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増やそう経験
PHASE-313【収穫は実に良い物ばかり】
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――――成体と幼体の亡骸をそのままに、戦闘を終えた俺たちは、薬草を入れた籠を回収してから更に奥へと進む。
「アジャイルセンチピードの外骨格はダイヒレンの比じゃないから、いい防具が出来るよ。大物だったし、鎧だけでもフルプレートで十領くらいは作れるね」
「へ~」
鎧の単位って領っていうんだ。
そっちの方に関心がいってしまった。
何とも機嫌がいい。今回の事で間違いなく位階が上がるとシャルナは喜んでいる。
百足様々だ。
アジャイルセンチピードの成体の外骨格からなる体表は鎧だけでなく、簡単な加工でもラージシールド系のスクトゥムやカイトシールドが製作できる。
蜻蛉のようなデカい翅は、ダイヒレンの下翅と同じようにシュールコーにもなれば、木々をなぎ倒すだけの強度を誇ることから、バトルドレスのような女性用の装備に重宝されるそうだ。
質と価値はもちろんダイヒレンの比じゃなく、ベテランが好んで欲するインセクト系の装備らしい。
「お金にすると結構な額になるんだよね」
「の、割には手軽に討伐できたな」
この森の生態系で頂点みたいだったが。
毒霧が爆発した時は驚いたもんだが、脅威ではなかったな。
「それだけトールが強くなってるってこと。新人だとまず倒せないよ」
「お、そうか」
――シャルナは物事をストレートに言うよね。
女性に対する免疫が日本にいた時よりはついてきたとはいえ、まだまだヘタレな俺としては、とびきりの美人から真っ直ぐに称賛を受けると、それだけで好きって感情が芽生えてしまう単純童貞なんだ――――。
「見てコレ。やっぱり奥まできてよかったよ」
急に話が切り替わり、元々の話題となる。
素材集めに戻ったシャルナがキノコをゲットし、手にするソレを俺に見せてくる。
名前はエムリム茸。
「ええ……」
俺はエムリム茸を目にして、脱力に染まった声を漏らす。
漏らす声音は不安そのもの。
誰もが見ただけでこれは駄目だと思う存在。
笠部分は真っ黄色の鮮やかさ。そこに大小からなる白い斑点があり、柄の部分は節があるようなデザイン。節の部分は刺々しい。
柄はヒョロヒョロとした見るからに力ないものだが、その頼りなさが見る者に不気味さを伝えてくる。
素晴らしいほどに毒々しい鮮やかさだ。
ヤドクガエルをキノコにしたらこんな色になるのかな……。
「間違いなく毒だよね」
「そだよ」
問えば、軽い口調での即答。
「だったら駄目だろ」
「もちろんそのままだとね」
食せば興奮状態に陥り、幻覚をみて発狂。
程なくして死に至ると、さらっと教えてくれる。
「捨てろそんなもん!」
「いやだから、そのまま食べた場合って言ってるでしょ。馬鹿なのトールは」
ストレートに馬鹿と言われると傷つく年頃なんだぞ……。
折角、好きになりそうだったのに。二千歳ちかいBBAめ!
「なに?」
「ナンデモナイヨ」
キッと瞳を険のある切れ長なものにして睨んでくるので、即、明後日の方角を見る俺。
――――エムリム茸は適切な処置で成分を抽出すれば、毒は良薬に変わるそうだ。
元々の興奮状態にする効果は、受けた痛みを緩和する効果に変わり、幻覚を見る効果は恐怖耐性を和らげる効果に変わるそうで、その間に治癒の薬品が体を癒やすため、ポーションには必要な効能なのだそうだ。
通常のポーションでは回復に時間を要するのがネックだが、その間にも痛みを緩和させ、死などの恐怖を和らげてパニック状態を抑制し、冷静に行動できるようにする為の大事な効能を有しており、必ずポーション生成時に投入しなければならないキノコらしい。
そもそも、このエムリム茸が入っていなければ、ポーションと銘打ってはいけないという法律もあるそうだ。
素晴らしい効能があると分かれば、毒々しい鮮やかな色味も神々しく見えるってもんだ。
ハイやグレーターを持っていなくても、パーティー各自がポーションを数個持っているだけで生存率は大幅に向上し、クエスト成功率も飛躍的にあがる。
やはり回復アイテムは急ぎ製造する必要があるな。
ここにはかなりのエムリム茸が自生しており、二人でかなりの収穫だった。
「やったな。もしかしたら入ったばかりの時にゲットしたムロ茸より多く取れたんじゃないか」
「だね。コレだけあれば、ハイやグレーターポーション生成にも使用していいかもね」
ノーマルなポーションに比べて、魔法を封じるだけでなく、ポーションを蒸溜して造るため、多くの素材を使わないといけない上位ポーション。
