ラブラブハッピーな未来のために頑張るぞ!

ミミナガ

文字の大きさ
3 / 18

友達と街ブラ

しおりを挟む
 今日は休日。ボクは暇を持て余していた。
 予定が何も無い。休みの日は大抵藤堂とうどうの家で過ごしているのだが、今日は静哉しずやくんに予定が入っているので会えない。静哉しずやくんがいなくても藤堂とうどうの家においでと言われているが、今日は何だか気分じゃない。
 両親はデートだと言って出かけてしまったし、一華いちかちゃんも今朝ボクにマーキングだけして出かけてしまった。拓司たくじは普段寮にいて会えないまいちゃんが帰ってきているので今日は1日連絡も取れないだろう。

スマホを眺めながらふと思いつきでみやびを遊びに誘ったら即返信が来て、現在ボクたちは駅前商店街にいる。友人と2人で遊びに出かけるのは初めてだ。

「僕、友達に遊びに誘われたの初めてなんだ。」

 待ち合わせ場所に嬉しそうに走り寄ってきたみやびはボクと同じことを思っていたらしい。これは遊び倒すしかない。
 駅前商店街といってもちゃんと若者向けのお洒落でリーズナブルなお店は沢山ある。服屋や雑貨屋に入ってキャッキャッとはしゃぎながら遊び回る。お昼ご飯にハンバーガーのお店に入ったときは注文の仕方がわからなくてみやびに教えてもらった。そういえばハンバーガーを食べるときはいつも拓司たくじが注文して僕は席取りの役割だった。
 ゲームセンターに入ったときは大きな音に思わずビクついてしまったが、UFOキャッチャーに夢中になっていたらいつの間にか慣れていた。結局1つも取れずにしょんぼりしていたら店員さんが甘々設定に変えてくれて2人とも1つずつぬいぐるみをゲットできた。ボクは茶色いコーギー、みやびは三毛猫の抱えるほど大きなぬいぐるみだ。店員さんにお礼を言ってゲームセンターを出る。

「黒いコーギーだったらもっと小太郎こたろうにそっくりだったのにね。」
「猫もマンチカンだったらみやびに似てたのにね。」
「それって僕の足が短いってこと?」

 ぷんぷん怒るみやびはボクよりも背が低い。そんなこと言ってないよーとけらけら笑いながら歩いていたら、前から歩いてきた5人グループの1人にぶつかってしまった。「ごめんなさい」とぱっと顔を上げると見覚えのあるようなないよな⋯。

「オメガが外を出歩いてんじゃねーよ。」

 思い出した。クラスは忘れたけど同じ中学の同学年の生徒だ。話したこともないのにいきなりこんな事を言われる筋合いはない。

「わっEクラスのオメガちゃん達じゃーん。」

 ぶつかった男子の後ろにいた4人がわらわらと寄ってきて囲まれる。あっ圧がすごい⋯!
 みやびがボクの背中に隠れる。あ、こいつボクを盾にしたな!しかもボクにだけ聞こえる声で『オメガだったら何なの?遊んじゃダメなの?』と直接言うことの出来ない文句をボソボソと垂れ流している。

「遊びにきたの?俺たちと一緒に遊ぶ?」
(『嫌ですけど。あっち行って!』)ボソボソ

「ふざけんな。オメガと一緒にいて発情されたらどうすんだ。」
(『なに時代錯誤なこと言ってんの?』)ボソボソ

「えーこん中でアルファなのお前だけじゃん。ハーレムハーレム。」
「3Pとか男の夢じゃん。」
「やめろよ。こんなちんちくりんなオメガを俺が相手するわけねーだろ。」
「はぁ?こっちのセリフですけどぉ?」

 黙って聞いていたら聞き捨てならない話になってきたので思わず口を挟む。

「なに勝手にアルファが選ぶ立場になってるの?君みたいな古臭い価値観のアルファなんてこっちから願い下げだね。てか君たち誰?話したこともない相手によくもそんなセクハラじみたこと言えるよね。」

 一気にまくしたてる。背中のみやびが『喧嘩売らないでよぉ』と半泣きになっている。オメガが迫害されていた時代は確かにあったが、今では抑制剤も開発され発情期ヒートも薬で完全に抑えられるようになっている。アルファ用の抑制剤も同様に開発されていて、昔のように事故でつがいになってしまうようなことはほぼ無い。

「オメガが調子乗ってんじゃねーよ。」

 アルファの威圧を出してくる。人に向けて威圧を出すなんて中指を立てるくらい失礼なことだ。でもおかしなことに威圧を出しているはずのアルファ男子の顔色が真っ青だ。ボクは何もしてないよ?
 威圧を出すけれど全く動かないアルファ男子にベータの友達が「なに固まってるんだ?」と肩を叩くとハッとした顔をしてボクの胸ぐらを掴んできた。しかしその手は震えてる。
 このチグハグな行動は何なんだ?と思っていたら横からアルファ男子の手首を掴む手が見えた。

