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1廃墟
#6
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広大な地下シェルターの奥、管理室はから程近い備蓄燃料タンクが林立する区域。「スーツ」で身を固めたクロエを見つけ、異形は歓喜の雄叫びを上げた。
シールドが降ろされ常夜灯の明かりが反射してクロエの表情は伺えない。
『オォオオオッ!』
腕を振り回しながら異形がクロエに迫る。
一方その頃――。
物陰で人影が息を潜めていた。インナースーツ姿のクロエだ。先刻まで着ていた「スーツ」は異形をおびき寄せる
罠に使った。彼女はニーリングの姿勢でライフルを構えていた。狙いは異形の頭に燦然と輝く王冠の「核」だ。
「……!」
トリガーーにかけた指に力を込める、その時だった。
『クロエさん!大変です!さっきのクソザ……失礼!ライオンみたいな怪物が年末商戦並みにパワーアップしてます!』
腕輪からワカの声が届く。
『ド派手になって新登場ですよ!』
(クッ……!!)
管理室からこちらをモニタリングしているのだろう、悪意のない(?)ワカのナイス妨害にクロエは歯噛しトリガーにかけた指の力を緩める。
(……あのバカ……!!!)
『ク…クロエさん!』
テンパったワカの通信が入る。
『そいつ、なんかヤバいんですって!!』
「……せーよ」
『えっ?なんですか?』
「なんでもねーよ!!」
クロエは思わず叫ぶと再び照準を合わせる。
そして異形の頭のてっぺん、王冠を狙って発砲した。
ガァン!!空気を裂くような騒音と共に弾丸が撃ち出された
しかし次の瞬間、クロエの顔が驚愕に染まる。
放たれた弾が命中する直前、異形が頭を傾けたのである。
そのまま弾は異形の頭を掠め薄暗い地下の闇の奥へ抜けていった。
「!?」
『あぁっ!!外しましたねクロエさん!別にわたしのせいじゃないですから!!』
「いいや、別にお前のせいだ!!!」
『えっ!?』
そんなやり取りをしている間にも異形が迫る。
『あっ!危ないですよ!』
再度クロエは射撃を試みる。今度は横殴りに振り抜かれた異形の腕をかわしながら撃ったため、弾丸は見事に王冠に命中した。
やったか!?)
しかしそれも一瞬のことですぐに傷口が塞がり元の状態に戻ってしまう。
(クッ……弾が奥まで届かないのか……!?)
焦燥感に包まれながらもクロエは反撃の糸口を探そうと必死に思考をフル回転する。
『クロエさん、クロエさん』
腕輪からワカの声が届く。
「何だ!今忙しいんだよ!」
『相手の動きを封じるんですよ』
「んん?」
『だからっ、さっきみたいに怪物の足腰を立たなくするんですよ!』
「どうやって……」
『タンクの爆発を利用するんです、わたしに任せてください』
「おいワカ、ふざけてるなら――」
そう言い残しワカからの通信は向こうから切られた。
「くぅっ……!」
異形の腕が眼前に伸びクロエの手にあったライフルを払いのけた。ワカの最後の連絡から3分、そろそろ限界だ……腰の装備からナイフを抜く。
「享年24か……ふざけんな!」
ナイフを構えクロエは最後の抵抗を試みていた。こいつを倒せなくてもせめてワカの逃げる時間くらいは稼げるはずだ天涯孤独の自分とは違い彼女には帰る場所と待っている家族がいる……ハズだ……だから!
その時だった。突然横合いから飛来し異形の腕をまとめて袈裟斬りにしつつ地面に突き立つ「何か」。それを咄嗟に掴むクロエ。
「クロエさん受け取って!」声と共に投げられたそれは……
「あぁ!?アタシのジャベリンじゃねーか……」
それはクロエの相棒ともいえる槍型狩猟具「ジャベリン」だった。
「封じられましたよね?動き」
恐らく「スーツ」のアシスト機能を使ってぶん投げたのだろう、ドヤ顔のワカにクロエは苦笑を返す。
「お前も大概無茶するよなぁ……」
「……Nevermoreですよクロエさん」
「あ~はいはいありがとよっと」
ワカの台詞の意味を知ってか知らずかクロエは適当な相槌を打ちながらジャベリンを地面から引き抜き構える。
「さて……やるか!」
「早くしてください」
クロエは駆け出し異形のもとへと肉薄した。
「ハァッ!!」
裂帛の気合とともに異形の急所、脳天へ槍を突き入れる。だが、その穂先は結晶で出来た王冠に阻まれ「核」まで届かない。
『グオッ……!』
不意討ちのショックから立ち直った異形が反応する。
両腕をトラバサミ状に変異させクロエを挟み込もうとするが……
「遅い!」
それを上回る速度でクロエが踏み込み再び急所に槍を叩き込む。先程より深く刺さっているのを確認するとさらに二度三度と繰り返した。
「くたばれ!!」
とどめとばかりに渾身の力で振り抜いた槍により異形の「核」は粉々に砕け散る。
『オオォ……』
断末魔の声を上げながら異形が崩れ落ちるのを見届けるとクロエはため息をついた。
「終わった……」
緊張を解き武器を収めるクロエの元にワカが歩み寄る。
「クロエさん、余韻に浸ってるところ悪いんですけど大事な話があります」
シールドが降ろされ常夜灯の明かりが反射してクロエの表情は伺えない。
『オォオオオッ!』
腕を振り回しながら異形がクロエに迫る。
一方その頃――。
物陰で人影が息を潜めていた。インナースーツ姿のクロエだ。先刻まで着ていた「スーツ」は異形をおびき寄せる
罠に使った。彼女はニーリングの姿勢でライフルを構えていた。狙いは異形の頭に燦然と輝く王冠の「核」だ。
「……!」
トリガーーにかけた指に力を込める、その時だった。
『クロエさん!大変です!さっきのクソザ……失礼!ライオンみたいな怪物が年末商戦並みにパワーアップしてます!』
腕輪からワカの声が届く。
『ド派手になって新登場ですよ!』
(クッ……!!)
