419 / 539
第417話 初詣(3) at 1996/1/1
しおりを挟む
――がらん、がらん。ちゃりん。
二礼、二拍手、一礼――。
「じゃあ、あたらめて今年もよろしくな、モリケン」
「こちらこそだよ、ムロ。今年もよろしくお願いします」
「――っ。………………じゃあ、行こう、ロコ」
長い行列もやがて終わりを告げ、無事参拝を終えた僕たちは、社殿の前で別れることにした。最後の去り際に、室生は何か言おうとしたみたいだったけれど――結局口には出さなかった。
「ね? 室生君とどんなお話ししてたの? ずいぶんハナシが弾んでたみたいだったけれど?」
「あ、ああ、うん。まあね――」
こういうところが室生の持つ常時発動型の特技のチカラである。ホントは険悪な仲であろうと、はたから見た時には決して不快な印象を与えないのだ。
「スミちゃんとロコ、どっちの振袖がよく似合ってるのか、とかね。いわゆるカノジョ自慢?」
僕のセリフの、これもまた嘘ではないのだから許されるだろう。
たちまち純美子の頬が寒さ以上に反応してピンクに染まった。
「ふ、ふーん……(照)」
「ほ、ほら! 初詣と来たらさ、やっぱりお決まりの『おみくじ』でしょ! なんかさー、これやらないと、年が明けた気がしないんだよねー。まあ、大体いいのは出ないんだけどさ……」
「はいはい。じゃあ引いてみようね」
おっ、激レアの純美子ママモードだな。しきりに手を引く僕に苦笑しながらついてくる。一応ここではっきり断っておくけれど、僕にそういう歪んだ性癖や願望はない――はずである。
――ちゃりん。ごそごそ……。
「はいっ! 出ました! 開けます!」
ぺりり、と開けて、お目当ての場所をおそるおそる見る――と。
「おっ! 大――!!」
「きゃあぁあああ! や、やめて! こ、来ないでっ!」
「くっそ! なんなんだよ一体!?」
僕は反射的に途中まで開いていた『おみくじ』を閉じて顔を上げ、声のした方向を見る。さすがというべきか、声や音に敏感な純美子の方が先に気づいていたらしい――そのある事実に。
「い、今の声………………ロコちゃん、だったよね!?」
「だと、思う! 僕も!」
なぜか少しフクザツそうな表情をしている純美子に途中まで開けた『おみくじ』を押しつけて――一瞬ためらった僕だったが、ぱあっ、と大輪の椿がほころぶような笑顔に押される。
「……行ってあげて、ケンタ君! あたしの『スキ』なケンタ君は、きっと駆けつけるから!」
「う、うん! ごめんね! 待ってて! 行ってくる!」
振り返って社殿からゆるく下っていく境内を眺めたが――どこから今の叫び声が聴こえたのかまったくわからない。とにかく人、人、人の群れだ。正月ということもあってテキヤの屋台が出ていて余計に雑然としている。が、とにかく走り出した。このどこかにいるはずだ。
(くっそ……これじゃあ……! ん? そうか!)
ロコの『リトライアイテム』、あれを利用すれば見つけられるはずだ!
(ロコ……僕は……あの時からずっと……。くっそ! ぜんぜん青白い光なんて見えないぞ!)
そんな馬鹿な――と途方に暮れていた次の瞬間だった。
どすん、と横合いから甘いフリージアの匂いのする青白い光の主がぶつかってきたのだ。
「ああっ! ケンタ! どうしよう、あたし、とっても怖い! 怖いんだよ! 助けて!」
二礼、二拍手、一礼――。
「じゃあ、あたらめて今年もよろしくな、モリケン」
「こちらこそだよ、ムロ。今年もよろしくお願いします」
「――っ。………………じゃあ、行こう、ロコ」
長い行列もやがて終わりを告げ、無事参拝を終えた僕たちは、社殿の前で別れることにした。最後の去り際に、室生は何か言おうとしたみたいだったけれど――結局口には出さなかった。
「ね? 室生君とどんなお話ししてたの? ずいぶんハナシが弾んでたみたいだったけれど?」
「あ、ああ、うん。まあね――」
こういうところが室生の持つ常時発動型の特技のチカラである。ホントは険悪な仲であろうと、はたから見た時には決して不快な印象を与えないのだ。
「スミちゃんとロコ、どっちの振袖がよく似合ってるのか、とかね。いわゆるカノジョ自慢?」
僕のセリフの、これもまた嘘ではないのだから許されるだろう。
たちまち純美子の頬が寒さ以上に反応してピンクに染まった。
「ふ、ふーん……(照)」
「ほ、ほら! 初詣と来たらさ、やっぱりお決まりの『おみくじ』でしょ! なんかさー、これやらないと、年が明けた気がしないんだよねー。まあ、大体いいのは出ないんだけどさ……」
「はいはい。じゃあ引いてみようね」
おっ、激レアの純美子ママモードだな。しきりに手を引く僕に苦笑しながらついてくる。一応ここではっきり断っておくけれど、僕にそういう歪んだ性癖や願望はない――はずである。
――ちゃりん。ごそごそ……。
「はいっ! 出ました! 開けます!」
ぺりり、と開けて、お目当ての場所をおそるおそる見る――と。
「おっ! 大――!!」
「きゃあぁあああ! や、やめて! こ、来ないでっ!」
「くっそ! なんなんだよ一体!?」
僕は反射的に途中まで開いていた『おみくじ』を閉じて顔を上げ、声のした方向を見る。さすがというべきか、声や音に敏感な純美子の方が先に気づいていたらしい――そのある事実に。
「い、今の声………………ロコちゃん、だったよね!?」
「だと、思う! 僕も!」
なぜか少しフクザツそうな表情をしている純美子に途中まで開けた『おみくじ』を押しつけて――一瞬ためらった僕だったが、ぱあっ、と大輪の椿がほころぶような笑顔に押される。
「……行ってあげて、ケンタ君! あたしの『スキ』なケンタ君は、きっと駆けつけるから!」
「う、うん! ごめんね! 待ってて! 行ってくる!」
振り返って社殿からゆるく下っていく境内を眺めたが――どこから今の叫び声が聴こえたのかまったくわからない。とにかく人、人、人の群れだ。正月ということもあってテキヤの屋台が出ていて余計に雑然としている。が、とにかく走り出した。このどこかにいるはずだ。
(くっそ……これじゃあ……! ん? そうか!)
ロコの『リトライアイテム』、あれを利用すれば見つけられるはずだ!
(ロコ……僕は……あの時からずっと……。くっそ! ぜんぜん青白い光なんて見えないぞ!)
そんな馬鹿な――と途方に暮れていた次の瞬間だった。
どすん、と横合いから甘いフリージアの匂いのする青白い光の主がぶつかってきたのだ。
「ああっ! ケンタ! どうしよう、あたし、とっても怖い! 怖いんだよ! 助けて!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※特別編4が完結しました!(2026.2.22)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」
「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」
「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる