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シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
第三章 20)色仕掛け
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「ちょっと、あんた! どうやってあんな魔族と契約したのよ」
プラーヌスが部屋を出て一息つく間もなく、アリューシアがシュショテに詰め寄り出した。
それはちょっとした豹変だった。
プラーヌスが部屋にいたときのアリューシアを美しい陶器の人形みたいだとすると、彼が去ってからのアリューシアは獰猛な獣。
「ねえ、どうやったのよ! 私に教えないさよ!」
「・・・え、いえ、それはただ単に運が良かったんです」
シュショテが獣に噛まれたら堪らないとばかり、後ずさりながら言う。「でも、それはそれで、凄く苦労しているんです」
「運だけでは無理さ。田舎の羊飼いのように朴訥に見えて、その実、魔族との親近性は高いパーソナリティーの持ち主なのだろう。食えないガキだ、気をつけたほうがいいぞ」
カルファルが口を挟む。
アリューシアは「こいつ、いつまでこの部屋にいる気?」といった表情でカルファルを見るが、彼の意見には同意のようだ。
「運だけでは無理よ。どうやったのか教えなさいよ」
「本当です。魔界でそのガルディアンと運良く出会えて、無理を承知で契約を申し込んだんです。それじゃあこういうことになって・・・」
そもそも、アリューシアのほうがシュショテよりも少し身長が高い。しかも恐怖のせいなのか、シュショテは身体を縮こませているので、更に小さく見える。
「ありえないないね。君は魔法言語をどこまで習得しているんだ?」
カルファルが更にこの話題に食い込んでくる。
「はい、ようやく上位クラスを勉強し始めたくらいです」
「私もそうよ。それなのに、どうしてあんただけが? 自分でずるいと思わないの?」
「そ、そうでしょうか・・・」
「何がそうでしょうかよ! 生意気な態度ね。わかったわ、じゃあ、いくら払えば私に譲ってくれる?」
「え?」
シュショテが本当に驚いたといった表情でアリューシアを見つめる。
俗世間に汚れ切っているだろうカルファルですら、アリューシアのその言葉には驚いていた。
「えーと?」
「だから!」
アリューシアは声を張り上げてから、もしプラーヌスに聞かれてたらと思ったのだろうか、声をひそめた。
「あんたのガルディアンを私に譲ってよ。ねえ、いいでしょ?」
「そ、それは絶対に無理です。誰かに譲るなんて」
「何をかたいこと言ってんのよ、私は五日後までに新しいガルディアンと契約しないと破門されるのよ! ずっとプラーヌス様を待ってたのに、これで破門されたら、あんたを一生恨むからね」
ううん、あなたを殺す。アリューシアは言った。「金貨百枚でどう?」
「おい、こいつは本当に頭がおかしいみたいだな」
カルファルが肩をすくめて、私のほうを見つめてくる。同意してはいけないのはわかっているが、私は思わず頷いてしまう。
「お金だけじゃ嫌なの? じゃあ、私のこと好きに扱っていいわ」
さっきまでの脅迫するような口調を突如切り替え、アリューシアはシュショテの頬に息がかかりそうなほどに接近して、そう囁いた。
「え?」
「私をあげる。何をしてもいいわよ」
「お嬢様、いい加減にしてください。お父様とお母様が悲しみます」
ついに見かねたのか、リーズがアリューシアを叱責した。
「私の喜びは、お父様とお母様の喜びでもあるわ、きっと許してくれる。って言うか、内緒にしておいてよ、リーズ」
さあ、私の部屋に行きましょ。
アリューシアはシュショテの腕を取り、それを自分の胸のほうにぐっと引きつけた。
シュショテの手が、アリューシアのドレスの膨らみにかすかに触れる。シュショテはとてつもなく熱い物に触れたかのように、ハッと手を引く。
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
憐れなくらいにシュショテの顔は真っ赤だった。しかしそれは何とも愛らしい姿で、このまましばらく二人のやり取りを見ていたくもある。
シュショテが助けを求めるように私のほうを見てくるが、私はそれを無視する。
「お嬢様! サンチーヌ様を呼びますよ」
しかしリーズは本気でアリューシアを制止したいようであった。
「リーズ! 私の味方なの? 敵なの? このままだと私はプラーヌス様を失うかもしれないのよ! 手段なんて選んでいられないわ」
「だけどもう恥ずかしいことはお止め下さい」
「ああ、もう、何よ!」
あろうことか、アリューシアは思い通りに行かない苛立ちをそのままぶつけるように、そのシュショテの頬を思い切り叩いた。
