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ダンジョン何階まで潜れる?

PHASE-631【ハードウェアチートとは呼ばないで……】

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『まずは感度設定が大事よ』
 そんな事は言われなくても分かってますよ。
 高感度だと振り回されるから俺は平均の感度だ。
 かたや天界勢はセラも含めて低感度。
 ゆっくりとした感度で確実にヘッショを狙うらしい。完全に現世のFPSプロゲーマーの上位陣の考えと似ている。
 立ち回りがしっかりとしているから、基本バックアタックに見舞われる事がないので、低感度でしっかりと相手を狙う事だけに意識したスタイルだな。
 もし後ろを取られたとしても、相手の位置をその時点で把握しているそうで、即座に対応するので問題ないらしい。
 パラシュート降下してきた人の後ろを取ったけど、即座に俺がやられたのはその為だな。

『よし! じゃあ頑張ろう♪』
 ――――フレンドと出来るという楽しげなセラの声と共に俺も練習を始める。
 初めて心が折られそうになる中でも、セラからしっかりとフォローしてもらってなんとか自力で1キル出来るようになった。
 たったの1キルでこんなに喜んだのは、FPSを始めたばかりの時と同じ感動だった。
 この調子で立ち回り方を練習していき、敵が来る位置を把握。
 見えない所では相手の足音やリロード状態を確認し、その隙をついて一気に攻めてから倒すというのを繰り返していった――――。



「ふぅぅぅぅぅ」
 おかしいな。確か昼くらいに始めたのに、窓から外を見れば、空が白んでいるぞ。
 あまりに熱中しすぎて、まさか徹夜をしているとはな……。
 体がだるい――――ということはない。
 この世界に来てからは戦いの中に身を投じ、丸一日動き回るといったことも普通になってきているからな。
 ベッドに横になったりしながら体をリラックスさせ、訪れる空腹と渇きは、定期的にポテチとエードを摂取しているので問題ない。
 普段に比べれば過酷さなんてありゃしない。
 ただブルーライトが原因なのか、目がギンギンになっているけども。

「よっしゃ! 頑張るぞ」

『いい意気ね』
 セラのヤツ、こんなにもゲームしていて仕事とか大丈夫なのだろうか?
 俺はこの数日間は休みになっているけど、コイツは死者を導く立場のはずなんだけどな。
 俺みたいに休みなのか? それとも俺とゲームが出来る喜びが優先されているのだろうか。
 もし後者なら、ちょっと病んでいるけど、スタイル抜群の美人がそう思ってくれていると思うと、それは嬉しくもある。

 ――……ふむん……。

「どうしてもデスの方が上回る。こんな事が続くのは初めてだ」

『相手は毎日、眠りもせずにゲームしている連中だから』
 ぶっちゃけ疲れ知らずってのはチートだよね。
 現世だったらハードウェアチートでもいいくらいなんですけど。
 その身体的な差を埋める事は、可能といえば可能だ。

「――ストレンクスン」
 小声でポツリと呟く。

『それは良いのかしら?』
 流石は死神。俺のレベルとかを確認しているだけあって、俺が現在使用できるピリアなんかもスキルチェックしているようだな。

「確かに心が痛むところもある。でも天界の転生待ちの方々も大概だろう」

『まあ確かに。そう考えると問題ないかも』
 なんかアレだな。フレンドだからか甘い査定になってないか。
 出会ったときは人を小馬鹿にした感じの死神だったけど、フレンドを切られるのが嫌なのか、結構、甘々だ。
 だがこの力は俺が得た力。使っても問題ない。と、言い聞かせてから戦いに挑む。

「――ほほう」
 コイツはいい。

『あら、急にいい動きになったわね』

「だろ」
 自分でもビックリ。地力が倍加するストレンクスンは正解だ。
 動体視力の向上で、相手よりも素早く索敵が出来るし、目から入った情報が指に届くまでの伝達速度が、先ほどまでに比べれて明らかに速くなっている。
 目と脳と指が同時に連動しているとばかりの速度だ。
 狙って直ぐに撃つ。
 元々のエイム力は残念なスキルなので初弾は外すタイプだが、それでもそれ以外で勝っているからか、撃ち負ける回数が減ってきた。
 この天界と繋がっているオンライン対戦でようやくキルレが0.8くらいにまでなってきた。
 最初に比べれば大きな飛躍だ。

「これなら1に戻せるかもしれない」

『頑張りなさい』
 って、とんでもなくキルレが高いのに言われる。
 やはり神なだけあるんだろうな。これだけの猛者達と戦っているのに、普通に平均キルレが10を超えてる。
 端から見たら完全にチーターなんだけども、神なんだからなんでもありって事だろうな。

 ちなみIDのThirteen_ Grim Reaper-Death-で気になっていた十三は、タロットカードの大アルカナの十三番目が死神だからってことらしい。
 死神、死神、死神ってことなんだろう。
 他にもDeathは死神と、助動詞としての【です】にもかけているそうで、私は死神です。と、自己紹介の意味もあるらしい。
 ま、どうでもいいです。
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