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21 神の領域の先
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「お前の相手は私だ!」
森の出入口で短剣を構えるモラフ。ヤマアラシから、自分を守ってくれた姉の真似をしている。本人的には、姉上の姿に感動して真似て要るのだが…姉には、そうは映らない。
「ぐあ!」
僕のお尻が…限界に近づいています。
ヤマアラシの棘を数本抱えて歩いているユッカから、1本拝借し、モラフのお尻に突き刺すドレア。
「何するんですか!」
「次…真似たら、ド真ん中に刺すから!」
それは駄目だ!絶対に駄目だ…
しかし駄目だと言われてしまうと、やりたくなるのが、
5歳児だろう。
「五体満足で居られると…思うなよ!」
「ハイ!貫通確定…」
棘を振り回し追いかける姉と、お尻を常に手で押さえながら逃げ惑う弟。
実に、仲睦まじい光景だ。
「ゴンタ君!!僕の後ろの奴を屋敷に入れるな!!」
屋敷の正門目掛けて勢いよく近づいてくるモラフ。その表情を見たゴンタは、一大事だと判断し、警戒態勢を取る。
門番の出番が来た!!
日頃の特訓の成果を披露する時が、こんなにも早く訪れようとは!
「賊よ!此処は通さん。ベルモンド公爵家の門番にして、夜な夜な娼館団が一番隊隊長ゴンタ!お前が超えられるほど俺は弱い男じゃないぜ!お前は、知らんだろが先の剣術大会にて、華麗な…」
「はい!長い!!」
細脚からは想像出来ぬ程の威力の飛び膝蹴りが、ゴンタの顎を捉えた!!
見えない…。オラの眼では見えない。
見えた!あの宙に舞う小さな白い物は…オラの歯だ…
(ゴンタ…すまぬ!)
道と正門の境目に、綺麗に大の字になるゴンタ。
こんな所で寝るなよ!風邪引くぜ?
そんな言葉を待っているかの様に口から泡を吹く。
(このままだと…何れ捕まるのじゃ!)
何か覚悟を決めたかの様に、庭の中で立ち止まる緑色の珍獣は稽古で使う木剣を握りしめる。
「へー!私とヤル気?」
覚悟を決めた弟の表情を見て、不敵な笑みを浮かべる姉外道のドレアはヤマアラシの棘を持ち、その棘先を弟に向けた。
姉弟対決…いや姉弟喧嘩だろうか?
(今の儂で勝てるか?難しいじゃろうな…。)
本当は姉に刃など向けたくない。しかし、度重なる外道行為に…モラフのお尻は限界だ。
限界突破!…5歳児のお尻に、そんな言葉はまだ早すぎるだろう。
「あら!帰って来たの?」
クレアだ。異様な雰囲気の中で二人の間に挟まれる形のクレア夫人は二人が無事に帰ってきてくれて笑顔だ。
「お客様が、お見えよ!」
(姉上…気付いているか!今、喧嘩したら僕達は喰われるぞ!)
笑顔よね?ママは今…笑っているよね?
ドレアの持つ棘が細かく震えている。
何故…私は笑顔のママを見て、震えているの?
いつもの優しいママでしょ?
どうして…こんなに苦しいのよ!
あのヤマアラシが霞む程の圧が二人にプレッシャーを与える。
馬鹿な喧嘩は止めなさい!って事なのか?
もしくは別に事件があったのか?
分からない。……でも姉との争いを、今するのは最良ではないのは…分かる。
「駄目…潰れる!」
押し潰される位なら…こっちから仕掛ける!!
正に閃光!地には土埃が舞う。研ぎ澄まされた突きの先に構えるはモラフ。姉が繰り出した突きを受け止めるには幼少過ぎる。躱す!反応出来るか?反応しなきゃ駄目なんだ!
「はい!捕まえた!」
「!!」
僕は何を見ているんだ?
目の前に居るのは駄目な門番ゴンタじゃないんだぞ!
あのヤマアラシに一歩も引かず戦った姉上だぞ!
腰のベルトを背中越しに掴まれ、空中で手脚をバタつかせる姉上。手にしていた棘をクレアが持っている。
ハハハ…喧嘩している場合じゃないなぁ…
「姉上…僕も今参ります。」
ゴンタが憧れる神速の抜刀術ではない。これは僕の全力の抜刀術だ!
神の領域に踏み込むんだ!
神のみが見れた世界…確かに僕は踏み込んだ!
何故、姉上が奪われた棘が壁にめり込んでいるのだ?
