灰墟になった地方都市でペストコントロールやってます 世界に必要な3つのこと (仮)

@taka29

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#1γ

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国立法人T大学病院、通称「T大病院」
この旧T市近隣地域の奇病感染者への対応、ならびに原因究明にあたっている国立法人である。20年前の、奇病の『大流行』以降、機能不全に陥ったT市の行政機関に代わってその役割も担い続けているーーーちなみにK大(商業h、居住区域含む)の総面積は二キロ平方キロメートル、現在の人口は約一万人であるーーー
そのK大病院の国際伝染病認定生物捕獲等事業部、奇病感染者を苗床に発生した異形を駆除する部署がクロエの職場だった。

「おはよう、ノラモト」
「あっ……お、おはようございます部長!」
エレベーターホールに向かったクロエは、ばったりと部長のシノリョウコに出くわしてしまった。
「聞いたぞー昨日の件、報告書ちゃんと上げとけよ」
クロエより頭一つ背の高いシノリョウコがにこやかに話しかけてくる。クロエよりも年上だがまだ三十代中盤だ。
ロングヘアと長身で、クールビューティな性格で男性職員からも女性職員からも好かれている人物だ。
「りょ、了解です」
クロエはそう答えながら内心舌打ちしていた。昨日は色々ありすぎて報告書の提出を忘れていたのだ。
(まずいなぁ……また始末書か……)
そんな事を考えつつ、クロエ達はエレベーターに乗り込んだ。
「ところで昨日の授業参観、イズミ君どうでした?」
クロエはさっそく話題を報告書の件から逸らした。
「はあ……自分の息子に言うのもアレだけと……あのアホ!」
クロエが出した名はリョウコの息子の名前だった。今年小学4年生になったばかりの一人息子だ。
「台形と平行四辺形の公式間違えて答えやがった!あのクソ担任も何が『次は間違えないようにね』だオメーがちゃんと教えないから間違えんだよ!つい咄嗟にワイトみたいに締め上げるとこだったわ!恥かかせやがって!!」
ガン!話をするうちに昨日の事を思い出したのかヒールで乱暴にエレベータの床を踏み鳴らすリョウコ。
「アハハ……」
6年来の付き合いになるこの人物は美人で優秀、頼れる上司……なのだが、自分の思い通りに事が運ばない時、衝動的に一発かますヤバい癖があった。
年来の付き合いになるこの人物は黙っていれば美人なのだが、自分の思い通りに事が運ばない時、衝動的に一発かますヤバい性格をしている。
(……この人なら、やりかねないな)
)心の中でそう思いつつ、クロエは乾いた愛想笑いを返す。
ちょうどその時、間延びしたポーンという音と共にエレベーターが目的の階層、駆除課のオフィスがある階に到着した。
「あっ、お先に失礼します。部長、今朝は定例会ですよね?また暴れないように」
「ああ、分かってるよ」
「……じゃあアタシはこれで」
クロエは一礼してエレベーターを降りた。
午前中の仕事を終え、リョウコに報告書を提出したクロエは午後から『ラボ』に向かった。「主任~いますか~」
「ん……おおクロエか、ちょうどいいところに来た」
クロエを出迎えたのはバイオレット色の熊みたいな生物(?)だった。目が四つもあるし手足も人間のものより大きい。
クロエがオフィスで報告書を作成していると『ラボ』から「昨日回収した『核』を
早く持ってこい」と督促がきたのでおっとり刀でやってきたのだ。
「……えっと、約束の品、お持ちしました」
クロエはバッグから特殊素材のジッパー袋で二重にくるまれた異形の『核』を取り出した。何だかまだ脈打って生きているように見える……
「よし、ご苦労。早速ヤバい機械にかけて徹夜で調べよう」
毒々しい色の手でそれを受け取りいろんな角度で
眺め回すクマさん。
「では私はこれで……」
クロエが立ち去ろうとした時だった。
「待て」
クマが呼び止めた。
「は、はい?」
「君も手伝え。私一人だと全部調べ終わるまで18時間はかかる」
「はぁ!?」
クロエが思わず素っ頓狂な声を上げた。その時
「グ~テンタ~ク、クロエ♪」
突然背後から陽気な声がかけられた。振り向くとそこには腐れ縁のあんちくしょう
オクショウの姿があった。
「(うげっ!)
クロエは顔をしかめた。
「相変わらずつれないねぇキミは」
「お、オクショウ!アンタこんなとこで何やってんだよ!」
「えぇ~私はピナーカちゃんのメンテが済んだから受取りに来ただけでえ~別にクロエの追っかけをしてるつもりじゃないよぉ~」
そう言いつ肩から下げたライフルケースをコツンと叩くオクショウ
「ウザッ!……いつもウザいけど今回はそのキャラで行くのか?」
「君こそ何しに来たんだニャ~?『ジャベリン』のメンテナンスは先週済んだばっかりのハズだニャ~」
「それは……」
「まぁどうせロクでもない用事だろうけどネェ」
そう言ってニヤリと笑うオクショウ。クロエは眉間にシワを寄せたがすぐに表情を引き締め
「アレだよ」と言って親指を立ててある方向を指し示した。そこには……
「うっわ!でっか!!」
オクショウがクマさんが持っている『核』を見て
目を丸くした。
「ハセ君のアレよりでっかあ!!」
「ハセさんのアレよりデカいんですかこれ」
クマさんも思わず声を上げる。
「分かりやすいんだけど分かりたくない感想、どうもありがとう」
クロエはため息混じりに言った。ちなみにハセ君とはオクショウの現在の彼氏である。
「ところでクロエ、ワカちゃんの様子はどう?ショックで塞ぎ
込んでない?昔のアナタみたいに」
「……大丈夫、今朝も一緒にご飯食べたよ」
「そっか、良かった。あの子ちょっとアナタに雰囲気似てるから」
「えっ?どこが?」
クロエが怪しむような目つきでオクショウを見た。
『ジリリン!ジリリン!』その時、場の空気を
切り裂くようにクロエとオクショウの腕輪型端末から、けたたましい呼び出し音が鳴った。狩りの時間だ……
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