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第416話 初詣(2) at 1996/1/1
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「あけましておめでとう、ロコちゃん!」
「あけましておめでとう、スミ! その振袖、すっごく似合ってる! かわいいなー!」
「あ……ありがと……。ロ、ロコちゃんの振袖も、とってもステキだよ!」
「あたしは振袖なんてメンドーだし、って言ったんだけどね……ほら、ウチのママがさー」
嫌と言えるはずもなく端から、ロコ、純美子、僕、室生という並び順で、学年トップのイケメン×学年トップの美少女の二人に地味な僕らが挟まれる格好で参拝の列に並ぶことになった。
きゃいきゃいと黄色い声ではしゃぎながらお互いのファッションを褒め合う純美子とロコだったが、僕とムロの間にはなんとも微妙でぎこちない空気感が漂っていた。
「えー……えっと……」
「……」
どこか、むすり、と不機嫌そうにも見える室生の機嫌をとろうと、あちこち見回してハナシのきっかけを見出そうとする僕。その時、気づいたのだ。ロコのあの髪飾りに。
ち、ち、ち――。
ポニーテールを飾る、あの青白く光る蝶。
ロコの身にまとう、青から裾に向けて徐々に明るい水色に変わる地に金の刺繍で満開の梅をあしらった振袖に、その青白く輝く蝶の姿はよくマッチしていた。とても(二つの意味で)子供だましのおもちゃの髪飾りとは思えないコーディネートだ。
(しかし……なぁ……)
他人からの視線、想い、そんなチカラをエネルギーに、あの髪飾りは光るのだ、と僕は推測していた。つまり、僕から見て、あの髪飾りが光って見えるのだとしたら――それはつまり。
「あ、あのさ、ムロ? ひとつ質問していい?」
「いいも何も。そんなこと、気にする仲じゃないだろ?」
輪をかけて不機嫌そうだったけれど、この際、どっちの意味の『仲』でもいい。確かめたい。
「ロコの振袖、すっごくキレイだね! それに、あの青白く光る髪飾りも、とってもいいよ!」
「あー……。うん、キレイすぎて、しばらく声が出なかったよ。河東も……キレイじゃんか」
「うんうん! そうなんだよね! ありがとう、ムロ!」
「……別に、モリケンのことは少しも褒めてないんだけど」
なんとも相容れない意見の相違があるような会話だったけれども、少なくとも室生が見ても、僕と同じようにロコの髪飾りが青白く光って見えることはこれではっきりした。もし室生にあの光が見えていないのだとしたら、僕の仮設が間違いだということになる。
と、突然、はぁ、と室生は溜息を漏らし、わずかにふるふると首を振ってから言った。
「まったく……ロコが見つけなければ、僕はしらんぷりして二人でお参りするつもりだった」
「ご、ごめん……」
「謝る必要ないだろ?」
「で、でもさ……」
「そういうところだよ、君の嫌なところは」
かろうじて僕のところまでしか届かない声量で室生は肩を落としながら告げる。
「……悪いのは君じゃない。僕がしているのは、単なる八つ当たりだ。でも、それをわかってて君は謝ってくれる。それだよ、そこなんだ。僕がどうしても君を好きになれないところはね」
「……」
「いや……忘れてくれ。すまない。新年早々するハナシじゃなかった」
「あ、う、うん……」
その時の僕は、怒るとか気分を害するとか、そんな状況ではなかった。ずっと想いを寄せていたロコと晴れてカップルになれた室生だというのに、どうしてこんなにまで楽しそうではないのだろう、そう漠然と感じてしまったのだ。もしかすると、二人の仲はうまくいってない?
(そんなわけないだろ……学校でだって、あんなに毎日楽しそうに過ごしてるってのに……)
悩める僕を急かすように後ろの参拝客が背を押し、僕はつんのめるようにして前へと進む。
「あけましておめでとう、スミ! その振袖、すっごく似合ってる! かわいいなー!」
「あ……ありがと……。ロ、ロコちゃんの振袖も、とってもステキだよ!」
「あたしは振袖なんてメンドーだし、って言ったんだけどね……ほら、ウチのママがさー」
嫌と言えるはずもなく端から、ロコ、純美子、僕、室生という並び順で、学年トップのイケメン×学年トップの美少女の二人に地味な僕らが挟まれる格好で参拝の列に並ぶことになった。
きゃいきゃいと黄色い声ではしゃぎながらお互いのファッションを褒め合う純美子とロコだったが、僕とムロの間にはなんとも微妙でぎこちない空気感が漂っていた。
「えー……えっと……」
「……」
どこか、むすり、と不機嫌そうにも見える室生の機嫌をとろうと、あちこち見回してハナシのきっかけを見出そうとする僕。その時、気づいたのだ。ロコのあの髪飾りに。
ち、ち、ち――。
ポニーテールを飾る、あの青白く光る蝶。
ロコの身にまとう、青から裾に向けて徐々に明るい水色に変わる地に金の刺繍で満開の梅をあしらった振袖に、その青白く輝く蝶の姿はよくマッチしていた。とても(二つの意味で)子供だましのおもちゃの髪飾りとは思えないコーディネートだ。
(しかし……なぁ……)
他人からの視線、想い、そんなチカラをエネルギーに、あの髪飾りは光るのだ、と僕は推測していた。つまり、僕から見て、あの髪飾りが光って見えるのだとしたら――それはつまり。
「あ、あのさ、ムロ? ひとつ質問していい?」
「いいも何も。そんなこと、気にする仲じゃないだろ?」
輪をかけて不機嫌そうだったけれど、この際、どっちの意味の『仲』でもいい。確かめたい。
「ロコの振袖、すっごくキレイだね! それに、あの青白く光る髪飾りも、とってもいいよ!」
「あー……。うん、キレイすぎて、しばらく声が出なかったよ。河東も……キレイじゃんか」
「うんうん! そうなんだよね! ありがとう、ムロ!」
「……別に、モリケンのことは少しも褒めてないんだけど」
なんとも相容れない意見の相違があるような会話だったけれども、少なくとも室生が見ても、僕と同じようにロコの髪飾りが青白く光って見えることはこれではっきりした。もし室生にあの光が見えていないのだとしたら、僕の仮設が間違いだということになる。
と、突然、はぁ、と室生は溜息を漏らし、わずかにふるふると首を振ってから言った。
「まったく……ロコが見つけなければ、僕はしらんぷりして二人でお参りするつもりだった」
「ご、ごめん……」
「謝る必要ないだろ?」
「で、でもさ……」
「そういうところだよ、君の嫌なところは」
かろうじて僕のところまでしか届かない声量で室生は肩を落としながら告げる。
「……悪いのは君じゃない。僕がしているのは、単なる八つ当たりだ。でも、それをわかってて君は謝ってくれる。それだよ、そこなんだ。僕がどうしても君を好きになれないところはね」
「……」
「いや……忘れてくれ。すまない。新年早々するハナシじゃなかった」
「あ、う、うん……」
その時の僕は、怒るとか気分を害するとか、そんな状況ではなかった。ずっと想いを寄せていたロコと晴れてカップルになれた室生だというのに、どうしてこんなにまで楽しそうではないのだろう、そう漠然と感じてしまったのだ。もしかすると、二人の仲はうまくいってない?
(そんなわけないだろ……学校でだって、あんなに毎日楽しそうに過ごしてるってのに……)
悩める僕を急かすように後ろの参拝客が背を押し、僕はつんのめるようにして前へと進む。
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