478 / 1,575
レティアラ大陸
PHASE-478【多種多様の亜人たち】
しおりを挟む
「うん? そのマントは!? そうか、貴様がバロニアを倒したという勇者か。勇者であるならこの大陸まで来る事も可能か」
「ホブゴブリンに対して呼び捨てでもいいんだな。殿もさんも付けないなんて」
「我々とは管轄が違う。主である魔王様と、護衛軍各隊長以外には恭しくするつもりはない。それが例え三爪痕の王達であってもな」
「我々ってことは――」
複数形で語る意味。悟った時には不気味な笑みを俺へと見せてくるゴブリン。
「イグニース」
即座に炎の盾を展開すれば、
「おっと。やるね~」
飄々とした語り口の存在が炎の盾に一撃を加えて後退。
両手持ちの戦斧を手にし、ゴブリン同様の装備からなるオークだった。
「ようこそ勇者御一行さ~ん」
ズンズンとした体重のある足音とは裏腹に、語り口は軽い。
赤い瞳はイッてるから、軽口も相まって、危ない感じがビンビン伝わってくる。
「さあ、まだまだだ」
大仰に両手を広げるゴブリンの発言を待っていたとばかりに、
「「「「キェェェェェェェェェェェェェェェエ!!!!」」」」
要塞方向から狂ったような声が上がる。
でもなんか親近感。
「猿叫のようだ」
ゲッコーさんが俺を見つつ言う。
全くもってその通り。俺がなんちゃって示現流を王都でやり始めると、いつしかそれが流行しているわけだけども。
こんな感じで狂った声が、王都の――主に西門付近で、毎日のように上がっているわけだ。
「来るぞ!」
ベルが気を引き締めろとばかりに鋭い声を発せば、
「うお!?」
側面からの手斧の一撃。
抜刀して残火で横薙ぎすれば、迫る手斧の刃の部分を両断。
魔法付与はないようだ。
「なんだと!?」
不意打ちを狙った新たなゴブリンが驚きの顔。ようやく不敵さ以外の表情を俺に見せてくれたな。
更に背後に気配を感じれば、背後には羽を広げたゴブリンサイズの悪魔らしき存在。
斧ではなく鎌を諸手で握っている。
「キィヤァァァァ!」
気迫と共に鎌の先端が俺の顔へと接近。
「なめんな!」
ここでも残火で迎撃すれば、鎌を容易く斬り落とす。
「なんなんだ?」
コイツも驚いてくれる。
「シャルナ」
名を出すだけで理解してくれるのは付き合いの長い証拠。
俺に鎌を向けてきたのはインプという低級の悪魔。
コウモリのような羽に、先端が鉤状になった尻尾が生えている。
黒い肌だが、顔立ちはゴブリンに似た感じだ。
「でもって、シャルナ後ろ」
「分かってる!」
デカいのが突如として現れ、刃渡りだけでも二メートルはある鉈を振り下ろす。
咄嗟に回避したシャルナだが、地面に触れる鉈の衝撃は俺たちの足元まで揺らした。
それどころか触れた箇所を中心として、放射状に広がる蜘蛛の巣状の地割れも出来ている。
「今度はなんだ?」
「あれはオーガだね」
オーガか。鬼だな。
確かに頭に二本の角がある。角の生えた額と被っているとんがり帽子のアンバランスさは、レッドキャップスでも抜きん出ているんじゃないだろうか。
トロールやゴーレムと同じくらいの大きさ。四、五メートルくらいか。
力士スタイルのトロールと違って、引き締まった体だというのは、鎖帷子状の装備の上からでも分かるくらいに、胸部が筋肉で隆起している。
ナイスカットと言ってやりたいね。バック・ダブル・バイセップスをしようものなら、背中の筋肉鬼瓦とも言ってやりたい。鬼だけに。
にしても……、
「なんか強そうなのが次から次へとポンポン出て来るな……」
「まだ来るぞ」
一番最初に現れたゴブリンが不気味に笑んで発せば、発言に合わせてサハギンが現れ、次なる巨体枠としてトロールが登場。
体格ととんがり帽子、鎖帷子状の装備のせいで、サンタクロースの闇堕ちみたいな姿のトロールだ。
だがしかし、統一性のない連中が一瞬にして俺達の前に現れる。
陸海空の亜人のオンパレードだな。
三爪痕とは違い、互いを出し抜こうとする考えを捨て去り、魔王という主人のために行動する事を無償の喜びとして集った混成部隊こそ、魔王護衛軍なのだ。と、眼前の光景が教えてくれる。
