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ギルドを立ち上げてみよう
PHASE-44【久しぶりに、味のついた飲み物を飲んだ】
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「――――ふむふむ。盛況ですな。乱痴気騒ぎでも活気があるのはいいことです」
昼を過ぎた頃に、俺では無理な仕事を先生が王城に赴いて対応。
それが済んだようで、見学しに来たようだが、示現流を知らないと、やはり狂ったように見えるようだ。
「――渡りはつきましたか?」
ここはキエ―キエ―とうるさいので、場所を変える。
俺たちの拠点となった小屋に、先生だけでなく、ベルとゲッコーさんも含めて、四人で円卓を囲み、こちらの増強に危険視しなくてもいいと、解いてもらっていた。
「快諾ではありませんが、許可はもらいました」
ニヤリと笑む。
許可をもらえるように、相手を誘導したんだろうな――――。
ベルがお茶を入れてくれたので、それをいただく。
最後に俺の前にティーカップが来たことが、俺のヒエラルキーがここでは一番低いというのを暗に示しているのだろうが、そんな事は気にしない。美人にお茶を入れてもらえるだけでも、今までの俺からしたら勝ち組だから。
紅茶は王城から支給された物の中にあった。王家が口にする嗜好品なだけあって、鼻から抜ける風味はバラのような香りだった。
とても美味である。
皆で一口すすれば、先生が口を開く。
――――王様は現状、自分自身で精一杯であり、周囲に対して配慮が出来ないようで、それに影響を受けた家臣団も、ナブル将軍を除いて、尻に火が付いているような状況。
なので、六花のマントを託している以上、勇者である俺に全権とはいかないが、軍事面は託したいとの事だったそうだ。
本来は全権であっただろうが、得心のいっていない一部の家臣たちに配慮したのか、王の兵を勇者である俺の私兵にするのは困るとの事で、そこは線引きをしてもらいたいそうだ。
そんなもんは当然だろう。別段、俺はこの王都の統治者になりたいわけじゃないからな。
兵は王の下にいるのが当たり前と、ちゃんと返答したようだ。
そこを利用して、先生はギルドを立ち上げ、勇者が指揮する兵の代わりになる勢力を創設するという交渉を行ったそうだ。
王都に王の兵とは違う武力組織が出来れば、それに対して危険視する声は当然あがる。
最初に声をあげた人物の名は――、ミルトン。
俺がここに来て、王城の謁見の間にて目にした、小綺麗な出っ歯のおっさんだ。
でも、そこは先生。ならば自分たちで奮闘されよ。と、冷たくあしらえば、焦る王様と臣下たちは先生に縋ったそうだ。
心は弱っているから、冷たくすれば、簡単にこちらに対して軟化すると分かりきっていたらしい。
ギルドの創設許可はそこで得たそうだ。
縋る光景に、ミルトンだけは歯を軋らせて、焦燥の表情を向けてきたそうで、先生はそれで理解したという。
なにを理解したのか? そこは教えてくれなかった。
以前は、あのミルトンっておっさんも縋ってきたのに、今回は違ったんだな。
「まあ、これからも軋轢が生まれるかもしれませんが、次からは快諾を得られますよ。確実にね――――」
うわ~。先生ってそんなキャラでしたっけ? 最近多いですよ。悪い顔が。
「これで心置きなく、ぎるどを創設できます。敵が来るのが先か、我らが同士が集うのが先か」
「いや、敵でしょう……」
重い声で返す。
「私もそう思っていたのですが、三日過ぎても来ないということは、大敗した先遣隊の状況を知り、対応を考えていると推測できます。となれば、この本隊を指揮する者は考えもなく、ただ突っ込んでくるだけの戦闘狂とは違い、知恵が回る者と考えられます。最初の推測を改めないといけませんね。ですので、軍備の確認に、王都周辺の地形の再調査を行うと考えれば、進軍再開からここへと到達するのは、これより四日後くらいでしょうね。そして、南西の方角から王都を翼包囲しつつも、野戦主体で来るでしょう」
なんでそこまで分かるの? もしそうなったら、尚書令や軍略家というより、予言者ですよ。
「この王都にどのくらいの人が集まってきますかね」
いくら奇跡の勝利が言葉に乗って、大陸で抵抗している人達に駆け巡ったとして、本当にここへと来てくれるだろうか。
「この状況下で抵抗している者は志のある者です。結束こそが大事と考え行動できる名士と思って問題ないでしょう。どしどし登用していきますよ」
