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シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
第五章 35)シュショテが空に浮かびながら
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勇気か、もしくは好奇心のある者は、その現場に向かっていく。勇気と好奇心のない者は、そこから出来るだけ離れようと逆の方向に向かっている。
街の人たちの反応は、その二つに大別出来そうだ。
私は勇気も好奇心も持ち合わせてはいないが、その現場に向かって走る。だって、おそらくこの騒動の当事者だから。
あの酒場から、私と並走してたくさんの者が現場に向かっている。その中には、先程知り合ったばかりの傭兵スザンナや、酒場にいた他の傭兵たちの姿も見える。
やはり傭兵というのは、勇気と好奇心に満ちたタイプが多いのだろう。何やら彼らは、妙に楽しげにすら見えたりする。
「おい、いったい何が起きているんだ?」
向こうから逃げてくる者を掴まえては、この騒ぎの状況を尋ね回っている者もいた。
私は耳をひそめて、彼らの言葉に耳を傾ける。
彼らがもたらす情報は混乱してはいたが、それが数多く集まるにつれて、一つの像を結ぼうとしていた。
大聖堂崩壊、怪我人多数、魔法使い、混乱の原因は子供!
ああ、恐れていた通りである。これはあの二人が巻き起こした騒ぎ。
しかしいったい何が起きたというのだ。何か大変なことが起きたときは、大聖堂か大きな建物を壊して、こちらに合図を出すなどと言ってはいたが、もちろんそれは冗談で、アリューシアだってちゃんと理解していたはず。
それなのに、いったい何ということをしでかしてくれたのであろうか。
止むに止まない理由があるということであろうか。だとすれば本当に恐るべき出来事が起きているということ。
「こんなこと、この街ではよくあることなのかな?」
私は息を切らして走りながら、同じように息を切らせている隣の傭兵に語り掛ける。もちろん、それを否定する言葉が返ってくるだろう。しかし尋ねずにはいられなかったのだ。
「馬鹿野郎め、大聖堂のあの尖塔は、何百年も前から建っているこの街の誇りだ。これまで、一度も壊れたことなどはない!」
「そ、そうだね」
そんなことを話している間に、どうやら私たちはその現場に辿り着いたようだ。
高い建物が並ぶ街路を抜けた先に大広場があって、その奥にあの大聖堂が聳えている、いや、そのはずであった。しかし今、その空間を占めているのは虚無。
足元には建物の壊れた瓦礫が転がっていた。まだその惨劇は起きたばかりだということを示すように砂煙も立っている。
その混乱の中心を囲むようにして、多くの群衆が遠巻きにその様子を眺めていた。
私もそちらのほうに視線を向ける。
そしてすぐに事態を察知してしまったのであるが、シュショテが空に浮かびながら、何かを叫んだりして、独りで大騒ぎをしていた。
それは想像以上に異様な光景で、私の目の前は真っ暗になった。
シュショテの魔法が大聖堂の尖塔を破壊したことは推測していたが、あの大人しい彼が大声で叫んだりしているのだ。
彼は何かに怯えて様子を見せている。
それは大変な怯え方。まるで狼の大群か、巨大な熊に取り囲まれているかのよう。半狂乱と言ってもいいだろう。
どういう経緯でそうなったのか定かではないが、上半身は裸になっている。彼の白くて細い肌が、無防備なくらい太陽に照らされていた。その姿はあの少年を、とても痛々しくしている。
ああ、シュショテ、いったいどうなっているのだ?
しかしその状況を傍観している場合ではない。シュショテを止めなければいけない。この少年を助けなければいけない。
街の人たちの反応は、その二つに大別出来そうだ。
私は勇気も好奇心も持ち合わせてはいないが、その現場に向かって走る。だって、おそらくこの騒動の当事者だから。
あの酒場から、私と並走してたくさんの者が現場に向かっている。その中には、先程知り合ったばかりの傭兵スザンナや、酒場にいた他の傭兵たちの姿も見える。
やはり傭兵というのは、勇気と好奇心に満ちたタイプが多いのだろう。何やら彼らは、妙に楽しげにすら見えたりする。
「おい、いったい何が起きているんだ?」
向こうから逃げてくる者を掴まえては、この騒ぎの状況を尋ね回っている者もいた。
私は耳をひそめて、彼らの言葉に耳を傾ける。
彼らがもたらす情報は混乱してはいたが、それが数多く集まるにつれて、一つの像を結ぼうとしていた。
大聖堂崩壊、怪我人多数、魔法使い、混乱の原因は子供!
ああ、恐れていた通りである。これはあの二人が巻き起こした騒ぎ。
しかしいったい何が起きたというのだ。何か大変なことが起きたときは、大聖堂か大きな建物を壊して、こちらに合図を出すなどと言ってはいたが、もちろんそれは冗談で、アリューシアだってちゃんと理解していたはず。
それなのに、いったい何ということをしでかしてくれたのであろうか。
止むに止まない理由があるということであろうか。だとすれば本当に恐るべき出来事が起きているということ。
「こんなこと、この街ではよくあることなのかな?」
私は息を切らして走りながら、同じように息を切らせている隣の傭兵に語り掛ける。もちろん、それを否定する言葉が返ってくるだろう。しかし尋ねずにはいられなかったのだ。
「馬鹿野郎め、大聖堂のあの尖塔は、何百年も前から建っているこの街の誇りだ。これまで、一度も壊れたことなどはない!」
「そ、そうだね」
そんなことを話している間に、どうやら私たちはその現場に辿り着いたようだ。
高い建物が並ぶ街路を抜けた先に大広場があって、その奥にあの大聖堂が聳えている、いや、そのはずであった。しかし今、その空間を占めているのは虚無。
足元には建物の壊れた瓦礫が転がっていた。まだその惨劇は起きたばかりだということを示すように砂煙も立っている。
その混乱の中心を囲むようにして、多くの群衆が遠巻きにその様子を眺めていた。
私もそちらのほうに視線を向ける。
そしてすぐに事態を察知してしまったのであるが、シュショテが空に浮かびながら、何かを叫んだりして、独りで大騒ぎをしていた。
それは想像以上に異様な光景で、私の目の前は真っ暗になった。
シュショテの魔法が大聖堂の尖塔を破壊したことは推測していたが、あの大人しい彼が大声で叫んだりしているのだ。
彼は何かに怯えて様子を見せている。
それは大変な怯え方。まるで狼の大群か、巨大な熊に取り囲まれているかのよう。半狂乱と言ってもいいだろう。
どういう経緯でそうなったのか定かではないが、上半身は裸になっている。彼の白くて細い肌が、無防備なくらい太陽に照らされていた。その姿はあの少年を、とても痛々しくしている。
ああ、シュショテ、いったいどうなっているのだ?
しかしその状況を傍観している場合ではない。シュショテを止めなければいけない。この少年を助けなければいけない。
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※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
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