「ホブゴブリンに対して呼び捨てでもいいんだな。殿もさんも付けないなんて」
「我々とは管轄が違う。主である魔王様と、護衛軍各隊長以外には恭しくするつもりはない。それが例え三爪痕の王達であってもな」
「我々ってことは――」
複数形で語る意味。悟った時には不気味な笑みを俺へと見せてくるゴブリン。
「イグニース」
即座に炎の盾を展開すれば、
「おっと。やるね~」
飄々とした語り口の存在が炎の盾に一撃を加えて後退。
両手持ちの戦斧を手にし、ゴブリン同様の装備からなるオークだった。
「ようこそ勇者御一行さ~ん」
ズンズンとした体重のある足音とは裏腹に、語り口は軽い。
赤い瞳はイッてるから、軽口も相まって、危ない感じがビンビン伝わってくる。
「さあ、まだまだだ」
大仰に両手を広げるゴブリンの発言を待っていたとばかりに、
「「「「キェェェェェェェェェェェェェェェエ!!!!」」」」
要塞方向から狂ったような声が上がる。
でもなんか親近感。
「猿叫のようだ」
ゲッコーさんが俺を見つつ言う。
全くもってその通り。俺がなんちゃって示現流を王都でやり始めると、いつしかそれが流行しているわけだけども。
こんな感じで狂った声が、王都の――主に西門付近で、毎日のように上がっているわけだ。
「来るぞ!」
ベルが気を引き締めろとばかりに鋭い声を発せば、
「うお!?」
側面からの手斧の一撃。
抜刀して残火で横薙ぎすれば、迫る手斧の刃の部分を両断。
魔法付与はないようだ。
「なんだと!?」
不意打ちを狙った新たなゴブリンが驚きの顔。ようやく不敵さ以外の表情を俺に見せてくれたな。
更に背後に気配を感じれば、背後には羽を広げたゴブリンサイズの悪魔らしき存在。
斧ではなく鎌を諸手で握っている。
「キィヤァァァァ!」
気迫と共に鎌の先端が俺の顔へと接近。
「なめんな!」
ここでも残火で迎撃すれば、鎌を容易く斬り落とす。
「なんなんだ?」
コイツも驚いてくれる。
「シャルナ」
名を出すだけで理解してくれるのは付き合いの長い証拠。
俺に鎌を向けてきたのはインプという低級の悪魔。
コウモリのような羽に、先端が鉤状になった尻尾が生えている。
黒い肌だが、顔立ちはゴブリンに似た感じだ。
「でもって、シャルナ後ろ」
「分かってる!」
デカいのが突如として現れ、刃渡りだけでも二メートルはある鉈を振り下ろす。
咄嗟に回避したシャルナだが、地面に触れる鉈の衝撃は俺たちの足元まで揺らした。
それどころか触れた箇所を中心として、放射状に広がる蜘蛛の巣状の地割れも出来ている。
「今度はなんだ?」
「あれはオーガだね」
オーガか。鬼だな。
確かに頭に二本の角がある。角の生えた額と被っているとんがり帽子のアンバランスさは、レッドキャップスでも抜きん出ているんじゃないだろうか。
トロールやゴーレムと同じくらいの大きさ。四、五メートルくらいか。
力士スタイルのトロールと違って、引き締まった体だというのは、鎖帷子状の装備の上からでも分かるくらいに、胸部が筋肉で隆起している。
ナイスカットと言ってやりたいね。バック・ダブル・バイセップスをしようものなら、背中の筋肉鬼瓦とも言ってやりたい。鬼だけに。
にしても……、
「なんか強そうなのが次から次へとポンポン出て来るな……」
「まだ来るぞ」
一番最初に現れたゴブリンが不気味に笑んで発せば、発言に合わせてサハギンが現れ、次なる巨体枠としてトロールが登場。
体格ととんがり帽子、鎖帷子状の装備のせいで、サンタクロースの闇堕ちみたいな姿のトロールだ。
だがしかし、統一性のない連中が一瞬にして俺達の前に現れる。
陸海空の亜人のオンパレードだな。
三爪痕とは違い、互いを出し抜こうとする考えを捨て去り、魔王という主人のために行動する事を無償の喜びとして集った混成部隊こそ、魔王護衛軍なのだ。と、眼前の光景が教えてくれる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
430
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる