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19 棘と愛
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「痛い!痛いよ!」
モラフの正装の尻尾の付け根に緑色の棘が刺さる!
地面には大量のランの実の殻が落ちていた。
森に入り、ユッカに案内されて行き着いた場所には、確かにランの木が5本あった。あったにはあったのだが、残念ながら採り尽くされた後だった。
ユッカは、その光景に公爵家の御子息達に無駄足をとらせたと落ち込むのだが、二人は絶対に責めなかった。
嘘ではなかった。この場所は良い場所なのは間違いないのだから…ただタイミングが悪かっただけなのだ。
昨日、訪れていたら実が存在したのかもしれないのだ。
ユッカは何も悪くは無い。
しかし、この悔しい気持ちは何処に向ければ良いのだろうか?
ドレアが出した答えは…盗み食いしたモラフだった。
「お前が食べるから悪いんだ!待て逃げるな珍獣!」
森の中を必死に逃げ回る珍獣モラフ。しかし、姉上のランの実の殻を投げるスピードはケタ違いだ。お尻を痛がる珍獣は、程なくして確保された。
「確保!」
以前と同じ様に抱きかかえる珍獣。足をバタつかせ抵抗するが、はっきり言って絶望的だ。
「はい!モラフ君の専属騎士ののユッカちゃ~~ん!」
2人の、追走戦を見ていたユッカはドレアの言葉に寒気がした。本能が、コイツはヤバいと告げている。
「私はこれから、この盗っ人珍獣君に罰を与えますが貴女は、珍獣を守りますか?守りませんか?」
「絶対に守りません!!」
即答…モラフの希望が一瞬で潰えた。
「守らない理由は何ですか?」
(儂も理由を聞きたいのじゃ!)
抱きかかえられているモラフは必死の形相で専属騎士のユッカを見る。
「アタシは…珍獣の騎士じゃない!だから…お姉ちゃんの味方なの!」
確かに…珍獣の騎士では無い。
(今の儂は…何なのじゃ?)
お姉ちゃん?私はお姉ちゃんなのね!妹が居ないドレアの胸が熱くなる。服を選んでいた時からだったのかも知れない。この五つ下の女の子は、私をお姉ちゃんと呼んでくれた。
「この子…可愛いわ!」
この騒動以降、姉ドレアはユッカを本当の妹の様に溺愛する。弟には、お転婆悪戯。ユッカには最上の愛を注ぐのだった。
姉の指示に従い。殻を地面の片隅に集めだしたユッカ。さすが木こりの娘。あっという間に殻の山を築く。
「おい!四つん這いになれよ珍獣…。」
え?
言葉の真意を確かめる間もなくユッカに取り押さえられて渋々四つん這いの体勢になるモラフは、何かを感じとり覚悟を決める。
(本当に無念じゃ…)
「えい!」「…あ~!」「えい!」「…あ~!」
「えい!」「…あ~!」「えい!えい!えい!えい!」
「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
どこぞの獣が叫んでいるかの様な奇声を発するモラフ。
そのお尻には大量の棘が刺さっていた。
「お姉ちゃん!近くから投げると面白いよ!」
(止めろユッカ!至近距離はいかんぞ!至近距離はいかんのだ!)
「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
至近距離では殻の速度が落ちない、ダイレクトに伝わる痛みにモラフは、お尻を突き上げたまま痙攣してしまった。
「ふ~スッキリした!さぁ帰りましょう。」
来た道を戻る二人と珍獣。珍獣はお尻に突き刺さった棘を丁寧に一本ずつ抜いて行く。歩きながら手探りで、お尻に手を伸ばし外す時は一度立ち止まり、お尻に気合いを入れる。それでも抜き痛みはあるのだ。どうしても踵が浮いてしまう。しかし、二人は歩くのを止めない。必死に着いて行くモラフの動き方は正に珍獣だ。
「ちょっと待って下さい。」
歩くのを止めたのは、ユッカだった。その場にしゃがみ込み、窪んだ地面に手を当てている。
「マズイです…奴が近くにいます。」
奴?モラフにとってマズイと言えば姉のドレアだ。捕まれたら最後!毎回、苦汁を舐めるはめになる。しかし、
姉は目の前だ。
「もしかして奴って、あいつ?」
ドレアが指差す方向に棘々しい毛を見せびらかし、此方を見ながら細長い舌を出している灰色と黒色が混ざり合った生物がいる。
「はい…この森の主、悲愴ヤマアラシです。」
ヤマアラシと言うが体長は2メートル以上ある。爪の鋭さも熊以上だ。
これはヤバいかも知れない。襲われたら無事で済まない気がする。
(前世でも見たことは無いのじゃ…)
変異種?
