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第246話 決意表明と好敵手 at 1995/9/25
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「おはよう、ケンタ君!」
「おはよう、スミちゃん」
また新しい週がはじまる。
今日の僕らの物語は、学校の校門の直前からスタートだ。
なんとも幸先が良いじゃないか。
「もうすっかり元気、みたいだね」
「うん……。お休みの間に、自分なりにきちんと考えてきたつもりなの。だから、かな?」
「そっか。よかった」
二人ともあえて口には出さないけれど、もちろん考えてきたこととは、水無月さんの病気に関することだ。これから僕らが水無月さんにどう接していくのか、いくべきなのか、それだ。
「ケンタ君は、もう決めてるんだもんね?」
「うん」
僕は、自分に言い聞かせ、また誓いを忘れぬように改めて言葉にして出す。
「今までと違うツッキーにしてあげる。その手伝いをしてあげる。なりたい自分になれるまで」
「……やっぱり凄いな、あたしの彼氏クンって」
「な――なんか言った?」
「ううん! 別にー?」
思わず聴こえなかったフリをしてしまった……。そんな主人公限定の難聴スキルなんて持ってないっつーの。いやいや! もう、恥ずかしすぎて悶え死にそうなんですよ、マジで!
「そういえば……再来週だよね、運動会。今週から練習できるといいんだけど……」
「あー……。騎馬戦のこと? メンバー四人が無事揃えばね」
「え――あ! うんうん! そのこと、そのこと!」
「なんかハナシが微妙に噛み合ってない気がしたんだけど……ま、ともかく四人集まらないとね」
しかし……騎馬戦なんて、もう何十年もやってないなぁ。
しかも、今回のルールを考えると、部員四人の中で一番背丈があって体重もそれなりに重い、この僕が上に乗ることになってしまう。渋田は僕より重いし、五十嵐君は軍士役だ。佐倉君を上に乗せようものなら、馬役の渋田が喜びそう……じゃなくて、闘争心とは無縁の子だしなぁ。
ともかく『小山田組』の騎馬より『イケメングループ』の騎馬より、一本でも多く勝者の証であるハチマキを獲得しなければならない。そのためには最もリーチが長く戦闘力が高い『将』を乗せるのが定石と言えるだろう。なにより勝負を挑まれたのは、僕たち『電算論理研究部』ではなく、あくまで個人としての『僕』なのだから、どのみちそうせざるを得ないのだった。
(さすがに、練習、したいよなぁ……。勝負勘だって、取り戻さないといけないんだし)
ひとり焦りを隠せない僕だったが、一周目にしろ、二周目にしろ、とりわけ騎馬戦が得意だったわけじゃない。というより、むしろ苦手で嫌いだった。だからこそ焦っていたりもする。
(……それを言ったら、部員全員そうか。だいたい底辺陰キャって、元々こういうチームプレイ向きの社交的な性格じゃないし、負けた時の言い訳にされちゃう要員だったもんなぁ……)
あー、アイツさえ同じチームじゃなかったら勝ってたのによー! という負け犬の捨てセリフは、僕たちのような境遇におかれている者にとっては耳タコである。いやいや、後半戦終了三分前のお前の凡ミスのせいだろ明らかに、とは、思っていても口には出せないものなのだ。
(柔道とか武道を習ってる奴は、きっと有利なんだろうなぁ。取っ組み合いが得意で……ん?)
いやいやいや!
一人、適任者がいるじゃないか!
センスがあって、運動神経ばっちりの、闘争本能のカタマリみたいなフィジカルお化けが!
