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極東
PHASE-353【俺はヤスさんじゃねえぞ!】
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「努力してみます」
「頼む」
確実な事は言えないからな。でも、なんとか父親と再会を!?
「オンオン!?」
背中に走る鈍痛。俺はあまりの痛みに階段から転げ落ちる。
さながら蒲田行進曲の有名なシーンだぜ……。
階段を転げていく度に、両サイドから貴族の方々のトール殿!? や、勇者殿! と心配してくれる声が上がる。
といっても、階段の段差自体は高くないから、別にそこまでのダメージはないんだけどね。
むしろ背中に見舞われた蹴りの方が遙かに痛いんだもの。
いや、本当に……。俺はいま、火龍の装備を纏っているんだけどな……。
この衝撃貫通スキルはどうにかならんの……。
「――――何しやがりますかね中佐!」
なぜいきなり俺に蹴りをする! 理不尽なことはしないはずだろうに。
「何が努力してみます。だ! この馬鹿者が!」
「えぇ……」
なんで俺が怒られているの。すごい理不尽……。
しかもベルが怒りの声を発した途端に、勇敢な頃に立ち戻ったというのが嘘のように、臣下の方々は視線下方が四十五度凝視なんですけど。
メチャクチャにベル――――、白髪の美鬼を怖がってますやん。
ほら、そこの禿頭の伯爵様。大貴族のバリタンさん。狂乱の双鉄鞭と恐れられたという方。どうしたんだい? 震えてますよ。ベルの怒りに当てられて震えてるじゃねえか大貴族様よ。
「なんで蹴る!?」
「お前は勇者だろう」
「そうだよ! 勇者トールその人だよ!」
「勇者ならば、努力しますという前向きな検討ではなく、必ずやってのけるという達成を口にしろ」
軍人め! 死んでも遂行しろって事なのか。
しかも俺の召喚した武闘派の皆さんは、ベルに賛同するかのように、鷹揚に頷いてるし。
俺ならやってのけられるってか? 俺だってそこそこは強くなりましたよ。火龍装備も手に入れたし。
目の前のパーティーメンバーに比べたらまだまだですけども。
だけども、強くなったからこそ、王様が心底から安心する言葉を発しろってことかい。
――――ああ、いいぜ!
ゆっくりと立ち上がって、王様とベルの二人にしっかりと視線を合わせてから、
「分かったよ。連れてくりゃいいんだろ! 王様の前に、姫を必ず連れてきてやるよ!」
――――などと、何処ぞの団長みたいな発言をして約一週間が経過。
姫様ことプリシュカ。
俺たちはプリシュカ姫の無事を確認し、辺境候に力を借りる。
大貴族の辺境候の力を借りることが出来れば、日和見している貴族豪族達は、必然的に王様サイドに寄ってくる。これで公爵の馬鹿息子の動きを牽制できればいいわけだ。
この一週間、ハンヴィーのお世話になる俺たち。
ただただ真っ直ぐに東へと向かう。
悪路でも、そこそこの水深の河であっても、コイツなら走破できる。
なのでただひたすらに真っ直ぐに進み、王都から出立して三日の頃には、マール街を通過。
本当に通過しただけ。本来なら寄ってみたいが、ルートが東というだけで寄ることは無く、遠目から街並みを眺めるだけだった。
といっても、このマール街は大きな街なだけあって、高い壁に囲まれているから、街並みを見るなんて事は出来なかったけども。
街道を走ればキャラバンとも出会ったりして、瘴気はいまだあるも、それを回避しつつの商売をしているそうだ。
金の流通が始まったことで、商人さん達の商魂はこれまで以上にたくましくなり、各地で商いに力を注いでいる。
商隊護衛には冒険者もいたし、様々なところで流通が活発になっている。
ハンヴィーに乗るパーティーはいつもの面々。
高順氏を召喚したが、あの人は先生が困っていた、要塞トールハンマーの指揮官要員なので、そこで頑張ってもらうため、随伴はない。
陥陣営として、精強な部隊を鍛え上げて欲しい。
指揮官としては申し分ない人物だ。敵勢力が賄賂なんかを送ってきても拒むだろうし、酒を飲んで失敗するなんて事もない。
隙のない武辺者で用兵にも長けている。
先生もそこは素直に認めていたので、トールハンマーの指揮官として任命。
三国志では敵対関係だが、召喚した時も反対した発言は無かったからな。先生の柔軟さに感謝だ。
当の本人が指揮官になってくれるかが心配だったが、ギルドハウスに戻ったゴロ太に加えて、子コボルト達の歓待を受けると喜んでいた。
それに、コボルト達の今までの苦労を聞いてからは、俺たちに与することをすんなり受け入れてくれた。
モフモフが大好きで、自らを律して周囲には優しい。
ゲームの列伝には、部下の装備に気づかうなんてのも書かれていたからな。面倒見が良い人物なんだろうな。
本当に、なんで主が呂布なんだろう……。
高順氏はくそ真面目な人物だから、兵達はともかくとして、自由を謳歌する冒険者であるギルドメンバーからすると、面白味がない指揮官だと思われるのが心配だが、その辺りの補佐は、リオスに派遣されているリュミット達パーティーがフォローするから心配ないと先生。
高順氏には、まだまだ完成していない我らが要塞・トールハンマーにて、強さと用兵と真面目さで、人々を牽引して、要塞発展と防衛に努めていただきたい。
「頼む」
確実な事は言えないからな。でも、なんとか父親と再会を!?
