私の邪悪な魔法使いの友人2

ロキ

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シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子

第七章 1)光が強烈であれば

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 「シュショテはある魔法使いに呪われているのさ。完全なる逆恨み。あの少年からすれば、身に覚えのないことで」

 私とプラーヌスはいつもの応接の間で食事をしている。テーブルの前にはミリューとアバンドンが作ってくれた料理が並んでいる。
 さっきから何度も欠伸をしていたプラーヌスであったが、その料理を前にして、ようやく眠気が覚めたのか饒舌に喋り始めた。

 「呪いという言葉はアリューシアからも聞いたよ」

 あの修羅場の中、空に浮いたシュショテを見上げながら、アリューシアが私に言ってきた情景を思い出す。
 アリューシアも呪いの何たるかがわからないようであった。私がプラーヌスから説明を聞いて、それをしっかりと彼女に伝えてやらなければいけないであろう。

 「シュショテは自分が迂闊だったと、その時の決断を後悔しているようだけど、僕に言わせれば逆だ。彼はその呪いを引き受けなければ、その上位の魔族と契約することは出来なかった。その魔族がどの魔法使いとも契約を結んでいなかったのは、その横恋慕している厄介な魔法使いがいたからなんだ」

 「はあ」

 よくわからないのだけど、私は先を促すために頷く。

 「用心深い魔法使いたちは、その事実を察知して遠ざかった。しかしからはガキだからね。思わず飛びついて、この様さ。だけどそいつと契約出来たから、シュショテは僕の助手にも採用された。彼はその呪いを受け入れるべきなのだ。彼は光が強烈であれば、それ相応の影もある。いいところ取りは出来ない。それが魔法の世界の摂理、いや、生きることそれ自体の摂理だろう」

 「よ、よくわからないのだけど、でもシュショテがその呪いに苦しんでいることは事実だろ?」

 「そうだ、愚かなことに、彼はいまだ受け止めることなく悩み続けている」

 「その呪いを解く方法は? いや、そもそも彼はどういう経緯でその呪いに掛かることになったんだろうか? まだこっちは話の本質を理解出来ていないのだけど・・・」

 その呪いとやらがどういうものなのか、私にはピンと来ない。そもそもプラーヌスはシュショテの呪いの解説をする気なんてなかったようだ。それはどういう意味なのかと、こっちから聞き出さなければ、この話題は終わってしまいそうな雰囲気。
 だから私はプラーヌスの目を見据えて、この話しをしっかりと教えてくれと迫る。

 「たとえるならば、まあ、こういうことだよ」

 プラーヌスはやはり面倒そうな表情を浮かべたが、とりあえず説明する気になったようだ。

 「例えば君は、誰もいない森で美しい宝石箱を見つけた。当然、拾うだろ?」

 「宝石箱? どうだろう、わからないけれど。もしかしたら何かの罠かもしれない。盗賊団がどこかに身を潜めているかも」

 「盗賊団だって? そんなものはいない。そうだな。蓋も開いていて、まばゆくばかりの宝石の存在も確認出来る。だったら拾うんだろ?」

 「ああ、うん。だったら拾うかもしれないけれど、でも」

 「よし、君は警戒しながらも拾った。しかしその箱の下には蛇が隠れていた。それと知らず、宝石箱に手を出し、君はその蛇に指を噛みつかれた」

 「はあ」

 「毒蛇さ。宝石箱には莫大な宝石が入っていたので、それを君は手に入れることは出来たけれど、しかしその蛇の猛毒にも侵されている。湿気の多い日など、その傷口がドクドクトと疼く」

 「そんなことになれば最悪だ」

 「ああ、しかし君はしばらく働く必要もないくらいの財産が手に入った。それを最悪と受け取るかどうか、身分不相応な幸運の見返りと受け取るか。いずれにしろそれがシュショテの状況だよ。半年ほど前のことらしい。あの年齢にして、かなり高度な魔法言語を習得したシュショテは、更に上位の魔族とガルディアンの契約を結ぼうと魔界にアクセスした。彼だって魔法使いを志すような人間だ。気が弱くて大人しいけれど、野心がないわけじゃない。人並みの上昇志向の持ち主だよ。そこで彼は偶然、ある魔族を見つけた。かなり強烈な魔力を漂わせている魔族だ。こんな魔族と契約することが出来れば、一瞬にして上位の魔法使いになれるような相手。しかもその魔族も、あの少年に関心があるよう」

 「はあ」

 そもそも魔界とやらに不案内だし、魔族と契約するということの意味もイマイチ理解出来ていない私には、彼がさらりと話してくる状況がすぐに呑み込めない。
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