何度も見た、深い雪原の谷間がモラフの前に広がる。
姉上…すみません。僕は神にはなれませんでした。
正装の尻尾を掴まれ、宙ぶらりんのモラフ。
「はい!こっちも捕まえた!」
相手が神の上の存在だと知っていたら…
僕は挑まなかったのになぁ…。
森の出入口で短剣を構えるモラフ。ヤマアラシから、自分を守ってくれた姉の真似をしている。本人的には、姉上の姿に感動して真似て要るのだが…姉には、そうは映らない。
「ぐあ!」
僕のお尻が…限界に近づいています。
ヤマアラシの棘を数本抱えて歩いているユッカから、1本拝借し、モラフのお尻に突き刺すドレア。
「何するんですか!」
「次…真似たら、ド真ん中に刺すから!」
それは駄目だ!絶対に駄目だ…
しかし駄目だと言われてしまうと、やりたくなるのが、
5歳児だろう。
「五体満足で居られると…思うなよ!」
「ハイ!貫通確定…」
棘を振り回し追いかける姉と、お尻を常に手で押さえながら逃げ惑う弟。
実に、仲睦まじい光景だ。
「ゴンタ君!!僕の後ろの奴を屋敷に入れるな!!」
屋敷の正門目掛けて勢いよく近づいてくるモラフ。その表情を見たゴンタは、一大事だと判断し、警戒態勢を取る。
門番の出番が来た!!
日頃の特訓の成果を披露する時が、こんなにも早く訪れようとは!
「賊よ!此処は通さん。ベルモンド公爵家の門番にして、夜な夜な娼館団が一番隊隊長ゴンタ!お前が超えられるほど俺は弱い男じゃないぜ!お前は、知らんだろが先の剣術大会にて、華麗な…」
「はい!長い!!」
細脚からは想像出来ぬ程の威力の飛び膝蹴りが、ゴンタの顎を捉えた!!
見えない…。オラの眼では見えない。
見えた!あの宙に舞う小さな白い物は…オラの歯だ…
(ゴンタ…すまぬ!)
道と正門の境目に、綺麗に大の字になるゴンタ。
こんな所で寝るなよ!風邪引くぜ?
そんな言葉を待っているかの様に口から泡を吹く。
(このままだと…何れ捕まるのじゃ!)
何か覚悟を決めたかの様に、庭の中で立ち止まる緑色の珍獣は稽古で使う木剣を握りしめる。
「へー!私とヤル気?」
覚悟を決めた弟の表情を見て、不敵な笑みを浮かべる姉外道のドレアはヤマアラシの棘を持ち、その棘先を弟に向けた。
姉弟対決…いや姉弟喧嘩だろうか?
(今の儂で勝てるか?難しいじゃろうな…。)
本当は姉に刃など向けたくない。しかし、度重なる外道行為に…モラフのお尻は限界だ。
限界突破!…5歳児のお尻に、そんな言葉はまだ早すぎるだろう。
「あら!帰って来たの?」
クレアだ。異様な雰囲気の中で二人の間に挟まれる形のクレア夫人は二人が無事に帰ってきてくれて笑顔だ。
「お客様が、お見えよ!」
(姉上…気付いているか!今、喧嘩したら僕達は喰われるぞ!)
笑顔よね?ママは今…笑っているよね?
ドレアの持つ棘が細かく震えている。
何故…私は笑顔のママを見て、震えているの?
いつもの優しいママでしょ?
どうして…こんなに苦しいのよ!
あのヤマアラシが霞む程の圧が二人にプレッシャーを与える。
馬鹿な喧嘩は止めなさい!って事なのか?
もしくは別に事件があったのか?
分からない。……でも姉との争いを、今するのは最良ではないのは…分かる。
「駄目…潰れる!」
押し潰される位なら…こっちから仕掛ける!!
正に閃光!地には土埃が舞う。研ぎ澄まされた突きの先に構えるはモラフ。姉が繰り出した突きを受け止めるには幼少過ぎる。躱す!反応出来るか?反応しなきゃ駄目なんだ!
「はい!捕まえた!」
「!!」
僕は何を見ているんだ?
目の前に居るのは駄目な門番ゴンタじゃないんだぞ!
あのヤマアラシに一歩も引かず戦った姉上だぞ!
腰のベルトを背中越しに掴まれ、空中で手脚をバタつかせる姉上。手にしていた棘をクレアが持っている。
ハハハ…喧嘩している場合じゃないなぁ…
「姉上…僕も今参ります。」
ゴンタが憧れる神速の抜刀術ではない。これは僕の全力の抜刀術だ!
神の領域に踏み込むんだ!
神のみが見れた世界…確かに僕は踏み込んだ!
何故、姉上が奪われた棘が壁にめり込んでいるのだ?
何度も見た、深い雪原の谷間がモラフの前に広がる。
姉上…すみません。僕は神にはなれませんでした。
正装の尻尾を掴まれ、宙ぶらりんのモラフ。
「はい!こっちも捕まえた!」
相手が神の上の存在だと知っていたら…
僕は挑まなかったのになぁ…。
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