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ダンジョン何階まで潜れる?
PHASE-634【訓練を――してたんだ】
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「本当に大丈夫なのか」
なんだろうか。ベルが本気で心配しているのが嬉しい反面、罪悪感もある。
ゲームに熱中していてこうなりましたとは言いにくいし、何よりも怒られそう。
ある意味、死神に取り憑かれていた。と言えば嘘にはならないけども、ここで死神なんてパワーワードが出てしまえば、魔王並みに異世界の方々が警戒してしまうかもしれない。
だが正直に言わないと後々、怒られそうな気がするので――、
「えっとね。俺をこの世界に送り込んだ存在と長い間、訓練を行っていたんだよ」
「ベッドでか」
「うん」
なんかベッドで訓練とかってなると、途端に卑猥に聞こえてしまうね。
ベルの発言に肯定したからか、メイドさん達が口を押さえて驚いている。やはり卑猥な方で受け取ってしまったな。
ランシェルが特にショックを受けているみたいだけど、見えないものとする。
「違うからね。真っ当な訓練だから。集中力を高めるための精神訓練だから」
「ほう」
俺は嘘を言っていないぞベル。
デスがえらいことになっても、ムキにならないように己を律する。
つまるところの――――、
「アンガーマネジメントの訓練とか――」
マップの立ち回りと裏取り。会敵時の素早い腰撃ちからのADSへの変更である――、
「空間認識能力の向上と、思考を素早く四肢に伝えるストレンクスンの訓練なんかをね――してたわけですよ」
うん――――。俺は嘘は言っていない。
ゲーム内の天界の面々がプロ顔負けの技巧だから、ハードウェアチートみたいにストレンクスンを使用したってだけなんだけども。
でも実際、思考に連動するように指先が素早く動くようになったのは、自分でも認識できる上達。
後、長時間のストレンクスン使用にも成功している。
体を動かしながらの使用じゃないから長時間の使用が可能だったのかもしれないけど、維持する事は経験になっているから、戦闘時でも集中力の持続に繋がると思うんだ。
「ベッドで食べ散らかした後もあるようだが。本当に――訓練か? この水の張った洗面器は何だ?」
「軽食は取るよ……。取りながらの訓練だから。その分、集中するためにこの部屋に籠もってたんだけどね。余計な心配を皆にかけたのは謝るよ」
素直に謝る事で、俺の発言に真実味を増させる。とりあえず洗面器はスルーする。さっきまで直にすすっていたとは言えない。
ここまでも嘘はついてない。
「本当に訓練か? ただ怠惰に耽っていたのではないのか?」
「サボってないよ。本当に訓練だよ」
FPSのな。
「――――ふむ。嘘はついていないようだな」
「もちろん。俺がベルに嘘をつくわけないじゃないか」
嘘つくと普通に看破してくるからな。
以前ミズーリでも結跏趺坐で瞑想による禅をしていた事もあったからね。それを思い出して頂きたい。
ベッドで同じことをしていたと勘違いしてもらいたいところ。
そもそもが――だ。
「休暇中なんだからサボるもなにもないだろう。ゆっくりと過ごしていてもいいだろう」
「無論だ。だがゆっくりと過ごすのと、自堕落に過ごすのは違うからな」
「そりゃそうよ」
ここは即座に賛同する事で、自分がその対象は当てはまらないという事を示す。
「俺の場合、精神修行を休暇中でも抜かりなくやってたからな。やり過ぎて体力を消耗してしまったけども」
「何事もやり過ぎはよくないが、前向きに努力するのは称賛する」
よしよし、ベルに怒られる事も無かったどころか、プラスにする事が出来た。
周囲も流石は勇者殿と侯爵を筆頭に感心してくれる。もちろんゲッコーさんはこの中には含まれないけどね。
さてさて――、
「で、丁度、侯爵もおられる事ですし。どうでしょうか、王都へとの出立の準備は整いましたか?」
ここで話を逸らす俺。
「今しばらくお待ちを。カンクトス山脈を越えた後の情報も得ないとなりませんので」
山脈を越えれば別世界だろうからな。
王都には瘴気が蔓延している地帯を通らないといけない。
もちろん侯爵にはガスマスクを提供するし、もしリズベッドが随伴してくれるならば、パーソナルリフレクションを使用してくれれば一時は大丈夫だと思う。
とはいえ、軍を動かすとなれば話は別。
大規模な軍を瘴気の中で動かすことは事は難しいどころか不可能だ。
最低限の目的である、侯爵の援軍を王が得たという内容が大陸全体に伝わるだけでも万々歳。
野心を抱く者達の抑止になり、日和見の者達を王サイドに傾かせる事が第一だからな。
最高な結果は侯爵が軍を率いて王都まで来てくれることなんだけどな。
その為にも、山脈より先に派兵が可能なのかの確認に時を要するのは仕方がないこと。
侯爵には万全を期して頑張っていただこう。
――……頑張っていただこう……か。
なんかそう思った途端に負の感情が襲ってくる。
