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シーズン1 魔法使いの塔
第二章 8)懐かしい話し
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さて、二人でこの美味しい料理に舌鼓をうっていたとき、ふと思ったことがある。
こうやって向かい合ってプラーヌスと食事していて、改めてプラーヌスは美しい人間だと思ってしまったのだ。
それなりに付き合いの長い友人相手に、そんなことを思うなんておかしいと言われそうだけど、一緒に向かい合って食事をしていても、何だか照れ臭くなってくるくらいなのだ。
プラーヌスを女性だと間違える人間はいないと思うけど、その優美で繊細な顔立ちは明らかに女性的な美しさに属している気がする。
料理を口元に運ぶ指先も、丁寧で柔らかだ。
魔法使いのプラーヌスが貴族出身のはずなどないが、どんなに格調高い社交界に出席しても、その美しさと共に、彼の仕草も絶賛されるに違いない。
こうやって二人だけで食事をするのが何だか勿体ない感じなのである。
これはもっと多くの人間に見せる値打ちがある。
「どうしたのさ、シャグラン? 僕の顔に何かついているのか?」
どうやら私は不自然にチラチラとプラーヌスの顔を見ていたのだろう、彼がスープに口をつけながら怪訝そうな表情で訊いてきた。
「い、いや、別に何も・・・。それにしてもこのオムレツは美味しいね」
「ああ、本当に美味しい、このスープもね」
美味しい料理でワインも進んだのか、時間が経つに連れ、更にプラーヌスは上機嫌になったようだった。
彼にしては珍しことに懐かしい思い出話しなんかを語り出した。
絵の勉強をするために、暮らしていた街での話しだ。
私とプラーヌスはその街で出会い、そこで友好を深めたのだ。
こうやってほぼ毎晩、酒場で食事をしながら、一緒にお酒を飲んでいた。
しかしだった。
彼はそのときのことを話し出したのだけど、彼の話している思い出話しに、私は少しもピンと来るところがなかった。
何とも申し訳ないことに、まるで心当たりがない話しばかりだ。
「プラーヌス、悪いけどそれは、別の友人との話しなんじゃないのかな・・・」
プラーヌスはかなりワインを飲んでいるようだった。
もうすっかり酔っぱらったのかもしれない。
「いや、違う、君との話しだよ、間違いなくね。だって僕がこうして心置きなく酒を汲み合わせる相手は君だけなんだから」
「でも」
「じゃあ、あの夜の話しは覚えているはずだ。ほら、あれはどこかで起きていた大きな戦争が終結したという日、戦場から帰還してきた兵士たちが我が物顔で、街の酒場を占拠していたことがあったじゃないか。君は一人の若い兵士に言い掛かりをつけられた」
「え? 僕が?」
覚えていない、そんな記憶まるでないぞ、プラーヌス。
「向こうはかなり酔っぱらっていた。それに戦争が終わった解放感なのか、妙にハイテンションで君に話しかけてきたんだ。しかし何か君の発言に気に入らないところがあったのか、突然怒り出して」
「え? そんなことあったかな・・・」
「君はその若い兵士に胸倉を掴まれ、今にも殴られそうになった。相手は屈強な大男だ。しかも周りには彼の仲間の兵士も大勢いた。一方、君はどうして自分がこんな目に遭わなければいけないのか訳もわからず、ただオロオロしているだけ」
いや、しかしそう言われると、そんなことがあったような気がしてくる。
「だけどちょっとした奇跡が起こった。今にも、君が殴られようとしたとき、突然、別の兵士が君を指差して言ってきたんだ。『お前、シャグランじゃないのか? 俺だよ俺』」
「ああ!」
そう、子供の頃、近所に住んでいた人が、今は兵士になっていて、偶然、その居酒屋に居合わせたのだ!
彼は何と、その軍の中隊長を勤めていた。
その人の仲介で、そのケンカは収まった。私は間一髪、殴られずに済んだ。
どうしてこんな印象的な出来事を忘れていたのだろうか。
しかし一度思い出すと、そのときのことが、まざまざと思い出された。
ガヤガヤとして居酒屋の空気、鼻を突く酒の匂い、今にも殴られそうな寸前、私が感じた恐怖感までも。
「ああ、あれは本当に驚いた。それからはもう兵士がたむろしている酒場には近寄らないようにしてるけど。あの偶然がなければ、腕の一本か二本は折られていたよね」
私は少し興奮気味に言う。
「そうだね」
「僕が殴られかけているのに、君は知らない振りをして酒を飲んでいたし。もちろん、ちょっとした揉め事で魔法を使わせるのは申し訳ないけど・・・」
何と言っても、魔法は高級品なのである。
1回使うごとに宝石が必要だ。
この程度のことで魔法を使っていたら、いくらあっても宝石が足りなくなる。
そのときのプラーヌスはまだまだ無名の魔法使いで、今ほど裕福でなかった。
それにプラーヌスだって腕っぷしは強くない。
口喧嘩なら誰にも負けないような男だけど、酔っ払いを相手に腕力でねじ伏せる力はないはず。
だけど少しは私をかばってくれる素振りを見せてくれても良かったはず。
私は薄情なプラーヌスに、そんな嫌味を言う。
「いや、君を助けたのは僕だよ。あのとき、魔法を使ったんだ」
するとプラーヌスは、少しむきになったような表情で言ってきた。
「え?」
「あんな偶然、滅多にあるものではないさ。実はあれは僕の魔法だったんだよ」
「は?」
私の頭の中に、クエスチョンマークが発生し出す。
「その男と君は、別に知り合いでもなんでもなかった。僕がその男の記憶を、ちょっといじって、ケンカを収めてやったのさ。こんな偶然あるものなんだなって、君はえらく感動していたから、本当のことを言い出すタイミングを逸してしまったんだけど」
「ほ、本当かい?」
「本当さ、あれは魔法が作り出した幻だよ」
プラーヌスは私の驚いている反応を面白がるように、そう言ってきた。
た、確かにありえない偶然だった。
そこは絵画の修行のために移り住んだところ。生まれ故郷から遠く離れた内陸の街。
そんなところで子供時代の知り合いと会うなんて、そうそうあることではない。
ましてや、その人が兵士になっていたなんて、更に低い確率。
「プラーヌス、君という男は! 僕まで騙し続けてどうするつもりなんだよ。今日まで僕はその男に感謝していたのに」
あれ?
しかし僕もその男と知り合いだと思い続けていたということは、プラーヌスは僕にも魔法を掛けていたということか?
「すまないね、本当のことを言わずじまいで。まあ、貴重な宝石を使って君を助けてやったんだ。それで相殺してくれ」
よくわからない。
どうしてそんな面倒なことをしたんだ?
私はその疑問を彼にぶつけようと思ったが、何となく言い出すタイミングを逸してしまった。
確かに何事にもタイミングというものがあるもので、それを逃すと会話の俎上に乗せにくくなるものかもしれない。
それにもはや昔の話し。
今更、事の真相なんてどうでもいい。
「しかしあの頃は貧しかったけど、毎日が楽しかったものだね。戻れるのなら、今でもあのときに戻りたいくらいさ」
一方、プラーヌスは少し遠い目をしながらそんなことを言い始めている。「しかしこうやって今は二人で食事をしているんだから、あの時期に戻れたも同然かもしれないけどね。だったらこの幸福で満足しておこうか」
「別に僕はあの頃と何も変わってないからね。君は今や塔の主だけど、僕はまだまだ駆け出しの肖像画家だよ。どこに戻ってもその事実は変わらないさ」
何となく気分がすっきりしなかったが、私はそう返答する。
「いや、君だって絵の腕はかなり上達しただろ? これまで描けなかったものが描けるようになってるはずだ。お互い成長しているんだよ」
「そうだといいけどね」
こうやって向かい合ってプラーヌスと食事していて、改めてプラーヌスは美しい人間だと思ってしまったのだ。
それなりに付き合いの長い友人相手に、そんなことを思うなんておかしいと言われそうだけど、一緒に向かい合って食事をしていても、何だか照れ臭くなってくるくらいなのだ。
プラーヌスを女性だと間違える人間はいないと思うけど、その優美で繊細な顔立ちは明らかに女性的な美しさに属している気がする。
料理を口元に運ぶ指先も、丁寧で柔らかだ。
魔法使いのプラーヌスが貴族出身のはずなどないが、どんなに格調高い社交界に出席しても、その美しさと共に、彼の仕草も絶賛されるに違いない。
こうやって二人だけで食事をするのが何だか勿体ない感じなのである。
これはもっと多くの人間に見せる値打ちがある。
「どうしたのさ、シャグラン? 僕の顔に何かついているのか?」
どうやら私は不自然にチラチラとプラーヌスの顔を見ていたのだろう、彼がスープに口をつけながら怪訝そうな表情で訊いてきた。
「い、いや、別に何も・・・。それにしてもこのオムレツは美味しいね」
「ああ、本当に美味しい、このスープもね」
美味しい料理でワインも進んだのか、時間が経つに連れ、更にプラーヌスは上機嫌になったようだった。
彼にしては珍しことに懐かしい思い出話しなんかを語り出した。
絵の勉強をするために、暮らしていた街での話しだ。
私とプラーヌスはその街で出会い、そこで友好を深めたのだ。
こうやってほぼ毎晩、酒場で食事をしながら、一緒にお酒を飲んでいた。
しかしだった。
彼はそのときのことを話し出したのだけど、彼の話している思い出話しに、私は少しもピンと来るところがなかった。
何とも申し訳ないことに、まるで心当たりがない話しばかりだ。
「プラーヌス、悪いけどそれは、別の友人との話しなんじゃないのかな・・・」
プラーヌスはかなりワインを飲んでいるようだった。
もうすっかり酔っぱらったのかもしれない。
「いや、違う、君との話しだよ、間違いなくね。だって僕がこうして心置きなく酒を汲み合わせる相手は君だけなんだから」
「でも」
「じゃあ、あの夜の話しは覚えているはずだ。ほら、あれはどこかで起きていた大きな戦争が終結したという日、戦場から帰還してきた兵士たちが我が物顔で、街の酒場を占拠していたことがあったじゃないか。君は一人の若い兵士に言い掛かりをつけられた」
「え? 僕が?」
覚えていない、そんな記憶まるでないぞ、プラーヌス。
「向こうはかなり酔っぱらっていた。それに戦争が終わった解放感なのか、妙にハイテンションで君に話しかけてきたんだ。しかし何か君の発言に気に入らないところがあったのか、突然怒り出して」
「え? そんなことあったかな・・・」
「君はその若い兵士に胸倉を掴まれ、今にも殴られそうになった。相手は屈強な大男だ。しかも周りには彼の仲間の兵士も大勢いた。一方、君はどうして自分がこんな目に遭わなければいけないのか訳もわからず、ただオロオロしているだけ」
いや、しかしそう言われると、そんなことがあったような気がしてくる。
「だけどちょっとした奇跡が起こった。今にも、君が殴られようとしたとき、突然、別の兵士が君を指差して言ってきたんだ。『お前、シャグランじゃないのか? 俺だよ俺』」
「ああ!」
そう、子供の頃、近所に住んでいた人が、今は兵士になっていて、偶然、その居酒屋に居合わせたのだ!
