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第533話 (空白) at ????/??/??
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「や――やめろぉおおおおおおおおおおお! ロコォオオオオオオオオオオ!」
もがいても、もがいても、僕のカラダはなすすべなく漆黒の渦の中へと吸い込まれていく。それを追うように、ロコの手から投げ放たれた青白く輝き続ける蝶がひらひらと舞い踊った。
――カッ!!
そして、渦に触れたとたん、青白い蝶が、ロコの『願い』と『想い』が、真っ暗だった空間をたちまち澄み渡った真夏の空のように、鮮やかに染め上げていく。
すべてを、なにもかもを。
ヴーッ。ヴーッ。ヴーッ。
『――現在の現実乖離率:150パーセント ※警告:システムの初期化を自動実行します』
「――っ!!」
僕はその真っ青な空を見上げ、がくり、と膝をつき、声なき叫びを上げた。
『一緒に帰るってこと。あの時、あの時間に。絶対に絶っ対だからね――?』
約束したじゃないか……!
約束したのに……!
『このロコ様が一緒にいる限り、ケンタの物語はいつもハッピーエンドなんだからねっ――!』
く……そ……っ!
最後の最後まで……お前は……!
僕はいつまでもいつまでも、涙が枯れて、枯れはてるまで、真っ青な空の下で泣き続けた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:125パーセントまで低下』
おい――。
いつまでそこで泣いているつもりかね――。
「………………放っておいてくれ」
お前には戻るべき場所がある――。
「………………放っておいてくれ、って言ってるだろ?」
僕は――俺はひとりきりだった。
ただひとり膝を抱えて、もう出てこない涙を絞り出していた。
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:100パーセントまで低下』
どこからか、感情の一切を排したアナウンスが聴こえてくるが、もう、どうでもよかった。
困るのだ――。
ここにいられては――。
「……はン。『歴史』が変わってしまうから、ってことか? さぞかしいい気分だろうな――」
俺は思わずかっとなって顔を上げ、その声の主を睨みつけようとして――。
「……!? コトセ!? い……いや、ツッキーなのか?」
否――。
お前が見たいと思う姿を借りているにすぎない――。
「……そうかよ。最後の最後まで嫌なヤツだな。恨む顔すら見せてくれない、なんてな――」
ため息すらも空しかった。
ふわふわと浮いているようなその白い姿から目をそむける。
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:80パーセントまで低下』
アナウンスが容赦なく今の現実乖離率を伝える。あのいまいましい取扱説明書の言を借りれば『安心! 安全!』といったところか。この調子ではすぐにもゼロまで戻るのだろう。
まもなく――。
ここすら消えてしまう。私もお前も――。
「……やりたきゃやれよ。元の時間に、元のまま戻ったところで、俺には何もないんだから」
そうか――。
はたしてそうなのだろうか――。
「………………なんだって?」
無視を決め込むつもりだったのだが、さすがに引っかかる。いぶかしむように俺はたずねた。
「どうしてそれを俺に聞くんだ? ええと……くそ、なんて呼べばいいんだよ?」
『過去の歴史』を変えることはできない――。
「………………それで?」
どうやら名乗るつもりはないらしい。
いらだちを隠そうとせずに俺は続きを急かした。
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:50パーセントまで低下』
それは、この私でさえも――。
「……?」
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:20パーセントまで低下』
誰も覚えていないのだから――。
「ちょ――ちょっと待て! お前は一体……何を言ってるんだ!?」
どうせ忘れてしまう――。
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:3パーセントまで低下』
『未来』が変わった、ということさえも――。
「お……い……。ちゃんとわかるように説明してくれ! それはどういう意味なんだ!?」
忘れてしまうのだから――。
「くそっ!」
あんなに鮮やかだった青空が少しずつ、少しずつ消えていく。
俺はスマホを取り出し、
『――システムの初期化が完了しました。現在の現実乖離率:0パーセント』
もがいても、もがいても、僕のカラダはなすすべなく漆黒の渦の中へと吸い込まれていく。それを追うように、ロコの手から投げ放たれた青白く輝き続ける蝶がひらひらと舞い踊った。
――カッ!!
そして、渦に触れたとたん、青白い蝶が、ロコの『願い』と『想い』が、真っ暗だった空間をたちまち澄み渡った真夏の空のように、鮮やかに染め上げていく。
すべてを、なにもかもを。
ヴーッ。ヴーッ。ヴーッ。
『――現在の現実乖離率:150パーセント ※警告:システムの初期化を自動実行します』
「――っ!!」
僕はその真っ青な空を見上げ、がくり、と膝をつき、声なき叫びを上げた。
『一緒に帰るってこと。あの時、あの時間に。絶対に絶っ対だからね――?』
約束したじゃないか……!
約束したのに……!
『このロコ様が一緒にいる限り、ケンタの物語はいつもハッピーエンドなんだからねっ――!』
く……そ……っ!
最後の最後まで……お前は……!
僕はいつまでもいつまでも、涙が枯れて、枯れはてるまで、真っ青な空の下で泣き続けた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:125パーセントまで低下』
おい――。
いつまでそこで泣いているつもりかね――。
「………………放っておいてくれ」
お前には戻るべき場所がある――。
「………………放っておいてくれ、って言ってるだろ?」
僕は――俺はひとりきりだった。
ただひとり膝を抱えて、もう出てこない涙を絞り出していた。
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:100パーセントまで低下』
どこからか、感情の一切を排したアナウンスが聴こえてくるが、もう、どうでもよかった。
困るのだ――。
ここにいられては――。
「……はン。『歴史』が変わってしまうから、ってことか? さぞかしいい気分だろうな――」
俺は思わずかっとなって顔を上げ、その声の主を睨みつけようとして――。
「……!? コトセ!? い……いや、ツッキーなのか?」
否――。
お前が見たいと思う姿を借りているにすぎない――。
「……そうかよ。最後の最後まで嫌なヤツだな。恨む顔すら見せてくれない、なんてな――」
ため息すらも空しかった。
ふわふわと浮いているようなその白い姿から目をそむける。
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:80パーセントまで低下』
アナウンスが容赦なく今の現実乖離率を伝える。あのいまいましい取扱説明書の言を借りれば『安心! 安全!』といったところか。この調子ではすぐにもゼロまで戻るのだろう。
まもなく――。
ここすら消えてしまう。私もお前も――。
「……やりたきゃやれよ。元の時間に、元のまま戻ったところで、俺には何もないんだから」
そうか――。
はたしてそうなのだろうか――。
「………………なんだって?」
無視を決め込むつもりだったのだが、さすがに引っかかる。いぶかしむように俺はたずねた。
「どうしてそれを俺に聞くんだ? ええと……くそ、なんて呼べばいいんだよ?」
『過去の歴史』を変えることはできない――。
「………………それで?」
どうやら名乗るつもりはないらしい。
いらだちを隠そうとせずに俺は続きを急かした。
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:50パーセントまで低下』
それは、この私でさえも――。
「……?」
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:20パーセントまで低下』
誰も覚えていないのだから――。
「ちょ――ちょっと待て! お前は一体……何を言ってるんだ!?」
どうせ忘れてしまう――。
『――システムの初期化を自動実行中……。現在の現実乖離率:3パーセントまで低下』
『未来』が変わった、ということさえも――。
「お……い……。ちゃんとわかるように説明してくれ! それはどういう意味なんだ!?」
忘れてしまうのだから――。
「くそっ!」
あんなに鮮やかだった青空が少しずつ、少しずつ消えていく。
俺はスマホを取り出し、
『――システムの初期化が完了しました。現在の現実乖離率:0パーセント』
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