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16 貴方の正装よ!
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「まぁ可愛いわね!」
この部屋で、数日前にモラフ尋問事件があったのが嘘の様にドレアは笑顔だ。
鏡に映る自分の姿に戸惑っているのは……ユッカだ。
「ユッカ!似合うわよ。」
何故ドレアがユッカと一緒に自室に居るのだろ?
お転婆お嬢様が、悪戯もしないでユッカを着せ替え人形の様にしながら楽しんでいる。
「気に入った?私のお下がりだけど、全部上げるからね!女の子は身嗜みが重要なんだから!」
高価な洋服を大量に渡されるユッカ。どうして良いのか分からずに固まってしまう。
「ドレア!ユッカの着替えは終わったかしら?」
部屋に入って来たのはクレアだ。手には2本の片手剣を持っている。
「私の見立てだと…この剣が丁度良いと思うのよね?」
銀色の鞘に納められた少し短い剣、銀細工が施された柄に赤い宝石が填め込まれ、それなりに高価な物なのではと思わせる気品が漂っている。
そして蒼いワンピースを着させる。スカートのフレア部分に輝く白地のレースが着いていた。少し大人びた感じもするのだが綺麗な赤毛の長いツインテールが印象的だからシンプルな服装で良いとクレアは言う。
更に細いプラチナのチェーンがユッカの腰に着けられた。そして先程持ってきた剣をチェーンの両サイドに1本ずつ装着させるクレア。
完成された姿を、また鏡で見つめるユッカ…。
駄目だ!また固まってしまった。
実は、ユッカは今日からモラフの専属騎士として、ベルモンド公爵家に仕える事となったのだ。
「姉上!失礼します。」
モラフだ。姉からチョン撃を幾度も受けたのに良く無事だったと、もし目撃した者が居たら思うだろう。
「モラフもおいで!」
姉に手招きされ、ユッカの横に並ばされたモラフ。
ユッカの様変わりした気品溢れる姿に驚くのだが…
「姉上!母上!何ですか…この衣装は!」
そう、モラフも着替える為に部屋を出ていたのだ。
綺麗な姿のユッカとは対象的に、モラフに準備された衣装は…
全面の真ん中に縦並びに5つの丸いボタンがある。
柔らかな肌触りの緑色の生地。
上下のが繋がっている為に5つのボタンを開き、そこから足を入れる。
手足の出し口に遊びは無く肌に強く当たる為、わんぱく盛りの5歳児の動きにも耐えれるだろう。
腹から胸位までは白地の素材が使われている。後ろを見ようと首を曲げると腰回りから動物に付いている様な尾が目線に入る。無駄に太い様な気もするのだが気のせいだろう。襟には雨風を凌ぐ為にだろうか?目元まで覆ってくれるフードが付いているのだが…
鋭い獣の瞳の様な赤い刺繍がしてあり、頭頂部から尾尻まで鶏冠を模倣した三角形のひらひらした布が付いていた。
まるで小さな獣の様だ。
「何ですか?って…貴方の正装よモラフ!」
母上…貴女は何を、おっしゃるのだ?
このフザけた衣装の何が正装なのだ!モラフは可怪しいだろうと、その場で5歳児らしく飛び跳ねたり足をバタつかせたりするのだが…その度に尻尾や鶏冠が変則的に動くのだった。
「ププッ…カッコいいわよモラフ!」
笑ってる…あ!また笑ったな!
姉の顔を見て、悔しさが込み上げてくるモラフ。
「その衣装は、グリーンドラゴンの加護があるのよ!」
「ドラゴン?あの幻の生物ですか!」
しかし…加護とか言われても。
鏡に映る2人の少年と少女…。どう見ても金持ちのお嬢様が、父上から贈られた珍獣とイヤイヤ並んで居る様にしか見えないのだが。
(儂は…コレで良いのか?)
「ユッカ!変でしょ?ねぇ…僕の格好は変だよね?」
(こんな変な奴の護衛は嫌じゃろ?ユッカ。)
「大丈夫…です!アタシが守りますから!」
何か違う!ユッカよ何か違うじゃろ!