彼は何と、その軍の中隊長を勤めていた。
その人の仲介で、そのケンカは収まった。私は間一髪、殴られずに済んだ。
どうしてこんな印象的な出来事を忘れていたのだろうか。
しかし一度思い出すと、そのときのことが、まざまざと思い出された。
ガヤガヤとして居酒屋の空気、鼻を突く酒の匂い、今にも殴られそうな寸前、私が感じた恐怖感までも。
「ああ、あれは本当に驚いた。それからはもう兵士がたむろしている酒場には近寄らないようにしてるけど。あの偶然がなければ、腕の一本か二本は折られていたよね」
私は少し興奮気味に言う。
「そうだね」
「僕が殴られかけているのに、君は知らない振りをして酒を飲んでいたし。もちろん、ちょっとした揉め事で魔法を使わせるのは申し訳ないけど・・・」
何と言っても、魔法は高級品なのである。
1回使うごとに宝石が必要だ。
この程度のことで魔法を使っていたら、いくらあっても宝石が足りなくなる。
そのときのプラーヌスはまだまだ無名の魔法使いで、今ほど裕福でなかった。
それにプラーヌスだって腕っぷしは強くない。
口喧嘩なら誰にも負けないような男だけど、酔っ払いを相手に腕力でねじ伏せる力はないはず。
だけど少しは私をかばってくれる素振りを見せてくれても良かったはず。
私は薄情なプラーヌスに、そんな嫌味を言う。
「いや、君を助けたのは僕だよ。あのとき、魔法を使ったんだ」
するとプラーヌスは、少しむきになったような表情で言ってきた。
「え?」
「あんな偶然、滅多にあるものではないさ。実はあれは僕の魔法だったんだよ」
「は?」
私の頭の中に、クエスチョンマークが発生し出す。
「その男と君は、別に知り合いでもなんでもなかった。僕がその男の記憶を、ちょっといじって、ケンカを収めてやったのさ。こんな偶然あるものなんだなって、君はえらく感動していたから、本当のことを言い出すタイミングを逸してしまったんだけど」
「ほ、本当かい?」
「本当さ、あれは魔法が作り出した幻だよ」
プラーヌスは私の驚いている反応を面白がるように、そう言ってきた。
た、確かにありえない偶然だった。
そこは絵画の修行のために移り住んだところ。生まれ故郷から遠く離れた内陸の街。
そんなところで子供時代の知り合いと会うなんて、そうそうあることではない。
ましてや、その人が兵士になっていたなんて、更に低い確率。
「プラーヌス、君という男は! 僕まで騙し続けてどうするつもりなんだよ。今日まで僕はその男に感謝していたのに」
あれ?
しかし僕もその男と知り合いだと思い続けていたということは、プラーヌスは僕にも魔法を掛けていたということか?
「すまないね、本当のことを言わずじまいで。まあ、貴重な宝石を使って君を助けてやったんだ。それで相殺してくれ」
よくわからない。
どうしてそんな面倒なことをしたんだ?
私はその疑問を彼にぶつけようと思ったが、何となく言い出すタイミングを逸してしまった。
確かに何事にもタイミングというものがあるもので、それを逃すと会話の俎上に乗せにくくなるものかもしれない。
それにもはや昔の話し。
今更、事の真相なんてどうでもいい。
「しかしあの頃は貧しかったけど、毎日が楽しかったものだね。戻れるのなら、今でもあのときに戻りたいくらいさ」
一方、プラーヌスは少し遠い目をしながらそんなことを言い始めている。「しかしこうやって今は二人で食事をしているんだから、あの時期に戻れたも同然かもしれないけどね。だったらこの幸福で満足しておこうか」
「別に僕はあの頃と何も変わってないからね。君は今や塔の主だけど、僕はまだまだ駆け出しの肖像画家だよ。どこに戻ってもその事実は変わらないさ」
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