モラフは2人の身の安全を最優先にする。
(儂の剣は、お嬢様を守る為にあるのじゃ!)
2人に後ろに下がる様に指示を出し、モラフは腰の短剣を抜き構える。
(今の身体で致命傷を与えれれば良いのだが…)
「ハイ!珍獣がカッコつけてますよ!」
下げた2人が再び前に出て、既に剣を抜いていた。
(何をしておるのじゃ!お嬢様。逃げて下され。)
モラフを塞ぐ様に二人は前で、抜いた剣をヤマアラシに向けているのだが、ヤマアラシから溢れ出る異様な気に当てられたのか、構える剣がカタカタと小刻みに震えている。
(怖いなら…何故出る!お嬢様。)
生唾を飲むドレアが、振り向きモラフを見て微笑む。
そして、ドレアの微笑む意味を直ぐにモラフは知る事になる。
「ベルモンド公爵家は代々男系の家系。我が弟は、公爵家を継ぐもの成り。得体の知れぬ化物よ!ベルモンド公爵家の嫡子を簡単に喰えると思うなよ。お前の相手は私だ!脚が喰われたら剣を脚にする。腕が喰われたら噛み付いてやる。頭を喰ったら未来永劫呪ってやるからな!私はしつこいんだ。覚悟しろよ化物が!五体満足で居れると思うなよ!」
何を言っているのじゃ…お嬢様。
「ユッカ…下がりなさい。下がりなさいユッカ!!」
剣先が震えていたユッカは、ドレアの叫びで震えが止まり後ろのモラフの前で再び剣を構え直した。
「良い子ね…。ユッカ!私が死んだら貴女がモラフを守るのよ。しっかり守ってあげてよ。」
だから…何を言っておるのじゃ…お嬢様。
何時もの、お転婆姿はどこにもない。こんな真剣な顔のお嬢様を見るのは初めてじゃ…。
「モラフ…何時も悪戯して、ごめんなさいね!」
そう言いながら、ドレアは単身でヤマアラシに突撃して行く。
モラフの正装の尻尾の付け根に緑色の棘が刺さる!
地面には大量のランの実の殻が落ちていた。
森に入り、ユッカに案内されて行き着いた場所には、確かにランの木が5本あった。あったにはあったのだが、残念ながら採り尽くされた後だった。
ユッカは、その光景に公爵家の御子息達に無駄足をとらせたと落ち込むのだが、二人は絶対に責めなかった。
嘘ではなかった。この場所は良い場所なのは間違いないのだから…ただタイミングが悪かっただけなのだ。
昨日、訪れていたら実が存在したのかもしれないのだ。
ユッカは何も悪くは無い。
しかし、この悔しい気持ちは何処に向ければ良いのだろうか?
ドレアが出した答えは…盗み食いしたモラフだった。
「お前が食べるから悪いんだ!待て逃げるな珍獣!」
森の中を必死に逃げ回る珍獣モラフ。しかし、姉上のランの実の殻を投げるスピードはケタ違いだ。お尻を痛がる珍獣は、程なくして確保された。
「確保!」
以前と同じ様に抱きかかえる珍獣。足をバタつかせ抵抗するが、はっきり言って絶望的だ。
「はい!モラフ君の専属騎士ののユッカちゃ~~ん!」
2人の、追走戦を見ていたユッカはドレアの言葉に寒気がした。本能が、コイツはヤバいと告げている。
「私はこれから、この盗っ人珍獣君に罰を与えますが貴女は、珍獣を守りますか?守りませんか?」
「絶対に守りません!!」
即答…モラフの希望が一瞬で潰えた。
「守らない理由は何ですか?」
(儂も理由を聞きたいのじゃ!)
抱きかかえられているモラフは必死の形相で専属騎士のユッカを見る。
「アタシは…珍獣の騎士じゃない!だから…お姉ちゃんの味方なの!」
確かに…珍獣の騎士では無い。
(今の儂は…何なのじゃ?)
