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第一章 出逢い 編
09 世界樹の枝
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「なんじゃあれは?」
ドドルとマナは仮冒険者ギルドへ向かった。近づくにつれて人集りが目立ってくる。
何かあったのだろうか?
「レナ・バース…お前のその枝は世界樹の枝だぞ!」
オデコの広さが目立っているデコルギルド長は炎天下の中、陽の光をオデコに浴び大量の汗を流しながらレナ・バースを指差し興奮している。
模擬戦を見ていた冒険者達は、あの破壊少女が持っていた枝だと言いたいのだが残念ながら言える者はこの中には居なかった。
理由はレナ・バースの殺気が尋常ではないからだ。
これが世界樹の枝?初めて見た…いや見れるなんて思っていなかった。
本当に世界樹の枝なら…あの子は何者?
今、この場でこの枝の入手経路を話したら、きっとあの子に人が群がる。あんなに小さい子に人間の欲は見せたくない。
あの子は…優しい子だもの!
全員相手にしてやる。枝を抱えながら腰の剣の柄に手をかけるレナ・バース。
「こ、こいつ本気か?」
冒険者同士の争いは内容にもよるが基本厳罰の対象になる。
Aランク目前の彼女が今やろうとしている事は自身の冒険者活動を終わらせようとしている様なものだ。
「いた~!」
え?マナちゃん?
中腰で抜刀体勢だったレナ・バースの前に突然現れたマナ。驚いているレナ・バースとは対照的な笑顔を見せている。
「はい!これ美味しいんだよ!」
袋から取り出した串焼きをレナ・バースに渡すマナ。渡した後に他の冒険者達の視線が気になりだしたマナは串焼きの入った袋と冒険者達を見比べながら何か考えている様だ。
きっと皆…この食べ物が欲しいんだ!
何度もマナは冒険者と串焼きを見比べる。
残りは全部私のだけれど…
「はい!美味しいよ!」
結局マナは串焼きを冒険者達に渡してしまった。理由は欲しがる人達の前で大量に食べてしまうのは良くない事だと思ったからだ。
「残り一本になっちゃった」
あ!
マナは目があった相手を見て大きな瞳を細めた。目があった相手はデコル。冒険者ギルド長のデコル。私達を叱った…大嫌いなデコルだ。オデコが眩しくて目を細めたわけでは無い。何故か彼を見たら目が細めたくなった。だから細めただけだ。
「マナ氏よ…冒険者になれたんだろ?なら早く稼ぐんだな!」
ん~!やっぱり大嫌いだ。あの話し方が嫌いだ。
マナはデコルを見て頬を膨らます。その顔を見てデコルは鼻で笑う。
「今日はドドルさんは居ないのか?よくひとりで街まで来れたな!ハッハッハ!」
あの笑い方も嫌いだ!
私は世界樹。私の所に訪れた者達を私は嫌った事が無いけど…こいつは何故か嫌いだ!
見るだけで嫌だ!
ぐぅ~…
「昼だな…レナ・バース話しは午後からギルド長室で行う。必ず来いよ!いいなレナ・バース!!」
そう言いながらデコルは自分の腹を擦っている。
マナは知っている。あの音は空腹の音だ。デコルは大嫌いだ。でも人間は食べないと死んでしまう、可哀想な生物なんだ。
「ほら!」
本当は渡したくない。私はお前が嫌い。でも人間は食べないと死ぬんだ。私は我慢出来るけど、お前は我慢出来ないんだろ?
「あ、ああ…ありがとうマナ氏。」
突然差し出された串焼きを受け取るデコルギルド長。定期健診で脂っこいものは控えなさいと言われたが、せっかくマナ氏がくれた串焼きだ。ここは、有りがたく頂こう。
マナは空の紙袋を覗く。あんなに大量にあった串焼きが一瞬で無くなってしまった。
大丈夫。私は皆より長生きしているから、これくらい我慢出来るよ。
………
皆が串焼きを食べた後…マナも参加する形でレナ・バースとデコルと共に仮ギルド長室で世界樹の枝の話しの続きが行われた。
「なるほどな…」
レナ・バースは素直に話した。マナから頂いたと。隠したかったが、マナが枝を見た時に、大事にしてくれてありがとうとレナ・バースの右脚に抱きついてしまった。
「マナ氏は世界樹の近くに行った事があるのかい?」
デコルは考えた。マナはおそらくエターナルエルフだ。あの聖域の守り手。もしかしたら世界樹に触れる機会があったかもしれない。伝承では世界樹の幹はこの世界で一番固い存在だと言われている。人間の力で折れるものではないだろう。しかしエターナルエルフなら何かしら世界樹から恩恵があるかもしれない。
「私が世界樹なの!」
フフ…
真剣な顔するデコルに真剣な顔で答えるマナを見て、レナ・バースは笑ってしまう。
「もうマナちゃんが世界樹様で良いじゃない!」
「ぶざけるな!そんな適当な事が通るか!」
レナ・バースはあんまり苛々すると一段階上がるわよと言いたげに自分のオデコをデコルに見せた。その仕草にデコルは稲妻の様な血管をオデコに浮き上がらせる。
「なぁ二人とも儂の話しを聞いてくれないか?」
ドドルは壊れた扉の金具を見ながら話しだしたのだが、二人の反応に戸惑ってしまう。
「お前!修理屋じゃないのか?大事な話しを盗み聞きするんじゃねぇ!牢屋が壊れていなければぶち込んでやったのに!」
「修理屋?私は随分若い冒険者だと思っていたのだけれど…」
修理屋?若い?
