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第96話 とっくに知ってるわよ at 1995/6/26
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いよいよ六月も最終週となり、一学期の終わりが見えてきた。
ということは。
次にやってくるのは、アレ、である。
「ねーねー、かえでちゃん? どーしてこうなるのか、あたしちっともわかんないんだけど?」
「えっと……。ここ、中間テストの時にもやった……よね?」
「は……? あ、うん! もちろん覚えてるってば! あは、あはははは!」
来る期末テストに備えての恒例の勉強会。我が『電算論理研究部』の部室には、前回同様、僕、渋田、佐倉君、五十嵐君、純美子、咲都子、それにロコを加えた七名が集合していた。
「でもね、ホント凄かったんだよ!?」
またもやロコ相手に苦戦中の佐倉君本人を尻目に、純美子は興奮気味の口調で話していた。
「かえでちゃん、コートに立つといつもとは違ってキリっとしてて、とってもカッコイイの!」
「へぇー、それって意外! スミが手放しで褒めるなんて、相当なモンだね」
「しゃ、写真はないの!? あれば、きっとかなりの高値で……」
「……あんたは黙ってて。っていうか、友達を売るなっつーの!」
渋田ェ……。
お前、もしかして例の闇の組織、『かえでちゃんFC』のメンバーじゃないだろうな?
どう教えても要領を得ないロコ相手にすっかりお手上げな様子を見かねて五十嵐君が加勢すると、一息ついた佐倉君が頬をピンク色に染めて純美子たちの会話に慌てて割り込んできた。
「や、やめてくださいよぅ! ぼ、僕のハナシはもういいですってばっ!」
「えー。でも、ホントにカッコよかったよ? 女の子女の子してるかえでちゃんも好きだけど」
「しっ、してませんしてませんっ! 僕はいつも男らしくしてるつもりですっ! ううう……」
「ほら、スミちゃんも。それ以上冷やかすと、佐倉君泣いちゃうぞ?」
仕方なく助け船を出してあげることにする。純美子もまるで悪気はないのだから怒れない。
「けどさ、テニスをまるで知らない僕が言うのも変だけど、あれならプロにもなれそうだよね」
「それは……無理ですよ」
佐倉君は首を振った。
「僕のこの身長じゃ、圧倒的に不利なんです。サーブをするにもレシーブをするにも、身長が高い方が有利ですから。というか、スポーツ全般において、身長が高い方が断然有利ですよ」
「確かに。小柄で有利なプロスポーツって、競馬とか競艇くらいかなぁ。あ、スケートもか」
うんうんとうなずく佐倉君の顔には諦めや絶望感はない。むしろ晴れ晴れとして見えた。
「えー……。かえでちゃんはそれでいいの? あんなに一生懸命がんばってるのに?」
「アマチュアでもプロでもやっていることは同じ。テニスはテニスですもん。変わりませんよ」
そっか……そうだよな。
だからプレー中の佐倉君はあんなにステキで楽しそうに見えたんだ。
佐倉君の満足そうな晴れやかな笑みで、キレイに話が締めくくられた……と思ったその時。
ばしっ!
