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14 いっけね〜・狂い咲きの片鱗
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モラフにドレアと腹部を押さえるダンドールが、民達に囲まれている中で、本来は今回のメインとなる剣術大会・大人の部がシレッと始まったのだが、何故か弟子のゴンタがエントリーしていた。
民達に囲まれながらも弟子の試合を見守ったモラフだが
弟子の不甲斐なさに落胆してしまう。
(あの…馬鹿者が!)
民達を姉上に上手く誘導し、広場から少し離れた木に寄り掛かり、項垂れているゴンタを発見したモラフが話しかける。
「ゴンタ君!君の負けた理由はなんだい?」
項垂れながら、目の前に立つ師匠をチラ見するゴンタが小声で呟く。
「……反則負けです。」
刃のない鉄の剣を使用する大人の部での反則負け…
もしかしたら殺めてしまったのだろうか?
「そう!反則負けだね。理由は分かるかい?」
師匠に聞かれたゴンタは自身の試合を振り返る。
……………
相手は…何とか商会の三男だったんだ。
アイツを、ひと目見た時からオラはイライラが頂点に達したんだ。剣術大会なのに、女2人連れ込みやがって!
しかも…センスがねぇ、派手な服を着てやがる。
「下品な…オッサンじゃん!ウケるし。」
下品は否定しないが…アイツの顔だけは、許せなかったんだ!
項垂れながら地面に拳を突き刺すゴンタ。
本当は、お師匠に強くなった所…見せたかったんです。
でも…もう1人のオイラが違う考えを出して来やがったんだ!
「公衆の面前で恥かかせたれ!」
試合が始まったら…自分をコントロール出来なくなっちまった!
「うん。見ていたから分かるよ!」
剣術大会なのに…剣は要らねぇって思っちまったんだ!
自分の剣術が強いとは思わねぇが、アイツと対峙した時に分かったんです。
オラの勝ちだ!……って。素直に剣で勝負すれば良かった。
「でも…出来なかった!素直になれなかったんだ!」
(自分の感情をコントロールするのは…難しいが、出来なければ一流の剣士には、なれんのじゃ!)
アイツは…オラから見ても、しょ~もねぇ攻撃を繰り出したんだ。オラは毎日…お師匠の剣を受けてるんだぜ?
「遅え~!」
まるで老婆が老婆を背負って歩いている様なもんだ!
「馬鹿にしてやがるな!」
こっちは剣を失ったんだ!人思いに斬りやがれ!
(ん~…剣は、お前が自ら捨てたんじゃろ!)
何もかもが嫌になったぜ!ぶち壊してやる。
そう、オラの中のオラが言ったんだ!
「覚醒しろゴンタって!」
トロくせぇ~アイツの腕を掴み投げ倒してやった!
(あの流れは良かったぞ、ゴンタよ!)
地面に倒れ痛がるアイツの顔を見たら…オラの身体が熱く…熱くなったんだ!
「脱がしたれ!」
高そうなダセェ服を破きに破った!
お師匠の抜刀速度に迫る勢いはあったんだ!
(確かに…速かったのう。)
一瞬で上半身は裸にしてやった!上が裸なら…次に狙うは下半身以外ないじゃないですか!
「そうでしょ?お師匠様!!」
項垂れるゴンタは、木に寄り掛かり膝の上に腕を乗せて
塞ぎ込む様に話していたのだが「俺は間違ってない!」
そんな表情でモラフを見ながら訴える。
「間違ってないかな?でもゴンタ君が出場したのは、剣術大会だから…そこは間違いだね!」
剣術大会?
そうだ!思い出した。あれは剣術大会だったんだ。
アイツは、あの後……オラに下半身も脱がされたんだ。
そう言えば、話しが違うって全裸で泣きながら地べたで震えていたな。
「悪い事…しちまった。」
(間違いに気が付いただけでも良いのじゃ!男とは、そうやって成長するものじゃ。)
「良し!ゴンタ君、立てるかい?」
頷くゴンタは立ち上がる。間違いに気付いたのだ。モラフは負け試合でも得られるものが有れば次に繋がると、
ゴンタの腕をポンポンと優しく叩くのだった。
「ゴンタ君!頭に乗せてる、その赤い男性下着も持ち主に返すんだよ!心配しないで、僕も一緒に謝るから!」
「いっけね~下着のせっぱだったぜ!」
下半身も裸にし、嫌がるアイツを踏みつけ下着を奪い頭に乗せて、奇っ怪な踊りを披露し客を魅了して失格になったゴンタ。
狂い咲きのマッドピエロの片鱗を覗かせたゴンタ。実に惜しい試合であった。
そして…
全裸にされたアイツは、これから公爵の嫡子に下着を返されて、弟子がすまなかったと謝られるのだが…
アイツは、どんな気持ちで己の下着を受け取るのだろうか?