この二人は何を言っているんだ?
ドドルとマナは仮冒険者ギルドへ向かった。近づくにつれて人集りが目立ってくる。
何かあったのだろうか?
「レナ・バース…お前のその枝は世界樹の枝だぞ!」
オデコの広さが目立っているデコルギルド長は炎天下の中、陽の光をオデコに浴び大量の汗を流しながらレナ・バースを指差し興奮している。
模擬戦を見ていた冒険者達は、あの破壊少女が持っていた枝だと言いたいのだが残念ながら言える者はこの中には居なかった。
理由はレナ・バースの殺気が尋常ではないからだ。
これが世界樹の枝?初めて見た…いや見れるなんて思っていなかった。
本当に世界樹の枝なら…あの子は何者?
今、この場でこの枝の入手経路を話したら、きっとあの子に人が群がる。あんなに小さい子に人間の欲は見せたくない。
あの子は…優しい子だもの!
全員相手にしてやる。枝を抱えながら腰の剣の柄に手をかけるレナ・バース。
「こ、こいつ本気か?」
冒険者同士の争いは内容にもよるが基本厳罰の対象になる。
Aランク目前の彼女が今やろうとしている事は自身の冒険者活動を終わらせようとしている様なものだ。
「いた~!」
え?マナちゃん?
中腰で抜刀体勢だったレナ・バースの前に突然現れたマナ。驚いているレナ・バースとは対照的な笑顔を見せている。
「はい!これ美味しいんだよ!」
袋から取り出した串焼きをレナ・バースに渡すマナ。渡した後に他の冒険者達の視線が気になりだしたマナは串焼きの入った袋と冒険者達を見比べながら何か考えている様だ。
きっと皆…この食べ物が欲しいんだ!
何度もマナは冒険者と串焼きを見比べる。
残りは全部私のだけれど…
「はい!美味しいよ!」
結局マナは串焼きを冒険者達に渡してしまった。理由は欲しがる人達の前で大量に食べてしまうのは良くない事だと思ったからだ。
「残り一本になっちゃった」
あ!
マナは目があった相手を見て大きな瞳を細めた。目があった相手はデコル。冒険者ギルド長のデコル。私達を叱った…大嫌いなデコルだ。オデコが眩しくて目を細めたわけでは無い。何故か彼を見たら目が細めたくなった。だから細めただけだ。
「マナ氏よ…冒険者になれたんだろ?なら早く稼ぐんだな!」
ん~!やっぱり大嫌いだ。あの話し方が嫌いだ。
マナはデコルを見て頬を膨らます。その顔を見てデコルは鼻で笑う。
「今日はドドルさんは居ないのか?よくひとりで街まで来れたな!ハッハッハ!」
あの笑い方も嫌いだ!
私は世界樹。私の所に訪れた者達を私は嫌った事が無いけど…こいつは何故か嫌いだ!
見るだけで嫌だ!
ぐぅ~…
「昼だな…レナ・バース話しは午後からギルド長室で行う。必ず来いよ!いいなレナ・バース!!」
そう言いながらデコルは自分の腹を擦っている。
マナは知っている。あの音は空腹の音だ。デコルは大嫌いだ。でも人間は食べないと死んでしまう、可哀想な生物なんだ。
「ほら!」
本当は渡したくない。私はお前が嫌い。でも人間は食べないと死ぬんだ。私は我慢出来るけど、お前は我慢出来ないんだろ?
「あ、ああ…ありがとうマナ氏。」
突然差し出された串焼きを受け取るデコルギルド長。定期健診で脂っこいものは控えなさいと言われたが、せっかくマナ氏がくれた串焼きだ。ここは、有りがたく頂こう。
マナは空の紙袋を覗く。あんなに大量にあった串焼きが一瞬で無くなってしまった。
大丈夫。私は皆より長生きしているから、これくらい我慢出来るよ。
………
皆が串焼きを食べた後…マナも参加する形でレナ・バースとデコルと共に仮ギルド長室で世界樹の枝の話しの続きが行われた。
「なるほどな…」
レナ・バースは素直に話した。マナから頂いたと。隠したかったが、マナが枝を見た時に、大事にしてくれてありがとうとレナ・バースの右脚に抱きついてしまった。
「マナ氏は世界樹の近くに行った事があるのかい?」
デコルは考えた。マナはおそらくエターナルエルフだ。あの聖域の守り手。もしかしたら世界樹に触れる機会があったかもしれない。伝承では世界樹の幹はこの世界で一番固い存在だと言われている。人間の力で折れるものではないだろう。しかしエターナルエルフなら何かしら世界樹から恩恵があるかもしれない。
「私が世界樹なの!」
フフ…
真剣な顔するデコルに真剣な顔で答えるマナを見て、レナ・バースは笑ってしまう。
「もうマナちゃんが世界樹様で良いじゃない!」
「ぶざけるな!そんな適当な事が通るか!」
レナ・バースはあんまり苛々すると一段階上がるわよと言いたげに自分のオデコをデコルに見せた。その仕草にデコルは稲妻の様な血管をオデコに浮き上がらせる。
「なぁ二人とも儂の話しを聞いてくれないか?」
ドドルは壊れた扉の金具を見ながら話しだしたのだが、二人の反応に戸惑ってしまう。
「お前!修理屋じゃないのか?大事な話しを盗み聞きするんじゃねぇ!牢屋が壊れていなければぶち込んでやったのに!」
「修理屋?私は随分若い冒険者だと思っていたのだけれど…」
修理屋?若い?
この二人は何を言っているんだ?
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