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第465話 エンドレス・バレンタイン(7) at 1996/2/14
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――うひ――うひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひっ!!
――だだだだだん!
――だだだだだん!
「佐倉君はそっちへ! 僕はこのまま降りる!」
狭い空間に、僕の足が断続的に踏み降ろされる音と、タツヒコだったモノが発するおぞけを振るう嘲弄が響き渡る。佐倉君は四階ですぐ一年の教室が並ぶ廊下へと駆けていったが、僕はそれを確認する余裕すらないまま、さらに階下を目指して両足をフル回転させた。
(理科室まで誘導しろったって……! 特殊教室棟は三階からじゃないと入れないぞ……!)
家庭科室や音楽室、そして目指す理科室のある四階建ての特殊教室棟は、連絡通路で僕らの教室のある本棟とつながっていたものの、それは三階だけにしかない。一階まで降りてしまえば技術室の横にある防火扉からも特殊教室棟に入れはするものの、肝心の理科室は二階なのだ。
――だだだだだん!
(リスクは承知の上だ……! 三階の廊下を一気に走り抜けるしかない……!)
――だだだだだん――きゅっ!
階段を降りきり三階の廊下へドリフト気味にターンしたところで目の前の光景に愕然とした。
「お、おい、嘘だろ!? お前ら、すぐに教室に入れ! 僕のうしろからタツヒコが来るぞ!」
「……え? え!?」
「マ、マジかよ!?」
野次馬根性というかなんというか――危機意識がないのには呆れてしまう。男子も女子も、怖いモノ見たさの好奇心で廊下の窓を開け放ち、そこから屋上の様子がうかがえないか見上げていたらしい。おかげで予想を裏切る生徒の数で、さらに僕の警告で完全にパニック状態だ。
「うわぁあああっ! やべえって!」
「どいて! 早く早く! 入れて!」
くそっ――混乱中の生徒たちでまともなルートが確保できない!
それでもまだ教室とは反対側の窓側なら空いていた。さすがにいくらお人好しの僕であっても、危機感ゼロの平和ボケした有象無象の連中までは面倒見きれない。乱暴に押し退けて通る。
と――駆け抜けた後ろの方から。
「ひいいいいいいいいいいっ! 来るな!」
「痛い――痛いよぅ……や、やめてぇー!」
ぼぐり――みちり――ぱく――おおよそ人のカラダから発してはいけない耳を覆いたくなるような嫌な湿り気を帯びた音があちこちから聴こえてきた。そして、それは徐々に迫ってくる。
(く……そ……っ……! でも、ここで足を止めたら、アイツの思う壺だぞ、古ノ森健太!!)
「おい! 僕はこっちだぞ!? そんな連中に構ってて、この僕に追いつけるつもりかよ!?」
「う――――――うひっ!?」
またひとり、逃げ遅れた生徒をいたぶっていたタツヒコだったモノは、僕のセリフを耳にしたとたん、我に返ったように顔を上げたが、濡れた床に足をとられて、びたん、と倒れる。
「ぐ……ぎ……! うひ――うひっ!!」
「はン、いい気味だ。……じゃあ、僕は先に行かせてもらうからな!!」
――うひっ!!
――うひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひっ!!
(結局……まったく僕ってヤツは……。この性格、いいかげん直さないと、痛い目見るぞ……)
滑る素足をバタつかせるようにして、タツヒコだったモノは再び僕だけを狙って走り出した。
――だだだだだん!
――だだだだだん!
「佐倉君はそっちへ! 僕はこのまま降りる!」
狭い空間に、僕の足が断続的に踏み降ろされる音と、タツヒコだったモノが発するおぞけを振るう嘲弄が響き渡る。佐倉君は四階ですぐ一年の教室が並ぶ廊下へと駆けていったが、僕はそれを確認する余裕すらないまま、さらに階下を目指して両足をフル回転させた。
(理科室まで誘導しろったって……! 特殊教室棟は三階からじゃないと入れないぞ……!)
家庭科室や音楽室、そして目指す理科室のある四階建ての特殊教室棟は、連絡通路で僕らの教室のある本棟とつながっていたものの、それは三階だけにしかない。一階まで降りてしまえば技術室の横にある防火扉からも特殊教室棟に入れはするものの、肝心の理科室は二階なのだ。
――だだだだだん!
(リスクは承知の上だ……! 三階の廊下を一気に走り抜けるしかない……!)
――だだだだだん――きゅっ!
階段を降りきり三階の廊下へドリフト気味にターンしたところで目の前の光景に愕然とした。
「お、おい、嘘だろ!? お前ら、すぐに教室に入れ! 僕のうしろからタツヒコが来るぞ!」
「……え? え!?」
「マ、マジかよ!?」
野次馬根性というかなんというか――危機意識がないのには呆れてしまう。男子も女子も、怖いモノ見たさの好奇心で廊下の窓を開け放ち、そこから屋上の様子がうかがえないか見上げていたらしい。おかげで予想を裏切る生徒の数で、さらに僕の警告で完全にパニック状態だ。
「うわぁあああっ! やべえって!」
「どいて! 早く早く! 入れて!」
くそっ――混乱中の生徒たちでまともなルートが確保できない!
それでもまだ教室とは反対側の窓側なら空いていた。さすがにいくらお人好しの僕であっても、危機感ゼロの平和ボケした有象無象の連中までは面倒見きれない。乱暴に押し退けて通る。
と――駆け抜けた後ろの方から。
「ひいいいいいいいいいいっ! 来るな!」
「痛い――痛いよぅ……や、やめてぇー!」
ぼぐり――みちり――ぱく――おおよそ人のカラダから発してはいけない耳を覆いたくなるような嫌な湿り気を帯びた音があちこちから聴こえてきた。そして、それは徐々に迫ってくる。
(く……そ……っ……! でも、ここで足を止めたら、アイツの思う壺だぞ、古ノ森健太!!)
「おい! 僕はこっちだぞ!? そんな連中に構ってて、この僕に追いつけるつもりかよ!?」
「う――――――うひっ!?」
またひとり、逃げ遅れた生徒をいたぶっていたタツヒコだったモノは、僕のセリフを耳にしたとたん、我に返ったように顔を上げたが、濡れた床に足をとられて、びたん、と倒れる。
「ぐ……ぎ……! うひ――うひっ!!」
「はン、いい気味だ。……じゃあ、僕は先に行かせてもらうからな!!」
――うひっ!!
――うひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひっ!!
(結局……まったく僕ってヤツは……。この性格、いいかげん直さないと、痛い目見るぞ……)
滑る素足をバタつかせるようにして、タツヒコだったモノは再び僕だけを狙って走り出した。
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