世界樹の反抗期〜世界樹と呼ばれて一万と二千年〜「もう、じっとしているの我慢出来ない!」

ke-go

文字の大きさ
27 / 30
第二章 冒険者 編

25 世界樹の洞窟攻略法

しおりを挟む
 失敗の数なんて私は気にしないんだから!

 お嬢の仮病が治り二人は、久しぶりに冒険者ギルドへ足を向けた。久しぶりでも変わらない風景。冒険者達は我先にと、良さそうな依頼を探している。

 「あ!マナ様、久しぶりです」

 掲示板を見上げるマナの背後から聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 マリィさんだ。

 胸元が開いた制服。なんか以前よりキラキラしているような気もするけど…

 間違いないマリィさんだ。

 専用窓口に案内されてマナは椅子に座った。まだ依頼書を選んでいないのだが、マリィから話しがあると言われた。

 「私、マナ様の専属受付嬢兼アドバイザーでしたが数日前から、もう一人担当しているんです。」

 もう一人?

 スフィア?

 知らない名前だ。誰だろう。

 スフィアと言う女性の担当も請け負ったマリィさん。
ギルド1器量が良い彼女なら掛け持ちでも上手くやるだろ。

 「マナ様!レナ様!おはようございますです!」

 背後からの声に二人は振り向いた。
 
 レナ・バースは、久しぶりと声をかけるのだが、マナはあからさまに嫌そうな表情を見せる。

 「ちょうど良かった。彼女がスフィアです。お二人の後をつけてきた竜人族の少女です。もちろん覚えてますよね?」

 あからさまに嫌そうな表情のマナは、もちろん覚えていないと言う。レナ・バースはマナちゃんは、意外と根に持つタイプなんだなと、目線を外して笑っている。

 「石ころ壊した女子なんか知らないよ!」

 マナは腕組みをしながら、笑っているレナ・バースの方へ顔を向けた。

 マナは頬を膨らませ、竜人族のスフィアは、そんなに嫌わなくてもと肩を落とし落ち込んでいる。そして、レナ・バースはまだ笑っている。二人を見ないようにだが小刻みに肩が震えている。

 「スフィア様は凄いんですよ!まだ冒険者になって数日ですが、東の洞窟を単独で最下層まで行ったんですから。洞窟主の討伐も成功したんです。」

 マナは頬を膨らましながら目線をスフィアに向けた。
洞窟や主とかは良く意味が分からないが、マリィが言った成功の言葉が気になる。

 スフィアは胸元から冒険者ランクが印されたネックレスを取り出した。

 青色のプレートの真ん中に『D』と掘られている。

 「東の洞窟を新人が単独攻略か…さすが竜人族だな」

レナ・バースの言葉が気になるマナ。プレートくらい私も持っていると緑色の『F』と掘られたプレートをスフィアに見せつける…

 ……………!!

 Fより2つランクが上?

 マナは以前、私に一万二千歳と言っていた。彼女が普通ではないのはわかる。世界樹の化身…私はそう思っている。

 もし人間が一万年以上の時を生きれたとして、はたしてこんなにムキになるものだろうか?

 マナはスフィアのプレートにケチをつける。私が先輩なんだと窓口で机を叩いて怒りをあらわにした。

 そして…

 「洞窟くらい私も攻略できるんだから!」

 マナは街の東側のあぜ道を突き進む。リボンを小刻みに揺らしローレライの羽衣を輝かせ洞窟を目指す。

 途中、苛立ちが収まらないのだろうか?

 自慢の鞭を地面に叩きつける。そしてまた進んでは止まり。鞭を叩きつける。

 マナちゃんは気づいているのかな?私達が歩いてきた道端…大木だらけだよ。

 「お嬢…聞いて!私、気づいたの!私は洞窟を知らないよ!」

 無計画の一万二千歳…

 レナ・バースは思う。やっぱり私がマナちゃんを支えないと、彼女は危う過ぎる。

 東のあぜ道を進み、岩場へ到着した二人。レナ・バースが指差す方向にまるで人工的に岩肌をくり抜いたような穴が開いている。

 あれが洞窟?

 イメージと違う。

 あれに入る?

 お嬢は何を言っているのかな?

 中は真っ暗だよ!

 私はいつも照らされていたんだよ!太陽がいつも私を照らした。そして太陽がいなくなると月が私を照らしたんだよ!

 「怖く…ねーよ!」

 マナはそう言いながら、洞窟を覗き込むが足が入口へは向かない。

 1時間は経過しただろうか?

レナ・バースが見守るなか、マナはまだ入口の前でウロウロしている。

 「私が先に入ろうか?」

 その言葉を私は待っていたんだ!
 
 ……………とは、やっぱり言えないよ。

 マナは後ろから見つめている、お嬢に…

 本当は先に入ってと言いたい。しかし、それを言ってしまうと、あのスフィアに負けた感じがする。彼女は、単独で攻略したのだから。

 そう言えば昔…

 「世界樹様、聞いて下さいよ!魔族の奴らが私達の洞窟を占領したんです。何千年も住んでいたのに…」

 彼女は妖精にしては珍しく羽が無かった。小鳥さんに掴まって私に会いにきた妖精さん。

 高い所は苦手と言いながら私の枝に小さな身体でしがみついていた。

 「本当に魔族は野蛮なんです。だから私達一族は魔族と戦うことにしたんです。だから…世界樹様の証を頂きたいんです。この戦いはノーム一族に大義名分があると世界中にわからせてやりたいんです!」

 小さな身体で小さな握りこぶし。本当に小さな妖精さんだったけれど、気持ちには力強さがあると私は感じたんだ。

 だから私は彼女に枝を渡した。彼女は涙を流して喜んでいた。

 小鳥さんに掴まって私のもとから去っていった彼女…

 今…どうしているのかな?

 洞窟は魔族が占領しているのか…

 魔族の良い話しは、あまり聞いた事がない。魔族は危険な種族なのだろう。

 ……………………はぁ…

 マナを見ていたレナ・バースは、額をおさえ首を左右に振る。

 マナは洞窟は危険なものと判断した。

 そして、洞窟の入口を塞いだ。

 何度も何度も鞭を叩きつけて大木を生み出した。洞窟の入口が全然見えない程、大木で塞いだ。入口を塞いだ大木をさらに大木で囲った。皆が近づけないよう。皆を守る為に大木の壁を創り続けた。

 「ハァハァ…ちょっとだけ頑張ってしまった」

 息切れをしながらレナ・バースを見つめるマナ。
 
 その後ろには百を超える大木が生い茂っていた…

 「マナちゃん…洞窟怖いんだね?」

 「は?…怖く…怖くねーよ!」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...