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作@taka29 アートコンセプト エーアイ
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まい年こうれい、あれちのえんそう会のじきが、今年もちかくなりました。
今年はなんと、よくちのおひめさまがあれちへえんそうをききにいらっしゃるとか。
よくちのおしろからあれちまではけっこうなきょりがありますし、じかんもお金もだいぶかかるでしょう。
それをわざわざやってくるなんてよっぽど音がくがすきなのか、それともなにかとくべつなわけがあるのか……まあ、
りゆうはどうあれ、今年はよいえんそう会になるでしょうね。
「あら、 ダイコンさんが……?」
いつものようにやさいたちがあれちにあつまって、がっきのれんしゅうをしていますと
れんしゅうにちこくしてきたニンジンさんがおおあわてでかけこんできました。
「みんな、たいへん!ダイコンさんがびょうきになった!ことしのしきしゃはむりだって!」
「えーっ!?」
とつぜんのしらせに、いちどうはぎょうてんしました。
がくだんのメンバーはダイコン、キャベツ、ニンジン、ハクサイ、サトイモ、白ネギ、トマトの七本です。
「あのダイコンさんが、どうして……」
ダイコンさんはいつもだれよりも早くやってきて、だれよりもおそくまでのこってれんしゅうをしているやさいでした。みんなはダイコンさんのことをそんけいしていたのです。
ところがまさかのけっせき。いったいなにがあったのでしょうか?
みんなには、ひとつだけ心当たりがありました。
「もしかしたら……この前のえんそうがげんいんかもしれない……」
トマトのウラテがいいました。
そう、じつはこのまえのれんしゅうで、
ドドロドドドロドロ♪サトイモちゃんがまちできいてきたというめちゃくちゃなきょくをえんそうし、それにつられたほかのやさいたちもそれぞれじぶんのすきな曲をおのおのえんそうしてしまったのです。
その曲はとうぜんエチュード(れんしゅう曲)ではありませんでした。みんなかって気ままにえんそうしましたので、あれちにとんちんかんなねいろがひびきわたりました。
「きっとそうだわ……。あんなへたくそなえんそうをきいてしまったら、体をこわしてもしかたないわ……」
ハクサイのいうとおりです。やさいたちはんせいしました。せっかくダイコンさんがいてくれるおかげでじょうずなえんそうができていたのに、自分たちのせいでダイコンさんを失いかけるとは……!
「本ばんは2しゅうかんご、みんなでダイコンのところにお見まいいに行こうよ」
「それはいいね」
白ネギのネリオのていあんにウラテがさんせいします。
こうしてみんなはれんしゅうを中だんし、ダイコンさんのいえにむかうことにしました。
さて、ダイコンさんのいえはあれちの片すみにあります。いえの前にあつまったやさいたちはとびらをじゅんばんにノックします。するととびらのむこうから「どうぞぉ」と、へんじがありました。
とびらをあけると、そこにはベッドによこたわるダイコンさんのすがたがありました。かおいろはいつもどおり、ゆきのようにまっしろでしたが、よく見るといつもよりはだがかさついてはりがないような気がします。これはやはりぐあいがわるいようです。
「きてくれたんだ……うれしい」
ダイコンさんにげんきはありませんが、それでもうれしそうにこたえます。
「ごめんねぇ……こんなカッコわるいところみせちゃって……」
「いいんですよ、きにしないでください」
みんなをだいひょうしてウラテがこたえました。
「ありがとう……」
ダイコンさんはもうしわけなさそうにこたえました。
「それよりもダイコンさん、ぐあいはいかがですか?」
心ぱいになったニンジンのニンンがたずねると、ダイコンさんは目をとじてうなりました。
「うーん、みんながかってしてるあいだはふっきできないかな……」
そのことばをきいて、みんなはとてもガッカリしました。このままではえんそう会にまにあいません。どうすればいいのでしょう?
「いいことおもいついた!」
かえりみち、しばらくかんがえたやさいたちはみょうあんを思いつきました。
次の日。ダイコンさんのいえに大きなどなべを引きずってみんながやってきました。
「ダイコンさん、みんなでとびっきりのおふろに入ってあたたまりましょう」
ウラテのていあんにダイコンさんは大よろこび。
さっそくみんないっしょにゆぶねにつかります。
「あ~きもちいいなぁ!みんなありがとぉ!!」
じつはおふろの湯(ゆ)はカツオとこんぶたっぷりの
おいしいダシ汁だったのです。やさいたちは心ゆくまでおだしのおふろをまんきつしました。
それからダイコンさんはベッドでぐっすりねむって、すっかりげんきになりました。
そしてえんそう会とうじつ、ダイコンさんはとくべつのしきぼうをふるいがくだんをしきします。
あいわらずやさいたちのえんそうはバラバラでしたがダイコンさんはそれでもかまわずしきをつづけます。ダイコンはあじをすうやさい、だからみんなのねいろもだしのように自ぜんとすいとっておいしい音色にかえてしまうのです……そしていつのまにかやさしい音色へみちびきました。
「ブラボー! おお…ブラボー!!」
やさいたちのえんそうをきいたおひめさまはかんどうして思わずパチパチとはくしゅをおくりました。
「すばらしいえんそうだわ。わたし、あなたたちの大ファンになってしまいました。ねえ、みなさん、よかったらおしろにきてくれないかしら。こんどおしろでみなさんのえんそう会をひらきます」
「はい、よろこんで!」
がくだんをだいひょうしてウラテがへんじをしました。
こうしてあれちのやさいがくだんはおしろでえんそうできることになりました。
おしろのえんそうかいでもみんなはだいかつやく!
