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23 墓参り
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「いつ来ても…不思議なものじゃな。」
公爵家の屋敷から少し離れた丘の上で石碑に向かい、祈りを捧げる公爵夫妻とその子供達は、長年仕えてくれた執事の墓に花を添えに訪れた。
(自分の墓に儂は何を祈れば良いのじゃ?)
その答えは誰にも分からないだろう。自分で自分の墓に祈る者は居ないのではないだろうか?
「良かった…雪が降る前に爺やに挨拶出来て。」
クレア様が言う通り、冬が目前まで迫っている。木々の葉は色付き始めたのも束の間。既に地に舞い落ちている葉も屋敷付近でも見られる。人々は1枚2枚と徐々に上着の重ね着が増えてきた。
グリーンドラゴンの加護…。
儂の正装は、お嬢様のチョン撃も防がなければ、棘も見事に防がない。見た目のせいで今だに使用人達は笑っているし…母上には尻尾を掴まれた。
しかし!季節の変化に儂の正装は見事に適応する。
寒く無い!
朝方は、外で息を吐くと白くなる。しかし寒くない!
皆が着込む中、儂は着込まない!
常に適温で過ごしている。……これがグリーンドラゴンの加護なのだろうか?
(これは、手放せんのじゃ!)
自分の墓前で正装の解れは無いか?…と腕を上げて脇の繋ぎ目や尻尾の繋ぎ目を、皆が自分の墓前で祈る中で、
隈なくチェックする嫡子…実に失礼な奴だ。
「ねぇ…ママ?」
祈りが終わるとドレアがクレアに質問を投げかける。
爺やとママはどっちが強いの?…と。
儂とクレア様の強さか?…ふむ。考えた事など無かったわい。
娘の問いに、モラフの墓を真っ直ぐ見つめているクレアは、少し笑いながら娘に答えた。
「私よ!」
そりゃそうじゃ!5歳児とは言え…あの抜刀術を見切られたのじゃ…強さの基準が違うのじゃ。クレア様は、儂の極めた強さとは違う世界にいるのじゃ!
「私が公爵家に嫁いで来た時、爺やは古稀を過ぎていたのよ。私の荷物を運ぶのじゃって言いながら腰を痛めてね。玄関から動かなくなってね…フフ…荷物が1つ増えたのよ!」
あ、あれは我が人生初のギックリ腰じゃったのじゃ!
綺麗な、お嫁さんを貰ったダンドール様に儂は嬉しくなって…準備運動を怠ってしまった結果が…
情けない日じゃった…。
「英雄モラフ・ニコライ…彼でも老いには勝てない。」
英雄?そう言えば、そんな呼び方もされた事があったのじゃ。儂は英雄何て呼ばれても嬉しくなかったのだ。
人殺しの答えが…英雄だった。
母上の話しを聞いて墓を見つめるモラフ。前世の記憶を辿っているのだろうか?
「でも…爺やが同い年だったら…私は勝てない。」
その言葉を聞いてドレアは笑顔になる。
やっぱり爺やは強いんだと墓石を見つめていた…
「そう言えば貴方?」
最近は忙しい様でイマイチ、屋敷での存在感が無いダンドール公爵にクレアが質問する。
「八十の爺やに棒切で倒されていたわよね?庭で…」
見ていたのか?
無表情ながらもダンドールの頬に汗が流れる。
ドレアが産まれて数日が経ったある日。あまりにも嬉しい公爵は爺やを連れて街に花を買いに出かける。爺やのアドバイスを聞いて白い綺麗な花を買ったのだが…
広場で偶々見かけた婦人に、そなたと似た花を沢山買ってしまったとか意味不明な言葉を発して花束を渡してしまったダンドールに怒りの爺やが庭で稽古と称した、お仕置きを実行したのだ。
「爺やの戯れに…付き合っただけよ!ハッハ。」
あんなに綺麗な嫁さんが居て他の女子を追いかけるとは…馬鹿公爵の極み!