「暴力はいけませんね。」
「イダダダダ!!」

 ボクを掴んでいた手は離され、相手の掴まれた手首がミシミシと音を立てている。

「生徒会長!?」
「俺たち何もやってないっす!!」
「そいつが勝手に絡んでいきました!」

 手首を掴まれているアルファ男子以外の奴らは即、友達を売っていた。

「なに言ってるんだ。下世話な会話で囲んでいて何もしていない訳がないだろう。お前たちは1年A組だな?このことは生徒指導の先生に報告するから反省して休み明けに備えることだな。」

 掴んでいた手首を離し、男子生徒たちを追い払ったのは中学校の生徒会長だった。黒縁眼鏡の奥の目は鋭く、厳しいことで有名で生徒たちから恐れられている。そして背も高いので威圧感が凄まじい。背中のみやびなんて怯えきって「はわゎゎゎ⋯」と声にならない声を出している。そんな生徒会長は胸ぐらを掴まれて皺になったボクの服を綺麗に正してくれた。

「助けるのが遅くなってごめんね。あの連中は普段から素行が悪くて一斉に指導できる機会を伺っていたんだ。一華いちかさんのマーキングがあるから大事にはならないと思って⋯怪我はしていない?」

 なるほど、アルファ男子の顔が真っ青だったのは一華いちかちゃんのつよつよマーキングのせいだったのか。初めてマーキング効果を実感した。

「大丈夫だよ。ありがとう冬真とうまくん。」
「ええっ?小太郎こたろう、生徒会長と知り合いなの?」
「知り合いって言うか、拓司たくじのお兄さんだからね。」
「そういえば苗字が五十嵐いがらしだ⋯。」

 冬真とうまくんはニッコリ笑ってみやびと目線を合わせた。

「そうです。僕は拓司たくじのお兄ちゃんの冬真とうまです。君は小太郎こたろうと同じクラスの飯塚雅いいづかみやびくんだね?」
冬真とうまくんみやびのこと知ってるの?」
「何かあったときに対処しやすいように各学年のオメガの子たちは覚えているんだ。」

 なるほどさすが生徒会長。リスクマネジメントもばっちりだ。

「ところで君たちはこれからどこかに行くの?」
「ううん、もう帰るつもり。」
「僕も帰るところだから一緒に帰ろう。飯塚いいづかくんは2つ先の駅だよね?」

 そう言って冬真とうまくんはみやびを最寄り駅の改札まで送り、その後ボクを家の前まで送ってくれた。
 ボクと別れた後、スマホで電話をしながら歩いていく冬真とうまくんを見送ってから家に入る。冬真とうまくんと拓司たくじが住んでいる五十嵐いがらし家は徒歩5分くらいのところだ。
 さて、今日の楽しかった話を静哉しずやくんにメッセージで送ろうっと。

*******************************
(冬真とうまの電話)

「はい⋯はい、いま家まで送りました。寄り道してませんよ。小太郎こたろうの位置情報は把握してるでしょう?報告書は今日中に送りますので。ええ、Aクラスの男子生徒たちの処罰はこちらにお任せください。あなたはやり過ぎるので絶っっ対に手を出さないで下さいね!」

*******************************

※生徒会長が助けに入ったのはもちろん偶然ではありません。小太郎こたろうが家を出たときから数人のSPが密かに護衛をしていて、オメガの可愛い子ちゃん2人組にちょっかいを出そうとする輩を秘密裏に排除していました。
 静哉しずや小太郎こたろうの管理はしたいけれど行動の制限はしたくないので、表立っての護衛は拓司たくじだけということにしています。
 そして当然みやびについては身辺調査済。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

Ωだったけどイケメンに愛されて幸せです

空兎
BL
男女以外にα、β、Ωの3つの性がある世界で俺はオメガだった。え、マジで?まあなってしまったものは仕方ないし全力でこの性を楽しむぞ!という感じのポジティブビッチのお話。異世界トリップもします。 ※オメガバースの設定をお借りしてます。

起きたらオメガバースの世界になっていました

さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。 しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

『アルファ拒食症』のオメガですが、運命の番に出会いました

小池 月
BL
 大学一年の半田壱兎<はんだ いちと>は男性オメガ。壱兎は生涯ひとりを貫くことを決めた『アルファ拒食症』のバース性診断をうけている。  壱兎は過去に、オメガであるために男子の輪に入れず、女子からは異端として避けられ、孤独を経験している。  加えてベータ男子からの性的からかいを受けて不登校も経験した。そんな経緯から徹底してオメガ性を抑えベータとして生きる『アルファ拒食症』の道を選んだ。  大学に入り壱兎は初めてアルファと出会う。  そのアルファ男性が、壱兎とは違う学部の相川弘夢<あいかわ ひろむ>だった。壱兎と弘夢はすぐに仲良くなるが、弘夢のアルファフェロモンの影響で壱兎に発情期が来てしまう。そこから壱兎のオメガ性との向き合い、弘夢との関係への向き合いが始まるーー。 ☆BLです。全年齢対応作品です☆

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

いい加減観念して結婚してください

彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話 元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。 2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。 作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。

どうも。チートαの運命の番、やらせてもらってます。

Q矢(Q.➽)
BL
アラフォーおっさんΩの一人語りで話が進みます。 典型的、屑には天誅話。 突発的な手慰みショートショート。

処理中です...