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第104話 イエロー・ローズ at 1995/7/6
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「おはよう、ケンタ君!」
「おはよう、スミちゃん」
期末テストも昨日で終わり、今週、来週で採点結果が返ってくる。テスト休みなしで授業に戻るのはウチの中学校くらいだろう。いくら午前中で終わるとはいえ生徒たちはみなうんざり顔だったが、この大人数の回答用紙一枚一枚の一問ごとに〇×つけて、ワンポイント・アドバイスまで書きこんで採点する先生たちの方がよっぽど休みをもらいたかったに違いない。うん。
「お……おは……あ……」
あのね――純美子がにこにこと笑いながらそう言いかけた矢先、後ろから声がかかった。
「おっ。おはよう、水無月さん」
「あ……ござ……います」
「あ、まだ緊張してるの? もう僕たち『仲間』なんだからさ。気楽に行こうよ、気楽に」
「う……うん……」
こくり、と水無月さんがうなずいたのがわかった。
そこで再び純美子は、あのね――と。
「いやぁ、昨日は楽しかった! 僕、女の子でBASICわかる子なんてはじめてだったから」
「あ、あはは……はい……」
「しっかし、あんなところをスペルミスしてたなんてね。見つけてくれて助かったよ、うん!」
「そ……そんな……。ホント、たまたまで……」
水無月さんは恐縮して縮こまる。気のせいか、大量の黒髪の奥で赤くなっているようだった。
「………………ぶーっ」
「え……? どうしたの、スミちゃん? そんなにふくれちゃって……」
「なんでもないですーっ!」
いきなり純美子はそっぽを向いて席を立ってしまった。気のせいか、なんだか昨日から様子が変なんだよな……。怒ってる――わけじゃないんだろうけど、なんだか妙に不機嫌なのだ。どこかへズンズン歩いていく純美子と入れ替わりに、僕の席へと近づいてきたのはロコだ。
「……どしたの?」
「ん?」
「スミのこと。あ、もしかしてケンタ、なーんかやっちゃったんじゃないのー?」
「な、なんにもしてないってば! 変なこと言うなって!」
「ふーん……」
もう一度、ロコは歩き去っていく純美子の後ろ姿を見て、それから不思議そうに見上げている僕と落ち着かなげにカラダを小さく縮めている水無月さんを見比べると、にやり、と笑った。それからこう言う。
「ね、ね? ツッキー? 今日とか明日でもいいんだけど、放課後時間空いてる?」
「ツ……ツッキー……?」
「だって『みなづき』じゃなくて『みなつき』なんでしょ? だからー、ツッキー。ダメ?」
「ダメ……じゃないです……けど……」
なんとなく、助けを求められているような気がして、僕は代わりにこう言ってあげた。
「小山田たちが呼んでたあだ名にちょっと似てるじゃん、それ。嫌なんじゃないかな?」
「そ、そういうことでは……なくって……」
おっと、どうやら見当違いだったらしい。
水無月さんは慌てたようにぶんぶんと首を振った。
「あ、あの……! あたし、ちゃんとした……あだ名って……は、はじめてなので……」
「つまり? 嫌じゃないってことでオッケー? だったら、決まりね!」
こくこく、と水無月さん――改め、ツッキーが何度も繰返しうなずいたのを見てホッとした。
「おいおいおい。水無――ツッキーに何をする気なんだ、ロコ?」
「えへへへー。男子にはヒ・ミ・ツ。きっとびっくりすると思うから、待ってなさい!」
「おはよう、スミちゃん」
期末テストも昨日で終わり、今週、来週で採点結果が返ってくる。テスト休みなしで授業に戻るのはウチの中学校くらいだろう。いくら午前中で終わるとはいえ生徒たちはみなうんざり顔だったが、この大人数の回答用紙一枚一枚の一問ごとに〇×つけて、ワンポイント・アドバイスまで書きこんで採点する先生たちの方がよっぽど休みをもらいたかったに違いない。うん。
「お……おは……あ……」
あのね――純美子がにこにこと笑いながらそう言いかけた矢先、後ろから声がかかった。
「おっ。おはよう、水無月さん」
「あ……ござ……います」
「あ、まだ緊張してるの? もう僕たち『仲間』なんだからさ。気楽に行こうよ、気楽に」
「う……うん……」
こくり、と水無月さんがうなずいたのがわかった。
そこで再び純美子は、あのね――と。
「いやぁ、昨日は楽しかった! 僕、女の子でBASICわかる子なんてはじめてだったから」
「あ、あはは……はい……」
「しっかし、あんなところをスペルミスしてたなんてね。見つけてくれて助かったよ、うん!」
「そ……そんな……。ホント、たまたまで……」
水無月さんは恐縮して縮こまる。気のせいか、大量の黒髪の奥で赤くなっているようだった。
「………………ぶーっ」
「え……? どうしたの、スミちゃん? そんなにふくれちゃって……」
「なんでもないですーっ!」
いきなり純美子はそっぽを向いて席を立ってしまった。気のせいか、なんだか昨日から様子が変なんだよな……。怒ってる――わけじゃないんだろうけど、なんだか妙に不機嫌なのだ。どこかへズンズン歩いていく純美子と入れ替わりに、僕の席へと近づいてきたのはロコだ。
「……どしたの?」
「ん?」
「スミのこと。あ、もしかしてケンタ、なーんかやっちゃったんじゃないのー?」
「な、なんにもしてないってば! 変なこと言うなって!」
「ふーん……」
もう一度、ロコは歩き去っていく純美子の後ろ姿を見て、それから不思議そうに見上げている僕と落ち着かなげにカラダを小さく縮めている水無月さんを見比べると、にやり、と笑った。それからこう言う。
「ね、ね? ツッキー? 今日とか明日でもいいんだけど、放課後時間空いてる?」
「ツ……ツッキー……?」
「だって『みなづき』じゃなくて『みなつき』なんでしょ? だからー、ツッキー。ダメ?」
「ダメ……じゃないです……けど……」
なんとなく、助けを求められているような気がして、僕は代わりにこう言ってあげた。
「小山田たちが呼んでたあだ名にちょっと似てるじゃん、それ。嫌なんじゃないかな?」
「そ、そういうことでは……なくって……」
おっと、どうやら見当違いだったらしい。
水無月さんは慌てたようにぶんぶんと首を振った。
「あ、あの……! あたし、ちゃんとした……あだ名って……は、はじめてなので……」
「つまり? 嫌じゃないってことでオッケー? だったら、決まりね!」
こくこく、と水無月さん――改め、ツッキーが何度も繰返しうなずいたのを見てホッとした。
「おいおいおい。水無――ツッキーに何をする気なんだ、ロコ?」
「えへへへー。男子にはヒ・ミ・ツ。きっとびっくりすると思うから、待ってなさい!」
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