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シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
第六章 2)ギャラック家の深刻な悩み 長子ブルーノの章
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ブルーノの父、ギャラック家の当主カーティスは、次期当主ブルーノの病状を深く憂いている。
どうにかして息子の病気を治癒しなければいけない。さもないと老境に達しつつある彼は、安心して隠居することも出来ない。
いや、それどころかカーティスが病に倒れてしまえば、ギャラック家は滅亡してしまうだろう。
カーティスに孫はいる。しかしまだ幼過ぎる。その年齢でギャラック家を統治出来るわけがない。そこにつけ込み、きっと小賢しい家臣の誰かが、領主の実権を奪い取ってしまうに違いない。
カーティスの大願はボーアホーブ家を滅亡させて、あの金山を奪い取ること。ボーアホーブの潤沢な財産を元手に、ギャラック家を今以上に繫栄させること。
しかしこのままでは、ボーアホーブ家より先にこのギャラック家が消えてしまうかもしれない。それを避けるために、何が何でも息子のブルーノを救わなければいけない。
この病は、あの魔法使いにかけられた呪いが原因ならば、魔法使いに助けを求めるのが筋であろう。
ギャラック家お抱えの魔法使いに、ブルーノの病状を診察させた。
「魔法が原因であろう? いったいどのような魔法だ? どうすれば、この邪悪な魔法を解くことが出来るのだ?」
しかしその魔法使いは困惑の表情で首を振るだけであった。
「わかりません。どのような魔法が使われているのか、私の手には余ります。いえ、果たしてそれが魔法の結果なのかどうかもわかりかねます。松明の炎で火傷をしようが、魔法の炎で火傷をしようが、火傷は火傷です。傷跡は同じ、水膨れをおこして、肌は爛れる。見分けがつきません」
「しかし、ブルーノは今も苦しんでいる。今夜にも、あの発作が襲ってくるかもしれない。いまだにその魔法の呪いが身体に巣食っているという証拠。そなたにはそれも見極められないのか?」
「は、はい。残念ながら・・・」
「無能な魔法使いめ。我が領地からすぐに出ていくがいい!」
カーティスはもっと優秀な魔法使いを探し、ブルーノの病状について相談する。
その魔法使いは、前の魔法使いよりも評判の高い男。ギャラック家といえども、家臣として抱えるのは不可能な上位の魔法使いであり、相談料だけでもかなりの高額。ギャラック家の屋敷に呼び寄せるためにも、数日待たなければいけなかった。
経験の豊かそうな老年の魔法使いであった。しかしその魔法使いも、ブルーノを前にして困惑の表情を浮かべた。
「確かに幻覚を見せる魔法はあります。遠く離れた場所からでも、錯乱に導くだけの幻覚を見せることは不可能ではありません」
「おお、やはりそうか」
「魔法が原因であるならば、きっかけが必ずあります。その邪悪な魔法使いが、黒猫、鴉など、魔法がかけられた使役生物を送り込んでくるはずです。それを確かめるために、その錯乱の瞬間に立ち会いたい」
その魔法使いは屋敷に数日滞在して、ブルーノの一挙手一投足に注意を注ぐ。数日後、ブルーノに錯乱の発作が襲った。
そのとき召使いの一人がブルーノに首筋を噛みつかれ、出血多量で死亡するが、それ以上の犠牲者を出すことなく、ブルーノを鎖で縛りつけることに成功する。
一重の鎖ではそこから脱してしまうことがあるので、腕一本も動かすことが出来ないくらい、鉄の鎖でグルグル巻きにする。
劇的なる発作の瞬間に立ち会った魔法使いであったが、彼は無念そうに首を振った。
「錯乱のとき、それらしき使役生物がやってきた気配はありませんでした。魔法の息がかかった物が近づけば、警告を発するようにしておきましたが、それも反応がありませんでした」
「すなわち、どういうことだ?」
「ブルーノ殿は魔法の影響下にはいないという証拠」
「何だと! そんなことはありえないはず。では、どうしてブルーノは苦しんでいるのだ?」
「はい、私が推察するに・・・」
どうにかして息子の病気を治癒しなければいけない。さもないと老境に達しつつある彼は、安心して隠居することも出来ない。
いや、それどころかカーティスが病に倒れてしまえば、ギャラック家は滅亡してしまうだろう。
カーティスに孫はいる。しかしまだ幼過ぎる。その年齢でギャラック家を統治出来るわけがない。そこにつけ込み、きっと小賢しい家臣の誰かが、領主の実権を奪い取ってしまうに違いない。
カーティスの大願はボーアホーブ家を滅亡させて、あの金山を奪い取ること。ボーアホーブの潤沢な財産を元手に、ギャラック家を今以上に繫栄させること。
しかしこのままでは、ボーアホーブ家より先にこのギャラック家が消えてしまうかもしれない。それを避けるために、何が何でも息子のブルーノを救わなければいけない。
この病は、あの魔法使いにかけられた呪いが原因ならば、魔法使いに助けを求めるのが筋であろう。
ギャラック家お抱えの魔法使いに、ブルーノの病状を診察させた。
「魔法が原因であろう? いったいどのような魔法だ? どうすれば、この邪悪な魔法を解くことが出来るのだ?」
しかしその魔法使いは困惑の表情で首を振るだけであった。
「わかりません。どのような魔法が使われているのか、私の手には余ります。いえ、果たしてそれが魔法の結果なのかどうかもわかりかねます。松明の炎で火傷をしようが、魔法の炎で火傷をしようが、火傷は火傷です。傷跡は同じ、水膨れをおこして、肌は爛れる。見分けがつきません」
「しかし、ブルーノは今も苦しんでいる。今夜にも、あの発作が襲ってくるかもしれない。いまだにその魔法の呪いが身体に巣食っているという証拠。そなたにはそれも見極められないのか?」
「は、はい。残念ながら・・・」
「無能な魔法使いめ。我が領地からすぐに出ていくがいい!」
カーティスはもっと優秀な魔法使いを探し、ブルーノの病状について相談する。
その魔法使いは、前の魔法使いよりも評判の高い男。ギャラック家といえども、家臣として抱えるのは不可能な上位の魔法使いであり、相談料だけでもかなりの高額。ギャラック家の屋敷に呼び寄せるためにも、数日待たなければいけなかった。
経験の豊かそうな老年の魔法使いであった。しかしその魔法使いも、ブルーノを前にして困惑の表情を浮かべた。
「確かに幻覚を見せる魔法はあります。遠く離れた場所からでも、錯乱に導くだけの幻覚を見せることは不可能ではありません」
「おお、やはりそうか」
「魔法が原因であるならば、きっかけが必ずあります。その邪悪な魔法使いが、黒猫、鴉など、魔法がかけられた使役生物を送り込んでくるはずです。それを確かめるために、その錯乱の瞬間に立ち会いたい」
その魔法使いは屋敷に数日滞在して、ブルーノの一挙手一投足に注意を注ぐ。数日後、ブルーノに錯乱の発作が襲った。
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一重の鎖ではそこから脱してしまうことがあるので、腕一本も動かすことが出来ないくらい、鉄の鎖でグルグル巻きにする。
劇的なる発作の瞬間に立ち会った魔法使いであったが、彼は無念そうに首を振った。
「錯乱のとき、それらしき使役生物がやってきた気配はありませんでした。魔法の息がかかった物が近づけば、警告を発するようにしておきましたが、それも反応がありませんでした」
「すなわち、どういうことだ?」
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