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極東
PHASE-387【覇気がねえ、覇気が】
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小高い場所より移動し、街中を歩き始める。
等間隔に植えられた街路樹の下を歩く。
街路樹の葉は扇状に広がった形状。銀杏の葉に似ていた。
落葉性による緑の絨毯が、大通りの石畳を豊かに彩っている。
銀杏と違って黄色じゃないし、まだ冬も来てないのに落葉するってのも珍しいな。
不思議であっても、ファンタジーで括れるからありがたくはあるよな。異世界は。
大通りの道幅は広い、人の往来も多いが、人と人の肩がぶつかるという事がない。
馬車と人の通る道も別にされているくらいだ。
「王都、負けてるじゃないですか」
「だよね~」
コクリコとシャルナがもっともなことを言ってくれる。
王都外から来た二人が言うから、そこには依怙贔屓による発言がないので、説得力がある。
これが王都出身だと、どうしても郷土愛フィルターがかかるからな。
さてさて、第一街人とディスカッションしてみようかな。
マガレット街の明るさから察するに、都市の人々も余裕のある立ち振る舞いにて返してくれるだろう。
「こんにちは!」
明るく元気にと、幼年の子なら先生に褒めてもらえるくらいの大声で挨拶を行う。
右手を大げさ振りながら、話しやすそうな恰幅のよいおじさんに声をかける。
ここで若い女の子にいけないのが、童貞の俺ですよ。
――…………あれ?
返ってきたのは体格に似合わない、弱々しい会釈だけだった……。
こっちがテンションを上げて発したのと比較して計算すれば、プラマイゼロって感じだな。
なので、こっちのテンションも普通に戻ってしまった。
普通に戻ったが、再度チャレンジと、テンションを上げてからの、
「こんにちは!」
第二街人に話しかける。
大通りに設けられた石造ベンチでひなたぼっこを楽しんでいる御大に挨拶。
杖の握り部分に両手を置いた、白い顎髭が立派なおじいさん。
――……ふむん……。
やはり返ってくるのは首肯だけ。
いや、返ってくるだけありがたいけどね。
リアクションが無かったなら、都会の人間は冷たかとです。と、口に出すところだったが、ちゃんと挨拶は返ってくる。
でも――――、
「覇気がね~」
マガレットと同じで、優雅で明るい人々が多いと思ってんだけどな。
ベルを見る。
「なんだ?」
視線を気にして問いかけてくるベルから、流れるように視線を動かし、シャルナを見る。
「なに?」
同様に問いかけてくるが、耳だけで受けて、今度は周囲を見る。
「おかしい」
ポツリと独白。
「「だから何が」」
二人揃っての問いかけは、俺にズイッと接近してのもの。
俺にとって美人二人のその所作は幸せでしかない。
「ベルとシャルナがいるのに、ここいらの連中――野郎たちは見向きもしない。これだけの美人二人が歩いているなら、普通は魅入るだろう。現に今まではそうだったんだから」
先ほどの冒険者達は酒宴に盛り上がって、こっちに目を向けることはなかったが、もし周囲がざわついて、何事かと酒宴を止めてベル達を捕捉していたなら、間違いなく魅入っていたはず。
あの時も、周囲がざわついていなかったわけだよな。
おかしい。これはおかしい……。
何処に行ってもベル達を目にすれば野郎達はざわつくのに、それがないなんて――――。
「お前……」
「サラッとそういう事が言えるようになってるよね」
おう、二人が恥ずかしそうに頬を赤らめている事で、俺もはっとなるよ。
普通に言ってしまったな。まるで女慣れしているリア充みたいに、呼吸をするかのように自然と言えてしまった。
意識しないなら言えるんだな俺。
「なぜ、私が入っていないんでしょうね」
「ハハ――――」
「小馬鹿にした笑いがむかつく! いいですか、世の中には私のような存在を愛おしいと思う男もいるのです。しっかりと需要があるのですよ」
「……まああるけども、逮捕されるから」
もしいい歳したおっさんが、荒い呼吸で話しかけてきたら、間違いなくロリコンだ。
ムキになるコクリコを余所に、俺は再度周囲を見やる。
こんだけまな板が騒いでいるのに、無関心ってのもおかしな話だ。
いや、何事かとこっちを見ている人もいるが、全体的に――――、
「活力が無いな」
満ち足りた裕福な生活によって、粗方の愉悦を経験した方々は、新たに楽しむという事が出来なくなってしまっているのかな?