爺やに言われた言葉を思い出すダンドール…。
各自が爺やとの思い出を振り返る、良い墓参りとなった
1日だった。
公爵家の屋敷から少し離れた丘の上で石碑に向かい、祈りを捧げる公爵夫妻とその子供達は、長年仕えてくれた執事の墓に花を添えに訪れた。
(自分の墓に儂は何を祈れば良いのじゃ?)
その答えは誰にも分からないだろう。自分で自分の墓に祈る者は居ないのではないだろうか?
「良かった…雪が降る前に爺やに挨拶出来て。」
クレア様が言う通り、冬が目前まで迫っている。木々の葉は色付き始めたのも束の間。既に地に舞い落ちている葉も屋敷付近でも見られる。人々は1枚2枚と徐々に上着の重ね着が増えてきた。
グリーンドラゴンの加護…。
儂の正装は、お嬢様のチョン撃も防がなければ、棘も見事に防がない。見た目のせいで今だに使用人達は笑っているし…母上には尻尾を掴まれた。
しかし!季節の変化に儂の正装は見事に適応する。
寒く無い!
朝方は、外で息を吐くと白くなる。しかし寒くない!
皆が着込む中、儂は着込まない!
常に適温で過ごしている。……これがグリーンドラゴンの加護なのだろうか?
(これは、手放せんのじゃ!)
自分の墓前で正装の解れは無いか?…と腕を上げて脇の繋ぎ目や尻尾の繋ぎ目を、皆が自分の墓前で祈る中で、
隈なくチェックする嫡子…実に失礼な奴だ。
「ねぇ…ママ?」
祈りが終わるとドレアがクレアに質問を投げかける。
爺やとママはどっちが強いの?…と。
儂とクレア様の強さか?…ふむ。考えた事など無かったわい。
娘の問いに、モラフの墓を真っ直ぐ見つめているクレアは、少し笑いながら娘に答えた。
「私よ!」
そりゃそうじゃ!5歳児とは言え…あの抜刀術を見切られたのじゃ…強さの基準が違うのじゃ。クレア様は、儂の極めた強さとは違う世界にいるのじゃ!
「私が公爵家に嫁いで来た時、爺やは古稀を過ぎていたのよ。私の荷物を運ぶのじゃって言いながら腰を痛めてね。玄関から動かなくなってね…フフ…荷物が1つ増えたのよ!」
あ、あれは我が人生初のギックリ腰じゃったのじゃ!
綺麗な、お嫁さんを貰ったダンドール様に儂は嬉しくなって…準備運動を怠ってしまった結果が…
情けない日じゃった…。
「英雄モラフ・ニコライ…彼でも老いには勝てない。」
英雄?そう言えば、そんな呼び方もされた事があったのじゃ。儂は英雄何て呼ばれても嬉しくなかったのだ。
人殺しの答えが…英雄だった。
母上の話しを聞いて墓を見つめるモラフ。前世の記憶を辿っているのだろうか?
「でも…爺やが同い年だったら…私は勝てない。」
その言葉を聞いてドレアは笑顔になる。
やっぱり爺やは強いんだと墓石を見つめていた…
「そう言えば貴方?」
最近は忙しい様でイマイチ、屋敷での存在感が無いダンドール公爵にクレアが質問する。
「八十の爺やに棒切で倒されていたわよね?庭で…」
見ていたのか?
無表情ながらもダンドールの頬に汗が流れる。
ドレアが産まれて数日が経ったある日。あまりにも嬉しい公爵は爺やを連れて街に花を買いに出かける。爺やのアドバイスを聞いて白い綺麗な花を買ったのだが…
広場で偶々見かけた婦人に、そなたと似た花を沢山買ってしまったとか意味不明な言葉を発して花束を渡してしまったダンドールに怒りの爺やが庭で稽古と称した、お仕置きを実行したのだ。
「爺やの戯れに…付き合っただけよ!ハッハ。」
あんなに綺麗な嫁さんが居て他の女子を追いかけるとは…馬鹿公爵の極み!
爺やに言われた言葉を思い出すダンドール…。
各自が爺やとの思い出を振り返る、良い墓参りとなった
1日だった。
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