ラブ×リープ×ループ!

虚仮橋陣屋(こけばしじんや)

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第430話 『代行者』(2) at 1996/1/13

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「お、おい――! そ、それ、どういうことなんだよ、説明してくれよ、コトセ――!?」


 まさか、だった。
 僕は少しでも何か役に立つことを聞き出そうと必死でスマホに向けて問い続ける。


「そんな理由で納得できるかよ!? さんざん遅れておいて、イキナリそんなこと――!」

『お前――得できるか――はカンケイ――い。私はもう――手伝うこ――きない――のだ』

「ねぇ!? なんでよ、コトセ!? 電波が悪くて途切れ途切れで……ちゃんと言って!」

『すま――ない。これい――はむ――のだ』


 どういうことなんだ!?

 やっとコトセから連絡が来たと思ったら、開口一番カノジョは『もうお前たちと連絡を取ることは無しにしたい』と一方的に通告してきたのだ。あまりに――あまりに勝手すぎる。


 ただ、どこか妙に引っかかるのは、コトセからの通信がいつもの様子と少し違うことだった。

 まず、時間を追うごとに回線の状況が悪くなり、今ではもう、ぶつぶつ、とあからさまに途切れていることだ。元々どうやって連絡しているのかさっぱり仕組みがわからない僕だったが――なにせ2G通信の時代が一年前に幕を開けたばかりの世界だ――少なくとも今までに同じような事象が起きたことはない。偶然にしろそうでないにしろ、何か外的要因があるはずだ。

 そして、肝心なコトセの口調だ。うまく説明はできないけれど、カノジョであってカノジョでない気がしてならないのだ。もちろん、声はたしかにコトセの物だった。けれど、その抑揚やイントネーションや、そして言葉の表情というかトーンというか、どこか肝心なものが抜け落ちてしまっている、そんな違和感がどうしてもぬぐいきれなかったのだ。


 僕はその直感を信じてみることにした。
 スマホに向けて必死に訴えかける。


「お、おい、コトセ! もしかして――今はこたえられない状況にいるってことか――!?」

『こたえ――られない。すまな――』

「永久に、ってわけじゃないんだろ!? それとも――!」

『こた――ない――っている――』

「くそっ! 複雑なやりとりはこっちが聞き取れない! カンタンな質問にしないと……!」


 しばし僕は考えを巡らせ――とはいえ一瞬だ――もう一度尋ねる。


「コトセは今、安全か? イエスかノーでこたえてくれ!」

『イエス――』

「無事ならひと安心だ! おい、コトセ! また君と連絡が取れるようになるのか?」

『わ――ない』

「わからない――ってことは、誰か別の、第三者の意思が介入してると考えていいんだな!?」

『イエス――ノー』

「え……。それ、どっちなんだ!? どうしてイエスでノーなんだ!?」

『説――ずかし――じゃな――が、今――とし――ない』

「わ、わかったわかった! ストップだ!」


 いつこの通信が終わってしまうのかもわからない。その状況下で解読不可能なやりとりをしても時間の浪費だ。僕は必死に伝えようとするコトセを制して、今まで得た情報を整理した。


「ひとまず今のところは安全だけれど、再度連絡が取れるようになるかは不明ってことなんだな? そして――その状況に陥ったのはコトセの意思ではなくって他の誰かの可能性が高い!」

『イ……エス……。ザザ、ザザザ――』





 プツン、ツー――ついに切れてしまった。





「くそっ!!」


 思わず僕の口から悪態が飛び出す。その様子を不安げに見つめていたロコは、震えるくちびるからかすれた声でこう告げた。


「ねえ、ケンタ……? もしかして、コトセ――ツッキーたちもあたしたちと同じような――」

「ああ……何かしらの……過去の歴史改変を阻もうとする『代行者』が現れたのかもしれない」

「だ、だったら助けに行かないと!」

「その余裕が僕らにあればね……。いずれにせよ、月曜に――いや、火曜になったらわかるさ」


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