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極東
PHASE-451【今のご時世、雑魚ではなく強キャラ】
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攻撃魔法を使用しないのか、研鑽していないのかは定かじゃないが、結界魔法に力を振っているあたり、前魔王がかなりのお人好しだというのは理解できる。
だからこそ、そこが付け入る隙になったのだろうと容易に推測できる。
「お人好しだから、魔王の頭に前がつくことになったんだろうな」
俺が思っていたことをゲッコーさんが述べる。
このゲッコーさんの発言に、コトネさん達は不快感を覚えたようで、ムッとした表情でゲッコーさんを睨む。
ランシェルの目も怒りの感情を宿らせていた。
ゼノに支配されていた時とはえらい違いだ。ちゃんと自己主張が出来るようになっている。自由を得られた良い証拠。
言った当人は、向けられる怒りの瞳を意にも介さず、煙草を吸い始める。
メイドさん達が怒りの感情を覚えたとしても、ゲッコーさんの発言は正鵠を射ているだろう。
前魔王がお人好しの結果、人間やエルフ、ドワーフに他の亜人が住まう大陸にえらい迷惑がかかっているんだからな。
野心を抱いた存在に隙を与えた結果がこうなったと考えると、俺の考えとゲッコーさんが口にしたお人好しってのは間違っていない。
コトネさん達もそれは理解しているようだ。
だから睨むだけで反論はしないわけだから。
「ゲッコーさんが言うように、なぜ魔王の頭に前とついたんですか?」
場の雰囲気をリセットするために、俺は柔らかな言い方で質問する。
若干だったが険のある顔のコトネさんは、俺の語調に合わせるように、表情を戻す――――かに思われたが、むしろその逆。柳眉を逆立てて、わなわなと体を震わせ怒りが爆発しそうになっている。
「奪われたのです! 全てはあの忌々しい低俗なスライムに!」
おお、爆発した怒りが気炎となっているかのような迫力。気炎を幻視できそうだ。
コトネさん。俺たちと戦う時はやはり本気じゃなかったな。怒りから溢れる力に圧倒されてしまう。
にしても――――、
「スライム? スライムってあの粘体からなるモンスターか? 最弱でお馴染みの?」
俺が言おうとしたけど、俺より先にゲッコーさんが紫煙を吐き出しつつ質問。
でも、俺とは少し考え方が違う。
「ですね。スライムと言えばゴブリン以下の取るに足らない存在」
「そうそう、相手にもしないよね」
と、コクリコとシャルナ。この世界に元々いた二人も、ゲッコーさんと同じ考え。
ベルは粘体と聞いただけで不快な表情。ネバネバ、ヌルヌル系が駄目だからな。自然と両腕をさすっていた。
先生はすでにこの世界の情報を頭に叩き込んでいるので、知っているご様子。
共通するのは、皆、スライムと聞いて肩すかしを受けているようだった。
――…………うむん、よくないな。
皆、よくないぞ。
考え方がエンシェントだ。
「皆様の仰るとおりです。最弱のモンスターであるスライム。その名はショゴス。レティアラ大陸の光も入らない暗闇の淵に生息していた存在です」
「まさかそのショゴスなるスライムが魔王を?」
「あり得ませんよ。どんだけ弱いんですか魔王」
シャルナとコクリコの小馬鹿にした言い様に、コトネさん達はまたもムッとする。
「お前等、楽観視しすぎ」
コトネさんに代わって、俺が真剣な声で注意する。
「しかしスライムですよ」
「コクリコ。お前――――だけじゃない。皆、スライムを馬鹿にしすぎだ。いいか、モダンなスライムは――――」
――――レベル99になった途端に、【とくぎ】で【しゃくねつのほのお】というMPを消費せずに、敵全体に強力な攻撃が出来る鬼使用になるし。
更に最近だと、捕食することで、捕食した存在の能力を我が物にしてしまうスライムもいる。
前者後者で共通することは、徐々にだけど確実に力を蓄えていくことで、チートな強さになるハイパー大器晩成なのだ。
「随分とスライムに詳しいですね。主」
「ラノベ――――文献を読みまくっているので。更に力をつけたスライムは、自らの粘体を活用した変身能力も可能になるんですよ。人間やドラゴン、有形のものなら何にだってなれるわけです」
流石にドラゴンと耳にすれば、小馬鹿にしていた二人も上げていた口端が横一文字になる。
「トール様は本当に叡智の豊かな御方。感服いたします。ショゴスを見てきたかのように述べてくれました」
