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29 魔法学
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「これは…凄い!」
1年特組の課外授業で、メマニア先生が掌から炎を放ち10数メートル離れた岩に当てた。
(魔法じゃ、儂は前世では才能が無かったのじゃ…)
歪んだメガネのフレームを指で摘みながら、儂らに真似して見ろと言うのだが…出来るわけがない。
公爵家だろ?何故出来ないのだ…
そんな失言を言いそうな顔で三人を見つめる。
…何か、無性に悔しいのじゃ!
「僕の実力を見せてやる!」
挑発にのった?……あぁ、のりましたよ!毎日退屈な授業より僕は新しい事に挑戦したいんだ。
辺りが静かになる。魔法?理屈は分からないが…手から炎を出したら成功だろ?見せてやるよ!公爵家の嫡子の実力を……僕の業火に、お前の眼鏡は似合わない。
「喰らえ!公爵ファイア!!」
………だから…無理だって!
魔法ってなんだよ!出来るなら前世で使ってます!
………!!
先生って…意外と良い人だな!
先程の公爵何とかは、先生は見なかった事にします!と言ってくれた。有り難い。あのままだと…心に傷を残したまま、大人になるところだったよ!
その後も、魔法の練習をするのだが…広場に良く分からない言葉だけが虚しく響いた。
……何で二人は出来るのかな?
母上が選んだ双剣に炎を纏わせるユッカ。弱々しい炎だが、確かにあれは魔法だ。
「ユッカちゃん凄い!魔法剣よそれ!」
魔法剣?剣に魔法を付与しているのか?
…ズルい!ユッカのクセにズルいぞ!
「え…コマお嬢様…嘘でしょ?」
君は天才か?…本で読んだ事がある。あれは精霊だ!
コマの周りを羽が生えた小さな発光する半透明の生き物が笑顔で飛んでいる。コマは驚くのだが半透明の生き物は小さな光りの粒を振り撒き、コマから離れようとはしなかった。
「精霊召喚…」
メマニア先生の言葉は、コマを入学後、一番の笑顔にした。
「これが娼館なのね?」
私も本当は我慢していたの…娼館が解らなくてモラフ様を困らせていた事を…でも、もう大丈夫なんだ。こんなに綺麗な精霊さんの娼館なんだから!
「これが私の娼館デビューよ!」
……天賦の才能は確かに存在する。それを望んだ者は沢山いただろう。しかし、その才能を望んだ者以外の誰かが持っていたなら、望んだ者はどうするのか?
今回の行動は、その1例である。
……腹が痛いんで……僕…早退します!さよなら。
魔法の才能が無い少年は走った。すっかり馴染んだ珍獣正装の尾を振りながら全力で走った。学園の警備する者達に、さようならの挨拶もしないで走った。
好きな物は…何でも手に入るんだ!…だって僕は公爵家の嫡子だからな。産まれた時から勝ち組の人間なんだ!
羨ましいだろ?
あぁ…今日の晩御飯は何だろうな?…肉屋には並ばない希少部位の肉かな?
そうだ!御飯が終われば君達の家より広い風呂に入ろうかな?
…はぁ。広い屋敷を歩くのは疲れるぜ!
「母上!!」
屋敷の庭の椅子で寛いでいたクレアの太ももに、顔を埋めるモラフ。母のスカートを握り締めて震えている。その姿に母クレアは何も言わずに、優しく頭を撫でてくれた。
「魔法…嫌いです。」
蹲るモラフを抱きかかえた母は笑顔でモラフを胸元に寄せて頬杖をしてくる。
「私は魔法が好きよ!モラフが私から産まれたのは、きっと神様の魔法なのよ。」
息子の辛さを、しっかり受け止める母。
嫌な自分を忘れさせてくれる母の魔法に…
今は素直に甘えてしまう。
1年特組の課外授業で、メマニア先生が掌から炎を放ち10数メートル離れた岩に当てた。
(魔法じゃ、儂は前世では才能が無かったのじゃ…)
歪んだメガネのフレームを指で摘みながら、儂らに真似して見ろと言うのだが…出来るわけがない。
公爵家だろ?何故出来ないのだ…
そんな失言を言いそうな顔で三人を見つめる。
…何か、無性に悔しいのじゃ!
「僕の実力を見せてやる!」
挑発にのった?……あぁ、のりましたよ!毎日退屈な授業より僕は新しい事に挑戦したいんだ。
辺りが静かになる。魔法?理屈は分からないが…手から炎を出したら成功だろ?見せてやるよ!公爵家の嫡子の実力を……僕の業火に、お前の眼鏡は似合わない。
「喰らえ!公爵ファイア!!」
………だから…無理だって!
魔法ってなんだよ!出来るなら前世で使ってます!
………!!
先生って…意外と良い人だな!
先程の公爵何とかは、先生は見なかった事にします!と言ってくれた。有り難い。あのままだと…心に傷を残したまま、大人になるところだったよ!
その後も、魔法の練習をするのだが…広場に良く分からない言葉だけが虚しく響いた。
……何で二人は出来るのかな?
母上が選んだ双剣に炎を纏わせるユッカ。弱々しい炎だが、確かにあれは魔法だ。
「ユッカちゃん凄い!魔法剣よそれ!」
魔法剣?剣に魔法を付与しているのか?
…ズルい!ユッカのクセにズルいぞ!
「え…コマお嬢様…嘘でしょ?」
君は天才か?…本で読んだ事がある。あれは精霊だ!
コマの周りを羽が生えた小さな発光する半透明の生き物が笑顔で飛んでいる。コマは驚くのだが半透明の生き物は小さな光りの粒を振り撒き、コマから離れようとはしなかった。
「精霊召喚…」
メマニア先生の言葉は、コマを入学後、一番の笑顔にした。
「これが娼館なのね?」
私も本当は我慢していたの…娼館が解らなくてモラフ様を困らせていた事を…でも、もう大丈夫なんだ。こんなに綺麗な精霊さんの娼館なんだから!
「これが私の娼館デビューよ!」
……天賦の才能は確かに存在する。それを望んだ者は沢山いただろう。しかし、その才能を望んだ者以外の誰かが持っていたなら、望んだ者はどうするのか?
今回の行動は、その1例である。
……腹が痛いんで……僕…早退します!さよなら。
魔法の才能が無い少年は走った。すっかり馴染んだ珍獣正装の尾を振りながら全力で走った。学園の警備する者達に、さようならの挨拶もしないで走った。
好きな物は…何でも手に入るんだ!…だって僕は公爵家の嫡子だからな。産まれた時から勝ち組の人間なんだ!
羨ましいだろ?
あぁ…今日の晩御飯は何だろうな?…肉屋には並ばない希少部位の肉かな?
そうだ!御飯が終われば君達の家より広い風呂に入ろうかな?
…はぁ。広い屋敷を歩くのは疲れるぜ!
「母上!!」
屋敷の庭の椅子で寛いでいたクレアの太ももに、顔を埋めるモラフ。母のスカートを握り締めて震えている。その姿に母クレアは何も言わずに、優しく頭を撫でてくれた。
「魔法…嫌いです。」
蹲るモラフを抱きかかえた母は笑顔でモラフを胸元に寄せて頬杖をしてくる。
「私は魔法が好きよ!モラフが私から産まれたのは、きっと神様の魔法なのよ。」
息子の辛さを、しっかり受け止める母。
嫌な自分を忘れさせてくれる母の魔法に…
今は素直に甘えてしまう。
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