サトイモちゃんのでんきギターもキレキレです。
やさいたちはみんなで力を合わせておいしく大へんしん! やがてそれはりっぱなオーケストラとなりました。
おしまい。
今年はなんと、よくちのおひめさまがあれちへえんそうをききにいらっしゃるとか。
よくちのおしろからあれちまではけっこうなきょりがありますし、じかんもお金もだいぶかかるでしょう。
それをわざわざやってくるなんてよっぽど音がくがすきなのか、それともなにかとくべつなわけがあるのか……まあ、
りゆうはどうあれ、今年はよいえんそう会になるでしょうね。
「あら、 ダイコンさんが……?」
いつものようにやさいたちがあれちにあつまって、がっきのれんしゅうをしていますと
れんしゅうにちこくしてきたニンジンさんがおおあわてでかけこんできました。
「みんな、たいへん!ダイコンさんがびょうきになった!ことしのしきしゃはむりだって!」
「えーっ!?」
とつぜんのしらせに、いちどうはぎょうてんしました。
がくだんのメンバーはダイコン、キャベツ、ニンジン、ハクサイ、サトイモ、白ネギ、トマトの七本です。
「あのダイコンさんが、どうして……」
ダイコンさんはいつもだれよりも早くやってきて、だれよりもおそくまでのこってれんしゅうをしているやさいでした。みんなはダイコンさんのことをそんけいしていたのです。
ところがまさかのけっせき。いったいなにがあったのでしょうか?
みんなには、ひとつだけ心当たりがありました。
「もしかしたら……この前のえんそうがげんいんかもしれない……」
トマトのウラテがいいました。
そう、じつはこのまえのれんしゅうで、
ドドロドドドロドロ♪サトイモちゃんがまちできいてきたというめちゃくちゃなきょくをえんそうし、それにつられたほかのやさいたちもそれぞれじぶんのすきな曲をおのおのえんそうしてしまったのです。
その曲はとうぜんエチュード(れんしゅう曲)ではありませんでした。みんなかって気ままにえんそうしましたので、あれちにとんちんかんなねいろがひびきわたりました。
「きっとそうだわ……。あんなへたくそなえんそうをきいてしまったら、体をこわしてもしかたないわ……」
ハクサイのいうとおりです。やさいたちはんせいしました。せっかくダイコンさんがいてくれるおかげでじょうずなえんそうができていたのに、自分たちのせいでダイコンさんを失いかけるとは……!
「本ばんは2しゅうかんご、みんなでダイコンのところにお見まいいに行こうよ」
「それはいいね」
白ネギのネリオのていあんにウラテがさんせいします。
こうしてみんなはれんしゅうを中だんし、ダイコンさんのいえにむかうことにしました。
さて、ダイコンさんのいえはあれちの片すみにあります。いえの前にあつまったやさいたちはとびらをじゅんばんにノックします。するととびらのむこうから「どうぞぉ」と、へんじがありました。
とびらをあけると、そこにはベッドによこたわるダイコンさんのすがたがありました。かおいろはいつもどおり、ゆきのようにまっしろでしたが、よく見るといつもよりはだがかさついてはりがないような気がします。これはやはりぐあいがわるいようです。
「きてくれたんだ……うれしい」
ダイコンさんにげんきはありませんが、それでもうれしそうにこたえます。
「ごめんねぇ……こんなカッコわるいところみせちゃって……」
「いいんですよ、きにしないでください」
みんなをだいひょうしてウラテがこたえました。
「ありがとう……」
ダイコンさんはもうしわけなさそうにこたえました。
「それよりもダイコンさん、ぐあいはいかがですか?」
心ぱいになったニンジンのニンンがたずねると、ダイコンさんは目をとじてうなりました。
「うーん、みんながかってしてるあいだはふっきできないかな……」
そのことばをきいて、みんなはとてもガッカリしました。このままではえんそう会にまにあいません。どうすればいいのでしょう?
「いいことおもいついた!」
かえりみち、しばらくかんがえたやさいたちはみょうあんを思いつきました。
次の日。ダイコンさんのいえに大きなどなべを引きずってみんながやってきました。
「ダイコンさん、みんなでとびっきりのおふろに入ってあたたまりましょう」
ウラテのていあんにダイコンさんは大よろこび。
さっそくみんないっしょにゆぶねにつかります。
「あ~きもちいいなぁ!みんなありがとぉ!!」
じつはおふろの湯(ゆ)はカツオとこんぶたっぷりの
おいしいダシ汁だったのです。やさいたちは心ゆくまでおだしのおふろをまんきつしました。
それからダイコンさんはベッドでぐっすりねむって、すっかりげんきになりました。
そしてえんそう会とうじつ、ダイコンさんはとくべつのしきぼうをふるいがくだんをしきします。
あいわらずやさいたちのえんそうはバラバラでしたがダイコンさんはそれでもかまわずしきをつづけます。ダイコンはあじをすうやさい、だからみんなのねいろもだしのように自ぜんとすいとっておいしい音色にかえてしまうのです……そしていつのまにかやさしい音色へみちびきました。
「ブラボー! おお…ブラボー!!」
やさいたちのえんそうをきいたおひめさまはかんどうして思わずパチパチとはくしゅをおくりました。
「すばらしいえんそうだわ。わたし、あなたたちの大ファンになってしまいました。ねえ、みなさん、よかったらおしろにきてくれないかしら。こんどおしろでみなさんのえんそう会をひらきます」
「はい、よろこんで!」
がくだんをだいひょうしてウラテがへんじをしました。
こうしてあれちのやさいがくだんはおしろでえんそうできることになりました。
おしろのえんそうかいでもみんなはだいかつやく!
サトイモちゃんのでんきギターもキレキレです。
やさいたちはみんなで力を合わせておいしく大へんしん! やがてそれはりっぱなオーケストラとなりました。
おしまい。
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