コストパフォーマンス的にポーションを作った方がいいみたいだが、主力になる存在には一つは持たせておきたいところでもある。
「アジャイルセンチピードの外骨格はダイヒレンの比じゃないから、いい防具が出来るよ。大物だったし、鎧だけでもフルプレートで十領くらいは作れるね」
「へ~」
鎧の単位って領っていうんだ。
そっちの方に関心がいってしまった。
何とも機嫌がいい。今回の事で間違いなく位階が上がるとシャルナは喜んでいる。
百足様々だ。
アジャイルセンチピードの成体の外骨格からなる体表は鎧だけでなく、簡単な加工でもラージシールド系のスクトゥムやカイトシールドが製作できる。
蜻蛉のようなデカい翅は、ダイヒレンの下翅と同じようにシュールコーにもなれば、木々をなぎ倒すだけの強度を誇ることから、バトルドレスのような女性用の装備に重宝されるそうだ。
質と価値はもちろんダイヒレンの比じゃなく、ベテランが好んで欲するインセクト系の装備らしい。
「お金にすると結構な額になるんだよね」
「の、割には手軽に討伐できたな」
この森の生態系で頂点みたいだったが。
毒霧が爆発した時は驚いたもんだが、脅威ではなかったな。
「それだけトールが強くなってるってこと。新人だとまず倒せないよ」
「お、そうか」
――シャルナは物事をストレートに言うよね。
女性に対する免疫が日本にいた時よりはついてきたとはいえ、まだまだヘタレな俺としては、とびきりの美人から真っ直ぐに称賛を受けると、それだけで好きって感情が芽生えてしまう単純童貞なんだ――――。
「見てコレ。やっぱり奥まできてよかったよ」
急に話が切り替わり、元々の話題となる。
素材集めに戻ったシャルナがキノコをゲットし、手にするソレを俺に見せてくる。
名前はエムリム茸。
「ええ……」
俺はエムリム茸を目にして、脱力に染まった声を漏らす。
漏らす声音は不安そのもの。
誰もが見ただけでこれは駄目だと思う存在。
笠部分は真っ黄色の鮮やかさ。そこに大小からなる白い斑点があり、柄の部分は節があるようなデザイン。節の部分は刺々しい。
柄はヒョロヒョロとした見るからに力ないものだが、その頼りなさが見る者に不気味さを伝えてくる。
素晴らしいほどに毒々しい鮮やかさだ。
ヤドクガエルをキノコにしたらこんな色になるのかな……。
「間違いなく毒だよね」
「そだよ」
問えば、軽い口調での即答。
「だったら駄目だろ」
「もちろんそのままだとね」
食せば興奮状態に陥り、幻覚をみて発狂。
程なくして死に至ると、さらっと教えてくれる。
「捨てろそんなもん!」
「いやだから、そのまま食べた場合って言ってるでしょ。馬鹿なのトールは」
ストレートに馬鹿と言われると傷つく年頃なんだぞ……。
折角、好きになりそうだったのに。二千歳ちかいBBAめ!
「なに?」
「ナンデモナイヨ」
キッと瞳を険のある切れ長なものにして睨んでくるので、即、明後日の方角を見る俺。
――――エムリム茸は適切な処置で成分を抽出すれば、毒は良薬に変わるそうだ。
元々の興奮状態にする効果は、受けた痛みを緩和する効果に変わり、幻覚を見る効果は恐怖耐性を和らげる効果に変わるそうで、その間に治癒の薬品が体を癒やすため、ポーションには必要な効能なのだそうだ。
通常のポーションでは回復に時間を要するのがネックだが、その間にも痛みを緩和させ、死などの恐怖を和らげてパニック状態を抑制し、冷静に行動できるようにする為の大事な効能を有しており、必ずポーション生成時に投入しなければならないキノコらしい。
そもそも、このエムリム茸が入っていなければ、ポーションと銘打ってはいけないという法律もあるそうだ。
素晴らしい効能があると分かれば、毒々しい鮮やかな色味も神々しく見えるってもんだ。
ハイやグレーターを持っていなくても、パーティー各自がポーションを数個持っているだけで生存率は大幅に向上し、クエスト成功率も飛躍的にあがる。
やはり回復アイテムは急ぎ製造する必要があるな。
ここにはかなりのエムリム茸が自生しており、二人でかなりの収穫だった。
「やったな。もしかしたら入ったばかりの時にゲットしたムロ茸より多く取れたんじゃないか」
「だね。コレだけあれば、ハイやグレーターポーション生成にも使用していいかもね」
ノーマルなポーションに比べて、魔法を封じるだけでなく、ポーションを蒸溜して造るため、多くの素材を使わないといけない上位ポーション。
コストパフォーマンス的にポーションを作った方がいいみたいだが、主力になる存在には一つは持たせておきたいところでもある。
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