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事情聴取
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任意同行
任意同行とは、警察等の捜査機関が、犯罪の疑いがある人に対して、取り調べることを目的として、強制ではなく任意で警察署に出頭させること、または警察官が同行すること
S署に連れて行かれた私はまず
「今の私はどういう立場なのですか?」
と質問しました。するとKの部下であるZ巡査部長が
「これは任意同行や。」
と答えたのです。それを聞いた私は任意のはずなのに強制的に連行されたことに疑問を抱きました。帰りたいと告げるもその願いは無視されたのです。
取り調べの最初にKが私に一枚の紙を渡しました。それはポリグラフ検査に応じることの同意することへの署名を求める用紙でした。
ポリグラフ検査
一般的には聞き慣れない検査です。嘘発見機、というと想像しやすいでしょうか。
捜査機関が用いているポリグラフ検査は、両手足首に機械をつけ、質問に答えた時の呼吸状態、心拍数、皮膚電気活動を測定し反応を見るというものでした。
同意書に署名しました。
装置をつけられた私に対し、事件にかかわる質問をされる前にまずテストが行われました。
検査官が
「私たちが顔をうつ伏せている間に目の前に置かれた紙に3~7の数字を一つ選んで記入し、見えないように横に置いてある箱に入れてください。」
と私に指示しました。
私は、7を書き箱の中に入れました。
「あなたが書いたのは3ですか?」
「あなたが書いたのは4ですか?」
こうした質問が何度も繰り返されすべて「いいえ。」と答えるのです。
テストの結果、自分が書いた数字は見事に当てられました。
その後、事件にかかわる質問を検査官がしてきます。
「あなたはS氏の車を一度傷つけましたか?」
「いいえ。」
「あなたはS氏の車を二度傷つけましたか?」
「いいえ。」
「あなたはS氏の車を三度傷つけましたか?」
その時です。曇りガラスになっている覗き窓からこちらを見ている刑事が大きな声で
「あいつの逮捕状はでたか?」
と私に聞こえるように同僚に話したのです。逮捕という言葉を聞いた私の心臓がドキッとするのがわかりました。「いいえ。」と答える私の声が詰まるのも無理はありません。その後は心拍数が早くなり、呼吸も荒くなったように思います。
検査を終えると再び取り調べ室に戻されました。Kは検査の結果を私に教えました。
「ドンピシャだったな~。」
と言われました。
ここから事情聴取が始まりました。
事件があったのは半年前の中旬だと警察は話します。半年前のある特定の一日のことを詳細に覚えている、と言う人がこの世にどれほどいるでしょうか。
少なくとも私はそこまで記憶力が良くありません。
Kは私に向かって
「○月○日の午前2時!どこで何をしてたんだ!」
と怒鳴るように問い詰めます。
「覚えていません。」
と答えます。
私が勤務していた職場はシフト制で固定の休みというものはありません。また二交代制の仕事で日勤と夜勤という勤務があり、決まった曜日に決まった時間を勤務する、という働き方ではありませんでした。
その日が仕事だったか、休みだったか、仕事だとしたら日勤だったか夜勤だったか、など全く覚えていませんでした。
「自分が犯罪したことも覚えてないのか!思い出せ!」
とKは怒鳴ります。
私が思い出すためにKの視線から目を逸らし考えていると、突然Kがバンッ!!と机を叩き
「俺の目を見ろ!なめとんか!自分のしたことを反省しないやつはいずれ人殺しもするぞ!」
と激しく責め立ててきました。
取り調べ中の暴言、恫喝は実際は違法です。
「特別公務員暴行陵虐罪」(刑法第195条1項)という犯罪行為なのです。
今の警察の取り調べはこうした言動が常態化しているのです。取り調べ室の可視化が義務付けられているはずですが、その実施は現状まったく進んでいないのです。
「本当に覚えていません。スマホの中にスケジュール帳を入れてあるので確認してください。」
と私は答えました。
「そんなものは信用できんだろ!答えられないのはやましいことしてるからなんだろ!」