しかし、それはあまりに鮮やかな音だったので、むしろ私はその行動に感心したくなった。
一方、鮮やかにビンタされたシュショテは尻餅をついて、呆然と座り込んでいる。
プラーヌスが部屋を出て一息つく間もなく、アリューシアがシュショテに詰め寄り出した。
それはちょっとした豹変だった。
プラーヌスが部屋にいたときのアリューシアを美しい陶器の人形みたいだとすると、彼が去ってからのアリューシアは獰猛な獣。
「ねえ、どうやったのよ! 私に教えないさよ!」
「・・・え、いえ、それはただ単に運が良かったんです」
シュショテが獣に噛まれたら堪らないとばかり、後ずさりながら言う。「でも、それはそれで、凄く苦労しているんです」
「運だけでは無理さ。田舎の羊飼いのように朴訥に見えて、その実、魔族との親近性は高いパーソナリティーの持ち主なのだろう。食えないガキだ、気をつけたほうがいいぞ」
カルファルが口を挟む。
アリューシアは「こいつ、いつまでこの部屋にいる気?」といった表情でカルファルを見るが、彼の意見には同意のようだ。
「運だけでは無理よ。どうやったのか教えなさいよ」
「本当です。魔界でそのガルディアンと運良く出会えて、無理を承知で契約を申し込んだんです。それじゃあこういうことになって・・・」
そもそも、アリューシアのほうがシュショテよりも少し身長が高い。しかも恐怖のせいなのか、シュショテは身体を縮こませているので、更に小さく見える。
「ありえないないね。君は魔法言語をどこまで習得しているんだ?」
カルファルが更にこの話題に食い込んでくる。
「はい、ようやく上位クラスを勉強し始めたくらいです」
「私もそうよ。それなのに、どうしてあんただけが? 自分でずるいと思わないの?」
「そ、そうでしょうか・・・」
「何がそうでしょうかよ! 生意気な態度ね。わかったわ、じゃあ、いくら払えば私に譲ってくれる?」
「え?」
シュショテが本当に驚いたといった表情でアリューシアを見つめる。
俗世間に汚れ切っているだろうカルファルですら、アリューシアのその言葉には驚いていた。
「えーと?」
「だから!」
アリューシアは声を張り上げてから、もしプラーヌスに聞かれてたらと思ったのだろうか、声をひそめた。
「あんたのガルディアンを私に譲ってよ。ねえ、いいでしょ?」
「そ、それは絶対に無理です。誰かに譲るなんて」
「何をかたいこと言ってんのよ、私は五日後までに新しいガルディアンと契約しないと破門されるのよ! ずっとプラーヌス様を待ってたのに、これで破門されたら、あんたを一生恨むからね」
ううん、あなたを殺す。アリューシアは言った。「金貨百枚でどう?」
「おい、こいつは本当に頭がおかしいみたいだな」
カルファルが肩をすくめて、私のほうを見つめてくる。同意してはいけないのはわかっているが、私は思わず頷いてしまう。
「お金だけじゃ嫌なの? じゃあ、私のこと好きに扱っていいわ」
さっきまでの脅迫するような口調を突如切り替え、アリューシアはシュショテの頬に息がかかりそうなほどに接近して、そう囁いた。
「え?」
「私をあげる。何をしてもいいわよ」
「お嬢様、いい加減にしてください。お父様とお母様が悲しみます」
ついに見かねたのか、リーズがアリューシアを叱責した。
「私の喜びは、お父様とお母様の喜びでもあるわ、きっと許してくれる。って言うか、内緒にしておいてよ、リーズ」
さあ、私の部屋に行きましょ。
アリューシアはシュショテの腕を取り、それを自分の胸のほうにぐっと引きつけた。
シュショテの手が、アリューシアのドレスの膨らみにかすかに触れる。シュショテはとてつもなく熱い物に触れたかのように、ハッと手を引く。
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
憐れなくらいにシュショテの顔は真っ赤だった。しかしそれは何とも愛らしい姿で、このまましばらく二人のやり取りを見ていたくもある。
シュショテが助けを求めるように私のほうを見てくるが、私はそれを無視する。
「お嬢様! サンチーヌ様を呼びますよ」
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「リーズ! 私の味方なの? 敵なの? このままだと私はプラーヌス様を失うかもしれないのよ! 手段なんて選んでいられないわ」
「だけどもう恥ずかしいことはお止め下さい」
「ああ、もう、何よ!」
あろうことか、アリューシアは思い通りに行かない苛立ちをそのままぶつけるように、そのシュショテの頬を思い切り叩いた。
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