「オンオン!?」
背中に走る鈍痛。俺はあまりの痛みに階段から転げ落ちる。
さながら蒲田行進曲の有名なシーンだぜ……。
階段を転げていく度に、両サイドから貴族の方々のトール殿!? や、勇者殿! と心配してくれる声が上がる。
といっても、階段の段差自体は高くないから、別にそこまでのダメージはないんだけどね。
むしろ背中に見舞われた蹴りの方が遙かに痛いんだもの。
いや、本当に……。俺はいま、火龍の装備を纏っているんだけどな……。
この衝撃貫通スキルはどうにかならんの……。
「――――何しやがりますかね中佐!」
なぜいきなり俺に蹴りをする! 理不尽なことはしないはずだろうに。
「何が努力してみます。だ! この馬鹿者が!」
「えぇ……」
なんで俺が怒られているの。すごい理不尽……。
しかもベルが怒りの声を発した途端に、勇敢な頃に立ち戻ったというのが嘘のように、臣下の方々は視線下方が四十五度凝視なんですけど。
メチャクチャにベル――――、白髪の美鬼を怖がってますやん。
ほら、そこの禿頭の伯爵様。大貴族のバリタンさん。狂乱の双鉄鞭と恐れられたという方。どうしたんだい? 震えてますよ。ベルの怒りに当てられて震えてるじゃねえか大貴族様よ。
「なんで蹴る!?」
「お前は勇者だろう」
「そうだよ! 勇者トールその人だよ!」
「勇者ならば、努力しますという前向きな検討ではなく、必ずやってのけるという達成を口にしろ」
軍人め! 死んでも遂行しろって事なのか。
しかも俺の召喚した武闘派の皆さんは、ベルに賛同するかのように、鷹揚に頷いてるし。
俺ならやってのけられるってか? 俺だってそこそこは強くなりましたよ。火龍装備も手に入れたし。
目の前のパーティーメンバーに比べたらまだまだですけども。
だけども、強くなったからこそ、王様が心底から安心する言葉を発しろってことかい。
――――ああ、いいぜ!
ゆっくりと立ち上がって、王様とベルの二人にしっかりと視線を合わせてから、
「分かったよ。連れてくりゃいいんだろ! 王様の前に、姫を必ず連れてきてやるよ!」
――――などと、何処ぞの団長みたいな発言をして約一週間が経過。
姫様ことプリシュカ。
俺たちはプリシュカ姫の無事を確認し、辺境候に力を借りる。
大貴族の辺境候の力を借りることが出来れば、日和見している貴族豪族達は、必然的に王様サイドに寄ってくる。これで公爵の馬鹿息子の動きを牽制できればいいわけだ。
この一週間、ハンヴィーのお世話になる俺たち。
ただただ真っ直ぐに東へと向かう。
悪路でも、そこそこの水深の河であっても、コイツなら走破できる。
なのでただひたすらに真っ直ぐに進み、王都から出立して三日の頃には、マール街を通過。
本当に通過しただけ。本来なら寄ってみたいが、ルートが東というだけで寄ることは無く、遠目から街並みを眺めるだけだった。
といっても、このマール街は大きな街なだけあって、高い壁に囲まれているから、街並みを見るなんて事は出来なかったけども。
街道を走ればキャラバンとも出会ったりして、瘴気はいまだあるも、それを回避しつつの商売をしているそうだ。
金の流通が始まったことで、商人さん達の商魂はこれまで以上にたくましくなり、各地で商いに力を注いでいる。
商隊護衛には冒険者もいたし、様々なところで流通が活発になっている。
ハンヴィーに乗るパーティーはいつもの面々。
高順氏を召喚したが、あの人は先生が困っていた、要塞トールハンマーの指揮官要員なので、そこで頑張ってもらうため、随伴はない。
陥陣営として、精強な部隊を鍛え上げて欲しい。
指揮官としては申し分ない人物だ。敵勢力が賄賂なんかを送ってきても拒むだろうし、酒を飲んで失敗するなんて事もない。
隙のない武辺者で用兵にも長けている。
先生もそこは素直に認めていたので、トールハンマーの指揮官として任命。
三国志では敵対関係だが、召喚した時も反対した発言は無かったからな。先生の柔軟さに感謝だ。
当の本人が指揮官になってくれるかが心配だったが、ギルドハウスに戻ったゴロ太に加えて、子コボルト達の歓待を受けると喜んでいた。
それに、コボルト達の今までの苦労を聞いてからは、俺たちに与することをすんなり受け入れてくれた。
モフモフが大好きで、自らを律して周囲には優しい。
ゲームの列伝には、部下の装備に気づかうなんてのも書かれていたからな。面倒見が良い人物なんだろうな。
本当に、なんで主が呂布なんだろう……。
高順氏はくそ真面目な人物だから、兵達はともかくとして、自由を謳歌する冒険者であるギルドメンバーからすると、面白味がない指揮官だと思われるのが心配だが、その辺りの補佐は、リオスに派遣されているリュミット達パーティーがフォローするから心配ないと先生。
高順氏には、まだまだ完成していない我らが要塞・トールハンマーにて、強さと用兵と真面目さで、人々を牽引して、要塞発展と防衛に努めていただきたい。
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