とKの隣にいたZが怒鳴りつけてきます。
しかし警察は職場に当日の私の勤務を確認していたらしく、事件のあった日は夜勤であることがわかりました。
不運なことに、夜勤は1人での勤務のためアリバイの証明ができません。とはいえ、仕事を放り出してその場を離れることなど、もっとできません。
しかし、警察は私が夜勤中に抜け出し、職場の車で被害者宅に行き、車に剥離剤をかけた、と言うのです。
さらに私にとって不利な事実があります。私の両親は別居しており、父が被害者S氏宅から徒歩10分圏内の家で生活しています。私は、父の飼っている犬の散歩によく行っていました。確かにS氏の家の近くを通ることはありましたが、家の前まで行ったことは一度もありません。
警察は私が犬の散歩を名目に、今回の犯行の下調べをしていたのではないかと問い詰めてきたのです。
夜勤と犬の散歩のどちらも、アリバイを証明することはできず、ただただ怒鳴られ続けることしかできませんでした。
そのような任意での聴取が、朝の8時から夕方の5時にまでかけて行われました。終わるまで帰ることも許されず、自分の人格を否定されるような言葉を聞かされ続け、私の自尊心は打ち砕かれました。
5時ごろ、私は任意同行(ほぼ強制連行)の際に乗ってきたミニバンに乗せられ、住んでいるアパートではなく母の住む実家へと連れてこられました。そこでもやはり捜索差し押さえ令状を見せられ実家の部屋全て、倉庫や棚を物色し始めました。
探しているのは恐らく、犯行の際に使われた剥離剤のことだとわかりました。
「明日の10時からまた取り調べするから出頭しろ。」
Kは私にそう告げます。
実家にいた母に事情が説明され、母に身元引き受け人となる用紙に署名をするよう求めました。
警察が帰った後、私は母に事情を説明します。ありがたいことに母は私のことを信じる、と言ってくれました。その言葉に少し安心感を覚えましたが、すでに私の心は壊れかけていました。
その夜は何もする気が起きず、母にアパートへ連れて行ってもらい必要な荷物だけを取り出して、実家で休むことにしました。
明日が、私や家族とって悲劇の日となることはまだ知る由もありませんでした。
任意同行とは、警察等の捜査機関が、犯罪の疑いがある人に対して、取り調べることを目的として、強制ではなく任意で警察署に出頭させること、または警察官が同行すること
S署に連れて行かれた私はまず
「今の私はどういう立場なのですか?」
と質問しました。するとKの部下であるZ巡査部長が
「これは任意同行や。」
と答えたのです。それを聞いた私は任意のはずなのに強制的に連行されたことに疑問を抱きました。帰りたいと告げるもその願いは無視されたのです。
取り調べの最初にKが私に一枚の紙を渡しました。それはポリグラフ検査に応じることの同意することへの署名を求める用紙でした。
ポリグラフ検査
一般的には聞き慣れない検査です。嘘発見機、というと想像しやすいでしょうか。
捜査機関が用いているポリグラフ検査は、両手足首に機械をつけ、質問に答えた時の呼吸状態、心拍数、皮膚電気活動を測定し反応を見るというものでした。
同意書に署名しました。
装置をつけられた私に対し、事件にかかわる質問をされる前にまずテストが行われました。
検査官が
「私たちが顔をうつ伏せている間に目の前に置かれた紙に3~7の数字を一つ選んで記入し、見えないように横に置いてある箱に入れてください。」
と私に指示しました。
私は、7を書き箱の中に入れました。
「あなたが書いたのは3ですか?」
「あなたが書いたのは4ですか?」
こうした質問が何度も繰り返されすべて「いいえ。」と答えるのです。
テストの結果、自分が書いた数字は見事に当てられました。
その後、事件にかかわる質問を検査官がしてきます。
「あなたはS氏の車を一度傷つけましたか?」
「いいえ。」
「あなたはS氏の車を二度傷つけましたか?」
「いいえ。」
「あなたはS氏の車を三度傷つけましたか?」
その時です。曇りガラスになっている覗き窓からこちらを見ている刑事が大きな声で
「あいつの逮捕状はでたか?」