「なーにカッコつけちゃってんのさ、かえでちゃん! そんなことより早く助けなさいよっ!」
「痛ーっ!? 痛いよぅ、上ノ原さん!」
「上ノ原さん、じゃなくて、ロコ、よ」
いきなり背中のど真ん中を平手打ちされて悶える佐倉君を尻目に、ロコはチェシャ猫のように顔中でにんまりと笑いながら訂正する。それは、ロコなりの親愛の情の表し方なのだ。
「ったく……。あんたがちゃんと男の子してるだなんて、あたしはとっくに知ってるわよ。それよりも、早くハカセの通訳して頂戴。もー何言ってるのか、さっぱりわからないんだもん!」
「え……。えー……!?」
苦笑いを浮かべて仕方なく手を引かれていく佐倉君の顔は、とっても嬉しそうに見えたんだ。
ということは。
次にやってくるのは、アレ、である。
「ねーねー、かえでちゃん? どーしてこうなるのか、あたしちっともわかんないんだけど?」
「えっと……。ここ、中間テストの時にもやった……よね?」
「は……? あ、うん! もちろん覚えてるってば! あは、あはははは!」
来る期末テストに備えての恒例の勉強会。我が『電算論理研究部』の部室には、前回同様、僕、渋田、佐倉君、五十嵐君、純美子、咲都子、それにロコを加えた七名が集合していた。
「でもね、ホント凄かったんだよ!?」
またもやロコ相手に苦戦中の佐倉君本人を尻目に、純美子は興奮気味の口調で話していた。
「かえでちゃん、コートに立つといつもとは違ってキリっとしてて、とってもカッコイイの!」
「へぇー、それって意外! スミが手放しで褒めるなんて、相当なモンだね」
「しゃ、写真はないの!? あれば、きっとかなりの高値で……」
「……あんたは黙ってて。っていうか、友達を売るなっつーの!」
渋田ェ……。
お前、もしかして例の闇の組織、『かえでちゃんFC』のメンバーじゃないだろうな?
どう教えても要領を得ないロコ相手にすっかりお手上げな様子を見かねて五十嵐君が加勢すると、一息ついた佐倉君が頬をピンク色に染めて純美子たちの会話に慌てて割り込んできた。
「や、やめてくださいよぅ! ぼ、僕のハナシはもういいですってばっ!」
「えー。でも、ホントにカッコよかったよ? 女の子女の子してるかえでちゃんも好きだけど」
「しっ、してませんしてませんっ! 僕はいつも男らしくしてるつもりですっ! ううう……」
「ほら、スミちゃんも。それ以上冷やかすと、佐倉君泣いちゃうぞ?」
仕方なく助け船を出してあげることにする。純美子もまるで悪気はないのだから怒れない。
「けどさ、テニスをまるで知らない僕が言うのも変だけど、あれならプロにもなれそうだよね」
「それは……無理ですよ」
佐倉君は首を振った。
「僕のこの身長じゃ、圧倒的に不利なんです。サーブをするにもレシーブをするにも、身長が高い方が有利ですから。というか、スポーツ全般において、身長が高い方が断然有利ですよ」
「確かに。小柄で有利なプロスポーツって、競馬とか競艇くらいかなぁ。あ、スケートもか」
うんうんとうなずく佐倉君の顔には諦めや絶望感はない。むしろ晴れ晴れとして見えた。
「えー……。かえでちゃんはそれでいいの? あんなに一生懸命がんばってるのに?」
「アマチュアでもプロでもやっていることは同じ。テニスはテニスですもん。変わりませんよ」
そっか……そうだよな。
だからプレー中の佐倉君はあんなにステキで楽しそうに見えたんだ。
佐倉君の満足そうな晴れやかな笑みで、キレイに話が締めくくられた……と思ったその時。
ばしっ!
「なーにカッコつけちゃってんのさ、かえでちゃん! そんなことより早く助けなさいよっ!」
「痛ーっ!? 痛いよぅ、上ノ原さん!」
「上ノ原さん、じゃなくて、ロコ、よ」
いきなり背中のど真ん中を平手打ちされて悶える佐倉君を尻目に、ロコはチェシャ猫のように顔中でにんまりと笑いながら訂正する。それは、ロコなりの親愛の情の表し方なのだ。
「ったく……。あんたがちゃんと男の子してるだなんて、あたしはとっくに知ってるわよ。それよりも、早くハカセの通訳して頂戴。もー何言ってるのか、さっぱりわからないんだもん!」
「え……。えー……!?」
苦笑いを浮かべて仕方なく手を引かれていく佐倉君の顔は、とっても嬉しそうに見えたんだ。
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