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1廃墟
#8γ
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「(ズルズル)……だから国産の小麦粉は1977年まで漂白剤を使って漂白していたんですよ。クロエさんはそんなことも知らなかったんですか?(ズルズル)」
「(ズルルルッ)……アタシはお前に感心してきたよ……」
甘辛い出汁がよく染みてふっくら柔らかなお揚げ
程よく出汁が絡んで喉ごしも絶妙な麺と、そこに絡まる温かい昆布出汁ベースのおつゆ。その美味しさに思わず顔がほころぶ。
除洗棟を発った二人はクロエの自宅に程近い、創業1897年、老舗うどん屋で夕飯を摂っていた。クロエはパンツスーツ、ワカはオクショウに無償?提供された洋服姿である。ちなみにメニューは二人お揃いのもきつねうどんだった。
「そんな浅学でよくこの店に通えましたね。これからは店に入ってうどんを食べ終わるまで目隠しをしていてください(ズル……)」
「(ゴフッ)そ、そんな特殊プレイは嫌だよ! そもそもワカちゃんこそ、この店今日が初めてだろ!店のこと何か知ってるのかよ!?裏メニューとか言えんの!?」
クロエが顔を真っ赤にして反論する。しかしワカは涼しい顔で人差し指をチッチッと振ると
「わたしはうどん検定準2級合格見込みですよ?ちなみに一番難しい一級だと『うどん』という漢字を書くことができます」
「何それ!? 意味わかんないんだけど!!」
「……クロエさん黙食ですよ?大声で話してると他の人に迷惑です」
「(ズルルルッ)……くっ……。なんなんだよ……」
そう言うとクロエは食事を再開した。クロエは麺類を食べる時は必ず音を立てて食べる。子供の頃からの癖で周りの大人に下品だからやめなさい、と散々口酸っぱく言われたが結局その癖は直らなかった。
「それにしても美味しいです。いいお店をご存知なんですね。クロエさんは」
「……まあな」
嬉しそうに笑うワカは見かけより幼く見えて、なんだか可愛らしい。クロエがそんなことを思っていると不意に背後から声をかけられた。
「あ~すいません。相席よろしいですか?」
そこにはビジネススーツ姿の健康的に日焼けした丸刈りの中年男が立っていた。には湯気を立てる丼を乗せたトレイをを持っている。「どうぞ」
ワカが素っ気なく答えると男は隣に座ってきた。
そして唐突に割り箸を割ってうどんに手……をつけ始めた!?
「いやぁー参ったよ。急に仕事が入ったんだよね。でも僕ここのうどん食べたかったから間に合ってよかった~」
「な、な、な!?」
謎のおっさんの行動にワカの顔色がみるみる青ざめる。その様子を見てクロエがすかさずフォローに入る。
「ワカちゃん安心しろ。この人はアタシ達の上司のフドウさんだ簡単にいうとうちで上から二番目に偉い」「えぇ!?」
フドウと呼ばれた中年男性は麺をすすりながら笑顔を見せる。
「いぇーい!美人姉妹発見!!」
「(ゴフッ)ちょ、ちょっと!局長代行っ!アタシの妹じゃないです!」
「わかってるって冗談だってば~怒らないでよ~」
フドウは幼い子供のように答え、頭を防御するポーズをとる。
「クロエさん……このおっさん頭おかしいんですか?この国大丈夫ですか?」
ワカが警戒心を露わにしてクロエに小声で尋ねる。
「心配するな、このおっさんはいつもこんな感じだ。慣れれば可愛いもんさ」
「あのぉー僕もおうどん食べたいんだけど、三人で分けっこしない? その方が楽しく食べられるじゃん」
フドウの提案にワカは首を横に振る。
「ダメです。これはクロエさんの分です」
「えぇーいいじゃ~ん。ねぇ~頼むよ~」
フドウはそう言いながら甘えた口調でクロエの隣の席に座り、彼女の丼に箸を伸ばそうとする。と、その時。「いい加減にしてください!度を越すと殴りますよ!」
クロエの左ストレートがフドウの頬にクリーンヒットする……かに見えたが寸前でフドウに拳をガッチリと掴まれてしまった。
「おう、なまってはいないようだな」
「ぐぬぬ……」
先ほどと打って変わって鋭い眼光でクロエを見つめるフドウ。だがそれも一瞬のことで、すぐに表情を和らげる。
「君がアンザガワ ワカ君だね今日、廃都市でノラモトに保護されたっていう」
「は、はい……そうですけど……」
「ノラモトから君のことは聞いているよ。色々と大変だったみたいだね。今夜はゆっくりと休みなさい」
「えっと……ありがとうございます」
ワカが恐る恐る礼を言うとフドウは再び笑顔になって、今度はワカの肩をポンポンと叩いてから、立ち上がり店を出ていった。
「あれが、局長代行か……」
「ああ、なかなか面白いだろ」
「なんか変な人でしたね」
「そうだな、まあ悪い人ではないんだよ。ただ少しばかりテンションが高いというか……」
ワカがポツリと洩らす
「……クロエさんって、ただの自称女戦士で痛いコスプレおばさんかと思ってました……けど本当に組織に属す人間なんですね」
「ワ、ワカちゃん!?何しんみり語ってるの!まだアタシら知りったばっかりじゃないか!」
「クロエさん」
「うん?」
「もう夜遅いですから、うどんを食べたら帰って寝ましょう」
「うん……」
