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第80話 改めまして、僕が部長の古ノ森です(キラッ☆) at 1995/6/6
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「――というわけで。本日のゲスト、五十嵐君と佐倉君でーす」
ぱちぱちぱちぱち。
何が『というわけ』なのかまるで意味不明だけれど、お昼のいつものお弁当タイムの席に二つの机が追加され、そこにもじもじと真っ赤になって縮こまっている佐倉君と、あいかわらず何を考えているのか読み取れないアルカイックスマイルを湛えた五十嵐君が座っていた。
結局、昨日の月曜日は二人と話をするチャンスが見つからず、改めて今日になって声をかけてみたところ、奇跡的に二人とも二つ返事でオーケーしてくれてこの状況が実現したのだった。
「ほう、渋田君と野方さんは勉強会以来ですね」
「うんうん! だねー!」
「ぼ、僕、ここにいて大丈夫です? う、浮いてません?」
「もうっ、そんな言い方してると、上ノ原さんが来るわよー!」
「………………ちょっと。あたし、ナマハゲかなんかなの? ひどくない?」
早速そんなやりとりをしていると、最後に純美子が放ったセリフを耳ざとく聞きつけたロコが、横合いからひょっこり顔を出したので、僕たちは悲鳴が出そうなくらい驚いてしまった。
「あは、あはははは……。そ、そういう意味じゃなくって……」
「わかってるってば、スミ。大方、かえでちゃんがまた自虐的なこと言ってたんでしょ?」
ずばり言い当てられてしまった佐倉君は、ますます身を小さく縮めると居心地悪そうにもじもじとしていた。一方のロコはというと、一旦顔を出してしまった手前いまさら引っ込むのも決まりが悪いのか、手に下げたお弁当をそのままに、手近な机を抱えて佐倉君の隣に座った。
「ロコー? お弁当食べようよぉー! まだー!?」
「モモ、ごめーん! 今日はこっちで食べるからー!」
「……お、おい。大丈夫なのか、ロコ?」
「はぁ? 何がよ? あたしがどこで何食べようが、あたしの勝手じゃん」
「そ、そうだけど……さ……」
校外活動前日の特別勉強会でのロコと桃月の緊張感漂うやりとりは、まだ僕の記憶に新しい。あの時、一旦は和解したような形にこそなったけれど、今ちらりと盗み見た桃月の苦々しげな表情を見るかぎり、あまり楽観視はしていられなさそうに思えてしまう。
「ねえっ! 良いの? 悪いの? どっち!?」
「い、良いに決まってるじゃん! ね? みんな?」
もちろん、異を唱える者はいない。
むしろ、わざわざ尋ねたこと自体が不躾に感じたほどだ。
「でもさ……? 余計なお節介かもしれないけれど、いいの? 上ノ原さんも前に言ってたじゃない、誰が悪く言ってるのか見当なら付いてるって――」
「――ごめん、それ以上は言わないで。お願い」
心配そうな咲都子のセリフを素早く遮ると、ロコはそう言って笑ってみせた。あのいつもの、見るたび僕に少年時代を思い出させる、困ったような笑い顔だった。
それから急に、その表情に悪戯っぽさとちょっぴりの邪悪さを加えると佐倉君に詰め寄った。
「さー、食べよ食べよ! 実はーあたしー、かえでちゃんのお弁当、興味あるんだよねー?」
「あ、ちょっとわかるかも」
「ふっ! 普通ですよぅ……! 詰めたりは自分でしてますけど、作るのは姉さんですし!」
なぜか、ふっふっふ……と怪しげな笑みを浮かべるロコと純美子に詰め寄られた佐倉君は、これまたなぜか逆隣の僕の肩にすがりついて助けを求めはじめた。やっべえ、いい匂いする!