それは…アイツにしか分からない。
民達に囲まれながらも弟子の試合を見守ったモラフだが
弟子の不甲斐なさに落胆してしまう。
(あの…馬鹿者が!)
民達を姉上に上手く誘導し、広場から少し離れた木に寄り掛かり、項垂れているゴンタを発見したモラフが話しかける。
「ゴンタ君!君の負けた理由はなんだい?」
項垂れながら、目の前に立つ師匠をチラ見するゴンタが小声で呟く。
「……反則負けです。」
刃のない鉄の剣を使用する大人の部での反則負け…
もしかしたら殺めてしまったのだろうか?
「そう!反則負けだね。理由は分かるかい?」
師匠に聞かれたゴンタは自身の試合を振り返る。
……………
相手は…何とか商会の三男だったんだ。
アイツを、ひと目見た時からオラはイライラが頂点に達したんだ。剣術大会なのに、女2人連れ込みやがって!
しかも…センスがねぇ、派手な服を着てやがる。
「下品な…オッサンじゃん!ウケるし。」
下品は否定しないが…アイツの顔だけは、許せなかったんだ!
項垂れながら地面に拳を突き刺すゴンタ。
本当は、お師匠に強くなった所…見せたかったんです。
でも…もう1人のオイラが違う考えを出して来やがったんだ!
「公衆の面前で恥かかせたれ!」
試合が始まったら…自分をコントロール出来なくなっちまった!
「うん。見ていたから分かるよ!」
剣術大会なのに…剣は要らねぇって思っちまったんだ!
自分の剣術が強いとは思わねぇが、アイツと対峙した時に分かったんです。
オラの勝ちだ!……って。素直に剣で勝負すれば良かった。
「でも…出来なかった!素直になれなかったんだ!」
(自分の感情をコントロールするのは…難しいが、出来なければ一流の剣士には、なれんのじゃ!)
アイツは…オラから見ても、しょ~もねぇ攻撃を繰り出したんだ。オラは毎日…お師匠の剣を受けてるんだぜ?
「遅え~!」
まるで老婆が老婆を背負って歩いている様なもんだ!
「馬鹿にしてやがるな!」
こっちは剣を失ったんだ!人思いに斬りやがれ!
(ん~…剣は、お前が自ら捨てたんじゃろ!)
何もかもが嫌になったぜ!ぶち壊してやる。
そう、オラの中のオラが言ったんだ!
「覚醒しろゴンタって!」
トロくせぇ~アイツの腕を掴み投げ倒してやった!
(あの流れは良かったぞ、ゴンタよ!)
地面に倒れ痛がるアイツの顔を見たら…オラの身体が熱く…熱くなったんだ!
「脱がしたれ!」
高そうなダセェ服を破きに破った!
お師匠の抜刀速度に迫る勢いはあったんだ!
(確かに…速かったのう。)
一瞬で上半身は裸にしてやった!上が裸なら…次に狙うは下半身以外ないじゃないですか!
「そうでしょ?お師匠様!!」
項垂れるゴンタは、木に寄り掛かり膝の上に腕を乗せて
塞ぎ込む様に話していたのだが「俺は間違ってない!」
そんな表情でモラフを見ながら訴える。
「間違ってないかな?でもゴンタ君が出場したのは、剣術大会だから…そこは間違いだね!」
剣術大会?
そうだ!思い出した。あれは剣術大会だったんだ。
アイツは、あの後……オラに下半身も脱がされたんだ。
そう言えば、話しが違うって全裸で泣きながら地べたで震えていたな。
「悪い事…しちまった。」
(間違いに気が付いただけでも良いのじゃ!男とは、そうやって成長するものじゃ。)
「良し!ゴンタ君、立てるかい?」
頷くゴンタは立ち上がる。間違いに気付いたのだ。モラフは負け試合でも得られるものが有れば次に繋がると、
ゴンタの腕をポンポンと優しく叩くのだった。
「ゴンタ君!頭に乗せてる、その赤い男性下着も持ち主に返すんだよ!心配しないで、僕も一緒に謝るから!」
「いっけね~下着のせっぱだったぜ!」
下半身も裸にし、嫌がるアイツを踏みつけ下着を奪い頭に乗せて、奇っ怪な踊りを披露し客を魅了して失格になったゴンタ。
狂い咲きのマッドピエロの片鱗を覗かせたゴンタ。実に惜しい試合であった。
そして…
全裸にされたアイツは、これから公爵の嫡子に下着を返されて、弟子がすまなかったと謝られるのだが…
アイツは、どんな気持ちで己の下着を受け取るのだろうか?
それは…アイツにしか分からない。
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