コトネさんにランシェル。他のメイドさん達が俺に対して感嘆と共に、恭しく頭を下げてくれる。
うむ。ラノベは大好きですからね。その辺の知識はあるんですよ。
だからこそ、そこが付け入る隙になったのだろうと容易に推測できる。
「お人好しだから、魔王の頭に前がつくことになったんだろうな」
俺が思っていたことをゲッコーさんが述べる。
このゲッコーさんの発言に、コトネさん達は不快感を覚えたようで、ムッとした表情でゲッコーさんを睨む。
ランシェルの目も怒りの感情を宿らせていた。
ゼノに支配されていた時とはえらい違いだ。ちゃんと自己主張が出来るようになっている。自由を得られた良い証拠。
言った当人は、向けられる怒りの瞳を意にも介さず、煙草を吸い始める。
メイドさん達が怒りの感情を覚えたとしても、ゲッコーさんの発言は正鵠を射ているだろう。
前魔王がお人好しの結果、人間やエルフ、ドワーフに他の亜人が住まう大陸にえらい迷惑がかかっているんだからな。
野心を抱いた存在に隙を与えた結果がこうなったと考えると、俺の考えとゲッコーさんが口にしたお人好しってのは間違っていない。
コトネさん達もそれは理解しているようだ。
だから睨むだけで反論はしないわけだから。
「ゲッコーさんが言うように、なぜ魔王の頭に前とついたんですか?」
場の雰囲気をリセットするために、俺は柔らかな言い方で質問する。
若干だったが険のある顔のコトネさんは、俺の語調に合わせるように、表情を戻す――――かに思われたが、むしろその逆。柳眉を逆立てて、わなわなと体を震わせ怒りが爆発しそうになっている。
「奪われたのです! 全てはあの忌々しい低俗なスライムに!」
おお、爆発した怒りが気炎となっているかのような迫力。気炎を幻視できそうだ。
コトネさん。俺たちと戦う時はやはり本気じゃなかったな。怒りから溢れる力に圧倒されてしまう。
にしても――――、
「スライム? スライムってあの粘体からなるモンスターか? 最弱でお馴染みの?」
俺が言おうとしたけど、俺より先にゲッコーさんが紫煙を吐き出しつつ質問。
でも、俺とは少し考え方が違う。
「ですね。スライムと言えばゴブリン以下の取るに足らない存在」
「そうそう、相手にもしないよね」
と、コクリコとシャルナ。この世界に元々いた二人も、ゲッコーさんと同じ考え。
ベルは粘体と聞いただけで不快な表情。ネバネバ、ヌルヌル系が駄目だからな。自然と両腕をさすっていた。
先生はすでにこの世界の情報を頭に叩き込んでいるので、知っているご様子。
共通するのは、皆、スライムと聞いて肩すかしを受けているようだった。
――…………うむん、よくないな。
皆、よくないぞ。
考え方がエンシェントだ。
「皆様の仰るとおりです。最弱のモンスターであるスライム。その名はショゴス。レティアラ大陸の光も入らない暗闇の淵に生息していた存在です」
「まさかそのショゴスなるスライムが魔王を?」
「あり得ませんよ。どんだけ弱いんですか魔王」
シャルナとコクリコの小馬鹿にした言い様に、コトネさん達はまたもムッとする。
「お前等、楽観視しすぎ」
コトネさんに代わって、俺が真剣な声で注意する。
「しかしスライムですよ」
「コクリコ。お前――――だけじゃない。皆、スライムを馬鹿にしすぎだ。いいか、モダンなスライムは――――」
――――レベル99になった途端に、【とくぎ】で【しゃくねつのほのお】というMPを消費せずに、敵全体に強力な攻撃が出来る鬼使用になるし。
更に最近だと、捕食することで、捕食した存在の能力を我が物にしてしまうスライムもいる。
前者後者で共通することは、徐々にだけど確実に力を蓄えていくことで、チートな強さになるハイパー大器晩成なのだ。
「随分とスライムに詳しいですね。主」
「ラノベ――――文献を読みまくっているので。更に力をつけたスライムは、自らの粘体を活用した変身能力も可能になるんですよ。人間やドラゴン、有形のものなら何にだってなれるわけです」
流石にドラゴンと耳にすれば、小馬鹿にしていた二人も上げていた口端が横一文字になる。
「トール様は本当に叡智の豊かな御方。感服いたします。ショゴスを見てきたかのように述べてくれました」
コトネさんにランシェル。他のメイドさん達が俺に対して感嘆と共に、恭しく頭を下げてくれる。
うむ。ラノベは大好きですからね。その辺の知識はあるんですよ。
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