等間隔に植えられた街路樹の下を歩く。
街路樹の葉は扇状に広がった形状。銀杏の葉に似ていた。
落葉性による緑の絨毯が、大通りの石畳を豊かに彩っている。
銀杏と違って黄色じゃないし、まだ冬も来てないのに落葉するってのも珍しいな。
不思議であっても、ファンタジーで括れるからありがたくはあるよな。異世界は。
大通りの道幅は広い、人の往来も多いが、人と人の肩がぶつかるという事がない。
馬車と人の通る道も別にされているくらいだ。
「王都、負けてるじゃないですか」
「だよね~」
コクリコとシャルナがもっともなことを言ってくれる。
王都外から来た二人が言うから、そこには依怙贔屓による発言がないので、説得力がある。
これが王都出身だと、どうしても郷土愛フィルターがかかるからな。
さてさて、第一街人とディスカッションしてみようかな。
マガレット街の明るさから察するに、都市の人々も余裕のある立ち振る舞いにて返してくれるだろう。
「こんにちは!」
明るく元気にと、幼年の子なら先生に褒めてもらえるくらいの大声で挨拶を行う。
右手を大げさ振りながら、話しやすそうな恰幅のよいおじさんに声をかける。
ここで若い女の子にいけないのが、童貞の俺ですよ。
――…………あれ?
返ってきたのは体格に似合わない、弱々しい会釈だけだった……。
こっちがテンションを上げて発したのと比較して計算すれば、プラマイゼロって感じだな。
なので、こっちのテンションも普通に戻ってしまった。
普通に戻ったが、再度チャレンジと、テンションを上げてからの、
「こんにちは!」
第二街人に話しかける。
大通りに設けられた石造ベンチでひなたぼっこを楽しんでいる御大に挨拶。
杖の握り部分に両手を置いた、白い顎髭が立派なおじいさん。
――……ふむん……。
やはり返ってくるのは首肯だけ。
いや、返ってくるだけありがたいけどね。
リアクションが無かったなら、都会の人間は冷たかとです。と、口に出すところだったが、ちゃんと挨拶は返ってくる。
でも――――、
「覇気がね~」
マガレットと同じで、優雅で明るい人々が多いと思ってんだけどな。
ベルを見る。
「なんだ?」
視線を気にして問いかけてくるベルから、流れるように視線を動かし、シャルナを見る。
「なに?」
同様に問いかけてくるが、耳だけで受けて、今度は周囲を見る。
「おかしい」
ポツリと独白。
「「だから何が」」
二人揃っての問いかけは、俺にズイッと接近してのもの。
俺にとって美人二人のその所作は幸せでしかない。
「ベルとシャルナがいるのに、ここいらの連中――野郎たちは見向きもしない。これだけの美人二人が歩いているなら、普通は魅入るだろう。現に今まではそうだったんだから」
先ほどの冒険者達は酒宴に盛り上がって、こっちに目を向けることはなかったが、もし周囲がざわついて、何事かと酒宴を止めてベル達を捕捉していたなら、間違いなく魅入っていたはず。
あの時も、周囲がざわついていなかったわけだよな。
おかしい。これはおかしい……。
何処に行ってもベル達を目にすれば野郎達はざわつくのに、それがないなんて――――。
「お前……」
「サラッとそういう事が言えるようになってるよね」
おう、二人が恥ずかしそうに頬を赤らめている事で、俺もはっとなるよ。
普通に言ってしまったな。まるで女慣れしているリア充みたいに、呼吸をするかのように自然と言えてしまった。
意識しないなら言えるんだな俺。
「なぜ、私が入っていないんでしょうね」
「ハハ――――」
「小馬鹿にした笑いがむかつく! いいですか、世の中には私のような存在を愛おしいと思う男もいるのです。しっかりと需要があるのですよ」
「……まああるけども、逮捕されるから」
もしいい歳したおっさんが、荒い呼吸で話しかけてきたら、間違いなくロリコンだ。
ムキになるコクリコを余所に、俺は再度周囲を見やる。
こんだけまな板が騒いでいるのに、無関心ってのもおかしな話だ。
いや、何事かとこっちを見ている人もいるが、全体的に――――、
「活力が無いな」
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