モラフの思いは届かない。そしてモラフの正装が変わる事も無い。
ユッカがモラフの専属騎手として屋敷に足を踏み入れた日に珍獣モラフが誕生した。
この部屋で、数日前にモラフ尋問事件があったのが嘘の様にドレアは笑顔だ。
鏡に映る自分の姿に戸惑っているのは……ユッカだ。
「ユッカ!似合うわよ。」
何故ドレアがユッカと一緒に自室に居るのだろ?
お転婆お嬢様が、悪戯もしないでユッカを着せ替え人形の様にしながら楽しんでいる。
「気に入った?私のお下がりだけど、全部上げるからね!女の子は身嗜みが重要なんだから!」
高価な洋服を大量に渡されるユッカ。どうして良いのか分からずに固まってしまう。
「ドレア!ユッカの着替えは終わったかしら?」
部屋に入って来たのはクレアだ。手には2本の片手剣を持っている。
「私の見立てだと…この剣が丁度良いと思うのよね?」
銀色の鞘に納められた少し短い剣、銀細工が施された柄に赤い宝石が填め込まれ、それなりに高価な物なのではと思わせる気品が漂っている。
そして蒼いワンピースを着させる。スカートのフレア部分に輝く白地のレースが着いていた。少し大人びた感じもするのだが綺麗な赤毛の長いツインテールが印象的だからシンプルな服装で良いとクレアは言う。
更に細いプラチナのチェーンがユッカの腰に着けられた。そして先程持ってきた剣をチェーンの両サイドに1本ずつ装着させるクレア。
完成された姿を、また鏡で見つめるユッカ…。
駄目だ!また固まってしまった。
実は、ユッカは今日からモラフの専属騎士として、ベルモンド公爵家に仕える事となったのだ。
「姉上!失礼します。」
モラフだ。姉からチョン撃を幾度も受けたのに良く無事だったと、もし目撃した者が居たら思うだろう。
「モラフもおいで!」
姉に手招きされ、ユッカの横に並ばされたモラフ。
ユッカの様変わりした気品溢れる姿に驚くのだが…
「姉上!母上!何ですか…この衣装は!」
そう、モラフも着替える為に部屋を出ていたのだ。
綺麗な姿のユッカとは対象的に、モラフに準備された衣装は…
全面の真ん中に縦並びに5つの丸いボタンがある。
柔らかな肌触りの緑色の生地。
上下のが繋がっている為に5つのボタンを開き、そこから足を入れる。
手足の出し口に遊びは無く肌に強く当たる為、わんぱく盛りの5歳児の動きにも耐えれるだろう。
腹から胸位までは白地の素材が使われている。後ろを見ようと首を曲げると腰回りから動物に付いている様な尾が目線に入る。無駄に太い様な気もするのだが気のせいだろう。襟には雨風を凌ぐ為にだろうか?目元まで覆ってくれるフードが付いているのだが…
鋭い獣の瞳の様な赤い刺繍がしてあり、頭頂部から尾尻まで鶏冠を模倣した三角形のひらひらした布が付いていた。
まるで小さな獣の様だ。
「何ですか?って…貴方の正装よモラフ!」
母上…貴女は何を、おっしゃるのだ?
このフザけた衣装の何が正装なのだ!モラフは可怪しいだろうと、その場で5歳児らしく飛び跳ねたり足をバタつかせたりするのだが…その度に尻尾や鶏冠が変則的に動くのだった。
「ププッ…カッコいいわよモラフ!」
笑ってる…あ!また笑ったな!
姉の顔を見て、悔しさが込み上げてくるモラフ。
「その衣装は、グリーンドラゴンの加護があるのよ!」
「ドラゴン?あの幻の生物ですか!」
しかし…加護とか言われても。
鏡に映る2人の少年と少女…。どう見ても金持ちのお嬢様が、父上から贈られた珍獣とイヤイヤ並んで居る様にしか見えないのだが。
(儂は…コレで良いのか?)
「ユッカ!変でしょ?ねぇ…僕の格好は変だよね?」
(こんな変な奴の護衛は嫌じゃろ?ユッカ。)
「大丈夫…です!アタシが守りますから!」
何か違う!ユッカよ何か違うじゃろ!
モラフの思いは届かない。そしてモラフの正装が変わる事も無い。
ユッカがモラフの専属騎手として屋敷に足を踏み入れた日に珍獣モラフが誕生した。
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