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第165話 僕らの『がっしゅく!』最終日・アフター at 1995/7/30
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「……ケ、ケンタ君っ!」
「あれ? スミちゃん!? なんで――」
今日が本来なら一部を除く部活動が認められていない日曜日だということもあって、まだ陽の高いうちに学校で解散した……はずだったのに、なぜか純美子が突然駆け寄って来たのだ。かなりのイキオイで走ってきたのか、膝に手を当て前かがみになって息を整えようとしている。
「ご、ごめ……さすがに……息が……苦しくって……」
手元には旅行に持って行ったトランクケースは見当たらない。
どころか、旅行中に着ていたモスグリーン半袖ワンピースではなく、白いポロシャツに丈の短いピンクの巻きスカートという恰好だ。なんとなく、テニス部の練習着なんじゃないか、と僕の脳裏にイメージが浮かんだ。
「そ、そんなに慌てて……どうしたのさ、スミちゃん?」
ボタンが外されて、上下する二つの隆起がちらちら覗くポロシャツの胸元から目を反らす僕。
「どうしても……お話し……したかった……から。……ふーっ」
深々と深呼吸を繰り返し、ようやくまともに喋れるようになった純美子はカラダを起こした。
「……ふぅ。やっと落ち着いた。お待たせ、ケンタ君♪」
「え? え? お話し、ってのは?」
「そ・れ・は。歩きながらだってできるでしょ?」
半ば強引に腕をからめられ、そのまま僕の家のあるホー1号棟の方へと僕らは歩きはじめた。しばらくは夏合宿の思い出話で盛り上がったりしていたんだけど。純美子は急にこう尋ねる。
「ねえ、あのね? なんでケンタ君は、あたしに『あの役』を任せようと思ったのかなって?」
「そ、それは――」
「なぁに? 言いづらいことなの?」
「そうじゃないそうじゃない! そうじゃ……ないんだけど、さ」
冗談めかして、ぷうっ、とふくれてみせた純美子があまりに眩しくて、僕は照れて鼻を掻く。
「……僕、スミちゃんの声がとても好き、なんだ。い、いや! もちろん声だけじゃないよ? 他も全部好きなんだけど、一番ステキだな、って思ってるのが、スミちゃんの可愛い声なんだ」
……あ、あれ?
もしかして、怒っちゃった?
照れ隠しに空を見上げていた僕が、無反応に不安になりかけたところで、思わぬ不意打ち。
「………………もぅ。ばかぁ」
はぅうっ!?
僕の耳元で、照れ声で小さく囁くのは、もう南極条約違反モノですよ、スミちゃん!!
「……てっきり、もう知ってるのかと思って驚いちゃったじゃない。はぁ……」
「へ? な、なんのハナシ?」
「なんでもありませんー。いーっ、だ」
「いっ!? や、やめて! 脇腹をつつくのやめてってば! 痛っ! 痛い痛い!!」
もう、僕がスリムにはほど遠いちょい太男子だからって、純美子はやたらと脇腹をつついてくるようになった。きっとリアクションが面白いのだろう。というか、むしろまったくつつかれないと『あれ……? 今日は機嫌悪いのかな?』って思うようになってしまった僕である。
そのまま、ひーひー、と嬉しいやら痛いやらの叫びを上げながら団地棟がある小道に入ると、
「ん?」
「どうしたの、ケンタ君?」
突然僕が立ち止まったので、純美子は僕の背中に貼り付くように恐る恐る顔を出している。
「い、いや。誰かの視線を感じたんだけど……気のせい、みたい。あははは……」
「も……もうっ! ちょっと脅かしたんで、しょっ!?」
「ち、違――うって! 痛っ! 痛い痛い痛いーっ!!」
「あれ? スミちゃん!? なんで――」
今日が本来なら一部を除く部活動が認められていない日曜日だということもあって、まだ陽の高いうちに学校で解散した……はずだったのに、なぜか純美子が突然駆け寄って来たのだ。かなりのイキオイで走ってきたのか、膝に手を当て前かがみになって息を整えようとしている。
「ご、ごめ……さすがに……息が……苦しくって……」
手元には旅行に持って行ったトランクケースは見当たらない。
どころか、旅行中に着ていたモスグリーン半袖ワンピースではなく、白いポロシャツに丈の短いピンクの巻きスカートという恰好だ。なんとなく、テニス部の練習着なんじゃないか、と僕の脳裏にイメージが浮かんだ。
「そ、そんなに慌てて……どうしたのさ、スミちゃん?」
ボタンが外されて、上下する二つの隆起がちらちら覗くポロシャツの胸元から目を反らす僕。
「どうしても……お話し……したかった……から。……ふーっ」
深々と深呼吸を繰り返し、ようやくまともに喋れるようになった純美子はカラダを起こした。
「……ふぅ。やっと落ち着いた。お待たせ、ケンタ君♪」
「え? え? お話し、ってのは?」
「そ・れ・は。歩きながらだってできるでしょ?」
半ば強引に腕をからめられ、そのまま僕の家のあるホー1号棟の方へと僕らは歩きはじめた。しばらくは夏合宿の思い出話で盛り上がったりしていたんだけど。純美子は急にこう尋ねる。
「ねえ、あのね? なんでケンタ君は、あたしに『あの役』を任せようと思ったのかなって?」
「そ、それは――」
「なぁに? 言いづらいことなの?」
「そうじゃないそうじゃない! そうじゃ……ないんだけど、さ」
冗談めかして、ぷうっ、とふくれてみせた純美子があまりに眩しくて、僕は照れて鼻を掻く。
「……僕、スミちゃんの声がとても好き、なんだ。い、いや! もちろん声だけじゃないよ? 他も全部好きなんだけど、一番ステキだな、って思ってるのが、スミちゃんの可愛い声なんだ」
……あ、あれ?
もしかして、怒っちゃった?
照れ隠しに空を見上げていた僕が、無反応に不安になりかけたところで、思わぬ不意打ち。
「………………もぅ。ばかぁ」
はぅうっ!?
僕の耳元で、照れ声で小さく囁くのは、もう南極条約違反モノですよ、スミちゃん!!
「……てっきり、もう知ってるのかと思って驚いちゃったじゃない。はぁ……」
「へ? な、なんのハナシ?」
「なんでもありませんー。いーっ、だ」
「いっ!? や、やめて! 脇腹をつつくのやめてってば! 痛っ! 痛い痛い!!」
もう、僕がスリムにはほど遠いちょい太男子だからって、純美子はやたらと脇腹をつついてくるようになった。きっとリアクションが面白いのだろう。というか、むしろまったくつつかれないと『あれ……? 今日は機嫌悪いのかな?』って思うようになってしまった僕である。
そのまま、ひーひー、と嬉しいやら痛いやらの叫びを上げながら団地棟がある小道に入ると、
「ん?」
「どうしたの、ケンタ君?」
突然僕が立ち止まったので、純美子は僕の背中に貼り付くように恐る恐る顔を出している。
「い、いや。誰かの視線を感じたんだけど……気のせい、みたい。あははは……」
「も……もうっ! ちょっと脅かしたんで、しょっ!?」
「ち、違――うって! 痛っ! 痛い痛い痛いーっ!!」
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