頑張りもせずにゲームをしていた事を訓練していたって言い訳している俺って、なんてちっぽけなんだろう……と……。
なんだろうか。ベルが本気で心配しているのが嬉しい反面、罪悪感もある。
ゲームに熱中していてこうなりましたとは言いにくいし、何よりも怒られそう。
ある意味、死神に取り憑かれていた。と言えば嘘にはならないけども、ここで死神なんてパワーワードが出てしまえば、魔王並みに異世界の方々が警戒してしまうかもしれない。
だが正直に言わないと後々、怒られそうな気がするので――、
「えっとね。俺をこの世界に送り込んだ存在と長い間、訓練を行っていたんだよ」
「ベッドでか」
「うん」
なんかベッドで訓練とかってなると、途端に卑猥に聞こえてしまうね。
ベルの発言に肯定したからか、メイドさん達が口を押さえて驚いている。やはり卑猥な方で受け取ってしまったな。
ランシェルが特にショックを受けているみたいだけど、見えないものとする。
「違うからね。真っ当な訓練だから。集中力を高めるための精神訓練だから」
「ほう」
俺は嘘を言っていないぞベル。
デスがえらいことになっても、ムキにならないように己を律する。
つまるところの――――、
「アンガーマネジメントの訓練とか――」
マップの立ち回りと裏取り。会敵時の素早い腰撃ちからのADSへの変更である――、
「空間認識能力の向上と、思考を素早く四肢に伝えるストレンクスンの訓練なんかをね――してたわけですよ」
うん――――。俺は嘘は言っていない。
ゲーム内の天界の面々がプロ顔負けの技巧だから、ハードウェアチートみたいにストレンクスンを使用したってだけなんだけども。
でも実際、思考に連動するように指先が素早く動くようになったのは、自分でも認識できる上達。
後、長時間のストレンクスン使用にも成功している。
体を動かしながらの使用じゃないから長時間の使用が可能だったのかもしれないけど、維持する事は経験になっているから、戦闘時でも集中力の持続に繋がると思うんだ。
「ベッドで食べ散らかした後もあるようだが。本当に――訓練か? この水の張った洗面器は何だ?」
「軽食は取るよ……。取りながらの訓練だから。その分、集中するためにこの部屋に籠もってたんだけどね。余計な心配を皆にかけたのは謝るよ」
素直に謝る事で、俺の発言に真実味を増させる。とりあえず洗面器はスルーする。さっきまで直にすすっていたとは言えない。
ここまでも嘘はついてない。
「本当に訓練か? ただ怠惰に耽っていたのではないのか?」
「サボってないよ。本当に訓練だよ」
FPSのな。
「――――ふむ。嘘はついていないようだな」
「もちろん。俺がベルに嘘をつくわけないじゃないか」
嘘つくと普通に看破してくるからな。
以前ミズーリでも結跏趺坐で瞑想による禅をしていた事もあったからね。それを思い出して頂きたい。
ベッドで同じことをしていたと勘違いしてもらいたいところ。
そもそもが――だ。
「休暇中なんだからサボるもなにもないだろう。ゆっくりと過ごしていてもいいだろう」
「無論だ。だがゆっくりと過ごすのと、自堕落に過ごすのは違うからな」
「そりゃそうよ」
ここは即座に賛同する事で、自分がその対象は当てはまらないという事を示す。
「俺の場合、精神修行を休暇中でも抜かりなくやってたからな。やり過ぎて体力を消耗してしまったけども」
「何事もやり過ぎはよくないが、前向きに努力するのは称賛する」
よしよし、ベルに怒られる事も無かったどころか、プラスにする事が出来た。
周囲も流石は勇者殿と侯爵を筆頭に感心してくれる。もちろんゲッコーさんはこの中には含まれないけどね。
さてさて――、
「で、丁度、侯爵もおられる事ですし。どうでしょうか、王都へとの出立の準備は整いましたか?」
ここで話を逸らす俺。
「今しばらくお待ちを。カンクトス山脈を越えた後の情報も得ないとなりませんので」
山脈を越えれば別世界だろうからな。
王都には瘴気が蔓延している地帯を通らないといけない。
もちろん侯爵にはガスマスクを提供するし、もしリズベッドが随伴してくれるならば、パーソナルリフレクションを使用してくれれば一時は大丈夫だと思う。
とはいえ、軍を動かすとなれば話は別。
大規模な軍を瘴気の中で動かすことは事は難しいどころか不可能だ。
最低限の目的である、侯爵の援軍を王が得たという内容が大陸全体に伝わるだけでも万々歳。
野心を抱く者達の抑止になり、日和見の者達を王サイドに傾かせる事が第一だからな。
最高な結果は侯爵が軍を率いて王都まで来てくれることなんだけどな。
その為にも、山脈より先に派兵が可能なのかの確認に時を要するのは仕方がないこと。
侯爵には万全を期して頑張っていただこう。
――……頑張っていただこう……か。
なんかそう思った途端に負の感情が襲ってくる。
頑張りもせずにゲームをしていた事を訓練していたって言い訳している俺って、なんてちっぽけなんだろう……と……。
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