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第328話 球技大会・最終戦(2) at 1995/11/10
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「両チーム、整列!」
最終戦のレフェリーを務める梅田センセイの一声で選手たちが集められた。
「キャプテン、前へ! 小山田! 赤川!」
「……」
「……うひひっ」
間に梅田センセイを挟んでいなかったら、今にもひと悶着ありそうな不穏な空気が漂う。口をへの字に引き結んでわずかに視線をずらして立っている小山田に対し、赤川の方はしきりにカラダを左右にゆらゆらと動かして、小山田の神経を逆なでしようといやらしく笑っている。
「二人とも、先攻後攻を決めるじゃんけんだ。じゃん――けん――ぽん!」
しゅっ!
ここでも赤川はまともな対応を拒否して、大きく振りかぶった右手を小山田の目と鼻の先に突き出してみせた。が、小山田は突き出された拳を無視して、ワンテンポ遅れてパーを出す。
「……俺様の勝ち、ってことでいいよな、タツヒコ?」
「ち――っ。好きにしろよぉ、インチキ野郎」
「じゃあ、俺様たちは先行でいかせてもらう。……コートは変えるのかよ?」
「いらねぇよぅ。せっかくお前の負けっぷりを観に集まってるやつらが面倒だろうからなぁ」
二人のやりとりを見守っていた梅田センセイは、小山田の冷静さを横目に、こう告げる。
「いいか? ラフプレーは厳しくとっていくぞ? 普段のようなじゃれあいは一切なしだ。正々堂々とフェアプレーで決着をつけろ。最終戦にふさわしい試合を見せてくれ。いいな?」
「……うす」
「ひひひっ。こんな弱っちぃ連中相手に、小細工なんていらねえよぅ。うひひっ」
「……いいな、赤川?」
「ち――っ。いちいちうるせぇおっさんだなぁ。ファウル、とりたきゃいくらでもとれよぅ」
梅田センは口元から一旦ホイッスルを外し――あきらめたように再びしっかりとくわえ直した。そして、小山田と招かれるまま駆け寄ってきた室生以外を追い払う仕草をする。最後までのろのろとその場をうろついていた赤川がセンターサークルの外に出ると、息を吸い、吐いた。
ピーッ!!
試合開始だ。
室生がソフトタッチしたボールが動き出すや否や、猛烈なイキオイでタツヒコが前へと詰めてくる。しかし、ボールキープ中の小山田は焦るそぶりすら見せない。絶妙なコントロールでかわし、ゆっくりと前線を押し上げていく。
「トップに合わせて、僕らもライン上げてこう!」
トップ下のMFの位置を任された僕も、まわりに声をかけながら徐々に前線へと陣を動かす。
小山田が試合前のミーティングで話していた限りでは、敵チームの二年一組にはサッカー部所属の部員が二名いるらしい。ひとりはDFでもうひとりはGK、どちらも控えのメンバーだ。
だがそれ以上に厄介なのは、タツヒコと同じサッカークラブに通っている生徒がひとり、MFの攻撃的なポジションにいるとのことだった。これまでの試合も、この二人の連携プレーから得点に結びついている。そこを徹底マークするのが室生と荒山に与えられたミッションだ。
「ヘイ、パス!」
「ナイ、パス!」
前線の三人でボールを回しながら相手のスキをうかがうが、なかなか最後の一手が打てない。相手チームはゾーンディフェンスを選択したようだ。ウチのクラスとは違って、向こうは三〇分だけの休憩後の連戦である。ゾーンプレスであれば、あらかじめそれぞれに決められた守備範囲の中に相手が入ってきた時だけ詰めればいいわけで、比較的体力の消耗は少なくて済む。
ピーッ! ピーーーーッ!
結局――。
有効な攻め手の糸口も掴めないまま、前半終了のホイッスルは鳴り響いたのだった。
最終戦のレフェリーを務める梅田センセイの一声で選手たちが集められた。
「キャプテン、前へ! 小山田! 赤川!」
「……」
「……うひひっ」
間に梅田センセイを挟んでいなかったら、今にもひと悶着ありそうな不穏な空気が漂う。口をへの字に引き結んでわずかに視線をずらして立っている小山田に対し、赤川の方はしきりにカラダを左右にゆらゆらと動かして、小山田の神経を逆なでしようといやらしく笑っている。
「二人とも、先攻後攻を決めるじゃんけんだ。じゃん――けん――ぽん!」
しゅっ!
ここでも赤川はまともな対応を拒否して、大きく振りかぶった右手を小山田の目と鼻の先に突き出してみせた。が、小山田は突き出された拳を無視して、ワンテンポ遅れてパーを出す。
「……俺様の勝ち、ってことでいいよな、タツヒコ?」
「ち――っ。好きにしろよぉ、インチキ野郎」
「じゃあ、俺様たちは先行でいかせてもらう。……コートは変えるのかよ?」
「いらねぇよぅ。せっかくお前の負けっぷりを観に集まってるやつらが面倒だろうからなぁ」
二人のやりとりを見守っていた梅田センセイは、小山田の冷静さを横目に、こう告げる。
「いいか? ラフプレーは厳しくとっていくぞ? 普段のようなじゃれあいは一切なしだ。正々堂々とフェアプレーで決着をつけろ。最終戦にふさわしい試合を見せてくれ。いいな?」
「……うす」
「ひひひっ。こんな弱っちぃ連中相手に、小細工なんていらねえよぅ。うひひっ」
「……いいな、赤川?」
「ち――っ。いちいちうるせぇおっさんだなぁ。ファウル、とりたきゃいくらでもとれよぅ」
梅田センは口元から一旦ホイッスルを外し――あきらめたように再びしっかりとくわえ直した。そして、小山田と招かれるまま駆け寄ってきた室生以外を追い払う仕草をする。最後までのろのろとその場をうろついていた赤川がセンターサークルの外に出ると、息を吸い、吐いた。
ピーッ!!
試合開始だ。
室生がソフトタッチしたボールが動き出すや否や、猛烈なイキオイでタツヒコが前へと詰めてくる。しかし、ボールキープ中の小山田は焦るそぶりすら見せない。絶妙なコントロールでかわし、ゆっくりと前線を押し上げていく。
「トップに合わせて、僕らもライン上げてこう!」
トップ下のMFの位置を任された僕も、まわりに声をかけながら徐々に前線へと陣を動かす。
小山田が試合前のミーティングで話していた限りでは、敵チームの二年一組にはサッカー部所属の部員が二名いるらしい。ひとりはDFでもうひとりはGK、どちらも控えのメンバーだ。
だがそれ以上に厄介なのは、タツヒコと同じサッカークラブに通っている生徒がひとり、MFの攻撃的なポジションにいるとのことだった。これまでの試合も、この二人の連携プレーから得点に結びついている。そこを徹底マークするのが室生と荒山に与えられたミッションだ。
「ヘイ、パス!」
「ナイ、パス!」
前線の三人でボールを回しながら相手のスキをうかがうが、なかなか最後の一手が打てない。相手チームはゾーンディフェンスを選択したようだ。ウチのクラスとは違って、向こうは三〇分だけの休憩後の連戦である。ゾーンプレスであれば、あらかじめそれぞれに決められた守備範囲の中に相手が入ってきた時だけ詰めればいいわけで、比較的体力の消耗は少なくて済む。
ピーッ! ピーーーーッ!
結局――。
有効な攻め手の糸口も掴めないまま、前半終了のホイッスルは鳴り響いたのだった。
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