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第419話 誤解と、嫉妬と at 1996/1/1
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「君って奴はどこまで……! 今すぐロコから離れろ、モリケン! さもないと……!!」
女の子なら誰もが憧れる、学年いや学校一の美少年。
スポーツ万能で、誰にでも優しくて、誰からも好かれていて。
それでいて、好きな人のためなら命をも投げ出す覚悟と強い信念を持った――。
その室生秀一という爽やかさを具現化したかのような少年が、凄惨な鬼相を浮かべていた。
「待て! ムロはなんか誤解してる! ハナシを――聞いてくれ!」
「うるさい! もう君の言葉には騙されない! 僕はもう――真実を知ってるんだからな!」
「真実、って、一体なんの――」
――がつん!
一気に僕のカラダは引き剥がされ、鈍い痛みとともに目の前にまばゆい光の花が咲いては消えた。つ――と生温かい錆の臭いのする、どろり、としたモノが這い出てきて息苦しくなる。
「君はどこまでロコのココロを傷つければ気が済むんだ! 君に……そんな権利なんてない!」
「待て、って。僕の、ハナシも、聞いてくれ、って。何か、誤解が――」
――がつん!
また色のない花火が目の前で弾けた。
ピントがズレる。
カラダのバランスが崩れる。
「やめて! やめてよ、ムロ! 違うから! 違うんだって! あたしが『スキ』なのは――」
「……モリケン、だろ? 僕は……知ってる。知ってたんだ。……そう、あの頃から、ずっと」
ロコは必死に叫んだが――室生はロコの泣き顔をじっと見つめると、静かにそう告げた。ロコは――何も言えずに、そっと、口を閉じる。
「小学校の五年と六年。同じ四組になったあの頃からずっと。いいや、きっともっと前からなんだろ? それでも僕は、大切な友だちだと思って、君とも仲良くしようと思った。がんばった。努力したんだ。でも……君がロコの気持ちに気づかないのがどうしても許せなかった……」
「ご……ごめん」
「さっきも言ったはずだぞ? 悪いのは君じゃない。それをわかっていながら君は謝る。そこなんだよ、僕がどうしても君を好きになれないところは! 僕の方が……僕の方が……っ!!」
――がつん!
「が――っ!?」
思わずひざをつきそうになる。
それでも僕は、立っていなければならない、そう思った。
やれやれ――と同時に思う。
(すっかりオトナなんだな、僕は。話せばわかるはず、なんて思い込んでるんだから。ははは)
鼻から出たのか口の中を切ったのかわからない血を拳でぬぐいさり、室生に笑いかけてやる。
「よ――よかったな、ムロ。ここなら誰も来ないし、誰も見てない。思う存分、今までの仕返しができるぞ。学校一の人気者が、底辺陰キャに恋のかけ引きで負けただなんて、恥ずかしくって言えないもんな。大事なカノジョが怖い目にあってたってのに、助けたのはこの僕だぜ?」
――がつん!
「しかも、ロコが助けを求めたのも僕だぜ? おいおい、なんとも頼りないじゃないかよ、二枚目! ちゃんとしっかりカノジョを守ってやれないのなら、この僕が替わってやろうか!」
――がつん!
「ぐ――っ」
さすがにもう限界だった。
ムロの離れ際の一撃が、見事に僕のあごをとらえていた。
よろよろあとずさり、僕はスローモーションであおむけに倒れた。
ロコが駆け寄ってくる。
「ケンタ! あんた大丈――!」
「おい、ロコ……。ここで僕に手を貸しちゃダメなんだぜ……。僕よりもっと……もっともっと傷ついてる奴がいるじゃないか。ムロを……追いかけてやれ。そして、抱きしめてやれ……」
女の子なら誰もが憧れる、学年いや学校一の美少年。
スポーツ万能で、誰にでも優しくて、誰からも好かれていて。
それでいて、好きな人のためなら命をも投げ出す覚悟と強い信念を持った――。
その室生秀一という爽やかさを具現化したかのような少年が、凄惨な鬼相を浮かべていた。
「待て! ムロはなんか誤解してる! ハナシを――聞いてくれ!」
「うるさい! もう君の言葉には騙されない! 僕はもう――真実を知ってるんだからな!」
「真実、って、一体なんの――」
――がつん!
一気に僕のカラダは引き剥がされ、鈍い痛みとともに目の前にまばゆい光の花が咲いては消えた。つ――と生温かい錆の臭いのする、どろり、としたモノが這い出てきて息苦しくなる。
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「待て、って。僕の、ハナシも、聞いてくれ、って。何か、誤解が――」
――がつん!
また色のない花火が目の前で弾けた。
ピントがズレる。
カラダのバランスが崩れる。
「やめて! やめてよ、ムロ! 違うから! 違うんだって! あたしが『スキ』なのは――」
「……モリケン、だろ? 僕は……知ってる。知ってたんだ。……そう、あの頃から、ずっと」
ロコは必死に叫んだが――室生はロコの泣き顔をじっと見つめると、静かにそう告げた。ロコは――何も言えずに、そっと、口を閉じる。
「小学校の五年と六年。同じ四組になったあの頃からずっと。いいや、きっともっと前からなんだろ? それでも僕は、大切な友だちだと思って、君とも仲良くしようと思った。がんばった。努力したんだ。でも……君がロコの気持ちに気づかないのがどうしても許せなかった……」
「ご……ごめん」
「さっきも言ったはずだぞ? 悪いのは君じゃない。それをわかっていながら君は謝る。そこなんだよ、僕がどうしても君を好きになれないところは! 僕の方が……僕の方が……っ!!」
――がつん!
「が――っ!?」
思わずひざをつきそうになる。
それでも僕は、立っていなければならない、そう思った。
やれやれ――と同時に思う。
(すっかりオトナなんだな、僕は。話せばわかるはず、なんて思い込んでるんだから。ははは)
鼻から出たのか口の中を切ったのかわからない血を拳でぬぐいさり、室生に笑いかけてやる。
「よ――よかったな、ムロ。ここなら誰も来ないし、誰も見てない。思う存分、今までの仕返しができるぞ。学校一の人気者が、底辺陰キャに恋のかけ引きで負けただなんて、恥ずかしくって言えないもんな。大事なカノジョが怖い目にあってたってのに、助けたのはこの僕だぜ?」
――がつん!
「しかも、ロコが助けを求めたのも僕だぜ? おいおい、なんとも頼りないじゃないかよ、二枚目! ちゃんとしっかりカノジョを守ってやれないのなら、この僕が替わってやろうか!」
――がつん!
「ぐ――っ」
さすがにもう限界だった。
ムロの離れ際の一撃が、見事に僕のあごをとらえていた。
よろよろあとずさり、僕はスローモーションであおむけに倒れた。
ロコが駆け寄ってくる。
「ケンタ! あんた大丈――!」
「おい、ロコ……。ここで僕に手を貸しちゃダメなんだぜ……。僕よりもっと……もっともっと傷ついてる奴がいるじゃないか。ムロを……追いかけてやれ。そして、抱きしめてやれ……」
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