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第340話 並列思考のインヴェスティゲーション at 1995/11/18
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『……ったく! だからあらかじめ忠告してやったのだろうが、古ノ森健太!』
「い、いや、そうなんだけど……。ご、ごめん……」
また今日も、二人だけの『リトライ者』会議だ。
さっそく僕が、なにかいいアドバイスがもらえるのでは、と思い、時巫女・セツナ=コトセに打ち明けたところで――当然のように烈火のごとき厳しいお叱りを受けているところである。
『だから言ったのだ、おかしなところはないかと! それをお前……適当に聞き流しおって!』
「そ、そんなことないってば! それは誤解だって!」
『じゃあ何かね? 何か弁明できるところでもあると?』
「………………ないデス」
スマートフォンごしに、盛大な溜息が聴こえた。
これはさすがの僕でもわかる。呆れた、と言いたいのだろう。
言葉も出ない、そんな感じだ。
「ど、どうしてだと思う? コトセなら推理できるんじゃないかって思ったんだ……けど……」
『推理も何もない』
語尾に近づくにつれ弱々しくなっていく僕のセリフをばっさりと両断するように言う。
『原因なら明白だ。室生? とかいうスカした輩とロコが付き合いはじめたからだろうよ』
ふん、と荒々しい鼻息まで聴こえてきた。お年頃女子にしては珍しく、室生のチートレベルの『人たらし』スキルは、コトセには一切通用しないとみえる。
そこで僕は、ふと、疑問に思う。
「で、でもさ? あの時、あの瞬間、僕のスマホの『DRR』は完全スルーだったんだぜ?」
『ふむ……。あれは、過去には起こらなかった出来事なのだろう? 少々解せないな……』
「あ! 厳密に言えば、反応自体はしてた! ただ……『現実乖離率』が変動しなかったんだ」
『おいおいおい……。もうわかっていると思っていたのだが、一応言っておくぞ――?』
時巫女・セツナ=コトセは、さっきとは違ったニュアンスの呆れ声を出す。
そして続けた。
『「DDR」の通知があるかないかと、「現実乖離率」の変動があるかないかは、まったくの別物だぞ? 二つの意味合いを混同していると、間違った判断をしかねん。気をつけたまえよ』
「? それってどういう……?」
『「DRR」の通知は、元いた時間軸の「未来」に大きく影響を及ぼす可能性のあるイベントが発生した「事実」を意味している。その一方「現実乖離率」の変動は、あくまで今回の選択によって元いた「未来」にどの程度の影響が生じたかの結果で、単なる「数値」でしかない』
「えと……それはつまり……?」
『「歴史」をも揺るがしかねない分岐点が現れたのは、まぎれもない「事実」だということだ。しかもだぞ? 例のごとく「過去の選択肢」は謎のエラーになってしまっていたのだろう?』
「そうか………………!」
僕はきちんと理解しておこうと頭の中で整理する。
球技大会の期間中、『DDR』の通知が届いたのは三日目、最終日に二回だ。一回目は、改心した小山田がクラスメイトたちともう一度最初からやり直す決心をした時だった。二回目は、表彰式のラスト、室生がロコと付き合うことを全校生徒の前で宣言した時だった。
……いや、待てよ?
「あのさ? 『DDR』の通知が同時に二通届いたんだけど……バグのたぐいなのかな?」
『むむ……さすがに私ごときではそこまではわからない。そうかもしれないが、だが――』
「………………だが?」
『同じタイミングで、別の二つのイベントが発生していた可能性は捨てきれないだろうよ』
僕は、むう、と記憶を手繰りながら考える。あの時は、クラスメイト全員がそろった状態で話し合いをしていた。僕のおよびもしない場所で起こったイベントまで通知される? 馬鹿な。
いいや、違う――違ったじゃないか!?