これからの事にワクワクしているようだ。言い終えると、先生は満足そうに紅茶を楽しむ。
昼を過ぎた頃に、俺では無理な仕事を先生が王城に赴いて対応。
それが済んだようで、見学しに来たようだが、示現流を知らないと、やはり狂ったように見えるようだ。
「――渡りはつきましたか?」
ここはキエ―キエ―とうるさいので、場所を変える。
俺たちの拠点となった小屋に、先生だけでなく、ベルとゲッコーさんも含めて、四人で円卓を囲み、こちらの増強に危険視しなくてもいいと、解いてもらっていた。
「快諾ではありませんが、許可はもらいました」
ニヤリと笑む。
許可をもらえるように、相手を誘導したんだろうな――――。
ベルがお茶を入れてくれたので、それをいただく。
最後に俺の前にティーカップが来たことが、俺のヒエラルキーがここでは一番低いというのを暗に示しているのだろうが、そんな事は気にしない。美人にお茶を入れてもらえるだけでも、今までの俺からしたら勝ち組だから。
紅茶は王城から支給された物の中にあった。王家が口にする嗜好品なだけあって、鼻から抜ける風味はバラのような香りだった。
とても美味である。
皆で一口すすれば、先生が口を開く。
――――王様は現状、自分自身で精一杯であり、周囲に対して配慮が出来ないようで、それに影響を受けた家臣団も、ナブル将軍を除いて、尻に火が付いているような状況。
なので、六花のマントを託している以上、勇者である俺に全権とはいかないが、軍事面は託したいとの事だったそうだ。
本来は全権であっただろうが、得心のいっていない一部の家臣たちに配慮したのか、王の兵を勇者である俺の私兵にするのは困るとの事で、そこは線引きをしてもらいたいそうだ。
そんなもんは当然だろう。別段、俺はこの王都の統治者になりたいわけじゃないからな。
兵は王の下にいるのが当たり前と、ちゃんと返答したようだ。
そこを利用して、先生はギルドを立ち上げ、勇者が指揮する兵の代わりになる勢力を創設するという交渉を行ったそうだ。
王都に王の兵とは違う武力組織が出来れば、それに対して危険視する声は当然あがる。
最初に声をあげた人物の名は――、ミルトン。
俺がここに来て、王城の謁見の間にて目にした、小綺麗な出っ歯のおっさんだ。
でも、そこは先生。ならば自分たちで奮闘されよ。と、冷たくあしらえば、焦る王様と臣下たちは先生に縋ったそうだ。
心は弱っているから、冷たくすれば、簡単にこちらに対して軟化すると分かりきっていたらしい。
ギルドの創設許可はそこで得たそうだ。
縋る光景に、ミルトンだけは歯を軋らせて、焦燥の表情を向けてきたそうで、先生はそれで理解したという。
なにを理解したのか? そこは教えてくれなかった。
以前は、あのミルトンっておっさんも縋ってきたのに、今回は違ったんだな。
「まあ、これからも軋轢が生まれるかもしれませんが、次からは快諾を得られますよ。確実にね――――」
うわ~。先生ってそんなキャラでしたっけ? 最近多いですよ。悪い顔が。
「これで心置きなく、ぎるどを創設できます。敵が来るのが先か、我らが同士が集うのが先か」
「いや、敵でしょう……」
重い声で返す。
「私もそう思っていたのですが、三日過ぎても来ないということは、大敗した先遣隊の状況を知り、対応を考えていると推測できます。となれば、この本隊を指揮する者は考えもなく、ただ突っ込んでくるだけの戦闘狂とは違い、知恵が回る者と考えられます。最初の推測を改めないといけませんね。ですので、軍備の確認に、王都周辺の地形の再調査を行うと考えれば、進軍再開からここへと到達するのは、これより四日後くらいでしょうね。そして、南西の方角から王都を翼包囲しつつも、野戦主体で来るでしょう」
なんでそこまで分かるの? もしそうなったら、尚書令や軍略家というより、予言者ですよ。
「この王都にどのくらいの人が集まってきますかね」
いくら奇跡の勝利が言葉に乗って、大陸で抵抗している人達に駆け巡ったとして、本当にここへと来てくれるだろうか。
「この状況下で抵抗している者は志のある者です。結束こそが大事と考え行動できる名士と思って問題ないでしょう。どしどし登用していきますよ」
これからの事にワクワクしているようだ。言い終えると、先生は満足そうに紅茶を楽しむ。
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