と私に聞こえるように同僚に話したのです。逮捕という言葉を聞いた私の心臓がドキッとするのがわかりました。「いいえ。」と答える私の声が詰まるのも無理はありません。その後は心拍数が早くなり、呼吸も荒くなったように思います。
検査を終えると再び取り調べ室に戻されました。Kは検査の結果を私に教えました。
「ドンピシャだったな~。」
と言われました。
ここから事情聴取が始まりました。
事件があったのは半年前の中旬だと警察は話します。半年前のある特定の一日のことを詳細に覚えている、と言う人がこの世にどれほどいるでしょうか。
少なくとも私はそこまで記憶力が良くありません。
Kは私に向かって
「○月○日の午前2時!どこで何をしてたんだ!」
と怒鳴るように問い詰めます。
「覚えていません。」
と答えます。
私が勤務していた職場はシフト制で固定の休みというものはありません。また二交代制の仕事で日勤と夜勤という勤務があり、決まった曜日に決まった時間を勤務する、という働き方ではありませんでした。
その日が仕事だったか、休みだったか、仕事だとしたら日勤だったか夜勤だったか、など全く覚えていませんでした。
「自分が犯罪したことも覚えてないのか!思い出せ!」
とKは怒鳴ります。
私が思い出すためにKの視線から目を逸らし考えていると、突然Kがバンッ!!と机を叩き
「俺の目を見ろ!なめとんか!自分のしたことを反省しないやつはいずれ人殺しもするぞ!」
と激しく責め立ててきました。
取り調べ中の暴言、恫喝は実際は違法です。
「特別公務員暴行陵虐罪」(刑法第195条1項)という犯罪行為なのです。
今の警察の取り調べはこうした言動が常態化しているのです。取り調べ室の可視化が義務付けられているはずですが、その実施は現状まったく進んでいないのです。
「本当に覚えていません。スマホの中にスケジュール帳を入れてあるので確認してください。」
と私は答えました。
「そんなものは信用できんだろ!答えられないのはやましいことしてるからなんだろ!」
とKの隣にいたZが怒鳴りつけてきます。
しかし警察は職場に当日の私の勤務を確認していたらしく、事件のあった日は夜勤であることがわかりました。
不運なことに、夜勤は1人での勤務のためアリバイの証明ができません。とはいえ、仕事を放り出してその場を離れることなど、もっとできません。
しかし、警察は私が夜勤中に抜け出し、職場の車で被害者宅に行き、車に剥離剤をかけた、と言うのです。
さらに私にとって不利な事実があります。私の両親は別居しており、父が被害者S氏宅から徒歩10分圏内の家で生活しています。私は、父の飼っている犬の散歩によく行っていました。確かにS氏の家の近くを通ることはありましたが、家の前まで行ったことは一度もありません。
警察は私が犬の散歩を名目に、今回の犯行の下調べをしていたのではないかと問い詰めてきたのです。
夜勤と犬の散歩のどちらも、アリバイを証明することはできず、ただただ怒鳴られ続けることしかできませんでした。
そのような任意での聴取が、朝の8時から夕方の5時にまでかけて行われました。終わるまで帰ることも許されず、自分の人格を否定されるような言葉を聞かされ続け、私の自尊心は打ち砕かれました。
5時ごろ、私は任意同行(ほぼ強制連行)の際に乗ってきたミニバンに乗せられ、住んでいるアパートではなく母の住む実家へと連れてこられました。そこでもやはり捜索差し押さえ令状を見せられ実家の部屋全て、倉庫や棚を物色し始めました。
探しているのは恐らく、犯行の際に使われた剥離剤のことだとわかりました。
「明日の10時からまた取り調べするから出頭しろ。」
Kは私にそう告げます。
実家にいた母に事情が説明され、母に身元引き受け人となる用紙に署名をするよう求めました。
警察が帰った後、私は母に事情を説明します。ありがたいことに母は私のことを信じる、と言ってくれました。その言葉に少し安心感を覚えましたが、すでに私の心は壊れかけていました。
その夜は何もする気が起きず、母にアパートへ連れて行ってもらい必要な荷物だけを取り出して、実家で休むことにしました。
明日が、私や家族とって悲劇の日となることはまだ知る由もありませんでした。
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