
「そうそう、ないのです」
またしても、くっくっく、とマッドな笑いをする僕たち。それを見て呆れる純美子。こんな調子だからコンピューター好きはキモオタしかいない、って偏見を持たれちゃうんだろうな。
「難しいことはわかんないからいいや。そ・れ・よ・り、来週だよ、視聴覚授業」
げ。
そんなのもあったんだっけ。毎月毎月忙しいなあ。
あれ?
でも……なんとなく、物凄く重要なイベントだったような気がする……気のせい?
「あー。あれでしょ? どこかの劇団が来て、ミュージカルを観るって奴」
「そうだけど。ちょっとだけ違うんだよねー、今回は。来るんじゃなくって行くの」
「げぇー! ひょっとして、それって市民ホール?」
「正解! ……ん? あそこの何が嫌なの、渋田君?」
「市民ホールで知り合いのおばさんが働いてるんだよねぇ……。見つかるとうるさくって……」
「ふふふ。も・し・か・し・て、サトチンと仲良くしてるの見つかると、親にバレるとか?」
「ち、違うよ! バ、バレたってなんともないし!」
「仲が良いのは、もはや否定しないんだな……」
……どうも引っかかる。
このイベントで、僕の未来、将来に関わってくる『大きな変化』があったような気がしてならない。それが一体何なのか、なぜ僕は思い出せないのだろうか。
しばらく考えるうちに、言葉にも形にもならないまだ曖昧なレベルでしかないけれど、何かの手がかりらしきものに触れた気がして、必死にそれをたぐり寄せようとして――。
「お邪魔ですか? 古ノ森リーダー?」
「………………え? あ、ああ、五十嵐君、それに佐倉君も。大丈夫、平気だよ」
一気にそれは遠のいてしまった。
軽く頭を振るようにして、僕は目の前の二人に集中する。
「二人で相談したのです。その結果をお伝えしようと思いまして……お待たせしてすみません」
「いいよ、いいよ。で、どうかな?」
ああ、ダメだったか――僕は失望の念を表情に出さないようにして五十嵐君の言葉を待った。
「僕も佐倉君も『電算論理研究部』に入部したいと思います。ただし、条件があるのです――」
そして、今日がその金曜日だ。
「ど、どう? 返事、来た?」
「いいや。まだどっちからもナシだ」
ひっきりなしに渋田は僕の席に来てはそう尋ねるのだけれど、佐倉君、五十嵐君の席も同じく前の方にあるのだから、いっそ聴いて来て伝えてくれたらいいのに、と思う僕である。
「気が合うし、もっと仲良くなれそうだからぜひ入って欲しい、だけじゃ無理かなぁ……」
「友達グループじゃないんだから。ちっとも興味がもてません、なら無理だろ?」
「だよねえ……。っと、そういえば――」
渋田は急にクソが付くほど真面目な表情に変えると声をひそめて尋ねてくる。
「例のアレ、進捗はどう?」
「ん? ……ああ、アレのことか」
僕も調子を合わせて声をひそめ、まわりを用心深くうかがうように応じた。
「この間の連休を使って『98』で動くようにソースをいじったよ。部室で使うことを考えたら、あとあと不便だからね。あと、無駄なソースもいくつか排除しておいた。残り一割かな?」
「……ふっふっふ。もうすぐ、ですな」
「ふっふっふ。もう間もなく、ですぞ」
二人で芝居がかった黒い企みを含んだ笑いを漏らしていると、隣から冷ややかな視線が届く。
「うぁ、怪しい……。な、何を企んでいるのかなー?」
「いえいえ、なんでも」
「そうそう、ないのです」
またしても、くっくっく、とマッドな笑いをする僕たち。それを見て呆れる純美子。こんな調子だからコンピューター好きはキモオタしかいない、って偏見を持たれちゃうんだろうな。
「難しいことはわかんないからいいや。そ・れ・よ・り、来週だよ、視聴覚授業」
げ。
そんなのもあったんだっけ。毎月毎月忙しいなあ。
あれ?
でも……なんとなく、物凄く重要なイベントだったような気がする……気のせい?
「あー。あれでしょ? どこかの劇団が来て、ミュージカルを観るって奴」
「そうだけど。ちょっとだけ違うんだよねー、今回は。来るんじゃなくって行くの」
「げぇー! ひょっとして、それって市民ホール?」
「正解! ……ん? あそこの何が嫌なの、渋田君?」
「市民ホールで知り合いのおばさんが働いてるんだよねぇ……。見つかるとうるさくって……」
「ふふふ。も・し・か・し・て、サトチンと仲良くしてるの見つかると、親にバレるとか?」
「ち、違うよ! バ、バレたってなんともないし!」
「仲が良いのは、もはや否定しないんだな……」
……どうも引っかかる。
このイベントで、僕の未来、将来に関わってくる『大きな変化』があったような気がしてならない。それが一体何なのか、なぜ僕は思い出せないのだろうか。
しばらく考えるうちに、言葉にも形にもならないまだ曖昧なレベルでしかないけれど、何かの手がかりらしきものに触れた気がして、必死にそれをたぐり寄せようとして――。
「お邪魔ですか? 古ノ森リーダー?」
「………………え? あ、ああ、五十嵐君、それに佐倉君も。大丈夫、平気だよ」
一気にそれは遠のいてしまった。
軽く頭を振るようにして、僕は目の前の二人に集中する。
「二人で相談したのです。その結果をお伝えしようと思いまして……お待たせしてすみません」
「いいよ、いいよ。で、どうかな?」
ああ、ダメだったか――僕は失望の念を表情に出さないようにして五十嵐君の言葉を待った。
「僕も佐倉君も『電算論理研究部』に入部したいと思います。ただし、条件があるのです――」
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