「……なーんか、ケンタ君。まーた変なアイディア思いついた! みたいな悪い顔してるよ?」
「変な!? 悪い!? い、いやいやいや! スミちゃん、僕の表情、読むの下手すぎない?」
「上手すぎても困るんじゃないの? ね、ね? 今度は何?」
「良い考えが浮かんだのさ! これなら四人揃わなくたって、練習がばっちりできるはずだ!」
「おはよう、スミちゃん」
また新しい週がはじまる。
今日の僕らの物語は、学校の校門の直前からスタートだ。
なんとも幸先が良いじゃないか。
「もうすっかり元気、みたいだね」
「うん……。お休みの間に、自分なりにきちんと考えてきたつもりなの。だから、かな?」
「そっか。よかった」
二人ともあえて口には出さないけれど、もちろん考えてきたこととは、水無月さんの病気に関することだ。これから僕らが水無月さんにどう接していくのか、いくべきなのか、それだ。
「ケンタ君は、もう決めてるんだもんね?」
「うん」
僕は、自分に言い聞かせ、また誓いを忘れぬように改めて言葉にして出す。
「今までと違うツッキーにしてあげる。その手伝いをしてあげる。なりたい自分になれるまで」
「……やっぱり凄いな、あたしの彼氏クンって」
「な――なんか言った?」
「ううん! 別にー?」
思わず聴こえなかったフリをしてしまった……。そんな主人公限定の難聴スキルなんて持ってないっつーの。いやいや! もう、恥ずかしすぎて悶え死にそうなんですよ、マジで!
「そういえば……再来週だよね、運動会。今週から練習できるといいんだけど……」
「あー……。騎馬戦のこと? メンバー四人が無事揃えばね」
「え――あ! うんうん! そのこと、そのこと!」
「なんかハナシが微妙に噛み合ってない気がしたんだけど……ま、ともかく四人集まらないとね」
しかし……騎馬戦なんて、もう何十年もやってないなぁ。
しかも、今回のルールを考えると、部員四人の中で一番背丈があって体重もそれなりに重い、この僕が上に乗ることになってしまう。渋田は僕より重いし、五十嵐君は軍士役だ。佐倉君を上に乗せようものなら、馬役の渋田が喜びそう……じゃなくて、闘争心とは無縁の子だしなぁ。
ともかく『小山田組』の騎馬より『イケメングループ』の騎馬より、一本でも多く勝者の証であるハチマキを獲得しなければならない。そのためには最もリーチが長く戦闘力が高い『将』を乗せるのが定石と言えるだろう。なにより勝負を挑まれたのは、僕たち『電算論理研究部』ではなく、あくまで個人としての『僕』なのだから、どのみちそうせざるを得ないのだった。
(さすがに、練習、したいよなぁ……。勝負勘だって、取り戻さないといけないんだし)
ひとり焦りを隠せない僕だったが、一周目にしろ、二周目にしろ、とりわけ騎馬戦が得意だったわけじゃない。というより、むしろ苦手で嫌いだった。だからこそ焦っていたりもする。
(……それを言ったら、部員全員そうか。だいたい底辺陰キャって、元々こういうチームプレイ向きの社交的な性格じゃないし、負けた時の言い訳にされちゃう要員だったもんなぁ……)
あー、アイツさえ同じチームじゃなかったら勝ってたのによー! という負け犬の捨てセリフは、僕たちのような境遇におかれている者にとっては耳タコである。いやいや、後半戦終了三分前のお前の凡ミスのせいだろ明らかに、とは、思っていても口には出せないものなのだ。
(柔道とか武道を習ってる奴は、きっと有利なんだろうなぁ。取っ組み合いが得意で……ん?)
いやいやいや!
一人、適任者がいるじゃないか!
センスがあって、運動神経ばっちりの、闘争本能のカタマリみたいなフィジカルお化けが!
「……なーんか、ケンタ君。まーた変なアイディア思いついた! みたいな悪い顔してるよ?」
「変な!? 悪い!? い、いやいやいや! スミちゃん、僕の表情、読むの下手すぎない?」
「上手すぎても困るんじゃないの? ね、ね? 今度は何?」
「良い考えが浮かんだのさ! これなら四人揃わなくたって、練習がばっちりできるはずだ!」
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