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第327話 球技大会・最終戦(1) at 1995/11/10
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「ヘーイ! パース!」
「ナイッスゥ! よっ!」
Bグループの決勝戦が終わってから、まもなく三〇分が経過する。この小休止のあと、いよいよAグループ優勝チーム対Bグループ優勝チームによる最終戦がはじまるのだ。
僕らは、少しでも吉川のいない穴を埋めようと、早めにグラウンドに出てパス練習をはじめることにした。しかし、それも束の間、対戦相手の選手たちもじきグラウンドに姿を現した。
その中にはもちろん――。
「いよう、インチキ野郎のダッチに、根暗の古ノ森健太ぁ。うひひっ。待ちくたびれたぜぇ!」
「タ、タツヒコ……」
いきなりパーソナルエリアを軽々と突き破り、まるで長年の友だちだったかのように肩に手を回しダルがらみしてきたタツヒコに、思わず腰が引ける僕。マズい! と振り返ったが、
「……てめぇらの試合の方が後だったろうが。待たされたのはこっちなんだよ、頭使え、阿呆」
んっとん、んっとん。
「あとな? 人様をインチキ呼ばわりするのも今日で終ぇだ。それによ……そのお節介野郎のことも、ただの根暗だと思ってると痛い目見るだろうぜ。いずれにせよ、俺様たちが勝つ」
小気味のよいリズムでリフティングを続ける小山田はいたって冷静そのものだった。
「……ひひひっ。言うじゃねえかよぅ。これまでギリギリで勝ち上がってきたくせになぁ」
「勝ちは勝ちだ。なんとでも言え」
「そういやぁ、さっきの試合で無様にぺちゃんこに潰されたカエルちゃんが見えねぇなぁ」
とん――。
的確に琴線に触れるひとことをタツヒコが放ち、小山田のリフティングが止まったが、
――んっとん、んっとん。
「……なぁに、あいつならじき戻ってくるさ。それまでにカッコいいところみせとかねえとな」
「ひひひっ。だといいけどなぁ。うひひひっ」
「……ハナシはそれで終わりか? 済んだなら、とっとと失せろ」
「ち――っ」
いくら煽ろうが焚きつけようが、少しも動じない小山田の態度にしびれを切らしたのはタツヒコの方だった。調子を狂わされたような表情で渋々自陣へと引き返していく。小山田は言う。
「……これでいいんだろ、ナプキン王子? ずいぶん我慢したぜ?」
「うん、上出来すぎるくらいだよ。さすがは僕らのリーダー様だね」
「くそ――っ。やっぱりさっき言ったセリフに間違いはなかったな」
「?」
「ただの陰キャ野郎だと思ってると痛い目見る、ってことだろうが」
小山田は軽口を叩いたが、僕を見つめる目は少しも笑っていなかった。
僕は肩をすくめる。
「僕は、ただの根暗な陰キャだよ。それ以上でも以下でもないって」
「よく言うぜ、ったく……」
どん――とイキオイ良くボールを蹴り上げ、重力に引かれて落下してきたそれをぴたりと足元に止めて、小山田は僕の方を振り返るとこう続けた。
「てめぇにはよ……感謝はしてる。いろいろとな。ただ、なんとなくてめぇからは何か妙で気味の悪いモンを感じるのも事実だ。どうにもうさん臭ぇってな。だから、心底信じちゃいねえ」
「……おっと、意外と鋭いな」
「あぁ? なんか言ったか?」
「いいや、なんにも。なんにも、ね」
小山田は苦笑を浮かべながら首を振った。
それから、チームメイト全員を振り返って言った。
「野郎ども! この試合、俺たち二年十一組が勝つぞ! みんなのチカラを貸してくれ!!」
「ナイッスゥ! よっ!」
Bグループの決勝戦が終わってから、まもなく三〇分が経過する。この小休止のあと、いよいよAグループ優勝チーム対Bグループ優勝チームによる最終戦がはじまるのだ。
僕らは、少しでも吉川のいない穴を埋めようと、早めにグラウンドに出てパス練習をはじめることにした。しかし、それも束の間、対戦相手の選手たちもじきグラウンドに姿を現した。
その中にはもちろん――。
「いよう、インチキ野郎のダッチに、根暗の古ノ森健太ぁ。うひひっ。待ちくたびれたぜぇ!」
「タ、タツヒコ……」
いきなりパーソナルエリアを軽々と突き破り、まるで長年の友だちだったかのように肩に手を回しダルがらみしてきたタツヒコに、思わず腰が引ける僕。マズい! と振り返ったが、
「……てめぇらの試合の方が後だったろうが。待たされたのはこっちなんだよ、頭使え、阿呆」
んっとん、んっとん。
「あとな? 人様をインチキ呼ばわりするのも今日で終ぇだ。それによ……そのお節介野郎のことも、ただの根暗だと思ってると痛い目見るだろうぜ。いずれにせよ、俺様たちが勝つ」
小気味のよいリズムでリフティングを続ける小山田はいたって冷静そのものだった。
「……ひひひっ。言うじゃねえかよぅ。これまでギリギリで勝ち上がってきたくせになぁ」
「勝ちは勝ちだ。なんとでも言え」
「そういやぁ、さっきの試合で無様にぺちゃんこに潰されたカエルちゃんが見えねぇなぁ」
とん――。
的確に琴線に触れるひとことをタツヒコが放ち、小山田のリフティングが止まったが、
――んっとん、んっとん。
「……なぁに、あいつならじき戻ってくるさ。それまでにカッコいいところみせとかねえとな」
「ひひひっ。だといいけどなぁ。うひひひっ」
「……ハナシはそれで終わりか? 済んだなら、とっとと失せろ」
「ち――っ」
いくら煽ろうが焚きつけようが、少しも動じない小山田の態度にしびれを切らしたのはタツヒコの方だった。調子を狂わされたような表情で渋々自陣へと引き返していく。小山田は言う。
「……これでいいんだろ、ナプキン王子? ずいぶん我慢したぜ?」
「うん、上出来すぎるくらいだよ。さすがは僕らのリーダー様だね」
「くそ――っ。やっぱりさっき言ったセリフに間違いはなかったな」
「?」
「ただの陰キャ野郎だと思ってると痛い目見る、ってことだろうが」
小山田は軽口を叩いたが、僕を見つめる目は少しも笑っていなかった。
僕は肩をすくめる。
「僕は、ただの根暗な陰キャだよ。それ以上でも以下でもないって」
「よく言うぜ、ったく……」
どん――とイキオイ良くボールを蹴り上げ、重力に引かれて落下してきたそれをぴたりと足元に止めて、小山田は僕の方を振り返るとこう続けた。
「てめぇにはよ……感謝はしてる。いろいろとな。ただ、なんとなくてめぇからは何か妙で気味の悪いモンを感じるのも事実だ。どうにもうさん臭ぇってな。だから、心底信じちゃいねえ」
「……おっと、意外と鋭いな」
「あぁ? なんか言ったか?」
「いいや、なんにも。なんにも、ね」
小山田は苦笑を浮かべながら首を振った。
それから、チームメイト全員を振り返って言った。
「野郎ども! この試合、俺たち二年十一組が勝つぞ! みんなのチカラを貸してくれ!!」
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