ラブ×リープ×ループ!

虚仮橋陣屋(こけばしじんや)

文字の大きさ
81 / 539

第81話 新米部長の密かな悪だくみ at 1995/6/6

しおりを挟む
「ぜんっぜんハナシが見えてないんだけど、結局その『電算論理研究部』は何する部なの?」

「今説明してたじゃん……。だーかーらーさー!」


 なんとなくの流れで、お弁当会に参加したメンバー相手に『電算論理研究部』のプレゼンをすることになってしまった僕。ひと段落ついたタイミングで、頭の上にクエスチョンマークを無数に浮かべながらしかめ顔で質問してきたロコを見て、僕は長々と溜息をついた。


「もう一度言うよ? 僕らの『電算論理研究部』っていうのは、来るべき未来を見据えて活動する部なんだ。ひとつ、やがて訪れる高度情報化社会に備えて極めて重要な役どころを担うコンピューターの利用法、活用方法を学び、その有効性を検証すること。そしてもうひとつ、そのコンピューターを介して世界と双方向の情報のやりとりを実現するデジタル情報通信技術、インターネットの技術を学び、その活用方法を研究すること。そして最後に、コンピューターを使ったプログラミング技術を習得し、現実生活に役立つものを開発すること。この三つだ」

「へー。そうだったんだー。なるほどねー」

「そーそー。……って、そこでお前が感心してどうする、シブチン!?」

「だ、だって、そんな小難しいハナシしたことなかったじゃん!」


 まあ、そうなんだけどさ……。
 大本を辿れば、学校内でも自由に使える活動拠点が欲しかった、ってだけだったんだけどね。


「ふむ――」


 一番最初に口を開いたのは意外なことに五十嵐君だった。


「非常に興味深い研究内容と活動内容かと思いました。ただしかし……その古ノ森リーダーのおっしゃる『高度情報化社会』というのは、どの程度実現性の高いものなのでしょうか?」

「その疑問が出てくるのは想定内さ」


 しかし、僕自身が未来で体験してきたから、ではさすがに納得してくれないだろう。


「物知りの五十嵐君なら、アルビン・トフラーと言えばどんな人物か知っているよね?」

「ええ。彼の代表的な著書は『第三の波』……。つまり古ノ森リーダーは、トフラーが書いた情報革命による脱産業社会が、やがて現実のものとなる、そうおっしゃりたいのですか?」

「そういうこと。しかも、そのやがて・・・は、それほど遠くない未来だと思ってる」


 その『未来』を知っているだけに僕の稚拙な言葉で説明するのは野暮な気もするけれど、確かにそれは、この頃の僕らが夢にも見ていなかった未来だったに違いない。僕は続けた。


「今は一部の金持ちしか持ってないけれど、近いうちに携帯電話は僕らみんなが日常的に使う当たり前のアイテムになっていくはずだ。コンピューターもそうだよ。今でこそ自分でプログラミングしなければ使い物にならないシロモノだけれど、この秋にインターネット対応のマイクロソフト社製のオペレーションシステム、Windows95の日本語版が発売される予定だ。それが普及すればプログラミングを知らない人でもコンピューターが操作できるようになっていく」


 しん……と静まり返った場を前に、僕はひと呼吸おいてからくすりと笑いをこぼしつつ言う。


「もちろん、じゃあ僕ら『電算論理研究部』がそれを全部解き明かせるか、全ての道筋を予想できるかっていったら、当然できやしないよ? だって僕たちは、ただの中学生なんだから」

「でも……何だか新しいですね……! 最先端って感じがします!」

「なんか良くわかんないけど、凄いなーって感じがするよ、ケンタ君!」

「そ。そこが狙いなんだ」

「え……どういうこと?」


 目をキラキラさせたかと思ったら、僕のセリフで佐倉君と純美子の顔は、ぽかん、と呆けた。


「逆に言えば、僕らがどんな活動をしようが、未来を見据えた最新で未知の研究なんだもの、誰にも評価できっこないでしょ? つまり、実際にはコンピューターでゲームを作って遊んでようとも、誰にもバレっこないってわけ。まあ、ちゃんとやることはやるつもりだけどね」


 そして、全員の顔から豆鉄砲を喰らったかのように表情がすぽんと抜け落ちた。





 そこから最初に立ち直ったのはロコだった。


「あは……あはははは! ケンタのくせに、ずるいこと考えたわねー! あはははは!」

「ふふふ。やはり面白いですね、古ノ森リーダーは。実に……興味深い」

「ま、すぐじゃなくっていいからさ、五十嵐君、佐倉君、ちょっと考えてみてくれない?」


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら

瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。  タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。  しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。  剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2026.2.22)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...