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第191話 ……そうか! 思い出したぞ! at 1995/8/26
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「よかったぁあああ! よかったッスウウウ!」
「うわわわ! ちょ――苦しい、苦しいですって、しのぶさん! 放し……うぐぐぐ……!」
僕が意識を取り戻したのを見たしのぶさんは、喜びと安堵の証なのか、大粒の涙をぼろぼろ流しながら膝まくらしていた僕の頭を抱きしめた。猫背だから気づかなかったが、胸は大きい。
ゆえに。
「い、息が……でき……ない……です」
「……はっ!? だだだ大丈夫ッスか、古ノ森少年!?」
危うく二度目の意識喪失をする前に、しのぶさんは僕の頭を解放した。ここに……埋めてたのか……ごくり……。僕は目の前のニットワンピースのふくらみから目を反らしながら尋ねる。
「気、失ってたんですか、僕?」
「も……申し訳ないッス……。僕が慌ててチョップしちゃったので……」
「ま、まあ、大丈夫です、無事だったんだし。そ、それに、膝まくらしててくれたんですね」
「あ、あははは……半分は心配だったからで、もう半分は一度やってみたかったからッス……」
ちょっと気恥ずかしくなってしまった僕は、急いで身を起こし、まわりを見回した。
「あの……渋田と五十嵐君は……?」
「かえでちゃんが送っていってますッス。明日の『団地祭』、いくんスよね? その約束して」
「そ、そうですか……。うわ、もう夕方になってる!」
早くお暇しなきゃ、と立ち上がりかけたところで、どうしても気になったことを聞いてみる。
「そういえば……さっき、なんだか聞き覚えのあるメロディが聴こえたんですけど?」
「? ……あー! これッスよ、これ。『魔法少女プリティ☆ぷりん』って言うんスけど――」
そう言って、しのぶさんはテレビのリモコンを探し当てると、スイッチを押した。
(こ、これ……は……!?)
モニターに映し出された映像を目にした僕は、驚きのあまり目を丸く見開いていた。青い海の色のようなポニーテールの魔法少女の髪を飾るのは――ハート型にカットされたサファイヤブルー水晶とパールホワイトの天使の羽根飾り。
これって……ロコが鎌倉旅行の時に……!
瞬間――。
僕の脳裏で、遠い昔のワンシーンが再生されていた。
(これ……僕からロコちゃんへの、おたんじょうびプレゼント!)
(あ! これって、『プリティ☆ぷりん』の変身アイテムだー! もらっても……いいの?)
(もちろんだよ! だって僕、ロ、ロコちゃんのことが、す――)
そう……だった。
そうだったんだ。
(ありがとう! 一生の宝物にするね! だって、ケンタはロコの大事な王子様なんだもん!)
ああ、くそっ。
どうして僕は、そんな大切な思い出を忘れちまっていたんだ。どうして――。
中学二年生の『僕』なら覚えていたのかもしれない。
けれど、今の『僕』はもうとっくに『俺』で、二十六年以上はるか昔のことで。今に後悔と絶望しかなくて。ひさしぶりに出会ったロコの境遇に手を差し出すこともできないくらい自分のことしか見えていなくって。ただ自分が溺れないように、沈まないようにするだけで必死で。
(あたしも助けられちゃったからさ。ケンタがいてくれて本当によかった。……ありがとね)
同窓会のあの夜、ロコが口にしたあのセリフ。
あれは一体どういう意味だったんだろう、と。
(明日……明日、ロコに会って打ち明けないと。僕の、今の正直な気持ちを。そして――)
「うわわわ! ちょ――苦しい、苦しいですって、しのぶさん! 放し……うぐぐぐ……!」
僕が意識を取り戻したのを見たしのぶさんは、喜びと安堵の証なのか、大粒の涙をぼろぼろ流しながら膝まくらしていた僕の頭を抱きしめた。猫背だから気づかなかったが、胸は大きい。
ゆえに。
「い、息が……でき……ない……です」
「……はっ!? だだだ大丈夫ッスか、古ノ森少年!?」
危うく二度目の意識喪失をする前に、しのぶさんは僕の頭を解放した。ここに……埋めてたのか……ごくり……。僕は目の前のニットワンピースのふくらみから目を反らしながら尋ねる。
「気、失ってたんですか、僕?」
「も……申し訳ないッス……。僕が慌ててチョップしちゃったので……」
「ま、まあ、大丈夫です、無事だったんだし。そ、それに、膝まくらしててくれたんですね」
「あ、あははは……半分は心配だったからで、もう半分は一度やってみたかったからッス……」
ちょっと気恥ずかしくなってしまった僕は、急いで身を起こし、まわりを見回した。
「あの……渋田と五十嵐君は……?」
「かえでちゃんが送っていってますッス。明日の『団地祭』、いくんスよね? その約束して」
「そ、そうですか……。うわ、もう夕方になってる!」
早くお暇しなきゃ、と立ち上がりかけたところで、どうしても気になったことを聞いてみる。
「そういえば……さっき、なんだか聞き覚えのあるメロディが聴こえたんですけど?」
「? ……あー! これッスよ、これ。『魔法少女プリティ☆ぷりん』って言うんスけど――」
そう言って、しのぶさんはテレビのリモコンを探し当てると、スイッチを押した。
(こ、これ……は……!?)
モニターに映し出された映像を目にした僕は、驚きのあまり目を丸く見開いていた。青い海の色のようなポニーテールの魔法少女の髪を飾るのは――ハート型にカットされたサファイヤブルー水晶とパールホワイトの天使の羽根飾り。
これって……ロコが鎌倉旅行の時に……!
瞬間――。
僕の脳裏で、遠い昔のワンシーンが再生されていた。
(これ……僕からロコちゃんへの、おたんじょうびプレゼント!)
(あ! これって、『プリティ☆ぷりん』の変身アイテムだー! もらっても……いいの?)
(もちろんだよ! だって僕、ロ、ロコちゃんのことが、す――)
そう……だった。
そうだったんだ。
(ありがとう! 一生の宝物にするね! だって、ケンタはロコの大事な王子様なんだもん!)
ああ、くそっ。
どうして僕は、そんな大切な思い出を忘れちまっていたんだ。どうして――。
中学二年生の『僕』なら覚えていたのかもしれない。
けれど、今の『僕』はもうとっくに『俺』で、二十六年以上はるか昔のことで。今に後悔と絶望しかなくて。ひさしぶりに出会ったロコの境遇に手を差し出すこともできないくらい自分のことしか見えていなくって。ただ自分が溺れないように、沈まないようにするだけで必死で。
(あたしも助けられちゃったからさ。ケンタがいてくれて本当によかった。……ありがとね)
同窓会のあの夜、ロコが口にしたあのセリフ。
あれは一体どういう意味だったんだろう、と。
(明日……明日、ロコに会って打ち明けないと。僕の、今の正直な気持ちを。そして――)
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