「……フドウさんの置き土産の手付かずのデカ盛り
カツ丼は私が責任をもって処理します」
「うn!?」
こうして二人はクロエのマンションへと帰宅することになった。
「(ズルルルッ)……アタシはお前に感心してきたよ……」
甘辛い出汁がよく染みてふっくら柔らかなお揚げ
程よく出汁が絡んで喉ごしも絶妙な麺と、そこに絡まる温かい昆布出汁ベースのおつゆ。その美味しさに思わず顔がほころぶ。
除洗棟を発った二人はクロエの自宅に程近い、創業1897年、老舗うどん屋で夕飯を摂っていた。クロエはパンツスーツ、ワカはオクショウに無償?提供された洋服姿である。ちなみにメニューは二人お揃いのもきつねうどんだった。
「そんな浅学でよくこの店に通えましたね。これからは店に入ってうどんを食べ終わるまで目隠しをしていてください(ズル……)」
「(ゴフッ)そ、そんな特殊プレイは嫌だよ! そもそもワカちゃんこそ、この店今日が初めてだろ!店のこと何か知ってるのかよ!?裏メニューとか言えんの!?」
クロエが顔を真っ赤にして反論する。しかしワカは涼しい顔で人差し指をチッチッと振ると
「わたしはうどん検定準2級合格見込みですよ?ちなみに一番難しい一級だと『うどん』という漢字を書くことができます」
「何それ!? 意味わかんないんだけど!!」
「……クロエさん黙食ですよ?大声で話してると他の人に迷惑です」
「(ズルルルッ)……くっ……。なんなんだよ……」
そう言うとクロエは食事を再開した。クロエは麺類を食べる時は必ず音を立てて食べる。子供の頃からの癖で周りの大人に下品だからやめなさい、と散々口酸っぱく言われたが結局その癖は直らなかった。
「それにしても美味しいです。いいお店をご存知なんですね。クロエさんは」
「……まあな」
嬉しそうに笑うワカは見かけより幼く見えて、なんだか可愛らしい。クロエがそんなことを思っていると不意に背後から声をかけられた。
「あ~すいません。相席よろしいですか?」
そこにはビジネススーツ姿の健康的に日焼けした丸刈りの中年男が立っていた。には湯気を立てる丼を乗せたトレイをを持っている。「どうぞ」
ワカが素っ気なく答えると男は隣に座ってきた。
そして唐突に割り箸を割ってうどんに手……をつけ始めた!?
「いやぁー参ったよ。急に仕事が入ったんだよね。でも僕ここのうどん食べたかったから間に合ってよかった~」
「な、な、な!?」
謎のおっさんの行動にワカの顔色がみるみる青ざめる。その様子を見てクロエがすかさずフォローに入る。
「ワカちゃん安心しろ。この人はアタシ達の上司のフドウさんだ簡単にいうとうちで上から二番目に偉い」「えぇ!?」
フドウと呼ばれた中年男性は麺をすすりながら笑顔を見せる。
「いぇーい!美人姉妹発見!!」
「(ゴフッ)ちょ、ちょっと!局長代行っ!アタシの妹じゃないです!」
「わかってるって冗談だってば~怒らないでよ~」
フドウは幼い子供のように答え、頭を防御するポーズをとる。
「クロエさん……このおっさん頭おかしいんですか?この国大丈夫ですか?」
ワカが警戒心を露わにしてクロエに小声で尋ねる。
「心配するな、このおっさんはいつもこんな感じだ。慣れれば可愛いもんさ」
「あのぉー僕もおうどん食べたいんだけど、三人で分けっこしない? その方が楽しく食べられるじゃん」
フドウの提案にワカは首を横に振る。
「ダメです。これはクロエさんの分です」
「えぇーいいじゃ~ん。ねぇ~頼むよ~」
フドウはそう言いながら甘えた口調でクロエの隣の席に座り、彼女の丼に箸を伸ばそうとする。と、その時。「いい加減にしてください!度を越すと殴りますよ!」
クロエの左ストレートがフドウの頬にクリーンヒットする……かに見えたが寸前でフドウに拳をガッチリと掴まれてしまった。
「おう、なまってはいないようだな」
「ぐぬぬ……」
先ほどと打って変わって鋭い眼光でクロエを見つめるフドウ。だがそれも一瞬のことで、すぐに表情を和らげる。
「君がアンザガワ ワカ君だね今日、廃都市でノラモトに保護されたっていう」
「は、はい……そうですけど……」
「ノラモトから君のことは聞いているよ。色々と大変だったみたいだね。今夜はゆっくりと休みなさい」
「えっと……ありがとうございます」
ワカが恐る恐る礼を言うとフドウは再び笑顔になって、今度はワカの肩をポンポンと叩いてから、立ち上がり店を出ていった。
「あれが、局長代行か……」
「ああ、なかなか面白いだろ」
「なんか変な人でしたね」
「そうだな、まあ悪い人ではないんだよ。ただ少しばかりテンションが高いというか……」
ワカがポツリと洩らす
「……クロエさんって、ただの自称女戦士で痛いコスプレおばさんかと思ってました……けど本当に組織に属す人間なんですね」
「ワ、ワカちゃん!?何しんみり語ってるの!まだアタシら知りったばっかりじゃないか!」
「クロエさん」
「うん?」
「もう夜遅いですから、うどんを食べたら帰って寝ましょう」
「うん……」
「……フドウさんの置き土産の手付かずのデカ盛り
カツ丼は私が責任をもって処理します」
「うn!?」
こうして二人はクロエのマンションへと帰宅することになった。
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