異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

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チートがほぼ無い冒険

PHASE-277【ハーレムチートの主人公達よ! コレが正しいリアクションだ!】

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「フゥゥゥゥゥゥゥ!」
 喜びの雄叫びを上げる俺は有頂天。
 分かっている。先生やゲッコーさんだけでなく、周囲の女性陣まで半眼で俺に侮蔑した視線を向けていることも。
 
 でも大丈夫。
 
 彼女いない歴が年齢である俺は、ギャルゲーに走る事で、ゲームキャラとの疑似恋愛も頭内にてこなしてきた猛者だ。
 つまりは童貞のくせして、脳内では高みに上り詰めた存在なのだ。

 このシチュエーションでシャルナやコクリコの半眼は、俺を独占しているベルに向けられる嫉妬の視線として変換できる想像力を俺は兼ね備えている。
 それによって俺は現在、擬似的なハーレムを楽しませてもらっている。
 興奮する声を上げる度に冷ややかな視線に変わっていくシャルナとコクリコよ。俺には全く通用しないぞ。むしろ俺を喜ばせているだけだ。

 よしよし――――。ならば疑似世界を現実にしてあげようじゃないか。

「ゴロ太くん。皆にもよく見せてあげなさい。特にシャルナはクエストに参加してないからな。よく見せてあげて」

「わかった~♪」
 快活のよい愛らしい子グマが、不気味な存在を掲げるのとは正反対に、

「ちょっと! 冗談じゃないわよ!!」
 長く色素の薄い金髪を大きく揺らして椅子から矢庭に立ち上がり、シャルナは逃げの体勢。
 
 コクリコは忍び込んで盗み食いをするようながさつな一人旅をするだけあって、ダイヒレンの亡骸が接近してきても不動である。
 ダイヒレンの回収作業も淡々とこなしたみたいだしな。

 現在、応接室にて、胆力女性の部でナンバーワンに君臨しているのがコクリコだ。
 
 だが俺はナイチチには興奮しない男だ。
 尻を叩いた時は興奮したもんだが、俺がこの室内でターゲットとしているのは、シャルナとマイヤの立派な体の女性だけ。
 なので必然的にマイヤもターゲットとなるわけだ。
 
 ベルに強く抱きつかれ、柔らかさと弾力に加えて、ベルの甘い香りを堪能しつつ、ゴロ太たちを動かす。
 さながら追い込み漁である。
 
 愛らしい有能なサーバントを使役し、俺は美人達の密着を堪能したい。
 逃げ出す二人の姿が追いかけっこをしているのかと勘違いしたゴロ太は、楽しいのか執拗に追いかける。
 と、それを見ていた子コボルト達も楽しいようでそれに続いた。

「ちょっと、嘘でしょゴロ太!」

「ゴロ太殿おちついて!」
 シャルナとマイヤが部屋の隅に追い込まれる。
 唯一の逃げ道ルートは、真っ直ぐ来れば俺へと来るルート。
 素晴らしき追い込みだ。ゴロ太がゲームを出来るなら、一緒に一狩行きたいくらいに巧みな追い込みだ。
 この間に俺は悠々と落とし穴を設置できるってもんだ。

「ちゃんと見せてあげなさい」
 優しい声で俺が伝えれば、楽しげな表情でゴロ太は頷き、隅に追い込まれた二人は叫びながら、俺の掌の上で踊らされているかのように、俺へと駆け寄り抱きついていた。
 
 ――――現在、俺は三人の美人に思いっ切り抱きつかれてます。

「ヒャッハァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!」
 喜びの咆哮が応接室に木霊する。
 今回のクエスト報酬はコレだな! 
 間違いなくコレが俺の報酬だ。
 ここだけを切り取って見てくれれば、チートハーレム作品の主人公ですわ。
 
 最高に嬉しい立ち位置です!

 まったくよ! こんなおいしい思いをしてんだな。ハーレム主人公って。
 毎度毎度、堪能してんだなこういう事を!
 そのくせ女の子に言い寄られれば、無難に回避しやがる主人公共め! 俺を見習え!
 俺はこの素晴らしい感触と香りを絶賛堪能中だぞ。
 
 脳内に記憶している人生の楽しい思いで、ごぼう抜きで第一位どころか、いきなり殿堂入りじゃい!

 こうやって美人や可愛い子に抱きつかれたら素直に喜ばんかい! 世のハーレムチート主人公たちよ! この俺の姿こそが正しいリアクションですたい!
 
 ゲッコーさんやコクリコの冷ややかな視線などどうでもいい。
 今この時を俺は全力で堪能したい。
 
 ありがとう! 愛玩達に掲げられたダイヒレン達! 
 エンブレムとかもいいけど、貨幣が流通し始めたら、お前達がデザインされた記念硬貨を作ってもらうように王様に頼むよ。
 幸運のシンボルとして作ってもらうよ!
 
 俺、最高に幸せ――――。

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