あの時ちょうど体育館では、男子バスケットボールの最終戦が行われていたはずだ。だからもちろん室生をはじめとする出場選手たちは教室にいなかった。
そして――。
球技大会中ずっと顔を見せなかったロコも。
途中で席を立ってしまった桃月天音も。
「い、いや、そうなんだけど……。ご、ごめん……」
また今日も、二人だけの『リトライ者』会議だ。
さっそく僕が、なにかいいアドバイスがもらえるのでは、と思い、時巫女・セツナ=コトセに打ち明けたところで――当然のように烈火のごとき厳しいお叱りを受けているところである。
『だから言ったのだ、おかしなところはないかと! それをお前……適当に聞き流しおって!』
「そ、そんなことないってば! それは誤解だって!」
『じゃあ何かね? 何か弁明できるところでもあると?』
「………………ないデス」
スマートフォンごしに、盛大な溜息が聴こえた。
これはさすがの僕でもわかる。呆れた、と言いたいのだろう。
言葉も出ない、そんな感じだ。
「ど、どうしてだと思う? コトセなら推理できるんじゃないかって思ったんだ……けど……」
『推理も何もない』
語尾に近づくにつれ弱々しくなっていく僕のセリフをばっさりと両断するように言う。
『原因なら明白だ。室生? とかいうスカした輩とロコが付き合いはじめたからだろうよ』
ふん、と荒々しい鼻息まで聴こえてきた。お年頃女子にしては珍しく、室生のチートレベルの『人たらし』スキルは、コトセには一切通用しないとみえる。
そこで僕は、ふと、疑問に思う。
「で、でもさ? あの時、あの瞬間、僕のスマホの『DRR』は完全スルーだったんだぜ?」
『ふむ……。あれは、過去には起こらなかった出来事なのだろう? 少々解せないな……』
「あ! 厳密に言えば、反応自体はしてた! ただ……『現実乖離率』が変動しなかったんだ」
『おいおいおい……。もうわかっていると思っていたのだが、一応言っておくぞ――?』
時巫女・セツナ=コトセは、さっきとは違ったニュアンスの呆れ声を出す。
そして続けた。
『「DDR」の通知があるかないかと、「現実乖離率」の変動があるかないかは、まったくの別物だぞ? 二つの意味合いを混同していると、間違った判断をしかねん。気をつけたまえよ』
「? それってどういう……?」
『「DRR」の通知は、元いた時間軸の「未来」に大きく影響を及ぼす可能性のあるイベントが発生した「事実」を意味している。その一方「現実乖離率」の変動は、あくまで今回の選択によって元いた「未来」にどの程度の影響が生じたかの結果で、単なる「数値」でしかない』
「えと……それはつまり……?」
『「歴史」をも揺るがしかねない分岐点が現れたのは、まぎれもない「事実」だということだ。しかもだぞ? 例のごとく「過去の選択肢」は謎のエラーになってしまっていたのだろう?』
「そうか………………!」
僕はきちんと理解しておこうと頭の中で整理する。
球技大会の期間中、『DDR』の通知が届いたのは三日目、最終日に二回だ。一回目は、改心した小山田がクラスメイトたちともう一度最初からやり直す決心をした時だった。二回目は、表彰式のラスト、室生がロコと付き合うことを全校生徒の前で宣言した時だった。
……いや、待てよ?
「あのさ? 『DDR』の通知が同時に二通届いたんだけど……バグのたぐいなのかな?」
『むむ……さすがに私ごときではそこまではわからない。そうかもしれないが、だが――』
「………………だが?」
『同じタイミングで、別の二つのイベントが発生していた可能性は捨てきれないだろうよ』
僕は、むう、と記憶を手繰りながら考える。あの時は、クラスメイト全員がそろった状態で話し合いをしていた。僕のおよびもしない場所で起こったイベントまで通知される? 馬鹿な。
いいや、違う――違ったじゃないか!?
あの時ちょうど体育館では、男子バスケットボールの最終戦が行われていたはずだ。だからもちろん室生をはじめとする出場選手たちは教室にいなかった。
そして――。
球技大会中ずっと顔を見せなかったロコも。
途中で席を立ってしまった桃月天音も。
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