ラブ×リープ×ループ!

虚仮橋陣屋(こけばしじんや)

文字の大きさ
232 / 539

第231話 『西中まつり』(18) at 1995/9/15

しおりを挟む
「やってやったぜ! ざまあみやがれってんだ!」


 僕らの前に立ちはだかっていた、古代の悪魔と機械を合成したような奇異な彫像の醜悪な牙の生えた大きな口――そこがCRTモニターの画面になっている――が閉じたかと思うと、重々しい地響きとともに横にスライドして進むべき道を空けた。僕は二人を後押しする。

 進んだ先には、光に照らされた石造りの祭壇と、厳かに語りかける声が――。


『見事……でした。貴方たち勇者の活躍は、必ずや後世に語り継がれることでしょう。では、王女である私、アセンブリから貴方たちへ、一度だけ、未来を見るチカラを授けましょう』


「ど、どゆこと?」

「ほら、あそこに祭壇があります。行ってみましょう」


 少しとまどい気味の小山田と桃月を一段高くなった祭壇まで誘導した。僕はタイミングを見計らって、祭壇の裏側に隠してあるスイッチを押す。すると、祭壇の上面がぱかりと開いた。


「ここで、未来を見たい二人の名前を入力すると、その人と相性ばっちりの人がわかるんです」


 いささか説明臭い口調だけれど、この際しかたない。


「それってさー、占い、ってことなん?」

「さっき言った――ましたよね? このために、全校生徒宛にセンセイ経由でアンケートを配ってもらったんですよ。よく知らない部活からじゃなく、学校からのだ、って見せかけてね」

「て、てめぇ……じゃあ、あれは……!!」

「ス、ストップストップ! 怒るなって!」


 休み前に余計な手間をかけさせたのが僕だとわかると、たちまち小山田は噛みつかんばかりに牙を剥きはじめる。それをなんとか両手で押し留めながら、早口で続きの言葉を口に出した。


「そ、そのおかげで、かなり高精度な相性診断ができるようになったんだ。もちろん、西洋占星術や東洋の画数占いの要素も入ってるんだよ。こんなのをいっぺんに処理できるのもコンピューターのチカラなんだ。ほ、ほら、みんなこれが楽しみで参加してるんだ、やってみてよ!」

「ち――っ」


 小山田はまだ少し納得していないようだったが、桃月に袖を引かれて渋々ながら牙と爪を引っ込めることにしたようだ。そのまま二人して画面の前に立ち、キーボードに手を添えたが、


「あーあ、俺様はこういうのキョーミねーんだわー! おい、モモ! おめぇ、これやるの楽しみにしてたんだろ? ほら、俺とナプキン王子はあっちでお話あるから、こっそりやっとけ」


 そう言って、強引に僕の腕を強く握ると、小山田は出口の方まで引っ張っていく。
 一体、何をする気なんだ、小山田の奴……。


「な、なんだよ……面白かったろ? 楽しんでたじゃないかよ?」

「あ――ま、まあまあだな! おめぇにしちゃあマシだったぜ!」


 ……ん?
 こいつ……もしかして……。

 小山田は、ちらり、と桃月に視線を向けた。
 眩しそうに、でも、ちっぴり困ったように哀しげな瞳で。


「悪ぃが少しハナシを合わせてもらうぜ。モモの相性診断の結果が出るまでな」

「ダッチ……。もしかして、君は……」

「おい、てめぇ……! 余計なことは言うなよ? あと、気安く俺をあだ名で呼ぶんじゃねえ」


 恐らく、僕の予想は当たっているんだろう。

 未来からこの時代に戻ってきた僕ですら知らなかったこと。しかし、小山田徹というこの意地っ張りで剛情で、直情的で不器用な少年は知っていたのだ。


「お、終わったよー、ダッチ! あたしたち、相性イマイチだってー、ショックー!」

「マジかよ!? ま、占いなんざアテにしてねーって」


 じゃあな、と去っていく二人の姿を見送った僕は、はじめて自ら定めた禁忌を破ってしまった。それは、診断結果のログを確認するという禁忌だ。誰が誰との相性診断をしたのか、それを知ろうとしたのだ。するべき行為ではない、それはわかっていたのだけれど。


(はぁ……。やっぱりそういうことだったのか……あいつ……)


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら

瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。  タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。  しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。  剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2026.2.22)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...