お姉ちゃん?私はお姉ちゃんなのね!妹が居ないドレアの胸が熱くなる。服を選んでいた時からだったのかも知れない。この五つ下の女の子は、私をお姉ちゃんと呼んでくれた。
「この子…可愛いわ!」
この騒動以降、姉ドレアはユッカを本当の妹の様に溺愛する。弟には、お転婆悪戯。ユッカには最上の愛を注ぐのだった。
姉の指示に従い。殻を地面の片隅に集めだしたユッカ。さすが木こりの娘。あっという間に殻の山を築く。
「おい!四つん這いになれよ珍獣…。」
え?
言葉の真意を確かめる間もなくユッカに取り押さえられて渋々四つん這いの体勢になるモラフは、何かを感じとり覚悟を決める。
(本当に無念じゃ…)
「えい!」「…あ~!」「えい!」「…あ~!」
「えい!」「…あ~!」「えい!えい!えい!えい!」
「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
どこぞの獣が叫んでいるかの様な奇声を発するモラフ。
そのお尻には大量の棘が刺さっていた。
「お姉ちゃん!近くから投げると面白いよ!」
(止めろユッカ!至近距離はいかんぞ!至近距離はいかんのだ!)
「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
至近距離では殻の速度が落ちない、ダイレクトに伝わる痛みにモラフは、お尻を突き上げたまま痙攣してしまった。
「ふ~スッキリした!さぁ帰りましょう。」
来た道を戻る二人と珍獣。珍獣はお尻に突き刺さった棘を丁寧に一本ずつ抜いて行く。歩きながら手探りで、お尻に手を伸ばし外す時は一度立ち止まり、お尻に気合いを入れる。それでも抜き痛みはあるのだ。どうしても踵が浮いてしまう。しかし、二人は歩くのを止めない。必死に着いて行くモラフの動き方は正に珍獣だ。
「ちょっと待って下さい。」
歩くのを止めたのは、ユッカだった。その場にしゃがみ込み、窪んだ地面に手を当てている。
「マズイです…奴が近くにいます。」
奴?モラフにとってマズイと言えば姉のドレアだ。捕まれたら最後!毎回、苦汁を舐めるはめになる。しかし、
姉は目の前だ。
「もしかして奴って、あいつ?」
ドレアが指差す方向に棘々しい毛を見せびらかし、此方を見ながら細長い舌を出している灰色と黒色が混ざり合った生物がいる。
「はい…この森の主、悲愴ヤマアラシです。」
ヤマアラシと言うが体長は2メートル以上ある。爪の鋭さも熊以上だ。
これはヤバいかも知れない。襲われたら無事で済まない気がする。
(前世でも見たことは無いのじゃ…)
変異種?
モラフは2人の身の安全を最優先にする。
(儂の剣は、お嬢様を守る為にあるのじゃ!)
2人に後ろに下がる様に指示を出し、モラフは腰の短剣を抜き構える。
(今の身体で致命傷を与えれれば良いのだが…)
「ハイ!珍獣がカッコつけてますよ!」
下げた2人が再び前に出て、既に剣を抜いていた。
(何をしておるのじゃ!お嬢様。逃げて下され。)
モラフを塞ぐ様に二人は前で、抜いた剣をヤマアラシに向けているのだが、ヤマアラシから溢れ出る異様な気に当てられたのか、構える剣がカタカタと小刻みに震えている。
(怖いなら…何故出る!お嬢様。)
生唾を飲むドレアが、振り向きモラフを見て微笑む。
そして、ドレアの微笑む意味を直ぐにモラフは知る事になる。
「ベルモンド公爵家は代々男系の家系。我が弟は、公爵家を継ぐもの成り。得体の知れぬ化物よ!ベルモンド公爵家の嫡子を簡単に喰えると思うなよ。お前の相手は私だ!脚が喰われたら剣を脚にする。腕が喰われたら噛み付いてやる。頭を喰ったら未来永劫呪ってやるからな!私はしつこいんだ。覚悟しろよ化物が!五体満足で居れると思うなよ!」
何を言っているのじゃ…お嬢様。
「ユッカ…下がりなさい。下がりなさいユッカ!!」
剣先が震えていたユッカは、ドレアの叫びで震えが止まり後ろのモラフの前で再び剣を構え直した。
「良い子ね…。ユッカ!私が死んだら貴女がモラフを守るのよ。しっかり守ってあげてよ。」
だから…何を言っておるのじゃ…お嬢様。
何時もの、お転婆姿はどこにもない。こんな真剣な顔のお嬢様を見るのは初めてじゃ…。
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