「う、嘘だ……。僕のかえでちゃんまで……モリケンめー、きーっ!」
「なんであんたがヤキモチ妬いてんのよ……」
もうカオスだ。あっちでもこっちでもワイワイしはじめた。ふと視線を巡らせると、校外活動以来、なんだか妙にむすりと顔をしかめている小山田が目に入る。なぜか胸騒ぎがする……。
「……で。古ノ森リーダー、僕たちをお招きいただいたのには理由があるのではないですか?」
「おっと、そうだった……。こほん。ええと、僕が『電算論理研究部』部長、古ノ森健太です」
ぱちぱちぱちぱち。
何が『というわけ』なのかまるで意味不明だけれど、お昼のいつものお弁当タイムの席に二つの机が追加され、そこにもじもじと真っ赤になって縮こまっている佐倉君と、あいかわらず何を考えているのか読み取れないアルカイックスマイルを湛えた五十嵐君が座っていた。
結局、昨日の月曜日は二人と話をするチャンスが見つからず、改めて今日になって声をかけてみたところ、奇跡的に二人とも二つ返事でオーケーしてくれてこの状況が実現したのだった。
「ほう、渋田君と野方さんは勉強会以来ですね」
「うんうん! だねー!」
「ぼ、僕、ここにいて大丈夫です? う、浮いてません?」
「もうっ、そんな言い方してると、上ノ原さんが来るわよー!」
「………………ちょっと。あたし、ナマハゲかなんかなの? ひどくない?」
早速そんなやりとりをしていると、最後に純美子が放ったセリフを耳ざとく聞きつけたロコが、横合いからひょっこり顔を出したので、僕たちは悲鳴が出そうなくらい驚いてしまった。
「あは、あはははは……。そ、そういう意味じゃなくって……」
「わかってるってば、スミ。大方、かえでちゃんがまた自虐的なこと言ってたんでしょ?」
ずばり言い当てられてしまった佐倉君は、ますます身を小さく縮めると居心地悪そうにもじもじとしていた。一方のロコはというと、一旦顔を出してしまった手前いまさら引っ込むのも決まりが悪いのか、手に下げたお弁当をそのままに、手近な机を抱えて佐倉君の隣に座った。
「ロコー? お弁当食べようよぉー! まだー!?」
「モモ、ごめーん! 今日はこっちで食べるからー!」
「……お、おい。大丈夫なのか、ロコ?」
「はぁ? 何がよ? あたしがどこで何食べようが、あたしの勝手じゃん」
「そ、そうだけど……さ……」
校外活動前日の特別勉強会でのロコと桃月の緊張感漂うやりとりは、まだ僕の記憶に新しい。あの時、一旦は和解したような形にこそなったけれど、今ちらりと盗み見た桃月の苦々しげな表情を見るかぎり、あまり楽観視はしていられなさそうに思えてしまう。
「ねえっ! 良いの? 悪いの? どっち!?」
「い、良いに決まってるじゃん! ね? みんな?」
もちろん、異を唱える者はいない。
むしろ、わざわざ尋ねたこと自体が不躾に感じたほどだ。
「でもさ……? 余計なお節介かもしれないけれど、いいの? 上ノ原さんも前に言ってたじゃない、誰が悪く言ってるのか見当なら付いてるって――」
「――ごめん、それ以上は言わないで。お願い」
心配そうな咲都子のセリフを素早く遮ると、ロコはそう言って笑ってみせた。あのいつもの、見るたび僕に少年時代を思い出させる、困ったような笑い顔だった。
それから急に、その表情に悪戯っぽさとちょっぴりの邪悪さを加えると佐倉君に詰め寄った。
「さー、食べよ食べよ! 実はーあたしー、かえでちゃんのお弁当、興味あるんだよねー?」
「あ、ちょっとわかるかも」
「ふっ! 普通ですよぅ……! 詰めたりは自分でしてますけど、作るのは姉さんですし!」
なぜか、ふっふっふ……と怪しげな笑みを浮かべるロコと純美子に詰め寄られた佐倉君は、これまたなぜか逆隣の僕の肩にすがりついて助けを求めはじめた。やっべえ、いい匂いする!
「う、嘘だ……。僕のかえでちゃんまで……モリケンめー、きーっ!」
「なんであんたがヤキモチ妬いてんのよ……」
もうカオスだ。あっちでもこっちでもワイワイしはじめた。ふと視線を巡らせると、校外活動以来、なんだか妙にむすりと顔をしかめている小山田が目に入る。なぜか胸騒ぎがする……。
「……で。古ノ森リーダー、僕たちをお招きいただいたのには理由があるのではないですか?」
「おっと、そうだった……。こほん。ええと、僕が『電算論理研究部』部長、古ノ森健太です」
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