お転婆令嬢の執事は天寿を全うする…「何故…儂が、お嬢様の弟なのじゃ?」爺やは転生し姉を教育する!

ke-go

文字の大きさ
16 / 30

16 貴方の正装よ!

しおりを挟む
「まぁ可愛いわね!」

この部屋で、数日前にモラフ尋問事件があったのが嘘の様にドレアは笑顔だ。

鏡に映る自分の姿に戸惑っているのは……ユッカだ。

「ユッカ!似合うわよ。」

何故ドレアがユッカと一緒に自室に居るのだろ?
お転婆お嬢様が、悪戯もしないでユッカを着せ替え人形の様にしながら楽しんでいる。

「気に入った?私のお下がりだけど、全部上げるからね!女の子は身嗜みが重要なんだから!」

高価な洋服を大量に渡されるユッカ。どうして良いのか分からずに固まってしまう。

「ドレア!ユッカの着替えは終わったかしら?」

部屋に入って来たのはクレアだ。手には2本の片手剣を持っている。

「私の見立てだと…この剣が丁度良いと思うのよね?」

銀色の鞘に納められた少し短い剣、銀細工が施された柄に赤い宝石が填め込まれ、それなりに高価な物なのではと思わせる気品が漂っている。

そして蒼いワンピースを着させる。スカートのフレア部分に輝く白地のレースが着いていた。少し大人びた感じもするのだが綺麗な赤毛の長いツインテールが印象的だからシンプルな服装で良いとクレアは言う。

更に細いプラチナのチェーンがユッカの腰に着けられた。そして先程持ってきた剣をチェーンの両サイドに1本ずつ装着させるクレア。

完成された姿を、また鏡で見つめるユッカ…。

駄目だ!また固まってしまった。

実は、ユッカは今日からモラフの専属騎士として、ベルモンド公爵家に仕える事となったのだ。

「姉上!失礼します。」

モラフだ。姉からチョン撃を幾度も受けたのに良く無事だったと、もし目撃した者が居たら思うだろう。

「モラフもおいで!」

姉に手招きされ、ユッカの横に並ばされたモラフ。
ユッカの様変わりした気品溢れる姿に驚くのだが…

「姉上!母上!何ですか…この衣装は!」

そう、モラフも着替える為に部屋を出ていたのだ。
綺麗な姿のユッカとは対象的に、モラフに準備された衣装は…

全面の真ん中に縦並びに5つの丸いボタンがある。
柔らかな肌触りの緑色の生地。
上下のが繋がっている為に5つのボタンを開き、そこから足を入れる。
手足の出し口に遊びは無く肌に強く当たる為、わんぱく盛りの5歳児の動きにも耐えれるだろう。

腹から胸位までは白地の素材が使われている。後ろを見ようと首を曲げると腰回りから動物に付いている様な尾が目線に入る。無駄に太い様な気もするのだが気のせいだろう。襟には雨風を凌ぐ為にだろうか?目元まで覆ってくれるフードが付いているのだが…

鋭い獣の瞳の様な赤い刺繍がしてあり、頭頂部から尾尻まで鶏冠を模倣した三角形のひらひらした布が付いていた。

まるで小さな獣の様だ。

「何ですか?って…貴方の正装よモラフ!」

母上…貴女は何を、おっしゃるのだ?

このフザけた衣装の何が正装なのだ!モラフは可怪しいだろうと、その場で5歳児らしく飛び跳ねたり足をバタつかせたりするのだが…その度に尻尾や鶏冠が変則的に動くのだった。

「ププッ…カッコいいわよモラフ!」

笑ってる…あ!また笑ったな!

姉の顔を見て、悔しさが込み上げてくるモラフ。

「その衣装は、グリーンドラゴンの加護があるのよ!」

「ドラゴン?あの幻の生物ですか!」

しかし…加護とか言われても。

鏡に映る2人の少年と少女…。どう見ても金持ちのお嬢様が、父上から贈られた珍獣とイヤイヤ並んで居る様にしか見えないのだが。

(儂は…コレで良いのか?)

「ユッカ!変でしょ?ねぇ…僕の格好は変だよね?」

(こんな変な奴の護衛は嫌じゃろ?ユッカ。)

「大丈夫…です!アタシが守りますから!」

何か違う!ユッカよ何か違うじゃろ!

モラフの思いは届かない。そしてモラフの正装が変わる事も無い。

ユッカがモラフの専属騎手として屋敷に足を踏み入れた日に珍獣モラフが誕生した。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【読切短編】転生したら辺境伯家の三男でした ~のんびり暮らしたいのに、なぜか領地が発展していく~

Lihito
ファンタジー
過労死したシステムエンジニアは、異世界の辺境伯家に転生した。 三男。継承権は遠い。期待もされない。 ——最高じゃないか。 「今度こそ、のんびり生きよう」 兄たちの継承争いに巻き込まれないよう、誰も欲しがらない荒れ地を引き受けた。 静かに暮らすつもりだった。 だが、彼には「構造把握」という能力があった。 物事の問題点が、図解のように見える力。 井戸が枯れた。見て見ぬふりができなかった。 作物が育たない。見て見ぬふりができなかった。 気づけば——領地が勝手に発展していた。 「俺ののんびりライフ、どこ行った……」 これは、静かに暮らしたかった男が、なぜか成り上がっていく物語。

処理中です...