私の邪悪な魔法使いの友人2

ロキ

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シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子

第三章 18)魔族のレベル

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 魔法を使うためには、魔界にいる魔族と契約をしなければならない。
 その特別な契約を果たした魔族のことをガルディアンと呼ぶ。
 ガルディアンと契約していなければ、どれだけ優れた魔法使いであっても魔法は使えない。それは基本中の基本。

 今、プラーヌスの水晶玉にアリューシアとシュショテのガルディアンが映っているのだけど、それはただの光の塊にしか見えない。
 しかし確かにシュショテのガルディアンの光の瞬き方は凄まじいものがあった。アリューシアと比べると、太陽と松明くらい違う。

 「これがこの少年のガルディアンだ。どうだ?」

 プラーヌスはアリューシアを見据えながら言った。

 「す、凄いわ」

 その凄まじい瞬きは、アリューシアの水晶玉にも映っているようだ。彼女の白い肌を更に青白く輝かせている。
 その青白い光の中で、アリューシアが驚愕の表情を浮かべている。
 いや、驚きよりも、悔しさも滲ませているようである。
 アリューシアは歯が突き刺さりそうなくらい、自分の唇をぎゅっと噛んでいる。

 「彼を助手として採用した最大の理由はこれ。このガルディアンの強烈さだ。シャグラン、これは本当に驚くべきレベルなんだ。これほどのガルディアンを見つけて、契約を取り結ぶのは簡単ではない。難解な魔法言語に通じていなければいけないし、契約のときにそれなりの代償を支払う必要がある。そもそも、魔法に全人生を捧げなければ不可能だ」

 アリューシアだったっけ? ようやくプラーヌスも彼女の名前を覚えたようだ。

 「君もせめて、彼の半分のレベルの魔族を見つけて、契約をして欲しいね。さもないと僕は君を魔法使いとして認めることは出来ない」

 「は、はい・・・」

 アリューシアが力なく頷く。

 「そういうわけで、今のガルディアンとの契約をすぐに破棄しろ。さあ、早く」

 プラーヌスはいつもの冷たい口調で淡々と言い放った。

 「は、はい・・・」

 アリューシアはすぐに返事を返した。
 しかしそれを実行に移すのは躊躇っているようであった。まるでずっと伸ばしていた髪の毛を、ばっさりと切れと命じられているかのように。
 彼女もそれなりに、今のそのガルディアンとやらに思い入れがあるのかもしれない。

 しかしアリューシアは覚悟を決めたようだ。
 当然かもしれない。プラーヌスがそう命じてきたのだから抗うことは出来ないだろう。彼のことだ。彼女が言うことを聞かなければ、君に指導は出来ないと言い出すに決まっている。
 いや、それより何より、シュショテと直接比べられて、アリューシア自身、自分がどれだけ未熟なのか自覚したのかもしれない。

 アリューシアが石盤に何かを書き始める。すると水晶玉の光が一つ消えた。
 アリューシアがガルディアンとの契約を破棄したのだろう。

 それが消えたのを確かめて、プラーヌスが頷いた。

 「良いだろうアリューシア。君を僕の弟子として認める。明日から君の魔法の指導をしてあげよう」

 「は、はい、プラーヌス様・・・」

 アリューシアが感極まったような声を上げようとする。とにかく、アリューシアは感動しているようだ。
 しかしそれを邪魔するように、別の声が響いた。

 「面白いよな。あのプラーヌスが、魔法の指導とは。お前も子供の世話をするようになったのか。俺が知らない間に、随分大人になったんだな」

 これまでずっと黙っていたカルファルが声を上げたのだ。
 それを受けて、プラーヌスもようやく、カルファルに視線を向けた。

 「そろそろ邪魔な部外者は出て行ってもらおうかな。シャグラン、彼に出口の場所を教えてあげるんだ」

 カルファルはいずれ、そのようなことを言われることを予想していたのかもしれない。だから今まで彼は黙っていたに違いない。
 しかしここに居ることに飽きたのか、もう部屋を追い出されても構わないと思い始めたのか、カルファルはプラーヌスを冷やかすような言葉を吐き始める。

 「いや、邪魔はしてないぜ。本気で感心してるんだ、大人になったお前にね」

 カルファルはへらへらした態度で言う。

 「自分のことしか考えられなかったお前が、誰かに何かを教えるなんてね。不得手なことをしているお前を見るのは、とても微笑ましいぜ」

 「ふーん、そうか、本当に感心しているのなら、君にも協力して欲しいことがある」

 何かを思いついたのか、プラーヌスの視線が怪しく光った。

 「協力だって? プラーヌスが俺に協力を求めてくるなんて! 会わない間にお前は本当に変わったようだな。いいぜ、何でも言えよ、協力してやろう」

 カルファルはその言葉を真に受けたのか、プラーヌスに歩み寄るような態度を見せる。

 「君のガルディアンもここに映すのだ」

 しかしその一言で、カルファルの表情が凍りついた。

 「何だって?」
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