管理室からこちらをモニタリングしているのだろう、悪意のない(?)ワカのナイス妨害にクロエは歯噛しトリガーにかけた指の力を緩める。
(……あのバカ……!!!)
『ク…クロエさん!』
テンパったワカの通信が入る。
『そいつ、なんかヤバいんですって!!』
「……せーよ」
『えっ?なんですか?』
「なんでもねーよ!!」
クロエは思わず叫ぶと再び照準を合わせる。
そして異形の頭のてっぺん、王冠を狙って発砲した。
ガァン!!空気を裂くような騒音と共に弾丸が撃ち出された
しかし次の瞬間、クロエの顔が驚愕に染まる。
放たれた弾が命中する直前、異形が頭を傾けたのである。
そのまま弾は異形の頭を掠め薄暗い地下の闇の奥へ抜けていった。
「!?」
『あぁっ!!外しましたねクロエさん!別にわたしのせいじゃないですから!!』
「いいや、別にお前のせいだ!!!」
『えっ!?』
そんなやり取りをしている間にも異形が迫る。
『あっ!危ないですよ!』
再度クロエは射撃を試みる。今度は横殴りに振り抜かれた異形の腕をかわしながら撃ったため、弾丸は見事に王冠に命中した。
やったか!?)
しかしそれも一瞬のことですぐに傷口が塞がり元の状態に戻ってしまう。
(クッ……弾が奥まで届かないのか……!?)
焦燥感に包まれながらもクロエは反撃の糸口を探そうと必死に思考をフル回転する。
『クロエさん、クロエさん』
腕輪からワカの声が届く。
「何だ!今忙しいんだよ!」
『相手の動きを封じるんですよ』
「んん?」
『だからっ、さっきみたいに怪物の足腰を立たなくするんですよ!』
「どうやって……」
『タンクの爆発を利用するんです、わたしに任せてください』
「おいワカ、ふざけてるなら――」
そう言い残しワカからの通信は向こうから切られた。
「くぅっ……!」
異形の腕が眼前に伸びクロエの手にあったライフルを払いのけた。ワカの最後の連絡から3分、そろそろ限界だ……腰の装備からナイフを抜く。
「享年24か……ふざけんな!」
ナイフを構えクロエは最後の抵抗を試みていた。こいつを倒せなくてもせめてワカの逃げる時間くらいは稼げるはずだ天涯孤独の自分とは違い彼女には帰る場所と待っている家族がいる……ハズだ……だから!
その時だった。突然横合いから飛来し異形の腕をまとめて袈裟斬りにしつつ地面に突き立つ「何か」。それを咄嗟に掴むクロエ。
「クロエさん受け取って!」声と共に投げられたそれは……
「あぁ!?アタシのジャベリンじゃねーか……」
それはクロエの相棒ともいえる槍型狩猟具「ジャベリン」だった。
「封じられましたよね?動き」
恐らく「スーツ」のアシスト機能を使ってぶん投げたのだろう、ドヤ顔のワカにクロエは苦笑を返す。
「お前も大概無茶するよなぁ……」
「……Nevermoreですよクロエさん」
「あ~はいはいありがとよっと」
ワカの台詞の意味を知ってか知らずかクロエは適当な相槌を打ちながらジャベリンを地面から引き抜き構える。
「さて……やるか!」
「早くしてください」
クロエは駆け出し異形のもとへと肉薄した。
「ハァッ!!」
裂帛の気合とともに異形の急所、脳天へ槍を突き入れる。だが、その穂先は結晶で出来た王冠に阻まれ「核」まで届かない。
『グオッ……!』
不意討ちのショックから立ち直った異形が反応する。
両腕をトラバサミ状に変異させクロエを挟み込もうとするが……
「遅い!」
それを上回る速度でクロエが踏み込み再び急所に槍を叩き込む。先程より深く刺さっているのを確認するとさらに二度三度と繰り返した。
「くたばれ!!」
とどめとばかりに渾身の力で振り抜いた槍により異形の「核」は粉々に砕け散る。
『オオォ……』
断末魔の声を上げながら異形が崩れ落ちるのを見届けるとクロエはため息をついた。
「終わった……」
緊張を解き武器を収めるクロエの元にワカが歩み寄る。
「クロエさん、余韻に浸ってるところ悪いんですけど大事な話があります」
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